ドラゴンクエスト ダイの大冒険Ⅱ   作:だいまどう

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契約完了!

巨人はポップに対し違和感を感じ初めていた。

これまでの経験から考えても、追い詰められた人間はがむしゃらに攻撃を仕掛けてくるのが常だった。しかし、明らかに勝ち目がないように見えるこの若者にはどこか余裕が感じられる。

まだただの一度もこちらに攻撃を当てていないにも関わらずだ。

 

「おい!何もしねえんならこっちから行くぞ!

ポップが叫んだ。

 

巨人は再び光線を撃つ体勢に入った。また避けるのであれば避ければいい。

いくら強がっていても、ただの人間だ。これを繰り返していれば相手はいつか必ず力尽きる。

 

…何か策があるのか。

しかし実際のところそんな事はどうでも良かった。自分がこの破邪の洞窟の守護を任されてから、ただの一度も自分を追い詰める人間は現れていない。神の名の下に振るわれる巨大な力に抗える者など存在しないのだ。

だいたい、どうやって勝つというのだ?

このちっぽけな人間ごときが。

 

巨人は大きく咆哮すると、ポップに向かって狙いを定めた。その時__

 

「イオナズン!!!!」

 

大魔道士と名乗る若者は先程までとは違う呪文の名を叫んだ。

 

上空に一筋の閃光が走った__

 

__同時にこちらの光線も相手に向けて放たれる

 

一瞬、光に包まれたその直後、複数の爆発と共に洞窟内を揺るがす大きな振動が襲った。

先程までの呪文と違い、明らかに威力が落ちる。

こちらに積極的に当てようとしてきているわけでも無い。ただのこけおどしか、それともいよいよやけを起こしたか。

 

巨人は洞窟内を覆うように舞っていた土煙の中から固唾を飲んでこちらを伺っているポップを見つけた。

__どうやらまた少し光線が掠ったらしい。片腕を押さえ、肩で息をしている。

 

それにしても、土煙が一向に収まらない。

巨人は頭上から小石や砂が降ってきている事に気がついた。それだけではない。何かが揺れている音がする。

しばらくすると、だんだん音は大きくなり、いよいよ振動は洞窟を揺るがすほどになっていった。

 

砂が大量に降ってきた、と思った。

と同時に視界が低くなり意識が薄れていく__

 

 

 

ポップは肘で土埃を避けながら口元を緩ませた。

 

巨人はメドローアで開けた穴から降ってきた瓦礫や大岩の下敷きになり、完全に動きを停止している。

 

「おしっ!!狙い通りだっ!!」

 

ポップは袋から出した魔法の聖水を飲み干すと、

魔力を溜め始めた。

 

「消えちまえ!!メドローア!!!!」

 

ポップは目の前の瓦礫の山に向かって特大のメドローアを放った。

 

その時、背後から聞こえてくる声があった。

 

「ポップ君!!」

 

アバンが血相を変えて走って来た。

 

「大丈夫でしたか!?…はぁはぁ…」

 

「先生!!」

 

「これは…一体何があったんですか!?」

 

「こっちが聞きたいですよ!危うく死ぬとこだったんですから!」

 

ことの次第をポップが説明した__

 

「私は大変申し訳ないことをしました。ポップ君」

 

「破邪呪文というのは神が力の弱い人間に対して与えたものです。ミナカトールのように、心の正しいものであれば、その呪文の発動のきっかけを作る事はできますが、邪悪な人間はもちろん、人間と違う種族の者…例えば竜の騎士や魔族の血を引く者などがその呪文の契約自体をする事はできないのです」

 

「ポップ君は以前に竜の騎士を血を受け、蘇った過去があります。この場合の契約の可否については私にとっても未知の世界でして…」

 

「そうだったのか。だから万が一の事を考えて先生は…あっ!そういえば…俺、まだリリルーラの契約がっ!!」

 

「いっ!!!」

 

2人は慌てて祭壇があった場所へ走っていく。

 

「リリルーラを司る精霊達よ…この者に破邪の呪文を与え給え」

 

アバンがそう言うと、ポップの体が光に包まれた。

 

「__心清きものよ、この力を受け取るがよい」

 

どこからか声が聞こえてきた。

 

「…セーフでしたね」

 

「って言うか、最初からこうすれば良かったんじゃないですか…」

 

「そ…そうかもしれませんね。でも、リリルーラの契約はあくまで1人で行うのが原則ですから…」

 

「まあ、何はともあれ契約が出来たのですから、おめでたい事ですよ。さぁ帰りましょう。みんな心配して待っていますよ!」

 

「はい…」

 

「何となく、早くここを出た方が良いような気がします」

 

 

__はるか下の方で何かが開く音がした。

 

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