メルルの話によれば、昨晩眠りに落ちる時、頭の中に声が聞こえてきたらしい。
彼女はきっと疲れているのだと思い、無視をしていたが、「ダイ」という言葉にいっぺんに目が覚めてしまったとの事。
うろ覚えの部分もあるが、大まかな内容は以下のようなものだ_
私は精霊ルビス_
天界より、神の意思を伝えしもの。
そして、この世の理_
光と闇を司るものです。
竜の騎士ダイによって、そして彼の心の光に導かれた、勇気ある者たちによって地上は救われました。
心から感謝します。
しかし、そのダイが邪悪な存在によって魔界に囚われています。
このままでは彼の輝きは失われ、地上と魔界のバランスは危うくなるいっぽうです。
そこで、ダイを助けるために、地上の勇者達に協力してほしいのです。
この事を彼をよく知る、正しきものに伝えてください。
詳細は別の者に託してあります。
神々に愛されているあなたなら、今後の進むべき道を照らすことができるでしょう。
そして_再び大きな邪悪がこの世を包もうとしている予兆があります。
マザードラゴンが力を失った今、
世界に光をもたらすことができるのはあなた達しかいません。
神の愛はいつもあなた達と共にあります。
全てが正しい道に導かれますように…
メルル…頼みましたよ_
「_精霊ルビス…古い魔導書や古文書等で頻繁に出てくる名です。一説によると、この世界を創造した存在とも…」
顎を手で触りながら聞いていたアバンが呟いた。
「私も最初は信じられませんでした…それで翌朝、半信半疑で枕元に置いた水晶玉を覗いてみたのです。するとそこにダイさんが映ったんです。それは…崩れかけた廃虚のようなところでダイさんが手にした剣を見つめている様子でした…」
ずっと横を向いていたヒュンケルがこちらを振り向いた。
「_私は巡礼の旅の途中で、ある小さな町に滞在していましたが、この事をすぐに伝えなければと思い…ここでしたら、アバン王経由で皆さんにお話が伝えられると思いましたし」
「ありがとうメルル。グッドタイミングでした。ちょうど皆さんが集まっていましたからね」
「メルル…久しぶりね。会えて嬉しい」
マァムが少し疲れた様子でメルルに微笑んだ。
「マァムさん!私も嬉しいです。なんだか一緒に旅をしたのがつい昨日のことのようで…」
「レオナも会いたがっていたのよ。どうしているかなって…」
「わぁ!そうなんですね。嬉しい…でも、彼女は今大変そうですね…私なんかが来ても助けになるかどうか…」
「そんな事はありませんよ。メルルは皆に希望を持ってきてくれたじゃないですか」
アバンがそう言うと、マァムはにっこり微笑んだ。
「皆さん、もう一度、ジタバタする時がきたんじゃないですか?」
アバンの言葉を聞いて、ポップが鼻息荒く頷く。
メルルははにかみながら水晶玉をテーブルに置いて言った。
「ルビス様は別の者に託したと言っていました。どこに行けばいいのか占ってみます」
メルルの横顔がキリリと頼もしく見えた。