ドラゴンクエスト ダイの大冒険Ⅱ   作:だいまどう

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竜の娘

夜が明けて──

 

朝食を取ると、ふたりは村を出た。

おそらく時刻としては朝である筈なのに、ここには日の光は届かない。

朝日、という概念はきっと魔界には無いのだろう。

 

「お前、体調は大丈夫なのか?」

 

何となくすっきりしない面持ちをしている相棒にラーハルトが訊いた。

 

「ああ、なんとかな……魔界の酒は悪酔いしやすい。忘れていたよ。俺が酒に弱くなっただけかもしれんが」

 

「お前はどうなんだ。ここ最近眠れんと言っていたが」

 

「不思議と昨日は眠れた。何故かは分からん」

 

「……そうか、何であれそれはいい事だ。今日は長い一日になりそうだからな」

 

クロコダインが呟いた。

 

ふたりはヴェルザーの居城を目指し、地図を頼りに西に歩いていった。

数時間もすると、平坦だった道にはゴロゴロとした岩が目立ち始め、気がつくと山道になっていた。

標高が上がる度にヒューヒューという不気味な風の音が強くなる。

山道を進んでいくと、どんどん道は険しくなっていった。

文字通り崖っぷちをふたりは風にあおられながら、足を踏み外さぬよう慎重に進んだ。

 

何者かによって作られたのであろう、森を抜けた先に現れた今にも崩れそうな石の階段を登ると、そこには荒涼とした平原が広がっていた。

だいぶ高い所まで登ってきたらしい。

辺りに見える切り立った崖の高さが、それを物語っている。

 

遠くに見える、ささくれ立った禍々しい岩の群れを目印に歩いていくと、間もなくヴェルザーの城跡らしきものが見えてきた。

 

すぐ横を突然一匹のドラゴンが横切った。

ふたりは身構えたが、攻撃をしてくる様子はないようだ。

そのまま通り過ぎ、ドラゴンはUターンし上空に留まった。

それから何か合図を出すように数回旋回すると、元来た方へそのまま高度を下げることなく帰っていった。

 

「見張りって訳か」

 

「……油断するなよ。どこから来るか分からんぞ」

 

しかし、それきりモンスターの姿を見ることはなかった。

肩透かしを食らった思いだったが、ふたりにとっては有り難い。

なるべく体力を温存するために、余計な戦闘は避けたかったからだ。

 

瓦礫を避けしばらく歩いて行くと、砦の最深部に辿り着いた。

頭上にヴェルザーの牢獄が見える。

真向かいに立ち、ラーハルトが叫んだ。

 

「陸戦騎ラーハルト推参!バラン様に代わりディーノ様を貰い受けに来た!!」

 

不意に地震が起きた。

揺れはどんどん強くなっていく。

 

「──来るぞ!!」

 

「……!!!」

 

ふたりは足を踏ん張り武器を構えた。

 

 

「──お前達は本当に愚かだ──」

 

何処からともなく声が聞こえる。

 

(ヴェルザー……)

 

「──ダイは渡さんと言ったであろう──オレは忠告した筈だぞ──あの魔法使いの小僧にもな──」

 

すると、何処からともなく魔物の群れがあらわれた。

 

人間のように巨大な斧を持ったドラゴンの兵士が3匹。

地上では見かけない種類のモンスターだ。

ふたりは武器を振るうと、襲いかかってきたドラゴン達をあっという間に倒してしまった。

ヴェルザーは感心したように言った。

 

「──ほう……流石はダイを助けに来た、などとほざくだけはあるな──本来はオレが直々にもてなしてやりたいところだが、何せこの有様でな……代わりに我が娘が相手をしてやろう」

 

「そんな事はどうでも良い!ダイは!!ダイは何処にいる!!」

 

クロコダインが声を荒らげた。

 

「──そう慌てるな──もし万が一勝てたら地上に返してやるさ。万が一勝てたらな……」

 

「ダイもこの戦いをどこかで見ているかもしれんな……お前らがやられるのを見れば、諦めもついて丁度いいだろう──」

 

「黙れ!!貴様のような者がディーノ様の名を呼ぶ事は許さん!!」

 

ラーハルトが激昂し叫んだ。

 

「──お前は龍騎衆、バランの手下だったか──お前にも魔界の血が流れているのだろう?どうだ、この魔界でオレの下で共に戦うのは?ダイと一緒に居られるんだぞ。悪い話ではないだろう?」

 

「──ああ、その減らず口を閉じたら──考えてやる!!!!」

 

ラーハルトはヴェルザーが封じ込められている岩に向かって鎧の魔槍を力一杯投げつけた。

 

物凄いスピードで槍がこの魔獣の檻に吸い込まれて行く。

 

しかし、何者かが岩の前に飛び出し、一瞬の間に魔槍を弾き返した。

 

(……速い……!!)

 

ラーハルトは跳ね返された魔槍を手で受け止めると、目の前の刺客を睨んだ。

 

そこには褐色の女戦士が背中の翼をはためかせながら浮かんでいた。

 

「──ご紹介しよう。我が娘『ベラ』だ。美しいだろう?──」

 

ヴェルザーが怪しく囁いた。

 

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