「貴様らは後悔することになるぞ……!!」
激震と共にヴェルザーの声が轟くと、猛烈な突風が唸りをあげ、ふたりに襲いかかった。
危険を察知したクロコダインとラーハルトはそばにあった柱にしがみついた。
「ヴェルザー、これ以上無益な戦いはやめろ……!!」
クロコダインの言葉を無視してヴェルザーは続けた。
「これまでは手加減してやっていたが……お前らは本当に馬鹿な奴等だ。己の浅はかさを思い知るがいい──」
「防御力上昇呪文!!〈スカラ〉」
呪文を唱えるヴェルザーの声がこだますると、ベラの身体がオーラのようなものに包まれた。
「防御力上昇呪文!!〈スカラ〉」
「防御力上昇呪文!!〈スカラ〉」
ヴェルザーは立て続けに同じ呪文を唱えている。
唱えるたびにオーラの層は厚くなっていき、今やベラの身体はまるで青白いガスの塊に包まれているかのようだ。
「防御上昇呪文!!〈スカラ〉」
呪文を唱える声が止んだ。
「あいつ……ヤケになっているぞ……」
驚き呆れたという様子でクロコダインが言った。
「致し方無い……許せ!!!」
クロコダインが手で肩の傷口を押さえているベラに切り掛かった。
そしてグレイトアックスによる、全身の力を込めた一撃がベラの首を捉えた!と思った瞬間、刃はベラの周りの青白いオーラの所で止まってしまった。
「うぐっ……うおおおおおお」
顔に青筋を立てて、クロコダインは全身の力を込めて振り抜こうとしたが、逆にビシッという音と共に斧の刃がこぼれてしまった。
「なっ……!!」
クロコダインは驚愕の表情を浮かべたが、すぐ我に返り、大きく息を吸い込んだ。
「カアァアーーッ!!!」
すかさず吐き出した高熱の息〈ヒートブレス〉をベラはひらりと身をかわした。
そして大きく胸を張ると、翼の風圧でブレスを散らしてしまった。
「おのれ……!」
ヴェルザーの声がまた聞こえてくる。
「おお……苦戦しているようだな。これは私からのプレゼントだ。受け取ってくれるだろう?」
「防御力低下呪文!!〈ルカナン〉」
今度はクロコダインとラーハルトの体が黄色いオーラに包まれた。
「やられたらやり返す。魔界の掟だ……ベラ。遊んであげなさい──」
ベラが攻撃準備に入ろうとした時、ラーハルトが駆け出した。
「おい!!俺が相手だ!!」
素早く背後に回り込むと、渾身のニ段突きをベラに浴びせた。
──会心の一撃──
しかし、ベラはダメージを受けていない。
「くそッ……馬鹿な……!!」
ベラは振り向くと、攻撃直後で無防備になっているラーハルトに、真空波を浴びせた。
無数の真空の刃が襲う。
「ぐあぁあああああああ!!!!」
まともに攻撃を受けてしまったラーハルトの全身から血が噴き出た。
「ほう。血の色はオレ達と同じか。汚い人間と同じかと思っていたが──」
ヴェルザーが嘲笑うように言った。
ラーハルトは、ばったりと地にひれ伏したが、何とか立ちあがろうと槍に捕まりもがいている。
「まだプレゼントが足りないようだな──」
「防御力低下呪文!!〈ルカナン〉」
ヴェルザーが唱えると、ふたりの黄色いオーラはさらに強くなった。
「さて……第2ラウンドといったところか」
遠くで風が唸りをあげた。