ドラゴンクエスト ダイの大冒険Ⅱ   作:だいまどう

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地獄の底

「ヴェルザー……何か小細工をしたな……!!正々堂々と勝負しろ!!」

 

クロコダインが怒りに満ちた顔で叫んだ。

 

「──正々堂々……?何をいう……これは戦略と言うんだ。力で押すしか能がないお前らには分からんかも知れんがな」

 

「力で押すだけか……悪いが生憎、それ以外の戦い方を知らなくてな」

 

ようやく立ち上がったラーハルトが息を切らして言った。

 

「そんな哀れなお前達が死ぬ前に……望みを叶えてやろう」

 

ヴェルザーが言うと、ベラは虚空に手をかざした。

そのまま弧を描くようにゆっくり掌を動かすと、軌道に沿って明るい山吹色の光の輪が浮き出てきた。

輪の縁には夥しい量の火花が飛び散っており、それらは円を中心に車のように高速で回転しているように見える。

ベラが手を下ろすと、光の輪の中が一瞬光り、トンネルのように別の場所と繋がった。

 

「……!!」

 

「感動のご対面だろ……?」

 

輪の向こうに見えたのはダイだった。

驚いた様子でこちらを向いている。

 

「……クロコダイン……ラーハルトも……!!」

 

見慣れたダイの顔を見つけると、ふたりは一瞬呆気に取られた。

 

「ダイ!今、助けてやる!!」

 

先に我に帰ったクロコダインが手を伸ばしたが、輪の中の像は水面のように歪んでしまい、向こう側に手を伸ばす事は出来なかった。

 

「おっと……『勝てたら』と言ったはずだ。今はこうしてお互いの姿を魔力によって映しているに過ぎない」

 

ヴェルザーがいかにも残念そうに言った。

 

「さぁ。第2ラウンドだったな。お前達の戦いっぷりをダイに見せてやるがいい……」

 

「くっ……ふざけおって……」

 

「──轟火!!!」

 

クロコダインが真上から斧を振り下ろすと、燃え盛る火の玉が光の尾を引きながらベラに向かっていった。

 

ベラは落ち着き払った様子で、火の玉を睨むと、真空波で炎の勢いを殺してしまった。 

 

「ちいっ……」

 

様子を見ていたラーハルトが悔しそうに歯軋りをした。

 

ベラは両手を顔の横に掲げ魔力を集中した。

バチバチと火花が散り、凝縮されたエネルギーが光を放っている。

そして両手を合わせ構えると叫んだ。

 

「イオナズン〈極大爆裂呪文〉!!」

 

一つとなった巨大な光の玉が凄まじい勢いで迫り、ふたりを飲み込んだ。

 

「───ぐあっ!!」

 

その直後、凄まじい爆音が鳴り響いた。

爆風が瓦礫もろとも地表を吹き飛ばすと、ふたりは抉れた地面の上にゴミのように転がっていた。

 

「……うっ……」

 

ダイは苦しそうな表情をすると、耐えきれずに目の前の光景から目を逸らした。

 

「やめろ……!やめろよ……」

 

ベラはクロコダインに近づくと右腕を掴んで身体を持ち上げた。反応がないのを確認すると、腕を掴んだまま真空波を放った。

 

「ぐあああああああああああ!!!!!」

 

切り刻まれたクロコダインの腕から血が吹き出した。

 

「お願いだ……やめてくれよ……」

 

「……もう戦わないで欲しいのに……」

 

今にも泣き出しそうになっているダイが絞り出すように懇願した。

 

「おっと……これはいかん……腕が無くなってしまうかもしれんな」

 

ダイの声を無視して、ヴェルザーの冷酷な声が響く。

 

(お父様……これ以上は……)

 

ベラが父にテレパシーで話しかけた。

 

(まだだ……まだバランの部下がいる──)

 

その時、破邪の洞窟にいるポップに異変が起きた。

 

「……なんだ……?なんか今物凄く邪悪なエネルギーを感じ……」

 

「……ダイなのか……?いや……ヴェルザーか……」

 

「ダイ───」

 

ポップの脳裏に今にも泣き出しそうなダイの顔が浮かんだ。

 

「今……助けてやる……」

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