悪魔のような翼を生やし槍を持ったトカゲのような顔の男。
両手が蛇のように長く、体の下半分が燃えている妖艶な美女。
顎ひげを地面まで垂らし、杖を掲げた骸骨のような老人。
目が吊り上がっているのに口元だけ笑っている、鎌を持った少年。
そして、目を瞑った少女の顔が正面にくっついた口から火を吐く毒々しい色の芋虫──
その他含め、十数体程の怪物達がダイに向かってよろよろと近づいてきた。
ブラフマは顎を撫でながら満足気に言った。
「なかなか大変でしたよ。力が強くても知性が低すぎると操れないので、ベースを何にするかは迷いました──逆に賢くても子供だと力がないから3人くらいまとめて合成したりね──まだ動きがぎこちないですが、彼らがこの姿を完全に受け入れれば良い動きになってきますよ」
反射的に後ずさるダイを見て歯軋りをすると、クロコダインが言った。
「見下げ果てたやつだ……これではダイに攻撃など出来るわけがない──」
「──ダイ様……!!」
ベラはダイに素早くスカラをかけた。
ダイの体が青白いオーラに包まれる。
「おっ……賢明ですね。しかしいつまで持つか──」
四方八方から押し寄せる怪物──
どうする事もできないダイは両手を握りしめながら体を丸め、防御の体勢を取っていたが、あっという間に囲まれてダイの姿は見えなくなってしまった。
よってたかっていたぶられているダイの呻き声が怪物たちの間から漏れている──
(うっ……ぐっ……)
ベラは限界までスカラをかけると、唇を噛みつつダイの様子を窺っている。
見かねてラーハルトが叫んだ。
「ダイ様……!もう十分です……こいつらはもう元には戻れません……もはや砂漠に蔓延るモンスター達と同じです──構いません。反撃してください──!!」
ダイの返事はない。
「ええい!貴様を倒せば済む話だろう!覚悟しろ!卑怯者!」
クロコダインは吐き出すように言うと、武器を構えてブラフマの方に走り出した。
ブラフマがふんと鼻を鳴らして言った。
「あなたも気が短いですね……あのネズミくんの仲間かな?念の為に聞きますが、私を倒すつもりならあの哀れな怪物達も道連れにしますが良いのですか──?」
クロコダインの足が止まる。
「ぬうっ……!しかし、ダイの命には代えられん──許してくれ……ダイよ……!」
クロコダインが武器を振りかざし、ブラフマの首に切っ先が触れそうになったその時、重い衝撃が肩に走った。
「なにいっ……!?」
ふたりを分つように飛んできたそれはダイの剣だった。
振り返るとそこには怪物達の間から手を出しているダイがいた。
息が上がっているが、その目の輝きは失われていない。
「おい!ダイ!どういうつもりだ。こんな卑怯な奴に付き合う必要などない……!」
「──大丈夫だよクロコダイン。こいつはおれが倒す──」
「ほう……面白い子ですね──」
空に重く垂れ込めた雲から稲光が光った。