ホロライブ・オルタナティブver.IF外伝 ~ラプラスの野望~   作:天野空

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第12話 天空の幹部、天使を追う

「さて、目的の人はどこにいるのやら?」

【ふぉーす】の始まりの町を上空から見下ろす1つの影。

黒いコートを風にはためかせ、1本の杖を持ち、両肩それぞれにはガマグチヨタカとぬいぐるみのような鳥が止まっていた。

第六世代組の鷹嶺ルイとがんも、そして第X世代のベルだ。

「ルイさん、私が行って探してきます」

ベルはルイに言った。

「はい。

それでは、ぼちぼちでいいのでお願いします」

ベルはその言葉に微笑みルイの肩から飛び立った。

「では、私はこの町で情報収集と行きましょう」

黒いコートでその身を覆うとあっという間に灰色のフードコートを着た姿に変わるルイ。

そのまま、始まりの町の近くに降り立った。

始まりの町を歩くルイ。

新規の人がまた増えたのか人通りは多い。

ルイはこの町の酒場に向かう為に路地裏に入ろうと道を曲がった。

すると突然人が飛び出してくる。

「ひぇっ!」

ルイは驚いた声をあげるが、飛び出して来た人はルイにぶつかることなくそのまますり抜けて、本通りに出ていった。

(まぁ、ホロメンですからねぇ)

ホロメンは基本プレイヤーには見えないし触れないイベントキャラだ。

ただ、NPCにはその姿は見えているみたいで。

「お母さん、あの人今変な声出してた」

「これ、見てはいけません」

と親子NPCがルイの方を見て言っているのが聞こえてきた。

「ははははは」

ルイは笑って誤魔化すように路地裏に入っていった。

 

(ここで話が聞ければいいんですがね)

ルイは一件の酒場に入る。

中にはまだ開店前なのか誰もおらず、1人のドワーフの男性がテーブルを拭いていた。

(こちらに気付かない?

という事はここはNPCがしている酒場じゃなくてプレイヤーがしているお店?)

「あのう」

そうルイは考えてから、ドワーフに声をかける。

イベントキャラから声をかける事で、そのプレイヤーにはルイが認識できるようになる。

「うわぁぉ、な、なんだいつからいた!」

声をかけられたドワーフは驚いた顔で振り向きルイを見た。

「いや、さっき入口から」

「そ、そうなのか?

全然音しなかったぞ」

ドアに何かしら、入ってきた人がいたらアラームが鳴るようになっていたんだろうが、いかんせんルイはホロメン反応しなかったのだろう。

(こういう時は不便ですね)

「ま、誰だが知らんが、まだ開店前だ」

そう言ってまたテーブルを拭きだすドワーフ。

「はぁ、ちょっと聞きたい事がありまして」

そんなドワーフにルイは諦めず声をかける。

「なんだ」

ドワーフはテーブルを拭きながらだが返事をしてくれた。

(見た目はごついですけど、優しい人なのかな?)

「人探しをしてまして」

ルイはそう言って天音かなたの写真を取り出し、ドワーフに差し出した。

ちらっとドワーフは写真を見て、またテーブルを拭き始める。

「知りませんか?」

「何でその人を探してる」

ドワーフは静かに聞く。

「同類なのでちょっとお話をしようと思いまして」

「へぇ」

ルイがそう言うとドワーフは顔を上げてルイを見た。

「なるほどな。

それで入ってきた時に何も音が鳴らなかったのか。

だったら、知りませんって言っても始まらんか。

この時間なら岬の大灯台にでもいるんじゃないか?」

そう言ってまたテーブルを拭き始めるドワーフ。

「ありがとうございます」

ルイはそう言って机にいくらかのお金を置く。

「なんだこれは?」

「情報料です」

ドワーフにそうルイが伝える。

「はは、天下のホロメン様に情報料貰えるとはな。

ありがたく貰っとくよ」

ドワーフはポケットにお金を入れる。

「では、次に来る時はゆっくりと飲みに来ます」

「ああ、その時は一杯奢るよ」

ドワーフに言われてルイは微笑んでから酒場を出た。

地図を広げる。

目的の大灯台は第1の町の近くにあった。

(ここならすぐですね)

ルイは軽くジャンプをして空に上がる。

それから大灯台へと向かった。

 

「ルイさん」

大灯台に向かう途中、ベルが大灯台の方からこちらに来ていた。

「やはり大灯台にいるんですね」

並んで飛び始めるベルにルイは聞いた。

「はい、大灯台で寝そべっているのを見つけました」

「分かりました。

ありがとう。

戻ってくれてていいですよ」

ルイにそう言われて、ベルは微笑みながら頷く。

そして、ベルが一瞬光に包まれたかと思うと、カプセルに変わりルイの手の中に。

ルイはそのカプセルを胸元にしまうとそのまま大灯台に向かって飛び続けた。

 

「あそこですか」

ルイは大灯台の横にある原っぱで寝そべる、目的の人物を空から見下ろした。

気持ち良さそうに目をつぶって寝ている。

ルイはゆっくりとその人物の近くに降り立った。

「へぇ、案外早く僕の番なんだ」

目をつむったまま、その人物は近くに降り立ったルイに声をかける。

「気付いていたんですね」

「まぁね、他のホロメンからも連絡きてたし、懐かしい気配が僕の周りを飛んでたから」

ベルの事を言っているのだろう。

確かにベルはこの人物と戦っている。

「さすがですね、かなた先輩」

ルイにそう言われたその人物は目を開けて、立ち上がり腰に手を当てて満面の笑みでルイを見た。

「あっちらこっちらで先輩に喧嘩うってるみたいだね」

「別に喧嘩を吹っ掛けてるつもりはないんですけどね」

かなたに言われて苦笑しながらルイは言った。

「それで今度は僕の番?」

「ええ、そうなりますね」

ルイはそう言うとゆっくりと杖をかなたに向ける。

「おっと相手にはなるけどここだと人目に着くから場所変えようか」

そう言ってかなたは先に空へと飛ぶ。

ルイもそれを見て飛び立った。

「な、なんだあれ?」

かなたを追って飛んでいる途中、誰かに見られたのだろうそう声が聞こえたが、ルイは構わずかなたを追った。

 

(ここですか)

かなたが1つの浮島に降りるのを確認した後、ルイは胸元からカプセルを取り出す。

カプセルを投げるとベルが現れた。

「すいませんが邪魔者が来たら時間を稼いでいてください」

ルイに言われてベルは頷く。

「封印解除のタイミングはそちらに任せます」

ルイはそう伝えるとかなたを追って浮島に降りていった。

「ここでいいかな」

浮島の少し開けた場所でかなたはルイを待っていた。

「殺風景な場所ですね」

ルイは周りを見て言った。

確かに草木もあまりない場所だった。

「ここは僕が練習場所に使ってるところだからね」

かなたがそう言ってルイに構える。

「いきなりですか」

ルイも杖を構えた。

「話が早くて助かるでしょ?」

「ええ、確かに」

そう言ってお互いに微笑む。

風も穏やかなその場所で、今さにホロメン2人がぶつかり合おうとしていた。

 

「どうしたのルイちゃん」

そう言いながらかなたは連続で拳を放つ。

ルイはそれを杖で防ぎながら防戦一方だ。

(かなた先輩は接近戦が得意なパワー型。

どうにか私の距離に持ち込まないと)

ルイはそう考えながら攻撃を防ぐ。

ルイは中距離が得意なテクニカル型。

接近戦ができない訳ではないが得意な相手だと、力負けしてしまう。

それにまだかなたは【変身】を使っていない。

(先に奥の手を出すのはあれですが)

ルイはそう考えながらも空いた手で胸元を押さえる。

押さえた手をどけた瞬間、胸元には光るholoXの紋章があった。

「え?」

突然ルイの姿が消え、かなたの拳が空を切る。

「少し本気でいきます」

背後に突然現れたルイはかなたの背中を杖で叩き飛ばす。

「く」

かなたはたまらずそのまま吹き飛ばされ、一回転して着地した。

「突然動きが変わった?」

ルイの変化にかなたは構えながら言う。

「私の固有能力は第五世代組の方の【絆】と同じなのです。

ですのでこの力を使っている間は、私は第六世代組の仲間の力を使う事が出来る。

こんな風に」

話している最中にルイはかなたの視界から消え、突然かなたの横に現れる。

そのまま杖で攻撃するルイ。

かなたはどうにか防御してルイから離れる。

「沙花叉の力?」

かなたがそう言うと微笑むルイ。

「では、反撃といきますか」

コートから素早く投げナイフを出しルイはかなたに放つ。

かなたは拳に気を集めそのナイフを叩き落とした。

背後に膨れ上がる殺気。

かなたは確認せずにそのまま前へと跳ぶ。

シャンっと金属がこすりあう音をかなたは背後で聞いた。

いつの間にか背後に回っていたルイが、杖の仕込み刀を居合の形で抜いたのだ。

「さすが先輩です」

前転で跳んだかなたは股の間からにやりと笑うルイを見た。そのまま着地をしてルイの方を向くかなた。

ルイはゆっくりと仕込み刀を納めた。

「いろはちゃんの力も」

かなたは構え呼吸を整える。

「はい、第六世代組みんなの力ですので」

「これはあの宴会の時にまた小手を借りてればよかったかな」

かなたはポツリと呟くが、そのまま首を振る。

「弱気になってはダメか。

こっちも本気でいくよ」

かなたはそう言って胸に手を当てる。

「いくよ、ブレイブハート!」

かなたから金色の気が溢れ出す。

それは天を貫く勢いだった。

「【変身】ですか」

ルイはその光景をじっと見ていた。

途中邪魔しようと思えば今のルイには出来るがそれは野暮というものだ。

金色の気の柱からゆっくりと現れるかなた。

その髪は長くなり金色に輝いていた。

うっすらと金色の気を身に纏っている。

そうこれが。

「激昂のかなた」

「どっかで聞いたようなネーミングだなぁ!!」

ポツリと呟くルイにすぐさまかなたが突っ込んだ。

「いや、そう公式でも言われてましたので」

ネットを開き【ホロライブワールド】公式資料集を見せるルイ。

確かにかなたの【変身】後の姿の名称に激昂のかなたと書かれていた。

「後で公式に殴り込む」

物騒な事を口走るかなた。

「その前に今は目の前の相手を倒さないとね」

かなたが構える。

「どこまで変わったか試させてもらいます」

ルイも杖を構え臨戦態勢だ。

「では、第2ラウンド」

『勝負!』

 

ルイに言われて岩の上で休んでいたベルは何かがこちらに来たのを感じとった。

誰かがこちらに降りてルイの方に向かっている。

(あれは確かGM)

ベルはそう思い飛び立った。

「ま、行かせないんですけど」

そう言ってベルはGMの前に立ちはだかる。

(ルイさんに言われた通り時間稼ぎしときますか)

するとすぐにGMがロケットランチャーを装備した。

「いいですね。

その素早い対応。

私を覚えていたって事ですか?

1度しか会ってないはずですけど?」

「データはあったからな。

第X世代、鳳凰寺ベル」

GMにそう言われてベルはニヤリと嘴を曲げた。

「では、この姿でお相手するのも何なので、封印解除」

ベルは光に包まれそして、その光が収まる頃、人型に姿を戻した。

赤、黄、オレンジの多種の髪の色でショートカット。

その色の胸元からへそまで切り込みの入ったチャイナドレスを着ていた。

そして、その背には色鮮やかな羽が生えていた。

「時間稼ぎか」

GMはロケットランチャーを構えたままベルに言う。

「ええ、気だるいですが。

でも、さすがはGMの上位。

頭が回る人は嫌いじゃないですよ」

そう言ってベルはニヤリと笑った。

(確か資料にありましたね。

名前はフジでしたか?)

「行かせてもらう」

フジはその言葉が終わらないうちにロケットランチャーを発射する。

計8発のミサイルがベルに向かっていった。

しかし、そのミサイルの数でもベルは腕を組んだまま動かない。

フジは撃ち終えたミサイルランチャーを捨て、ミサイルを追いかけるように走り出す。

そして、右腕を胸元に「GMチェンジ」

ミサイルがベルに当たり爆発する中、イエローコングに変身したフジがあの爆発の中、平然と立っているベルに拳を撃ち込んだ。

「む」

イエローコングの渾身の拳は色鮮やかな羽に阻まれベルに届いていなかった。

背中の羽がベルを覆うように前に出てきたのだ。

後ろに下がるイエローコング。

羽が開き笑顔のベル。

「さすがだな」

「危ないですね。

そんな物、どこで手に入れてくるんですかGMは?」

ベルはイエローコングの拳から出ている弾丸に目を付け言った。

「でも、今の私にはそれ程効きませんけどね」

イエローコングが指の間に挟んだ弾丸は対コメント集のモノだ。

コメント集の力を使っている相手に対してはかなりのダメージを与えられるが、今のベルはその力を第六世代組によって取り除かれている為に、ダメージはそれほど与えられない。

「なるほど、前回の資料と違って禁忌の力は使っていないというわけか」

「ええ、その代わりに第六世代組の人の使い魔になる事でホロメンの力を供給してもらっています。

ですので、こんな風に【変身】できるんですよ」

胸元から出したカードを掲げるベル。

真っ赤なオーラがカードから出てベルを包み込んだ。

そして、オーラがベルに吸収された時、新たな姿のベルが現れた。

黒のミニドレスを着て、背中には赤と黒の巨大な羽が生えていた。

「くそ!」

咄嗟に防御するイエローコング。

「未来見えてるんですか?」

いつの間にか目の前にいるベルの掌底が防御の上からイエローコングを吹き飛ばす。

「かは」

吹き飛ばされたイエローコングは何とか両足から着地した。

「どうしました?

さすがにこの姿ではGM上位と言えども相手は無理ですか?」

「どうだろうな」

イエローコングはシールドとハンドアックスを装備し構えた。「よかったです。

まだ私と戦ってくれるみたいで」

「あなたの相手はこっちがしてあげるわ」

突然、2人の横から声がかけられる。

「?」

ベルはその声の主を見る。

イエローコングもそちらを見た。

そこには腰に手を当てて立つ1人の悪魔がいた。

『トワ様』

ベルとイエローコングの声がハモる。

「なんか散歩してたら見た事ある姿が見えたんで来たわ。

と、いうことでこっからはあんたの相手はこのトワがしてあげる。

GMの人。

この先にいるあいつをお願いね」

トワがイエローコングの横に行き、フジに言った。

「ありがとうございます」

イエローコングはお礼を言った後、ルイ達の方に向かって走る。

「はは、さすがにトワ様が相手してくれるとなると動けませんね」

イエローコングが横を通りすぎる時、ベルはそう言ってイエローコングを見逃した。

 

2人はお互いに打ち合った後、距離をとった。

そこに突然バズーカが撃ち込まれた。

「おっと」

ルイはそう言って撃ち込まれた弾を避ける。

「助太刀する」

イエローコングはそう言ってかなたの横に来た。

「ありがとう、えっと?」

「GMチームα所属、フジ」

「助かるよ、フジさん」

かなたはイエローコングにそう言った後、ルイの方を向く。

「まさか、ベルを突破してくるとは」

感心したように言うルイ。

「手助けが来てくれたからな」

イエローコングはハンドアックスを構える。

(手助け?)

『ルイさん聞こえますか?』

突然ベルからの専用通信。

『どうしました?』

『今、トワ様が現れて交戦中です。

GM1人を通してしまいました』

『なるほど、それでですか。

分かりました。

そちらもある程度相手したら撤退してください。

こちらも計算ではそろそろなので』

『分かりました』

そう言ってベルとの通信を切るルイ。

「なるほどトワ様ですか。

それはさすがにベルもあなたを通してしまいますね」

そう答えた。

「じゃ、どうする?

まだ、僕達と戦う?」

構えたままかなたはルイに聞く。

「そうですね」

かなたとイエローコングを見るルイ。

ちょうどその時に良いタイミングで待っていた通信が入った。

こよりだ。

『ルイルイ、お待たせ絆オッケーだよ』

『ナイスタイミングこより』

そして、ルイは武器を下ろした。

「ま、用事は済みましたし。

もうこの辺で去る事にしましょうか。

かなた先輩相手なので」

「?」

変な言い方をするルイにかなたは不思議そうな顔をする。

「えっと、猿と去るをかけてみました」

説明するルイ。

「あ!

僕は猿じゃない!」

「あ、ゴリラ?」

ルイはそう言って笑いながらワープホールに入る。

「でもない!」

ワープホールの中でかなたの大きな突っ込みを聞きながら、ルイはholoX城へ帰還した。 

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