ホロライブ・オルタナティブver.IF外伝 ~ラプラスの野望~   作:天野空

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第13話 ホロライブ城に迫る幻影

【ファンタジー】の中心にある、ホロライブ城の城下町を1人のホロメンが歩いていた。

彼女の目的はある人物に会う事。

その目的の為にわざわざここまで来た。

(さて、どこにいるのかなっと?)

そんな彼女がキョロキョロしながら歩いていると、一軒の露店が目にとまった。

『ホロライブ城名物 人形焼き』

そう垂れ幕には書かれていた。

(旨そう、少しくらいいいよね?)

彼女はそう思い露店に向かう。

『すいません』と誰かと同時に声をかけたホロメン。

「え?」

横を見ると1人の男性がこちらを見ていた。

「はい、ご注文をどうぞ」

露店のお姉さんが聞いてくる。

『カスタード入りを1つ』

またも男性とハモる。

そして、お互いの顔を見る2人。

「はい、カスタード2つですね。

お待ちください」

そう言って露店のお姉さんが焼き始める。

「何をじっと見ている。

吾輩の顔に何かついてるのか?」

男性がこちらを見ているので、彼女は少し不機嫌な顔で言った。

その男性はどこにでもいそうな平均的な体型をしている。

顔もそこまでイケメンではないが、どこかで見覚えはあった。

(服装はたぶん偽装しているみたいだが…

まさか探し人が向こうからくるとはな)

彼女はその男性がGMの1人だと気づいた。

「おい、何かついてるのか聞いてるんだが?」

「お待たせしました。

まず1つ目、どうぞ」

お姉さんが人形焼きを1つ渡してくる。

「お先にどうぞ」

GMはそう彼女に言う。

「ん?いいのか?」

そう言って嬉しそうに人形焼きを受けとる。

「もしかして、君はラプラス・ダークネス?」

ホロライブ城の王様の人形焼きを頭からかじりつく彼女にそうGMが聞いた。

そう呼ばれた彼女は、GMを見てにやりと笑う。

「そうだ、よく覚えていたな。

いや、資料とかで何回も見ているのか?

刮目せよ、吾輩の名は確かにラプラス・ダークネスだ」

「えっと山田って言えばよかったか?」

「違う、YesMyDark!」

「あ、ごめん」

罰悪そうに謝るGM。

「しっかりしろ、それでもGMか?

それよりお前はあの時いたGMの1人だろ?

名前も知ってるぞ。

確か…モブ?」

「違う、ヒーロだ!」

「お待たせしました、残りの1つです。

2つで300Gになります」

「え?」

ヒーロの声に店員が不思議そうな顔で見る。

隣のラプラスは明後日の方を見ながら人形焼きをパクつく。

「はぁ」とため息をついた後、ヒーロは店員にお金を払った。

「ありがとうございます」

店員の笑顔にヒーロは苦笑いをして答える。

(さて、行動開始といきますか)

ラプラスはどこかに向かって歩きだした。

「おい、待て」

ヒーロはそれを追うかたちで店から離れた。

「なんでついてくる」

城とは真逆な方向に歩くラプラス。

(よし、ついてきているな)

「当たり前だろ、あんたは封印指定が出てる」

「ま、確かに」

ヒーロの言葉に頷くラプラス。

そのまま、ラプラスを追いかけてヒーロは城下町の門の近くまで来た。

(ここくらいまでくれば良いだろう)

そう考えラプラスは立ち止まり門の方へと歩く。

「おいおい、そんなに見つめるな」

ラプラスは門にもたれながら人形焼きをたいらげた。

「それより、こんなところで何をしている」

ヒーロがラプラスに聞く。

「ん?

そんな事は理解してここに来ているのではないのか?」

ラプラスはヒーロを見た。

「だったらなぜここに来た。

お前の狙いは城にいるノエル団長だろ」

「そうだ。

分かってるじゃないか。

吾輩達の狙いがホロメンだと言うことを」

「吾輩達?

しまった!」

ラプラスの言い回しにヒーロは突然城に向かって走り出す。

「そんなに急ぐと転ぶぞ~」

背後から呑気に声をかける。

しかし、ヒーロはこちらを振り向きもせず、まっすぐに城へと走っていく。

(ま、時間稼ぎはこれくらいでいいでしょう)

ホロライブ城の方を見ると白い煙が上がっていた。

(あちらは楽しくやっているみたいですね)

そう言って彼女は笑う。

先程までラプラスだったその彼女は今はもう別人になっていた。

モデルのようなプロポーションに小悪魔的な瞳。

見る人全てを虜にするようなそんな女性だった。

彼女の名は美色アスモ。

第六世代組、ラプラスの使い魔をしている、第X世代の1人だった。

 

時は少し遡る。

アスモにGMの足止めを頼み、彼女はホロライブ城へと向かい歩いていた。

GMが邪魔しに来るのはなんとなく分かっている。

なので、それが来る前に彼女は今、城にいると思われる白銀ノエルの絆を手に入れたいと考えていた。

ホロライブ城に続く大橋まで彼女は来た。

大橋の両端には屈強な騎士が見張りをしていた。

その騎士が装備しているのは白銀騎士団の鎧。

だったら彼らはプレイヤーだ。

彼女は誰もいない野を進むが如く、大橋へと足を踏み入れた。

プレイヤーはイベントキャラをイベントが起きるまでは見る事ができない。

なので彼女も見つかる事はなかった。

(見えてきたな)

彼女は大橋の先にあるホロライブ城を見る。

(さて、まずはノエルさんに出てきて貰うか)

彼女はそう考えながら橋に向かって手をかざす。

するとそこに紫の魔方陣が浮かび上がった。

「出でよ、ラプラススペシャル」

彼女の声に魔方陣から1体の黒いゴーレムがせり上がってくる。

彼女はその肩に上がる。

モォーー!!

完全に現れたゴーレムが大きな声で叫ぶ。

「な、なんだ」

「う、逃げろ~」

周りにいたNPCがまずゴーレムを見て驚き逃げ出す。

そして、その声に合わせてプレイヤー達の目にもゴーレムが見え始める。

「う、うわぁ」

「なんだ突然こんなのが現れたんだ」

「皆さん、避難してください」

大橋の入り口にいたプレイヤー騎士達が大きな声を上げながらこちらに来ている。

急いでこの大橋からプレイヤーを逃がしているようだった。

「懸命な判断だな。

ラプラススペシャル、城を攻撃しろ!」

マァ!

彼女の言葉にゴーレムが右手を城の方にかざす。

その右手はロケットパンチのように飛び城へと向かっていく。

そして、城に当たると同時に大爆発を起こした。

爆発の煙が晴れていく。

「無傷か」

彼女は煙の晴れた後のホロライブ城を見て言った。

「だが、目的は達成したかな」

城から来る白銀の一団を見て、彼女はにやりと笑った。

「まさか貴女が来るとは」

彼女から少し離れた場所に対面する騎士団とゴーレム。

騎士団の前にいる1人の女性はゴーレムの肩に乗る彼女を見て言った。

「来るのは分かってたみたいですね、ノエルさん」

ゴーレムの肩に乗る女性は笑みをうかべながら言う。

「ええ、連絡はきてたから。

それにしてもやりすぎだと思うけど」

ノエルは彼女を睨む。

「おお怖い。

でも、ノエルさんに出てきて貰うにはあれが手っ取り早いですから」

少しも悪気無さそうに彼女は言った。

「なら、これは宣戦布告よね?」

ノエルは腰のメイスを手に取る。

「ノエル団長、ここは我々が」

ノエルの横から騎士達がノエルに声をかける。

ノエルは少し考えた後、

「分かりました。

お願いします」

と伝える。

そして、ノエルは持っているメイスをくるりとまわす。

するとメイスは形を変えて1つの旗となった。

その旗には白銀騎士団のマークが描かれている。

「よし、行くぞ」

『お~』

騎士達は気合いを入れてゴーレムへと突撃した。

 

「ノエル団長の手を煩わせる事などない!」

「我ら白銀聖騎士団の底力を見せてやる!」

「突撃!!」

騎士達のその言葉と同時に数人の騎士が戦いに加わる。

しかし、その黒いゴーレムが腕を一振する度に数人の騎士達が吹っ飛んだ。

ノエルは旗を持つ手に力が入るが助けにはいかなかった。

いや、ノエルが持つ旗のお陰で騎士達は致命傷にはなっていない。

ノエルは辛い顔をしながら補助に回っていたのだった。

「GMチェンジ!グリーンイーグル参上!」

突然、ゴーレムの後ろからそう声が聞こえたかと思うとド派手な音と共に緑色の煙が上がった。

「な、なんだ?」

モォー!

戦っていた白銀聖騎士団と黒いゴーレムが振り返る。

「今です。

一時撤退を!」

ノエルはそう騎士達に伝える。

戦っていた白銀聖騎士団がノエルの方に下がる。

そして、先程の声の主がそのままゴーレムに突っ込み足元をすり抜けノエル側に行き、ゴーレムと対峙した。

「へぇ、案外早かったな」

ゴーレムの頭の後ろから彼女はグリーンイーグルに声をかける。

「誰だ!」

「吾輩だよ」

グリーンイーグルの声にそう答え、声の主がゴーレムの頭の後ろから姿を現した。

「ラプラス・ダークネス!」

「そうだ、さっきぶりだな」

そう言ってラプラスはいたずらっ子のように、にやりと笑った。

「どうして…」

「GMの方が来てくれるとは助かります」

驚いているグリーンイーグルの横にノエルが来て声をかけた。

「え、あ、はい」

「どうかしましたか?」

グリーンイーグルの返事に不思議そうにノエルが訊ねる。

「いえ、ラプラスがいたので」

「はい、先刻前に突然ゴーレムと一緒にこの城に攻撃してきたので、びっくりしました」

そうノエルが答える。

「どうした、GM!

そんな顔でこのラプラススペシャルに勝てるのか!」

ラプラスの声と同時にマァー!と叫んだゴーレムが、グリーンイーグルを攻撃する。

「く」

グリーンイーグルとノエルはその場から飛び退く。

ドン!とゴーレムの拳が当たった場所が凹んだ。

「ガトリング」

グリーンイーグルの声と同時に装備されるガトリング砲。

グリーンイーグルがそのままゴーレムに向かって速射してきた。

ガァー!

無数の弾丸を浴びせられ下がるゴーレム。

そこに旗をメイスに持ち変えたノエルが攻撃してくる。

ドガァ!と凄まじい音と共に吹き飛ぶゴーレムの右腕。

『おおー!』

ノエル達の背後の白銀聖騎士団のみなさんの声が響く。

さすがはホロメンと言ったところか。

他のプレイヤーとの威力が違いすぎる。

そして、何よりノエルの翠玉の目が光っている。

【金剛眼】を使っていた。

「さすがノエルさん。

ゴーレムでは歯が立たないか」

片膝をつき、大橋で動きを止めたゴーレムからラプラスが橋の上へと飛び降りた。

腕組みをして立つラプラス。

ノエルとグリーンイーグルはそのラプラスと対峙する。

「あの一撃すごいっす」

グリーンイーグルが横にいるノエルに言った。

ノエルはそれに笑顔で答える。

「でも、本番はこれからだよ」

ノエルはラプラスの方を見ながら言った。

「さて、どうするかな」

ラプラスがそう言って前に一歩出る。

今のラプラスは封印拘束具を着けていない。

ラプラスの魔と同じ名前。

その存在は否定されたが、彼女自身に果たしてどれだけの力があるか誰も知らない。

「危ない!」

ドガァ。

ノエルの声と同時にグリーンイーグルは下から何かに攻撃されて浮き上がる。

「がは」

「はぁ!」

浮き上がっているグリーンイーグルに、ラプラスは紫の巨大な拳で追撃をする。

しかしノエルに打ち砕かれた。

そのまま地面に落ちるグリーンイーグル。

「大丈夫?」

ノエルはラプラスを見ながらグリーンイーグルの側に駆け寄る。

「は、はい。

しかし、今のは」

「ラプちゃんの力の一端でしょうね。

さっき地面から巨大な力を感じたから声をかけたんだけど遅かった、ごめんね」

「いえ、俺の方こそ気づけなかった」

グリーンイーグルはゆっくりと立ち上がる。

「へぇ、追い討ちを受けなかったとはいえ、普通に立てるんだ」

グリーンイーグルを見てラプラスは笑った。

(少し手加減しすぎたか?)

ラプラスはこちらに機関銃を構えるグリーンイーグルを見て思った。

「ノエルさんとまじでやれるのは嬉しいですね」

ラプラスが腰を落とし両手を広げる。

「後輩だからっておいたするならお仕置きするよ」

ノエルもメイスを構えた。

にらみ合う2人。

先にラプラスが動いた。

ラプラスは間合いを詰めるべくノエルに向かって走る。

ノエルもそれに向かうべく前に出ようとした瞬間、前ではなく後ろに跳んだ。

その瞬間、ノエルのいた場所から紫の拳が突き上がる。

「さすが」

ゆっくりと間合いを詰めているラプラスが笑う。

「同じ手は通用しないよ!」

ノエルは着地と同時に前に出てメイスで紫の拳を打ち砕く。

そして、間合いが詰まった2人。

ノエルのメイスがラプラスの頭に振り下ろされる。

手加減なしの本気の一撃。

しかし、ラプラスはそれを紫のオーラで包まれた両手でガードした。

「本当に本気なんですね。

あんなの受けたらリスポーンしますよ」

「平然に受けといてそれを言う?」

「ま、これくらいはしないと総帥できないので」

「ぐ」

組み合ったノエルが後ろに吹き飛ばされる。

ラプラスは両手で頭をガードしながら、背中から紫の拳を出現させてノエルを攻撃していた。

地面に片膝をつけラプラスを見るノエル。

「どこからでも出せるんだね」

「ま、これは吾輩の力を具現化してるだけなので」

ダダダダダダ!

ラプラスに向かって突然放たれる機関銃。

しかし、それもその紫の手で防がれる。

「話してるだろ」

「隙がないんでな」

ラプラスに言われて言い返すグリーンイーグル。

(たぶん、こちらの動きについてこれていないな)

ラプラスはグリーンイーグルに向かって笑う。

「くそ!」

グリーンイーグルはそう吐き捨てるとラプラスの間合いを詰めに行く。

「へぇ」

にやけたままのラプラス。

それを見てノエルもラプラスとの間合いを詰めに行った。

「いいですよ、2人がかりでも」

間合いを詰めたグリーンイーグルが装備しているレーザーブレードを振り下ろす。

それに合わせてノエルもメイスをラプラスの横腹に向かって攻撃する。

しかし。

「無駄とは言いませんが、吾輩には効かないですね」

両方の攻撃はラプラスの紫の手に掴まれ阻まれる。

「そうだろうと思ってたよ!」

グリーンイーグルが左手に持つ鳥の装飾が付いた銃をラプラスに向けた。

「イーグルバースト!」

鳥の装飾が口を開き、そこから凄まじい炎がラプラスに向かって放たれる。

「ぐ」

突然で防ぎ切れなかったラプラスがたまらず間合いをとった。

「よし」

「やったね」

喜ぶグリーンイーグルにノエルも嬉しそうだ。

「まさか、そんなものを持ってたなんて、想定外でした」

自分を包む炎を片手で払い、ラプラスはグリーンイーグルを睨んだ。

「俺だってやれる!」

グリーンイーグルは睨むラプラスに言った。

「ふぅ、たかがGMごときに一撃を入れられたとなってはラプラスの沽券に関わります」

先程と明らかに口調の変わるラプラス。

(こうなっては仕方ないです)

そう考えていると専用通信が入る。

『おい、大丈夫か?』

『ラプラス?』

『そうだよ。

さっき、はかせから連絡があった。

絆ゲットしたらしい』

『分かりました、ならもういいですね』

『おい、何がいいんだ?

カラス!』

専用通信をそこで切る。

そして、膨れ上がるラプラスの存在感。

いや、ラプラスの頭に乗っているカラスが姿を変えたラプラスか。

「な、なんだ」

グリーンイーグルはそれを目の当たりにして一歩後ろに下がる。

「あなた誰?」

ノエルはそんなグリーンイーグルの前に立ちカラスを睨む。

「見た通りですよ、それよりもう用は終わりましたので、ここでラプラスの実力がどれ程か見せておきます」

そう言ったカラスは両手を前に構える。

そして紫の手も同じ構えをする。

その両手に集まっていく巨大な力。

「そんなもの撃ったら城にいる人がどうなるか分かってるの!」

ノエルはそのあまりにも強大な力を感じてカラスに叫ぶ。

「なめられては困りますので、holoXの総帥の実力をここで示しておきます」

「ノエル団長」

グリーンイーグルがノエルの前に出ようとしている。

「使うしかない…か。

ごめん、もしもの為に今からでも後ろにいるみんなにログアウトするように伝えて」

ノエルはグリーンイーグルにそう伝える。

「で、でも」

「お願い」

真剣な顔のノエルにグリーンイーグルは頷く。

そして、背後に走っていった。

 

「他を逃がしてノエルさんはどうするんですか?」

カラスに聞かれノエルはメイスを持ったまま、こちらを睨む。

そんなノエルの後ろから騎士団達の声が聞こえてきた。

「俺達はノエル団長が自慢できる白銀聖騎士団だ。

ここで逃げて、それに答えられるか!」

「全員盾を構えろ!」

「もしもの時は俺達で背後の人達を守る」

 

「本当にバカだよ」

そんな白銀聖騎士団の姿を見て微笑むノエル。

そして、もう一度カラスを見た。

「これはもう引けなくなった。

私も私を信じてくれる人達を裏切れない。

ラプちゃん行くよ!

【ホロライブソード】!」

ノエルの叫びに世界が揺れた感じがした。

 

「お、おい。

あれ見ろ!」

白銀聖騎士団の1人がある場所を見て叫ぶ。

「ノエル団長?」

白銀聖騎士団の人の声にカラスもそちらを見た。

(まさか、あれをノエルさんは使えるのか?)

それは巨大な人だった。

そのあまりにも大きな体の為に下半身しか分からないが、その人は世界の中心に刺さっていると言われる剣に手を掛ける。

そして、巨人は剣を引き抜き共に消えた。

 

ドォォ~っと凄まじい音の後、橋の上に立つノエルが1本の剣を掲げる。

それはまさしく今さっき世界の中心に刺さっていた剣が普通のサイズになった物だった。

「な、そんな隠し球を持っていたんですか!」

カラスが叫ぶ。

「本来はそう簡単に使えないけど、今は緊急事態、みんなも分かってくれる」

ノエルはそう言って掲げた剣を肩に担ぐように構える。

カラスが放とうとする力に負けず劣らずその剣は強大すぎる力を発している。

「勝負です!世界の力!」

カラスが集めた力を解き放つ。

力は巨大なレーザーになり、ノエルの方に放たれた。

「絶対にさせない!」

ノエルは肩に担いでいた剣を振り下ろす。

その剣の軌跡はエネルギー波に変わりラプラスの放ったレーザーにぶつかった。

どちらも一歩も引かない力の奔流がぶつかり合い激しい余波を周りに与える。

白銀聖騎士団の人達が張っているシールドのお陰で被害はあまり出ていないが、それもどこまでもつか。

「くぁぁ~!」

「負けない!」

両者はまだ力を放ち続ける。

拮抗する2つの強大な力。

このままでは、このエリアが崩壊してしまうほどの力だ。

「そこまで~!」

突然、頭上から誰が叫びながら降りてくる。

「もうやめなさい!」

その人物は力の余波をものともせずに降りて来た。

「な、トワ様?!」

カラスが驚くように言うと力が霧散する。

「ナイスタイミング」

ノエルもそういうと片膝をその場についた。

剣の力も霧散している。

「なんで、ここにトワ様が」

こちらの方に歩いて来るトワに向かってカラスが戸惑うように下がる。

「あんた、ラプラスじゃないよね」

トワに言われてカラスはゆっくりと頷く。

「やっぱりね。

なんか見た感じ違うなって思った」

(見た目はそっくりにしている筈なのにトワ様は見抜いた)

内心驚くカラス。

「ま、いいや。

たぶん、この言葉はあんたに伝える為のものだろうし」

トワはわけが分からない事を言いながらカラスの横に来る。

「場所変えるよ、付いてきて」

トワにそう言われて2人はその場所を後にした。

 

「ここならいいわね」

トワとカラスは先程から少し離れた森の中に来ていた。

「さてと」

そう言ってトワはカラスを見る。

「これから言う事はなんでトワが言わないといけないのか分からない。

ただ、なぜか言わないといけない気がしてここまで来た。

だから、黙って聞いて質問もなし。

いい?」

有無も言わさないトワの勢いにカラスは頷くしかなかった。

「それじゃ」

トワがそう言うと同時にトワの雰囲気が変わった気がした。

「私は貴女を認めています

だからもう一度この世界の事を考えて

そして、一緒にこの世界で暮らそう」

そうトワの口から言葉が発せられる。

「以上」

最後の言葉はトワのものだった。

しかし、さっきの言葉は…

カラスは何かを察してトワに頭を下げる。

それを見て慌ててトワは手を振る。

「なんで頭下げるのよ」

「ありがとうって意味です」

トワにそう答えたカラス。

「ふぅん」

トワは照れ隠しかカラスから目線を外す。

そんなトワをカラスは嬉しそうな顔で見た。

(ありがとうございます。

その言葉を私に届けてくれて。

ラプラスが好きなのも分かりますよ。

そして、ありがとう、我同族)

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