ホロライブ・オルタナティブver.IF外伝 ~ラプラスの野望~ 作:天野空
holoX城の1室。
円卓の広間に5人の女性が集まっていた。
「この前はお疲れ様」
ラプラスにルイが笑顔で言った。
「本当に疲れたわ、そらさん強すぎ」
前回そらと戦ったラプラスは、あの後すぐに寝た。
それほど、体力、魔力共に使いきっていた。
「しかし、そのお陰で最難関である、そら先輩の絆ゲットできました」
こよりが嬉しそうに言う。
「難関と言えば、まだオリジナルの先輩達が残っているでござるな」
いろはがホロメン一覧を見ながら言った。
「うん、ロボ子先輩、みこ先輩、AZKi先輩だね」
そう言ってクロヱも一覧を見る。
「確かにオリジナルの先輩方は1人を除いて、普段はどこにいるか分からないですから」
「この前は樹海争奪戦にすいせい先輩が、出るって告知があって助かりましたよね」
ルイの後にこよりが続く。
「では、もう1人確実にいる場所が分かるオリジナルを今回は狙う」
ラプラスの言葉と同時に、円卓の上に巨大スクリーンが現れ1人の女性が映し出される。
笑顔でピースしている明るく元気な女性。
「さくらみこさんだ」
その言葉に一同は頷いた。
「それでは、今回はこよが現場に行きます。
いろはちゃんはロックをお願いしますね」
「分かったでござる」
「残りのメンバーはお留守番よろしくで~す」
「ええ~」
露骨に嫌な顔をするクロヱ。
「ん?普段なら喜んでいるだろう?しんじん」
「うるさいなぁ。
今は出掛けたい気分なの」
「な、総帥だぞ、吾輩は」
「まぁまぁ、2人とも」
にらみ合う2人をなだめるルイ。
「そうそう、皆さんには今回から新たな試みをしますので、必ず映像チェックお願いしますね」
『え?』
みんながきょとんとこよりを見る中、こよりは笑顔でピースした。
(あーあー聞こえますか?どうぞ)
(聞こえているでござるよ、どうぞ)
こよりは【ゲーマーズ】にある第2の町に来ていた。
同じくこの町に来ているロック(中はいろは)に連絡をとっている。
(オッケーそれではみこ先輩を探してください。
ここに来る前に渡したホロコンパスを使えば、半径100mにいるホロメンの場所を矢印で教えてくれるはずです)
(了解でござる)
(あと、1メートル以内にホロメンがいたら激しく針が回り始めるので、回り始めたら連絡くださいね)
(分かったでござるよ~)
「よし」
ロック(いろは)と通信を終えて、こよりはコンパスを出す。
このホロコンパスもこよりが例の槍を針として使って作ったものだった。
コンパスを使うと針はゆっくりと回り始め、それからある方向を指した。
(やっぱりあそこか)
針が指したのは大きな桜の木がある方向。
そこにはさくらみこが、この世界のチューニングをしている桜大神社がある。
オリジナル世代で唯一居場所が確定しているさくらみこは、そこにいるばずだった。
(ま、行ってみましょうか)
こよりはコンパスの差す桜大神社に向かうのであった。
「申し訳ございません。
いくらホロメンの方とは言え、許可無しで桜大神社に立ち入ることは出来ません」
こよりは鬼生門前の広場を避け(広場に入るとあやめがポップする場合がある為)鬼生門をくぐり、桜大神社の門の前に来ていた。
そこで、2人の門番に桜大神社内に入るのを断られたのだ。
基本、ホロメンであるこよりは他の人からは見えないが、ここの門番はNPCのようだ。
イベントキャラであるこよりが見えてるようだった。
それにこの桜大神社はイベント専用の場所。
ここに入ればホロメンでも他のプレイヤーに見えてしまう。
(やはり断られましたか)
こよりは門番に頭を下げた後、元来た道を戻る。
途中、コンパスを見る。
するとコンパスの針が動いていた。
(あれ?)
針は後ろの桜大神社からゆっくりとこよりの右側へ。
そのまま、下の町の方へと降りていく。
(どういうこと?)
こよりは不思議に思いながらも、急いで階段を降りていった。
(やっぱり町の方に針が向いてる)
さっきまで桜大神社を指していた針は、今は町の飲食店が並ぶ商店街の方を指している。
これはさくらみこが神社から出てここに来ていると言う事だ。
こよりはコンパスを頼りに、商店街へと向かった。
だいぶ日が登りお昼時なのだろう、商店街には人の行き来は多かった。
(こんな人が多い時間にみこ先輩がなぜ商店街に?)
こよりはそんな事を考えながら人混みを歩いていると、ぴょこんと何かが人混みの間から見えたような気がした。
(え?)
こよりはもう一度そちらを見たがもうそこには何も見つけられない、人がたくさん歩いているだけ。
(でも、何か)
すると今度は反対側に。
やはり何かぴょこんと見えた。
(やっぱり、あれは間違いない。
確かまだあのキャラはキャラメイクで実装されてないはず。
だったら絶対にあの人だ。
でも、なんでここに?)
こよりは何かを確信したようにコンパスを見る。
コンパスは右、左と揺れている。
たぶん、こよりが思った相手はお店を物色しているのだろう。
そして、コンパスは右側で止まった。
こよりはそちらに向かいながら見てみると、そこにはうどん屋がある。
そのうどん屋の前でこよりは目的の人物を見つける。
その人物は2本の長い耳を左右に揺らしながら、店頭のサンプルを眺めていた。
「見つけましたよ!」
こよりはその人物に声をかける。
「え?」
突然声をかけられて振り向くその人物は、こよりを見てしまったといった顔をした。
「まさかこんなところにいるとはね。
ぺこら先輩!!」
「あ…遅かった」
こよりの声を聞き、ぺこらはガクッと肩を落とす。
その瞬間、周りから声が上がった。
「え?え?ぺこらちゃん?」
「おい、こっちには博衣こよりちゃんもいるぞ」
「おお、まじだ。可愛い~」
「ぺこちゃ~ん」
「まさか突発か?」
2人の周りのプレイヤー達は、少し離れた場所でこより達を見ている。
「え?なんで?どうしてこよ達が見えてるんですか?」
状況が飲み込めず周りを見渡すこより。
「はぁ~」
それを見てぺこらはため息をついた。
「何考えてるぺこか?
当たり前ぺこだろ。
イベントキャラであるぺこら達が、突然町中で大きな声で、それもあんなイベントみたいな声掛けしたらそれはまさにイベントになってしまうぺこよ」
「あ」
ぺこらに言われて気づいたこより。
確かにこより達はイベントキャラ。
普段は確かにプレイヤーには見えないが、今回のようにこよりがぺこらに声をかけたお陰で、この行為がイベント扱いにされてしまった。
イベントになるとイベントキャラであるホロメンもみんなに見えてしまう。
(しまった~そこまで考えてなかったです)
「で?
この状況でどうしたいぺこ?」
ギャラリーがたくさんいる中で、ぺこらはこよりに聞いた。
(こ、これは予想外。
こんなに人がいては絆集めどころではないです)
こよりがどうしたものかと考えていると。
「そこまでだ!」
突然、プレイヤーの壁の向こうから声がした。
「だ、だれ!」
こよりは思わずそちらに向いて声を出す。
すると、人垣が割れこの先に5人の男女が立っていた。
その5人に見覚えがある。
「GM」
こよりは5人にそう言った。
人垣が左右の店側に広がる。
(強制移動?)
商店街の広い道には5人のGMとこよりとぺこらだけになる。
GMがスターズ暴走時に使う、プレイヤー強制移動を使ったのだろう。
これで店やその前のプレイヤーに被害が及ばなくなる。
「博衣こより、ここまでだ」
若い男性がこよりを指差し言った。
(確かヒーロ?って言う人だったよね)
こよりはその男性を見ながら思った。
「ここまでだったら、どうするんですか?」
こよりはGMに向き直り腕を組む。
「助かったぁ。
というわけで後は任せるぺこ」
そう言うとぺこらは脱兎のごとくその場から離脱する。
「え?ちょっと!ぺこら先輩!」
こよりは慌てて追いかけようとするが、目の前にはGMがいる。
(もう、こんな時に…そうだ!)
こより何かを思いついたのか、専用通信を開く。
(クロたん?いるんでしょ?)
(はは、ばれてる?)
こよりが通信を送ったのは沙花叉クロヱだった。
クロヱはあの会議の後、どうしても外をうろつきたくて密かにこよりの後をつけていたのだ。
(ごめんね、どうしても外をうろうろしたくて)
素直に謝るクロヱ。
(いいですよ。
今はそれで助かってます。
クロちゃん手伝って。
この場から離脱していくぺこら先輩捕捉できる)
(うん、してるよ)
(なら追いかけて、人がいなさそうなところで足止めお願い。
こっちも後ですぐに行くから)
(わかったよ)
クロヱはそう言うと近くの屋根から、逃げたぺこらを追跡し始めた。
(これであっちはどうにかなるはず。
問題は目の前の5人)
こよりは改めて5人を見た。
「いくらGMだと言っても5人では、こよには勝てないですよ」
「確かにこのままではな」
5人の中、中心にいる他の人より背が低い女性がこよりに答える。
「このまま?」
こよりの疑問に5人は同時に右腕を胸の前に持ってくる。
その腕にはブレスレットが。
「まさか!」
『GMチェンジ!』
ブレスレットが同時に光り光に包まれる5人。
そして、それは現れた。
「レッドライオン!」
「イエローコング」
「ブルードルフィン」
「グリーンイーグル!」
「ピンクウルフ」
『5人揃ってGM戦隊グレートメンバー!!』
ドォーンと5人の後ろで5色の煙が上がる。
オォー!!
両サイドの人達から歓声があがる。
「ま、まさか、こんな、タイミングで」
こよりはその5人を見て驚き、ゆっくりと顔が笑顔になっていく。
「ふ、ふふふふふふ、ははははははは!!」
こよりが大きな声で笑う。
その笑いはまさに悪の幹部。
「現れましたね、グレートメンバー!!」
「なんかノリノリなんですが…」
「今回初めてですよね」
こよりのノリの良さに不思議がるグレートメンバー
「ふふ、まさに今回、貴方達が戦隊もので来るとは、タイミングバッチリです。
では、こちらもいかせてもらいますね」
こよりが手を前に出す。
すると前方に転送陣が現れた。
「何かくる?」
ピンクウルフが言った。
その言葉通りに転送陣に何かが現れた。
それは人だった。
両手には大きな中華包丁を持っている。
そして、頭にはその体に不釣り合いなウサギの被り物を被っていた。
「こより特製合成獣No.16 キルラビットです」
こよりは胸をはり言った。
「なんだあれは」
「見た目で判断するのはダメ。
あれはスリースターズ並の力を持ってる」
イエローコングに、端末を開いて相手を調べていたブルードルフィンが言った。
「あとは~大召喚!」
「何!大召喚だって!」
こよりが勢いよく手をあげる。
まさか大召喚を使うとは思っていなかったらしく、グリーンイーグルが驚く。
地面から全身真っ黒に覆われた人型が多数現れる。
その頭には犬耳?いや、コヨーテ耳が付いている。
「戦闘員の皆さんです」
笑顔でこよりが言った。
「まさに戦隊ものだな」
多数の戦闘員と合成獣を前にレッドライオンが言う。
「では、後は任せますね」
こよりの言葉に頷くキルラビット。
こよりはその場から逃げたぺこらの方に向かった。
「ま、まて~!」
「今はこいつらをどうにかしないと!」
こよりの後ろでそう声が聞こえた。
(クロちゃんそっちはどう?)
(今、町を抜けたところ)
こよりの通信にクロヱが答えた。
(そろそろ足止めするね)
(了解、すぐに追い付くね)
こよりは履いているジェットブーツを使い、クロヱのいる方に加速した。
「よっと」
「な、なにぺこ?」
ちょうど道にある茶屋の前でクロヱはぺこらの前に立ちはだかった。
「クロヱちゃん?」
ぺこらは前に現れたクロヱに驚く。
「え?え?」
そして、茶屋でお団子を食べている男性も驚いた。
その男性を見てクロヱも驚く。
(何してるのいろはちゃん)
(え、いや、茶屋と言ったらお団子かなと)
茶屋でお団子を食べているロック(いろは)は専用通信で答える。
(はぁ、どこにいるのかと思ったら。
団子とは)
(な、茶屋団子は侍にとって必需品でござるよ)
そう言って皿の団子に手を伸ばすロック。
しかし、その手は空をきる。
「ん?」
不思議に思って皿の団子を見ると、何故か団子は空中に。
「な、待ち合わせ場所に来ないと思ったら何やってるぺこか、みこ先輩!!」
ぺこらの言葉でロックにもその姿が見える。
団子を持って彼女、さくらみこは苦笑いで出現した。