ホロライブ・オルタナティブver.IF外伝 ~ラプラスの野望~   作:天野空

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第2話 野望の始まり

「さて、これからの事だが」

いつものように巨大なテーブルにつく5人。

holoXのメンバーはお茶を飲みながら声の主、ラプラスを見る。

「幹部進行を頼むぞ」

そう言ってラプラスもお茶を飲む。

「あ、はい」

いきなり話を振られたルイだが、いつもの事なので普通に対応する。

「では、前回の【魔界】での実験結果ですがこよりお願いします」

「は~い」

ルイに言われて立ち上がるこより。

「【魔界】での実験の結果、ほぼ完成したと言って問題ありません。

ただ、あの装置を使うと特殊な電波が発生するのですが、それはどうしても消えないようなので、あれを使うとほぼ100%GMに気づかれます」

そう言って椅子に座るこより。

「ま、駆けつけてくるのは前にあった5人組だろうな」

ラプラスの言葉にルイは頷く。

「そうだと思います。

私達に出会ってますからね」

「それで、この装置は何の為に作ったのでござるか?」

資料を見ていたいろはが言った。

「それはな、お金のない吾輩達にもモンスターを倒せばお金が貰えるようにする為だったんだ!」

声が大きくなるラプラス。

「でも、吾輩以外のお前らはお金きちんともらってるそうじゃないか!!」

ダン!

と台パンをして身を乗り出すラプラス。

「あ、バレちゃたんでござるか」

「別に秘密にしてないけど、貰えないの自業自得だし」

「こら、それは言わない」

「こよは研究に使ってるからいつも金欠なんだけど」

「で、どうするんだこれ?

お金が入ってきてるならいらないじゃないか!」

「いや、沙花叉のお金は沙花叉のだし」

「きー!」

「こらこら、喧嘩しない」

にらみ合うラプラスとクロヱを押さえながらルイは立ち上がる。

「実はこの装置の本来の使い方は別に用意しています。

資料の最後の項を見てください」

ルイの説明にメンバーは最後の項目を見る。

「ホロメンの絆収集計画?」

ラプラスは項目を読んだ。

「そうです。

この【ホロライブワールド】にはある隠された特典があります。

それがホロメン全員との絆を結んだ時にどんな願いでも1つだけ叶える事が出来ると言うものです」

「なんだと!」

驚くラプラス。

「いや、ラプラス。

それで前回封印解いたんじゃないですか?」

「あ」

ルイに言われて口をぽかんと開けるラプラス。

「はははは」

「何やってんだか」

いろはとクロヱがラプラスを見てため息をつく。

「詳しい話はこよりにお願いします」

ルイが座りこよりが代わりに立てる。

「この装置だけど、発動させると周辺に特殊なフィールドを形成します。

そのフォールド内では普通見えないはずのイベントキャラであるホロメンが強制的に見えるようになるんです。

それを利用して、こちらに用意した架空アカウントで作ったプレイヤーキャラを使い絆を集めていきます」

こよりの言葉と同時に画面が現れて、どこかの宿屋に寝ている1人の亜人ショタキャラが写し出される。

「えっと、これは?」

ラプラスはその画面を見て言う。

「あ、さっき言ったプレイヤーキャラです」

こよりが答える。

「いや、なんで亜人のそれもショタ?」

「あ、それはみんなの意見を参考にしました」

「え?吾輩聞いてないんだけど?」

「え?聞きましたよ、その時ラプちゃん「なんでもいい、ま、中二病くさいのがいいかな」って言ってたので、オッドアイにして眼帯を付けるようにしてます」

「おい、その設定誰かに喧嘩売ってるみたいだから止めとけ」

こよりの言葉にラプラスは静かに言った。

「ま、キャラの話はおいといて、作戦の時は誰かがこのキャラに入り、ホロメンと直接会ってきちんと認識された後、名前を聞く事で絆が結べます」

ルイはそう説明した後、ゆっくりと座る。

「ですのでこれからは各ホロメンのいる場所に行き、私達で事件を起こし、そのどさくさに紛れてプレイヤーキャラ、ロックを使い絆を集めさせるという作戦となります」

「えっとロックって?」

ルイにラプラスが聞く。

「え?私達が第六世代なので六でロックですが?

何か?」

「いや、別にいい」

ルイの返答にラプラスは目線を反らして答えた。

「で、初めは誰を狙うんだ?」

ラプラスの言葉にルイが頷き1つの画面が現れる。

そこにはある女性の写真が。

「【魔界】で実験した事もあるのでまずは彼女を狙います」

ルイは静かにそう言った。

画面に写ったその女性は第一世代組夜空メルだった。

 

「で?【魔界】に来た訳だが」

ラプラスは回りを見る。

そこにはルイと例のプレイヤーキャラロックがいた。

「これだけ?」

「ま、全員で来ても仕方ないので」

「そうだけど」

「えっと、お二人はここにいるでござるか?」

キョロキョロするロック。

喋り方から中にはいろはが入ってるようだ。

「あ、プレイヤーキャラになってるからこっちが見えないんですね。

DM送ります」

ルイはロックを見ながら言った。

「あ、作戦が始まるまで待機。

了解でござるって喋り方も気を付ける、つけます」

「大丈夫かあれ?」

ロックを見てルイに聞くラプラス。

「たぶん」

ルイも失笑して答えた。

「それで、メルさんはここに来るのか?」

「ええ、間違いないですね」

3人がいるのは【魔界】にある魔晶石が乱立する広場に来ていた。

「最近、メル先輩がお店でアミュレットを販売しているらしくて、その材料をここで採取しているらしいです」

「へぇ~」

「あ、来ましたよ」

ルイの言葉にそちらを見るラプラス。

確かにメルが1人こちらに歩いてきている。

近くの魔晶石に近づき採取を始めるメル。

「よし、作戦開始するぞ」

ラプラスの言葉にルイが頷いた。

「こちら作戦現場、holoX城聞こえますか?」

『はい、こちらholoX城聞こえてますよ~』

専用回線からこよりの声が聞こえる。

「作戦開始、槍を射出してください」

『りょうか~い。

では、発射~!』

ドンと何かを叩く音が聞こえた。

すると空にワープホールが開く。

突然の事にメルが慌てて回りをキョロキョロ見ている。

そこにワープホールから1本の槍が現れ、地面に突き刺さった。

それと同時に特殊なフィールドが広がる。

「あ、見えたでござ、いや、見えたよ」

ロックが2人を見て言った。

「頼むぞ、さむらい」

「はは、めんぼくない」

ラプラスの言葉にそうロックは答えた。

「では、行きます」

ロックはそう言って立ち上がり、メルの方に向かって走る。

「では、頼みましたよ、ベル」

ルイは肩に乗っていた鳥に言った。

鳥は頷くと飛び立ち、ロックを追った。

 

「た、助けて~!」

ロックはそう叫びながらメルの方に向かう。

「え?なんで?」

それに驚くメル。

普段はイベントキャラであるメルが見えるはずがないのにロックがメルに助けを求めながら走ってきたので驚いているのだろう。

ロックの後ろからはベルが追いかける。

「た、助けてください」

ショタ力を最大限に発揮しながら少し情けない声でロックはメルに言った。

「え、あ、うん」

メルは現状を把握出来ないまま頷くとロックを自分の背中側に避難させる。

そして、メルはベルと対峙した。

「お久しぶりですね、メル先輩」

ベルはそうメルに言った。

「?」

不思議そうに鳥を見るメル。

「この姿では分かりませんか?

なら、第一封印解除」

ベルはそう言うと鳥の体が輝き姿を変える。

そして、現れたのは人型の姿だった。

「実際会うのは初めてですね、メル先輩」

そう言ってベルは笑う。

「鳳凰寺ベル」

「はい」

メルに呼ばれてベルは笑う。

「今度は何を企んでるの?」

「私も下っぱなので分かりかねます」

「そう、ならそこに隠れてる人に聞こうかな」

メルはベルの後ろの岩影を見る。

「はは、お見通しでしたか、まっ鷹ね」

そう言って岩影からルイが姿を表す。

こちらにゆっくりと歩いてくるルイ。

そして、その横にベルが移動する。

「とうとう動き出したんだね、第六世代組」

「ええ、準備する時間は十分にありましたので」

「何を企んでいるのかは聞いても言わないか」

「もちろんです」

メルの問いにルイは笑顔で頷いた。

「なら、実力行使で行こうかな?」

メルが拳を握る。

「いいんですか?

そっちにはプレイヤーがいますけど」

「く」

メルはチラリとロックを見る。

ロックは弱々しくメルを見た。

まるで捨てられた子犬のようだ。

(やるなぁ、さむらい)

(やる時はやるんですね)

(外野うるさいでござる)

専用回線で話す3人。

そこに突如空に異変が起きる。

「な、なに?」

空を見上げるルイ達。

「そこまでだ」

突如空に現れた5台のバイク。

そこから5人の男女が地上に降り立った。

「来ましたかGM」

ルイとベルは間合いを取りながら言う。

「大丈夫ですか?」

青年はメルに声をかけた。

「ありがとう」

メルは笑顔で答える。

「また、会ったな」

5人の中で一番前にいる小柄な女性がルイに言う。

「そうですね。

でも、こちらは名前も知らない方達なんですけど?」

ルイはそう小柄な女性に言った。

「確かにな。

たぶんこれから長い付き合いになるだろうから名乗っておこうか。

GM部隊所属、チームα隊長のさくやだ」

小柄な女性はそう言ってルイ達に構える。

「同じくチームα隊員フジ」

巨体な男性がさくやの横に並ぶ。

「チームα隊員レイム」

銃を構え、モデルのような体型の女性がさくやの横に並んだ。

「俺はチームα隊員ヒーロだ」

先程、メル達に声をかけていた青年が言った。

「私はチームαのリィスです」

少しおどおどしながら女性が答えた。

「なるほど、私的にはそう長い付き合いにはしたくないのですけど、よろしくお願いします」

ルイはそう言って笑った。

「では、挨拶代わりにGMの実力見せて貰いましょうね」

ルイは右手を空に掲げる。

「戦闘員のみなさ~ん」

そう言いながら手を勢いよく前に付き出した。

「ホーホー」

と叫びながら、真っ黒な全身タイツを着た人達がどこからともなく現れる。

「な、なんだ!」

ヒーロがそれを見て驚いた。

「簡易大召喚ですよ」

ルイはそう言って笑う。

「では、やってください」

ルイの号令に戦闘員の皆さんが一斉にGM達とメルに襲いかかった。

その時、突如前にいた3人が光輝く。

「な、なに?」

その光にルイは驚いた。

そして、光が収まったその場所に、赤と黄と青の全身タイツ、いや、戦隊スーツを着た3人が立っていた。

「レッドライオン」

「イエローコング」

「ブルードルフィン」

『我等、GM戦隊チームα』

ドーンと3人の背後に其々の色の爆発が起きる。

「く、これがGM戦隊!」

ルイは驚き後ろに下がる。

(え?知ってたの幹部?)

(え?いや、ノリですけど)

(余裕でござるな)

専用回線でのんきに話す3人だった。

「怯むな、戦闘員の皆さん!」

ルイの号令に戦闘員の皆さんはGM戦隊に襲いかかるが、ことごとく吹き飛ばされ消えていく。

そこに残り2人のGMにロックを預けたメルも参戦した。

みるみるうちに減っていく戦闘員の皆さん。

「ベル、少し相手をお願いします」

ルイが小声でベルに言った。

「了解です」

ベルはそう答えると、GM3人に襲いかかる。

ベルの蹴りがレッドライオンを捉えるが、その小柄な体を吹き飛ばす事が出来ない。

横から大柄なイエローコングがベルを捕まえようとするが、ベルはバク転で避けた。

そこに銃を構えブルードルフィンがベルを撃つ。

エネルギー弾はベルに当たるが、ベルは笑顔で当たった場所を撫でると、傷跡が消えてしまった。

 

「おっと、動かないようにして貰えますか?」

GM3人の方に向かおうとしていたメルに、ルイは杖の仕込み刀を向けて言った。

「…」

メルは何も言わず真っ赤な剣を構えたままルイと睨みあった。

 

「なかなかやりますね」

ベルは3人に言う。

「そちらもな」

「この変身をした3人相手でほぼ互角とは」

「スリースターズ越えてるわね」

「一応、ホロメンですので」

3人の言葉にそうベルは答えた。

「や!」

レッドライオンがベルに向かって飛び出してくる。

そこから拳と蹴りの連続攻撃。

しかし、ベルは軽く受け流す。

「今だ!」

イエローコングの声にレッドライオンがベルの肩に手を置き逆立ちするように飛び上がる。

その後ろから巨大なドリルがついた拳を打ち込んでくるイエローコング。

さすがに避けれず、ドリルはベルの体を貫いた。

すぐに離れるイエローコングの横からブルードルフィンが中型の銃を撃つ。

レッドライオンも離脱している。

銃から放たれたレーザーはベルに当たりベルを凍らせていった。

「捕獲完了かな」

3人は揃ってベルを見た。

「まさかここまでやれるとは」

ルイはそう言ってベルの横に立つ。

(これくらいでいいでしょう)

(そうだな、吾輩達は退くぞ。

後は頼むぞさむらい)

(分かったでござる)

「そっちの実力も見る事が出来ましたし、今回はここで引かせてもらいます」

ルイはそう言って凍ったベル叩く。

すると氷と共にベルが砕けた。

「な!」

驚くGM。

しかし、ルイは静かに砕けた氷から1枚の羽根を取り出した。

そして、ふっと息を吹き掛け手から放す。

羽根は勢いよく燃え上がり火柱と変わる。

火柱は地面の氷を溶かしながら燃える。

そして、火柱が消えると同時に1匹の鳥が現れ、ルイの肩にとまった。

「では、おつルイルイ」

そう言ってルイは背後に現れたワープホームへと消えた。

 

(よし、作戦開始でござるな)

ロックは自分の側にいた2人のGMにお礼を言った後、3人のGMと話しているメルの方に向かう。

「あ、ありがとうございました」

メルにそうロックは言った。

「あ、君、よかった無事で」

「はい、GMとメルさんですよね?

皆さんのお陰です」

そうロックは言ってメルに握手を求める。

「あ、名前言ってなかったね。

夜空メルです。

よろしくね」

メルは笑顔でロックと握手した。

「それで、狙われた心当たりはあるのかい?」

変身をといたさくやに聞かれる。

(確かこう聞かれたら)

「分かりません。

ただ、僕のスキルのせいかなと思います」

「スキル?」

隣からレイムが聞いてくる。

「はい」

「ちょっと調べてもいいかな?」

レイムの言葉に頷くロック。

(だ、大丈夫でごさるよな?)

内心ロックの中の人いろははドキドキしていた。

「なるほどね」

「どうした?」

納得そうに頷くレイムにフジが聞く。

「このスキル【等価値交換(運)】のせいね」

「なんなんすかそのスキル」

ヒーロがこちらに来て聞く。

「これは運が良い事が起きるとその代わりに同じくらいの運の悪い事が起きるってスキル」

「そんなスキルあるんですか?」

リィスも来て聞いた。

「ええ、スキル大事典には載っててかなりのレアスキルみたいね」

「はぁ」

それを聞いてロックはため息をつく。

「ま、そう落ち込まないで。

これだけ不運だったんだもん。

次は良いことあるよ」

メルにそう言われてロックは大きく頷く。

「それでは、僕はこれで」

ロックはメルとGM達に頭を下げて離れる。

そんなロックをメルとGM達は見送ってくれた。

(ふう、何とかミッションクリアでござるな)

ロックは【魔界】の町に向かいながらステータスの推し一覧を開く。

そこにはメルのアイコンが光っていた。

 

「はぁ、疲れたでござるよ。

ヒヤヒヤものでござった」

holoX城に戻ったいろははテーブルに突っ伏した。

「ご苦労様」

そんないろはにルイがお茶を入れて出した。

「何とか初めのミッションはクリアだな」

ラプラスも満足そうに頷く。

「しかし、先は長いですね」

こよりは推し一覧を画面に出して確認する。

「それにあのGMも毎回出てくるのかな?」

クロヱは先程の映像を見ながら言った。

「ええ、彼女達が私達の障害になるのは確かでしょうね」

「ま、吾輩達はあのGMとホロメンが組まないように牽制する役割で良いだろう」

ルイの言葉にラプラスはそう言った。

「そうですね、状況を見ながらベル達の第二封印解除も出来るようにしておかないと」

ルイの言葉に頷く一同。

「ま、まずは野望の第一歩の成功に」

ラプラスの言葉にメンバーは各々の飲み物を掲げる。

「乾杯」

『かんぱ~い』

カチンとグラスが当たる音がする。

それがholoXの野望の始まりの音になった。

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