ホロライブ・オルタナティブver.IF外伝 ~ラプラスの野望~ 作:天野空
一方その頃、第六世代組の2人はちょこに会いに【魔界】へと来ていた。
「なんでちょこ先生は【魔界】にいるのでござるか?」
「さぁ、でも反応はここなんだよね」
隣を歩くこよりに聞くいろはだったが、こよりも不思議そうに手元のレーダーを見る。
普通は【学園】から出ないちょこが、何故かここ【魔界】に来ているのが不思議だった。
それも【魔界】にある町ではなく、もっと奥の方から反応が出ている。
「こんなに奥の場所って何があるんだろう」
こより達は町を過ぎて【魔界】の奥へ奥へと進んでいる。
町から先には道はなく、【魔界】に住むモンスターも襲ってくる。
しかし、さすがホロメン。
そんなモンスターには物ともせず進んでいる。
「だいぶ歩いたでござるが」
「もうそろそろだよ」
モンスターの連戦と道なき道を歩く2人はだいぶ疲れてきていた。
「あ、森を抜けるよ」
こよりの言うとおり、森の奥から外の光が差し込んでいる。
「やったー
抜けたでござる」
「やったー」
2人は森を抜け喜んだ。
しかし、目の前にある物を見て手を上げたまま固まる。
「えっと、これって何?」
「わ、分からないよ」
その物を見てこよりに聞くいろはに、こよりは訳が分からないと言うように答えるだけだった。
「おっきいよね」
「そうだね」
2人はあれから少し歩いて、今は門の近くにいる。
近くに来ればその建物の大きさがよく分かる。
2人の目の前には自分達のすんでいるholoX城より、遥かに大きい城が建っていた。
「この中でござるか?」
「そうみたい」
いろはに聞かれてそう答えるこより。
「では、入ってみるでござるよ」
門へと歩き出す。
すると、門の前に誰かが立っているのが見えた。
「警戒してね」
こよりはいろはに言った。
いろはは頷き、いつでもチャキ丸が抜けるように準備する。
「いらっしゃいませ、お客様」
しかし、門の前まで来ると、その人物は警戒していた2人に静かにそう言って頭を下げた。
「え、あ、はい」
「こ、こんにちは」
2人も思わず頭を下げる。
よく見ると相手は執事服を着たヤギ人間だった。
「今回はいつもの方とは違うのですね」
ヤギは2人を見ながら呟く。
「お名前をお伺いしてもよろしいでしょうか?」
「あ、風真いろはでごさる」
「博衣こよりだよ」
「風真いろは様と博衣こより様ですね。
主と会うお約束はされてますか?」
ヤギは静かな口調で続ける。
「いえ、してないです」
申し訳なさそうに答えるこより。
「かしこまりました。
では、主に確認して来ますので、少しお待ちください」
そう言ってヤギは音もなくその場から消えた。
「な、なんかすごい事になってる気がするのでござるが」
「う、うん」
ヤギが消えた後、いろはは恐る恐るこよりに言った。
こよりも少し身震いしながら答える。
しばらくして、2人の目の前にヤギが現れた。
「お待たせしました。
主はとても喜んでお二人に会いたいそうですので、ご案内いたします」
そう言うと巨大な門が開き、ヤギはまた音もなく城の方へと歩いていく。
そんなヤギの後をついていく2人。
そして、3人は巨大な城へと入っていった。
黙々と歩く3人。
通路は外から見るより長く広かった。
「ただいま、主は城の奥でお休みになられております」
そう先を歩くヤギが言った。
「え?
寝てるのでござるか?」
「じゃ、出直すのに」
「いえ、起きてはいらっしゃいますが、その身に溜まったものを発散できずにいらっしゃいます」
2人の言葉にヤギが訂正して話す。
「溜まってるでござるか…」
「ええ、何が溜まってるんですか?」
何故か照れるいろはと興味津々なこより。
「魔力でごさいます」
「なんだぁ~」
何故か残念そうなこより。
「そ、そうでござるよね。
そう、ホロメンは健全でござるから」
やたらに動揺していろはが言う。
そして2人は冷静になった。
『魔力?』
同時にヤギに問う2人。
「はい、魔力でごさいます。
我らが主、癒月ちょこ様はホロメンであると同時に、この【魔界】の支配者でもあられます。
定期的に戦いを行い、魔力を消費されていれば良いのですが、今回は長い時間戦闘をされてなかったようで、魔力が消費されず溜まってしまい、本来のお姿に戻られておられます」
『ほ、本来の姿?』
恐る恐る聞く2人。
「はい、お二人はここをどこか存じあげないままこられたようですね。
ここは【魔界】の最深部にある【魔王城】でござます」
『魔王城!』
このゲーム【ホロライブワールド】にいるホロメンには各々役目というものがある。
ときのそら、星街すいせい、AZKiは【ホロライブワールド】とリアルを繋げる道【ホロライブソード】の管理と調整を。
さくらみこはこの【ホロライブワールド】全体の調律を。
ロボ子は近未来都市の管理者を。
百鬼あやめは【鬼岩城】の管理を。
特殊世代と呼ばれる4人は、【ホロライブワールド】を外部から守る役割を。
潤羽るしあは、モンスターの魂の管理を。
桐生ココは、全ドラゴンの頂点に君臨している。
そして、癒月ちょこは【魔界】を管理していた。
【魔界】を管理するにあたり、ちょこはホロメンともう1つの顔、魔王を兼任していた。
RPGでいうラスボスを【魔界】では担当しており、【魔王城】に来たプレイヤー達と戦い、ちょこに勝利したらご褒美を与えるという感じだ。
しかし、【魔界】は裏世界で高レベル対応であり、その最深部となればなかなかこれるプレイヤーがいない。
その為、ちょこはまだ1度もプレイヤーと魔王として戦った事はなかった。
その為、魔力を発散してないちょこはその魔王としての属性が現れ、定期的に息抜きをしてから、【学園】に戻るといった事を行っていた。
「では、この扉の先に我らが主、魔王ちょこ様がいらっしゃいます」
巨大な扉の前に止まり、2人に振り向き頭を下げるヤギ。
『え、はい』
どう答えていいか分からない2人は生返事をする。
ヤギは頭を下げたまま、音もなく消え、目の前の巨大な扉がゆっくりと開く。
中は暗く先が見えない。
「い、行くでござるよ」
「う、うん」
いろははそう言ってこよりの手を取り部屋へと入る。
こよりも周りを警戒して部屋へと入った。
ボ、ボボボボボ
突然両端の柱に光が灯り奥へとその光が続く。
通路は歩きやすいが、奥までは見えない。
2人は警戒しながら進む。
そして、しばらく進んだ時それは聞こえた。
「ありがとうございますぅぅぅ~」
それはまさしくちょこの声。
しかしいつもと大きさが違う。
突然の声に驚く2人。
そして、それは2人の目の前に現れた。
いつもなら同じか少し高いだけのちょこが、2人の数倍ある大きさになって、巨大なソファに寝転がっていた。
「え?え?」
「ちょこ先生?」
「はい、そうですよぉ~」
2人の驚きの言葉に、ちょこは笑顔で答える。
「まさか、この姿を見られない為に城に戻ったら、2人が会いに来てくれるだけではなく、こよいろてぇてぇまで見せてもらえるなんて、ちょこ感激ですぅ」
テンションはいつものまま、ただ2人の目の前にいるちょこは何もかもが大きかった。
「ちょこ先生はここで何をしてるでござるか?」
いろはは恐る恐る聞いた。
「私ですか?
私は今、ある人達を待っているんですよ」
そう言ってちょこは起き上がりソファに座る。
そんなちょこを見上げる2人。
「いろいろと大きいですね」
2つの山を見上げながらこよりが言った。
「なんか運営さんが魔王は大きくないとという理由で、魔王状態になると大きくなってしまうんです。
それに比例して力も魔力も格段に上がってますけど」
「お話し中失礼します」
ちょこといろは達の会話の中、部屋の端から先程とは違う白ヤギが現れた。
「どうしました?」
そんな白ヤギにちょこが声をかける。
「いつもの方達がお越しになられました」
「分かりました、通してください」
「承知いたしました」
ちょこに言われて白ヤギは頭を下げて後ろに下がり消えた。
「誰か来たんですか?」
「ええ、この状態を解除してくれる人達ですよ。
もしかしたら、こより様達も会ってるかもしれませんね」
こよりにそう答えるちょこ。
そこに噂の人物達が現れた。
「ん?
第六世代組?」
「あ、GM」
小柄な女性に声をかけられたいろはが答える。
「そうだ、さくやだ」
「レイムです」
「フジだ」
GMが挨拶をする。
いろは達も挨拶をする。
「それでどうしてGM、それもトップクラスの3人がここに?」
不思議と思ってこよりが聞いた。
「それは、今から私と戦ってもらう為です」
返事は後ろから聞こえた。
「え?ちょこ先生とでござるか?」
驚きの声をあげるいろは。
「そうです。
この状態は魔力を発散しないと、元の姿に戻れないんです」
「一般プレイヤーがここに辿り着いて、ちょこ先生と戦ってくれれば1番なんだが」
「まだ、ここまでこれるプレイヤーがいなくてのう」
ちょこの後にさくや、フジが言葉を続ける。
「なので、代わりに私達が相手をさせてもらってます」
そうレイムが答えた。
「なるほど、ガス抜きならぬ魔力抜きでござるな」
いろははこよりの方を見て頷く。
こよりもいろはが何を言おうとしているのが分かり頷いた。
「それではこよ達もその魔力抜きに参加させてもらいます」
そうちょことGMに言った。
「ま、そうだろうな」
さくやも感づいたのだろう頷く。
「いいですよ、ちょこは相手が何人でも楽しければいいですから、5人できてください」
そう言ってちょこは微笑む。
「では、今回は共闘という事でよろしくお願いする」
フジはそういろは達に言った。
「前衛がさくやだけだったので助かります」
レイムもいろはに微笑んだ。
「では、いろはさん、前衛2人だがよろしく」
「こちらこそ」
さくやといろははちょこに向かい戦闘準備に入った。
「バフは任せてください」
こよりも試験管両手に気合いを入れた。
「これは久しぶりに熱くなれそう」
ちょこはそう言いながらソファから立ち上がった。
立てば余計に分かるちょこの大きさ。
1番背の高いフジの3倍は優にある。
「では、始めましょうか」
ちょこの言葉と同時にさっきまで部屋だった場所は異空間に代わり、全員宇宙空間のような場所に立っていた。
「こ、ここは?」
「ボス専用のバトルフィールドみたいなものだ」
いろはにさくやは答えた。
「いくぞ!」
『GMチェンジ』
さくやの号令でGM3人が戦闘スーツを装着する。
そして、2刀の剣を持ったレッドライオンはちょこに突撃をかけた。
「続きます!」
いろはもチャキ丸を抜き、レッドライオンに続く。
こよりが両手の試験管を混ぜ合わせると、ボフッと煙が上がり、その煙は5人を包み込むように動いた。
「攻撃と防御のバフOK!」
「助かる、援護する!」
イエローコングは両肩に担いだロケットランチャーをちょこに向かって撃った。
数発のミサイルは前方を走るいろは達を抜き、ちょこに一直線に走る。
「ふふ、これくらいの攻撃は効かないですねぇ」
ちょこは迫るミサイルをことごとく手で払いのけた。
ちょこの左右で爆発するミサイル。
「覚悟!」
レッドライオンはその合間に間合いを詰めちょこに向かってジャンプその胸へと剣を走らせた。
ボヨン
剣の攻撃ではあり得ない効果音の後に剣が跳ね返される。
「学習してください」
そんなレッドライオンを見て微笑むちょこ。
「もちろんだ。
今回は1人ではないのでね、ちょこ先生」
そんなちょこにレッドライオンはそう言って笑った。
「隙あり!」
落下するレッドライオンの肩を足場に更に高く上がる1つの影。
いろはが最上段からちょこの角に目掛けてチャキ丸を振り落とした。
ギャン!
甲高い音がしていろははちょこの胸を足場に、背後に跳ぶ。
レッドライオンも同じく間合いをとった。
「ナイスです」
後方で画面を確認していたブルードルフィンが2人に言った。
実はブルードルフィンからちょこの弱点を聞いていて、そこを2人は狙ったのだ。
「まさか、いきなりチームを組んだのにここまで連携がとれるとは…
さすがですね」
攻撃された角に手をやりながら、ちょこは言う。
「もう、少しキズがついてるじゃないですか」
少し頬を膨らませ怒るちょこ。
「少し早いですが、ここはサービスという事で、第2形態といきますよ」
当然光出すちょこ。
そして、その光が収まった後、普段の大きさのちょこが目の前に立っていた。
服はかなり露出度の高いデザイン。
黒と赤の体型が分かるピタッとした服だ。
しかし、いつもと違うのは全身から禍々しいオーラが放たれているところか。
「もう、第2形態か」
「何ですか、第2形態とは」
レッドライオンに聞くいろは。
「さっきまでの巨大な体に貯めていた魔力のまま、普段の大きさになって魔力を無理やり凝縮してる。
あの状態のちょこ先生は手加減が一切ない」
「そう、例えばこんな事をするだけで」
レッドライオンの言葉に繋げるように、ちょこはそう言いながら手を軽く横に振った。
とたん、強風がいろは達を襲う。
「く!」
「うわぁ!」
前衛の2人はまともにくらったが何とか耐える。
しかし、こより達のところまで下がらされた。
「展開は早いですが、いつもより魔力を削れていない為に、かなり強力です」
ブルードルフィンはちょこを精査して4人に伝えた。
「普段はもっと時間かけてるんですか?」
ちょこを見ながらこよりは聞く。
「うむ、普段は数時間かけてから弱点を狙うんだがな」
イエローコングも新たにロケットランチャーを構える。
「ホロメンとの共闘で急ぎすぎたか」
「それは不利な感じでござるな」
「いえ、いろはさんの攻撃は効いていますよ。
ちょこ先生の傷つけた角からだいぶ魔力が流れ出ています」
ブルードルフィンは少し落ち込むいろはに言う。
「なので、ここからは押しきる。
いろはさんは隙を見つけて傷つけた角を切り落としてほしい」
「落としていいのでござるか?」
「それがちょこ先生に勝つ方法だからな」
いろはの言葉にイエローコングが答える。
「ただし、指輪が付いている方の角は切り落とさないように、前に間違って落とした時は、撤退するしかなかったからな」
「え?」
レッドライオンの言葉にこよりが変な声を出してしまう。
「ああ、あの時は【怒り狂うちょこ】先生だったからな」
イエローコングが身震いしながら答えた。
「ええ、あの時は失敗でした。
その後、魔力が完全に抜ける数日間、【魔王城】とその周辺をちょこ先生が破壊しまくりましたから」
「き、気を付けます」
ブルードルフィンの言葉にいろはは身震いして返事をした。
「お話終わりました?」
いつの間にか鞭を持つちょこは、舌なめずりをしながらこちらを見ている。
「なんかお仕置きモードのルイねぇの前にいる感じでござる」
「た、確かに。
でも、負けられない」
いろはの言葉に同意しながら、こよりは素早く試験管を混ぜる。
「はい、飲んで」
試験管をいろはとレッドライオンに渡す。
『うぐ』
2人は受け取った試験管の液を飲み干した。
「これはすごいな」
レッドライオンは全身から力が溢れだそうとしてくるのを感じる。
「普段は使わないけど、この際だから」
自分を入れて残り3人にも同じものを渡す。
「では、いくね」
「く!」
慌てて視線をちょこに戻す5人。
しかしそこにちょこの姿はなかった。
「きゃ~」
こよりが瞬間移動のように隣に現れたちょこの鞭攻撃をくらい吹き飛ぶ。
「こよちゃん!」
叫ぶいろは。
「なんか痛いはずなんだけど、気持ちいいと言うか癖になるというか」
「気をしっかり!!」
変な事を口走るこよりにいろははもう一度声をかけた。
そんな中、レッドライオンはちょこに向かって間合いを詰める。
向かう間も手元の銃で攻撃を仕掛けている。
が、ちょこの前に見えないバリアが張られて全て弾かれている。
「避けろ!」
背後からのイエローコングの声にレッドライオンは素早くサイドステップをする。
その横を無数のミサイルが通りすぎる。
バリアにぶつかり爆発するミサイル。
「効かないの分かってるでしょう」
「それはどうかな」
ちょこの声にイエローコングが不敵に答える。
ピシッピシッ
ちょこのバリアがイエローコングのミサイルで破壊されそうになっている。
「やりますね」
ちょこはそのバリアを超えて来るであろう人物を警戒する。
だが。
「バリアが破れると言ってそこから来るとはかぎりませんよ、ちょこ先生!」
ちょこは鞭を2つに束ね両手で持ち、背後から来たレッドライオンの振り下ろす両手剣を受け止める。
「今回は驚かせられる事ばかりです」
ちょこは笑う。
「まだまだ驚いてもらわないと」
レッドライオンはそうちょこに言った。
ちょこは咄嗟に首を傾ける。
「く!」
破壊されたバリアを超えやって来た、いろはの一撃をちょこは避ける。
しかし、完全には避けられずキズの付いた角に確実にダメージを与えた。
そのままちょこと間合いをとるいろはとレッドライオン。
ちょこはそんな2人を見て微笑んでいる。
「後少し」
「後一撃で切り落とす事ができる」
いろはとレッドライオンは共に剣を構える。
確かに半分ほど角にキズを入れている。
「出し惜しみは無駄でござるな」
いろはは目を大きく開く。
その左目にholoXの紋章が浮かびあがった。
「風真流 模倣真眼・改 【鬼武者】」
いろはの言葉に合わせ背後に緑に輝く光の武者が現れる。
「あやめ様の技」
光の武者を見て驚くちょこ。
「まだまだぁ。
【鬼神大元】!」
緑の光の武者がいろはと一体化する。
「まさか、そんな事までぇ。
まさにあやめ様といろは様のてぇてぇじゃないですかぁ~」
いくら魔王になっても本質は変わらないちょこだった。
「い、いくでござるよ」
ちょこの反応に出鼻を挫かれたいろはであったが、一瞬でちょことの間合いを詰める。
凄まじいまでの斬撃を繰り出すいろは。
しかし、ちょこはそれ全てを鞭と魔力で作った凝縮型の小型バリアで防いでいた。
全体を覆うバリアなら【鬼神大元】をしたいろはに破られてしまう。
その為の小型バリアだが、防ぐにはいろはの凄まじい斬撃を見切らないといけない。
今のちょこはそれを難なくこなしている。
「これなら!」
そこに二刀流のレッドライオンが参戦。
合計4本の剣がちょこを襲うが、それを全てちょこはバリアを増やし防ぎきっていた。
「ここまで強いとは」
いろはは正直に思った事を告げる。
「一応、魔王ですから」
ちょこは笑って答える。
「じゃ、反撃しましょうか?」
この攻撃の中、ちょこは反撃出来ると言う。
「さすがにそれは遠慮するでござるよ」
いろははそう言って笑った。
「はい、チェックメイト!」
ポコンっとちょこの頭上で音が鳴り、角がポキッと折れた。
驚いて背後を見るちょこ。
そこには小さなハンマー片手にこよりが笑っていた。
ふと息を抜くちょこ。
そして、大きく息を吸った。
「あ、忘れてた!」
レッドライオンが大きな声で叫び耳を押さえる。
イエローコングもブルードルフィンもそうだ。
「急いで耳をふさいで」
ブルードルフィンの言葉にいろは達も耳を押さえようとしたが、一歩遅かった。
ちょこは最後に大きな声で歌った。
「こ、ここは?」
「あ、目が覚めました?」
いろはが目を覚ますとちょこが覗き込んできた。
「え?」
「よく寝てましたよ」
「あ、す、すみません」
慌てて起きるいろは。
そんな姿をもう片方の太ももにこよりを寝かしたちょこが微笑んで見ている。
周りを見るとそこは【魔王城】の外にある芝生のような場所だった。
さっきまでいたGMもいない。
「夢?」
「そんな事はないですよ、いろは様。
ほら」
そう言われちょこは自分の頭を見せる。
片方の角が折れていた。
「ああ、す、すみませんでござる」
慌てて頭を下げるいろは。
その言葉にこよりも目を覚ます。
「あれ?」
「そんなに謝らないで。
こっちこそ助かりました。
魔力発散出来たので」
そう言って、ちょこは折れた角を持ち、頭に戻す。
折れた角は引っ付き何事もなかったように元に戻った。
「こよ達どうなったんですか?」
その場に座り込むこよりが、ちょこに聞く。
「あ、ああ、あれは魔王最後の攻撃の【滅びの歌】を使ったんです。
そうそう、あれは技であって決して歌が下手というかそうだというか。
ま、あれは技なので!」
技を強調するちょこ。
そんなちょこを2人は微笑んで見た。
(無事に絆ゲットできたみたいでござるな)
専用通信でルイからちょこの絆をゲットしたと連絡が入り、いろははこよりに通信で話す。
(無事任務達成だね)
こよりも嬉しそうに返事をした。
「それではちょこ先生。
かざま達もこれで」
「はい、いろは様もこより様もありがとうございます。
そうそう、GMの方から最後の技の説明出来てなくてごめんなさいって言ってましたよ」
ちょこは笑いながら言う。
「あの状況なら仕方ないか」
こよりも笑う。
3人はその場に立ち向き合う。
「では、いつかまた」
「そうね、今度は【学園】かな」
「はい」
お互いに笑い合う。
「では、おつこよ」
「さよならでござる」
「おつかれいと…ちゅ」
ちょこの投げキッスに赤くなりながら、いろはとこよりはワープホールへと入っていった。