ホロライブ・オルタナティブver.IF外伝 ~ラプラスの野望~ 作:天野空
「総司令、やはり反応があります」
「そうですか、まさかいつもより早く現れるとは」
どこかの指令室の中、オペレーターの報告に耳を傾ける1人の女性が巨大スクリーンを見ながらため息をつく。
「変な時に来ちゃったかな?」
その後にもう1人の女性。
「ん?そんな事ないよ。
それよりこっちの事情に巻き込む形になって、逆に申し訳ない」
そう女性は後ろにいる女性に言った。
「気にしないで。
それにこれの試し撃ちができるのは嬉しい誤算かな」
そう言って女性は手に持つ銃を軽く叩く。
「そう言ってもらえると助かる」
彼女達はもう一度巨大スクリーンを見る。
そこには土煙をあげながら、何かが大地の上に姿を現そうとしている映像だった。
「さて、今回だが」
「はい」
ラプラスは隣を歩くルイに言った。
「なんで連チャンで吾輩が行かないと行けないんだ?」
「クロヱといろはは前回ちょこ先生との戦いで疲労が激しく休んでいます。
こよりはロックの中で待機してますので」
(こっちからのサポートはおまかせ~)
専用通信でこよりから連絡がくる。
「だったら、前回ドッチボールで疲れた吾輩も休みにすればいいだろ、ロックに入ってても外には出れるんだし」
「そうですが、今ロックは運営に目をつけられていますので、我々と共には移動できません。
ですので、しばらくは私とこよりがロックのメンテと操作をします」
「そうか。
なら、幹部1人だけでも行けるだろ」
「いえ、今回の相手は私1人では少し心的なかったので」
そう言ってルイは先に見える建物を見る。
ラプラスもつられてそちらを見た。
そこには巨大なビルが立っている。
「あの中にいるオリジナル世代組のロボ子さん相手ですので」
ルイは建物を見ながらそう言った。
ラプラス達は今回、ロボ子さんの絆をゲットするべく、近未来都市に来ていた。
こよりの情報では、ロボ子さんは近未来都市に帰ってきているという事らしい。
普段、オリジナル世代組のみこ以外のメンバーは、各ワールドを転々としており、固定の場所にはいない事が多い。
なので、場所が特定できた今回を狙う事にしたのだ。
「で、どうやって会う?」
「そうですね」
ラプラスに聞かれて、ルイが顎に手を当て考える。
「このまま、あのビルに忍び込んでもロボ子先輩が、あのビルのどこにいるかは分かりません」
事前にこよりが調べたが、詳細な位置までは分からなかった。
「なので、相手に出てきてもらうしかないと思います」
「なら、ここで暴れるのか?」
ラプラスが両手を振って準備運動みたいな事をする。
「いえ、それよりもっと効果的な物を今回用意してます」
ルイはそう言ってラプラスに向かって微笑んだ。
「総司令、対象は1度地中から出たのち、また地面に潜って姿は見えません」
「監視を続けてください。
あれに何か動きがあれば、必ず標的が動き始めます。
それを目印にしてください」
「分かりました」
数人のオペレーターはレーダーの監視を続ける。
「私はちょっと外に行くよ。
何かあったら連絡ください」
「わかった。
頼りにしてる」
その言葉に女性は手を上げて司令室から出ていった。
「隠れているとはいえ、1度は姿を見せた。
必ずあれはここに向かってくる」
総司令と呼ばれた女性はそう呟き、巨大モニターのレーダーをじっと睨んだ。
「本当にこれが出来上がっていたとはな」
ラプラスは操縦席に座るルイの後ろで周りを見ながら言った。
「急ピッチでしたが、性能的には問題ありません。
こよりを誉めてやってくださいね」
ルイはそう言いながら操縦席の電源を入れる。
「わかった。
で、吾輩は何をするんだ?」
「特に何も。
外に出たらここから出てロボ子先輩を挑発する係でもしてください」
「な、なんだそれは。
吾輩も動かしたいんだが?」
「ちょっと子どもには」
「子どもじゃない!」
等とやり取りしている間に操縦席の電源が入っていく。
「お、明るくなった」
「眼前モニターも異常無し。
では、行きます」
ルイの言葉に頷くラプラス。
「出撃せよ、スーパーホロックス!」
「まんまですね」
ゴゴゴゴゴ!
ラプラスの号令に突っ込みを入れながらルイは、巨大ロボを動かした。
「総司令!
レーダーに反応!」
「どこ?」
「場所はこの近未来都市からすぐのところです」
「まさか、そんなとこまで近づいていたなんて」
オペレーターの言葉に総司令の女性は慌てた声を出す。
「…いえ、反応が違います。
何か別の物体が出現しました」
「別の?」
「はい、モニターに物体も映りました」
「メインモニターに出して」
オペレーターはすぐさまメインモニターに映像を出す。
「な、これは…なに?」
「ラプラス、浮上オッケー
外からロボ子先輩を誘い出してください」
そう言ってマイクをラプラスに渡すルイ。
「ほ、本当に外に出るのか?」
ラプラスはそう言ってしぶしぶ外へのドアへと向かった。
「うわぁ、めちゃくちゃ高いんだけど」
スーパーホロックスの肩の上に出たラプラスは、マイクを片手に、近未来都市の中心にあるビルの方を向く。
『あ~あ~聞こえますか?
こちら秘密結社holoXです。
これから、このロボットで近未来都市を攻撃します。
やめてほしかったらロボ子さんを出してください』
「総司令、何か言ってますけど」
オペレーターが困惑した顔で総司令ロボ子さんに言った。
「ああ~もう、こんな時に限ってあの子達は」
『もしもし、聞こえる?
なんならこっから狙撃するけど』
ロボ子さんにさっきまでいた女性から通信が入る。
「ありがとう、なんとかこっちで対処してみる」
『了解。
ま、聞き分け悪かったたらその時はサポートするよ』
そう言って通信を終える。
「ごめん、こちらにマイク回して」
ロボ子さんがオペレーターにそう言うと、ロボ子さんの前にマイクが降りてきた。
「あ、あ、ラプちゃん、聞こえる?」
ロボ子さんはラプラスに対してメッセージを送り始めた。
『あ、あ、ラプちゃん、聞こえる?』
「お、ロボ子さんから返事きたぞ」
中央ビルから聞こえるロボ子さんの声に、ラプラスは嬉しそうにルイに報告する。
「はいはい、こちらも聞こえてますよ」
『はい、聞こえてますよ、ロボ子さん』
ラプラスはロボ子に返事を返す。
『今、ちょっと立て込んでるからロボットごっこはまた後でもいいかな?』
『はい!?』
ロボ子さんの言葉に驚くラプラス。
「おい、なんかごっこ遊びみたいに言われてるぞ」
「そうですね、こちらの件より重大な事があるのかも」
ラプラスにそうルイが答える。
「それでもだ。
今の驚異は吾輩達だろ」
『ロボ子さん、これはごっこ遊びではないですよ。
本当に都市を攻撃します!』
『はぁ、ラプちゃん本当にごめんね。
今はそれどころじゃなくて。
という訳でごめん、お願いするわ』
そうロボ子はラプラスと違う誰かに言う。
??
ラプラスが不思議そうに首を傾げた瞬間。
ラプラスの背後から紫の手が勝手にラプラスの前を覆った。
「な、なんだ!?」
またも驚くラプラスの前で紫の手が消滅する。
「ラプラス!
バリア!」
ルイの慌てた声が聞こえ、ラプラスは慌てて全面にバリアを展開した。
ダダダン
何かがバリアに当たりそして、その場所が凍りつく。
「これは」
『外したかぁ』
ロボ子さんからではない誰かから通信が届く。
「その声はフレア先輩」
ルイの言葉に『正解、こんぬい~』といつもの挨拶が返ってきた。
ルイは攻撃してきた方をカメラで見る。
近未来都市の一番外側のビルの上に、こちらに向かって銃を構えるフレアを見つけた。
「銃なんか使うんですね」
『まぁね、前からロボ子先輩に頼んでいた特別製』
「それで、なんでロボ子先輩はあんなに焦っているんですか?」
『へぇ、分かるんだ』
「声のトーンで何となく」
『はぁ、本当に総帥はラプちゃん?
ルイちゃんが裏で操ってんじゃない?』
「ははは、そんなまさか」
フレアの言葉に笑うルイ。
『ロボ子先輩の話聞いてみるといいよ』
そうフレアは言った後、通信が切れた。
ルイは少し考えた後、ラプラスにロボ子さんと話をするように提案する。
「分かった」
『ロボ子さん、何かあるんですか?
吾輩達を後回しにしないといけない理由が』
『そ、それは』
ラプラスの言葉にロボ子は返答に困っているようだ。
すると、何か巨大な音がラプラス達の背後から聞こえた。
まだ、距離はだいぶあるが、何かがこの近未来都市に近づいているようだ。
「どうした」
「分かりません、ただ、何かがこちらに向かってきている」
ラプラスの声にルイはモニターを確認しながら答えた。
「総司令。
まだ距離はありますが、例の反応がありました」
「とうとう来た」
オペレーターの報告にロボ子さんはメインモニターを見る。
そこにはこの近未来都市の周りに生息するキングワームが大量にこちらに向かってきている映像が映っていた。
いや、向かって来ていると言うよりは何かから逃げているようにも見える。
「総司令、現れました!
例の生物です」
オペレーターの慌てた声がして、メインモニターにその生物の姿が現れる。
キングワームのさらに後ろに、ラプラス達が乗っているロボの倍ほどある巨体が映し出される。
それは某怪獣を思い出す姿だった。
しかし、その怪獣と違って、かなり太く長い腕を持っている。
「とうとう姿を表したわね、黒帝獣ホロサウルス」
ロボ子はメインモニターに写る怪獣を見ながら、そう呟いた。
「黒帝獣ホロサウルス?」
ラプラスはそうルイに聞き返した。
「はい、こちらのカメラでキングワームの後ろにいる生物を確認しました。
間違いなく五帝の一角、ホロサウルスです」
ルイは冷静にそうラプラスに言った。
操縦室に戻ってきたラプラスもその生物を見る。
「これゴ○ラじゃん」
「いえ、見た目は似てますが、細部や腕が違います」
「そんなもん?
それに五帝ってなに?」
「五帝はこの【ホロライブワールド】に存在していて討伐不可能と言われている5体です。
ちなみに赤竜帝と言われるココ先輩もその一角です」
「そんなのがいたのか。
で、あれは何をしてるんだ?」
ラプラスがルイに聞く。
「たぶん、エサを追いかけているのだと思います」
そうルイが言ったその時、ホロサウルスは前を行くキングワームをその長い腕を伸ばし捕まえた。
そして、ビチビチ動くキングワームに喰らいついた。
「うげぇ、気持ち悪い」
生きたままキングワームを食べるホロサウルス。
ホロサウルスはそのままもう一つの腕も伸ばし、逃げるキングワームを掴む。
ホロサウルスはそうしながら次々にキングワームを食べながらこちらに近づいてきていた。
『ラプちゃん聞こえる?』
ロボ子さんから通信が入る。
『え、あ、はい、聞こえます』
『ラプちゃん達の目的は絆だよね?
もし、協力してくれたらボクの絆あげるよ』
『え?本当ですか?』
ロボ子さんからの提案にラプラスは喜ぶ。
『私の絆もあげるよ』
フレアからもそう通信が入った。
「これはチャンスです。
2人のホロメンから絆ゲットできるなんて」
ルイがラプラスに言った。
『分かりました。
仕方ないので協力します』
ラプラスは相変わらず上から目線で答える。
『ふふ、じゃ、お願いする』
それを分かってかロボ子さんは笑って返答した。
『やってもらう事は、そちらも確認出来てると思うけど、ホロサウルスの足止め。
こちらの準備が出来るまで、ロボットを所持しているプレイヤーと共に耐えて欲しい』
「いけるか?」
ラプラスはルイを見る。
ルイは力強く頷いた。
『分かりました』
『ありがとう。
あと、一般プレイヤーの所持する近未来兵器であるロボットの大きさは、大きくても人の3倍程度、ホロサウルスには到底及ばない。
だから、そちらのロボットを軸にして戦って欲しいの。
指示はそちらに任せるわ。
優秀な指揮官さんもいる事だし』
「えっへん」
ラプラスが胸をはる。
『あ、ちなみにラプちゃんじゃないから』
「ええ!」
ラプラスがガックリと肩を落とす。
ルイはそれを見ながら笑いを押さえた。
『フレア、聞こえる?』
『聞こえてますよ』
『フレアは都市にいるプレイヤーと共に、ホロサウルスが送ってくる眷属を倒して。
GMも手伝いにくるから連携してお願い』
『了解、任せて』
通信の奥でロボ子さんが息を吸う音がする。
そして『では、現時点をもって黒帝獣ホロサウルス撃退作戦を開始します!』
そう、ロボ子さんの力強い声が近未来都市全体に響いた。