ホロライブ・オルタナティブver.IF外伝 ~ラプラスの野望~ 作:天野空
「もう、大丈夫そうだね」
大神神社の本殿から外に出るウサギを見て、大神ミオは声をかけた。
「うん、いろいろとお世話になりましたぺこ」
ぺこらは振り返りミオに頭を下げる。
ぺこらは前回、【幸運眼】を最大威力で使った結果、その反動で超不運になってしまっていた。
その為、大神神社の本殿の中でミオが結界を張り、超不運が収まるまで大人しくしていたのだ。
「あまり無理はしないでね」
「…善処します」
ミオの言葉に歯切れの悪い返事をするぺこら。
結界の中で退屈していたぺこらが、ミオにお願いして占いをしてもらった。
その結果、何かを失うと出たのだ。
そんな不安そうな顔のぺこらにミオは、「占いなんて当たるも八卦当たらぬも八卦だから」と伝える。
ぺこらはそんなミオの気遣いを頷き答えた。
「それでは、帰りますぺこ。
本当にありがとうございました」
そうしてぺこらは神社の外にある階段下まで降りるワープポータルに入っていった。
「ふう、占いなんだし当たるも八卦当たらぬも八卦なんだよね」
ミオは自分があの時引いたカードを見る。
ミオ自身もやはり不安は残っていた。
「それより、いつまでそこに隠れてる気なの」
ミオはカードを腰のバインダーにしまいながら、背後に声をかける。
「やっぱりクロたんみたいには上手くいきませんか。
それともミオ先輩の感が鋭いのかな?」
そう言いながら、本殿の横から博衣こよりが姿を現す。
「ぺこらが心配ならそんなところに隠れてないで、姿を見せて声をかければいいのに」
そう言いながらミオは振り向きこよりを見る。
ぺこらが倒れた時にここに連れてきたのはGM達だったが、ぺこらが回復するまで、こそこそとこよりは様子を見に来ていた。
「ばれちゃってましたか」
こよりはチロっと舌を出す。
「ま、この大神神社はうちの管轄だからね。
それで絶賛お騒がせ中の秘密結社holoXの天才博士がうちに何かご用かな?」
こよりに向かってミオが微笑む。
「よく言いますよ。
【ホロライブワールド】のホロメンの中で1番の情報通な癖に」
こよりも負けじと皮肉っぽく言う。
「まぁね、大体の事は分かってるつもり。
そうね、たまには体を動かすのも悪くないかもね」
ミオは両手をこよりに見せるように開く。
その手は黒い気で覆われていた。
「それが大神の神気ですか…」
ミオの手を見てこよりが訪ねる。
「そう、ほいほい使う物でもないんだけど、たまにはね」
そう言ってウインクするミオ。
「なら、この戦い勝ってミオ先輩の絆をいただきます」
こよりは白衣の中から機関銃を取り出した。
「もちろん弾は特別製です。
いくら神気を纏っていてもダメージは与えられます」
「そう」
こよりの言葉にミオは笑みを浮かべる。
黒い神気がミオを包み、鎧と化す。
頭は狼の形をしたヘルメットのようだ。
「それは楽しみだなぁ」
そして、ホロメン同士の戦いが始まった。
ミオの先制攻撃。
一気に間合いを詰め、右手を振り上げるミオ。
その手の神気は膨れ上がり巨大な爪をもつ手となった。
そのまま振り下ろすミオ。
「くっ」
ドガァ!
間一髪避けたこよりの元居た場所は、ミオの攻撃で地面に爪痕が残っていた。
「やぁ~」
すかさず機関銃を撃つこより。
しかし、撃った先にはもうミオはいなかった。
「遅いよ」
「がはぁ」
いつの間に背後に回ったのか、ミオの蹴りをまともに脇腹に受け吹き飛ぶこより。
そのまま鳥居の柱にぶつかる。
「はぁはぁ」
鳥居にもたれ掛かりながらかろうじて立ち上がるこより。
「強い。
さすがとしか言えないです」
荒い息をしながらこよりは立ち上がる。
「…」
そんなこよりを静かにミオは見ている。
「なら、次はこれです」
機関銃を右手で持ち白衣から左手でバズーカを取り出すこより。
「発射!」
勢いよくバズーカから放たれるミサイル。
ミオはジャンプし本殿の屋根へと飛び上がる。
ミサイルもミオを追いかけるように本殿に向かった。
「誘導弾」
「もちろんです」
背後から声がする。
そのまま機関銃を撃つこより。
ミオはジャンプしそれを避ける。
「逃がしません」
そう言って肩に担いだバズーカを撃つこより。
中から網のようなものが放たれた。
ミオはその飛んでくる網を右手で切り裂く。
その後からこよりの撃つ機関銃を両手で防いだ。
「背中はがら空きですよ」
こよりの言葉と同時に先程のミサイルが、ミオの背中に直撃し爆発した。
爆発の煙から屋根へ落ちてくるミオ。
ダン!
と片手を付いてミオは着地した。
まだ体は大神の神気を纏っている。
(やっぱりこのくらいでは、ミオ先輩にダメージは与えられませんか)
こよりはそう思いながらニヤリと笑う。
ミオは自分の目の前でこちらに機関銃を構えるこよりを見た。
「そんなに見られると、こよ照れてしまいます」
そう言って笑うこよりをミオは黙ってじっと見つめる。
(?
何?
何でこっちをじっと)
こよりは機関銃を捨て、白衣からレーザー銃を取り出した。
引き金をひくこより。
レーザーがミオを狙う。
だが、紙一重で避けるミオ。
そのままレーザーを放ちながらこよりは横に振る。
しかし、そのレーザーもミオは飛び下がりながら避けた。
(なら、次の仕掛けはどうですか?)
突如ミオの周りにワープホールが現れ、ミサイルが飛び出してくる。
その数全部で9つ。
ミオはそれでも慌てず1つずつ手で切り裂いていく。
切り裂かれたミサイルは爆発せずにその場に落ちる。
「な、爆発しないように見極めて攻撃してるんですか!」
それを見て驚くこより。
(だけど、屋根に落ちたミサイルは健在です。
それなら)
全てを切り落としたミオは目の前のこよりに向かおうとした瞬間、落ちたミサイルが大爆発を起こす。
9つのミサイルは連爆しミオは爆発にのまれた。
「やった!
これで」
「やっと見つけた」
「ひぇ」
喜ぶこよりのお腹を背中から、大神の神気を纏ったミオの手が貫いていた。
「がは」
口から血を吐くこより。
いや、血ではない何か黒い液体。
それは異臭を放つ液体燃料だった。
(まさか、やば)
焦るこより。
「見つけたよ、こよちゃん。
まさか、こんなところにいたとはね」
スナイパーライフルを持って空飛ぶ円盤に乗る、こよりの背後にミオが腕組みして立っていた。
「ははははは、まさか見つかるとは」
冷や汗をかきながらこよりはそう呟いた。
そこは大神神社から数キロ離れた空の上。
こよりはそこにある円盤の上から、大神神社にある自分そっくりに作った2体のロボットを遠隔操作していた。
地面から攻撃した1体、屋根の上でミオにやられた1体の合計2体。
「いつ気づいたんですか?」
こよりは背後にいるミオに聞く。
「ん?
それはこよちゃんが、片手でバズーカ持った時かな」
「どうして」
「いくらホロメンがチートだからって、いきなりバズーカ片手で持つキャラじゃないでしょ、こよちゃんは」
「はははは、確かに」
「それにね。
こよちゃんがぺこらが帰った後、出てきた時からなんか別のところから、じっと見られてる感じがしてたの。
それは戦ってる時もずっとね
それで何かおかしいなと思って、観察してた」
「それで黙ってじっと見てたんですね」
こよりはスナイパーライフルを円盤の上に起き、立ち上がる。
「そう、それで目の前にいるこよちゃんが偽物である事は分かったけど、肝心の本物がどこか分からなかった。
でも、最後焦ったね。
そのライフルでミサイル撃ったでしょ」
そう、こよりはこの円盤からライフルでミオの足元のミサイルを狙って撃った。
ここから神社まではかなり遠いが、ロボットのこよりが見ているミサイルへの自動追尾の弾だ、外す事はない。
しかし、それを感づいてミオはこの場所を特定した。
「まさか、こんな距離からの狙撃から居場所がばれるなんて」
「言ったでしょ、大神神社はうちの管轄だって」
そう言われこよりは周りを見た。
周りは山々が広がっている。
「まさか」
こよりは振り返りミオを見る。
「そう、この山々がうちの管轄の大神神社。
大人しくしとけば見つけられなかったけど、動いてくれたお陰で場所が確定できたよ。
もし、町の方から撃たれてたらまだ居場所見つけられなかったかもね」
そう言ったミオは笑っていた。
ポクン
「いた」
「はい、うちの勝ち」
頭を軽くこつかれて頭を押さえるこより。
「うう、いけると思ったのに」
とこよりは拗ねた顔でミオを見た。
「ま、でも楽しかったし、いい線はいってたから、ご褒美に絆はあげよう」
ミオはそう言って手をこよりに差し出す。
「本当ですか?」
こよりは嬉しそうにその手を握った。
「それより、どうやって絆集めてるの?
ホロメンじゃ集められないでしょ」
「それは企業秘密です」
ミオから絆を受け取った事を確認した後、こよりはいたずらっぽく笑う。
「あまり無茶苦茶したらダメだよ」
「はい」
「ふぅ、世話のかかる子達なんだから」
にこやかに笑うこよりを見て、ため息をつきながらミオは言った。
「やっぱりママですね」
「違います!」
こよりはミオのその返事を聞きながら、手元の機械で出したワープホールに入る。
ミオはそんなこよりを温かい目で見送った。