ホロライブ・オルタナティブver.IF外伝 ~ラプラスの野望~ 作:天野空
「えっと、なんでここにいるのでござるか?」
大霊園で第三世代組と別れた後、いろは達は歩いて次の目的地に向かっていた。
その道中思いがけない人物が現れて、何故か同行することになり、いろははその人物を指差してプレイヤーに聞いたのだ。
「えっと、なんか師匠の居場所を知ってるみたいに言われたので」
プレイヤーは頭をかきながらそう答えた。
「はい、シオンちゃんならさっき基地で居場所を調べましたのでバッチリですよ」
そう言ってGMの1人リィスが笑顔で答えた。
「は、はぁ」
(なんでGMと旅してるんだろう、かざまは…)
なにか釈然としないまま3人は【ファンタジー】を旅している。
リィスからの情報だと、目的の相手シオンは【ファンタジー】の第2の町から離れた森の中に住んでいるとの事だった。
「確か迷いの森って呼ばれてる場所ですよね?
師匠ってそんなところに住んでるんだ」
プレイヤーが言うと「はい、そうですよ」とリィスが答える。
「かざまも知ってるでござる。
確か広大な森で無闇に入ると絶対に迷う事になる森でござるよな」
ちょっと意地になりながら言ういろは。
「はい、さすがいろはちゃん、よくご存じで」
嬉しそうに返事をするリィス。
(なんか調子が狂うでござるな)
嬉しそうなリィスを見てそういろはは思った。
それから、3人は何事もなく第2の町に着いた。
ま、道中モンスターが現れたが、ホロメンとGM、武器が壊れたとはいえ熟練のプレイヤーがいれば、相手がいないのと同じだ。
「はぁ、まさかまたこんな旅が出来るなんてなぁ」
第2の町の門を通った時にプレイヤーが呟いた。
「こんな旅?」
いろはは不思議そうにプレイヤーに聞く。
「はい、初めてこのゲームをした時は、こうやってホロメンの人と旅する事があったんですが、世界の危機が終わった後は、ホロメンの人と旅なんてなかったので」
プレイヤー曰く、再度絆を集める時も、場所を教えてもらったり、紹介状を預かって旅しただけで、ホロメンとは一緒に旅をしていないらしい。
「なので懐かしいです」
プレイヤーはそう言って笑う。
「そうでござるか。
ま、かざまもプレイヤー殿と旅するのはこれが初めてでござる」
「私もホロメンの方と旅するなんて初めてで光栄です」
いろはの方を向きながら、リィスはすごくキラキラした目をして言った。
「なるほど」
そんなプレイヤーは何かが分かったようで、微笑んでしまう。
「さ、一旦休憩をいれてから森に向かいましょう」
プレイヤーはそう言って酒場を指差す。
「いいでござるな、そろそろお腹がすいてきたでござる」
「私もです」
そうして3人は近くの酒場へと足を運んだ。
昼御飯がすんだいろは達は、例の森まで向かう馬車に乗った。
乗客はいろは達以外にはおらず、馬車に乗っているのでモンスターにも襲われず、のんびりとした馬車旅になった。
「へい、お客さん、目的地に着いたぜぇ~」
荷台を引いていた筋肉ムキムキのウマ顔男が振り返り、プレイヤーに言った。
プレイヤーはいくらかの賃金をウマ男に渡し荷台から降りる。
いろはとリィスもそれに続く。
「それじゃぁ、またご利用まってるぜぇ~」
そう言ってから周りを見て乗客がいないのを確認すると、馬車は町へと帰っていった。
「【ホロライブワールド】の馬車とはあのようなものなのでござるのか?」
去り行く馬車を見ながらいろはが聞く。
「い、いや、いろんなタイプがありますよ。
今回はたまたまああいうタイプの馬車だったんですよ、たぶん」
プレイヤーも馬車を見ながら言った。
「ちなみにあれはムキムキマッチョタイプと言う馬車です」
そしてわりとどうでもいい情報をリィスは笑顔で教えてくれた。
「さ、気を取り直して森に入ろうと思うんだけど、この森って何も用意なかったら迷うんですよね?」
プレイヤーの言葉にいろはが頷く。
「その点はご心配なく。
私達GMが持つナビを使えば迷わずホロメンの場所に行けます」
「そんな便利なものがあるのでござるか?」
「はい、ただ、ホロメンから妨害とかされているとさすがに使えないんですが」
リィスはいろはを見ながら言う。
いろははそれを罰悪そうに笑って誤魔化した。
いろは達、第六世代組は現在ジャミングをかけており、このナビやレーダーには一切かからないのだ。
「では、リィスさん、道案内お願いします。
先頭は俺が、後方はいろはちゃんお願いしますね」
「心得た」
「はい」
プレイヤーの言葉に2人は頷く。
そして、3人は広大な森へと入っていった。
森の中は外からの見た目とは裏腹に、光が差し込み明るかった。
モンスターも出るには出るが、この3人なら相手にならず難なく先に進む。
リィスが途中先頭になりしばらく進むと、開けた場所に出た。
その真ん中に可愛らしい木の小屋が建っている。
「着きました」
リィスが振り向きいろは達に言った。
プレイヤーは頷き小屋に近づいて、ノックをしようとした瞬間、扉が勝手に開く。
そして「いらっしゃい」と中から魔女のとんがり帽子を被った可愛らしい女性が笑顔で向かえてくれた。
「お久しぶりです。
シオン師匠っじゃなかった、シオンちゃん」
「もう、師匠でいいよ。
いつまでも直らないし」
そう言ってシオンはプレイヤーの後ろを見る。
「これは珍しいお客連れてきたんだ」
『こ、こんにちは』
いろはとリィスは緊張したように挨拶する。
「はは、いいって畏まらなくてもさ。
さ、入りなよ」
シオンは3人を小屋に入れる。
「適当に座ってて」
そう言ってシオンは部屋の奥へと入っていった。
部屋には木で出来た机と椅子、ソファが置いてあり、棚にはちょっとした小物が置かれていた。
「思ったよりないでござるな」
いろはは部屋を見ながら言う。
「何が?」
プレイヤーはいろはに聞いた。
「いや、黒魔術と聞いていたので、いろんな薬や見た事もない素材とかが飾ってあるのかと」
「そういうのは全部、魔術部屋に置いてあるって」
笑いながらお茶を持ってきてくれるシオン。
「ほら、座って」
机にお茶を配るシオン。
「は、はい」
3人は各々椅子に座った。
「それで、シオンに何かよう?」
「はい、そうなんですが、なんで俺達が来たの分かったんですか?」
プレイヤーが不思議そうに聞く。
「それは、GMのナビなんか使えばすぐ分かるわよ。
それって探索された相手にきちんと通達くるんだよ」
「え?そうなんですか?」
プレイヤーがリィスを見るとリィスは無言で頷いていた。
「だから、GMが何用かと思って水晶見たら、キミが見えたから何かあったのかなと思って」
「はい、用事はいくつかあるんですが、まずはこれを」
プレイヤーはアイテムボックスから、折れた鬼切丸を出して机に置いた。
「これはまた派手にやったんだね」
鬼切丸を手に取り見るシオン。
「直す方法をご存じですか?」
プレイヤーの言葉にシオンは鬼切丸を机に置いてプレイヤーを見た。
「まず始めに、折れた先は持ってる?」
「いえ、回収できませんでした」
プレイヤーは鬼切丸が折れた経緯を説明した。
「なるほどね。
コメント集がまた…
結論から言えばシオンが直せる」
「え?本当ですか?」
その言葉にプレイヤーが驚き、いろは達は喜んだ。
「ただし」
『ただし?』
シオンの言葉にプレイヤー達が続く。
「それは折れた先があればの話。
この刀は普通の武器と違って様々なホロメンが加護や力を与えて作られた、言わば激レア武器になってしまってる。
だから、折れた部分が何もない状態から復元して作るのはシオンでも無理」
「そっかぁ」
いろは達はそれを聞いて落胆する。
「だけど」
『だけど?』
再度繰り返すいろは達。
「ある素材を取ってきてもらえば直せる」
「素材?」
「そう、五帝の素材」
いろはの言葉に頷きシオンは素材を伝える。
「五帝と言うと、あの五帝ですか?」
リィスが驚き聞き返す。
「たぶん、その五帝。
ちょうど、その五帝の一体。
いや、1人かな。
いる場所を知ってるから教えわ。
だから、素材取ってきて。
取ってきたら直してあげる」
「分かりました」
シオンの言葉にプレイヤーは強く頷いた。
「まさか、またあそこに行く事になるなんてなぁ」
シオンの小屋から出たプレイヤーがそう呟いた。
「行った事あるんですか?
霊峰 封神山に」
リィスが不思議そうに聞く。
「1回ね。
再度絆を結びに行った時に、第四世代組が宴会するんだと言って一緒に登らされたよ」
「そ、それは凄いでござるな。
あの山は確か【ホロライブワールド】の中でも一番高いと言われている山でござるよ」
いろはも少し驚きながら言う。
「うん、4日かけて登った。
途中2回ログアウトしたなぁ」
懐かしい感じで言うプレイヤー
「では、早速向かうでござる」
「それはちょっと待ってもらおうかな」
いろはが元気に手をあげて宣言した時に、背後からそう声がかけられた。
『え?』
振り向く3人。
そこには。
「クロちゃん?」
いろはが言ったとおり、そこにはちょっとふてくされた沙花叉クロヱが立っていた。