ホロライブ・オルタナティブver.IF外伝 ~ラプラスの野望~   作:天野空

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第29話 五帝討伐とはじめてのきょうどうさぎょう?

「なんで…?」

いろはは、背後に立つちょっと機嫌が悪そうなクロヱに言った。

「なんで?

そんなの分かってるでしょ!

私がシオン先輩好きなの分かってる癖に、抜け駆けしようなんて、いくらいろはちゃんでも許せない」

クロヱは背後から鎌を構えてゆっくりといろはに近づいてくる。

「え?あ、それは、ちょっと待つでござる」

いろはは手のひらをぶんぶん左右に振りながら背後に下がる。

ふと、隣を見るといつの間に木の影に隠れたのか、プレイヤーとリィスがこっそりこちらを覗いていた。

(は、薄情もの!)

じりじり

ゆっくり近づくクロヱ、下がるいろは。

「本当に待つでござる、誤解、誤解でござるから。

かざまは単にプレイヤー殿の武器直しに付き合ってただけで、偶然行き先がシオン先輩のところだったのでござる」

早口で言ういろは。

「プレイヤー?いないじゃない」

周りを見渡したクロヱがもう一度いろはを見る。

(しまった隠れてる)

木の影にいるプレイヤーを睨むいろは。

目があったプレイヤーはリィスに押されてしぶしぶ木の影から現れた。

「ど、どうも」

恐々挨拶するプレイヤー

「ほ、ほら、いたでしょ」

いろははさっとプレイヤーの影に隠れてクロヱに言った。

「プレイヤー」

うわ言のように言うクロヱがプレイヤーを見る。

「ほ、本当だ」

さっと鎌を背中に回してもう一度プレイヤーを見るクロヱ。

「なんだ。

シオン先輩に会いたくて勝手に1人で抜け駆けした訳じゃないんだね」

クロヱは一瞬でプレイヤーとの距離を詰め、プレイヤーの背後にいるいろはに、覗きこみながら言った。

「そ、そういったでござるよ」

いろははプレイヤーの背中を掴んだまま答える。

「なら、今回は許してあげるよ」

さっとプレイヤーから離れるクロヱ。

いろはもプレイヤーの背中から横へと移動した。

「幸せ時間過ぎちゃいましたねぇ」

木の影から現れたリィスが、プレイヤーにそう言いながら横に並ぶ。

「いや、確かにそうかもだけど生きた心地しないって」

前方のクロヱがプレイヤーの背後を覗く時に、かなり体を密着していたのと、見つかるまいといろはがプレイヤーの背中に引っ付いた事を、リィスは幸せ時間と言ったのだった。

しかし、一瞬で首を飛ばす腕を持つクロヱに、至近距離に近づかれたらプレイヤーの言うように生きた心地もしないだろう。

「で、なぜクロちゃんがここに?」

「なぜっていろはちゃん、前回の報告をしに戻ってないでしょ」

「う」

クロヱに言われて、しまったと言う顔で横を向くいろは。

しかしすぐに「報告ならマモリに頼んで…」

「ルイ姉から伝言「報告は第X世代に頼まず自分でする事!」だそうだよ。

それにラプラスも「さっさと帰ってこい」ってわめいてる」

「はぁ~」

それを聞いていろはがため息をつく。

「わ、分かったでござるよ」

いろははプレイヤーとリィスの方に向く。

「短い間でござったが楽しい旅でした。

また、機会があれば一緒に冒険しましょう」

「はい、こちらこそ楽しかったです。

ぜひまた旅しましょう」

プレイヤーは笑顔で伝えた。

「わ、私もぜひその時はご一緒させてください」

リィスは手を差し出す。

その手をいろはは微笑みながら握った。

「あ、ありがとうございます」

リィスも握手した手に反対の手を添えてそっと握り返す。

それを見てプレイヤーはにこにこ微笑んだ。

カチ

いろはは懐から小型の機械を取り出すと、スイッチを入れて投げる。

するとワープホールが現れた。

「では、みな殿しばしのお別れでござる」

そう言って手を振るいろは。

プレイヤーとリィスとクロヱはそれを笑顔で手を振りながら見送った。

 

「ってなんでクロちゃんそっちにいるの!」

ワープホールに入ろうとしたいろはが、振り返りクロヱを指差す。

「うわぁ、あまりにも自然にこっちにいるから気が付かなかった」

「さすがアサシン」

プレイヤーとリィスも隣で手を振るクロヱを見てびっくりする。

「え?

だって、シオン先輩との愛の絆を結んでないから」

「いや、愛って」

すかさずプレイヤーが突っ込む。

「い、いや、何でもないです」

しかし、クロヱにすぐさま喉元に鎌を当てられ、黙るプレイヤー

「なので、ここからは沙花叉が引き継ぐね」

「それ、みんな知ってるでござるか?」

「ん?

あ、大丈夫、大丈夫」

「本当でござるかそれ!」

絶対に許可を取ってない感じの返事に、いろはは半分呆れて半分怒りながら言った。

「ほらほら、いろはちゃんは早く報告いきなよ」

「もう、知らないでござるからね」

そして、クロヱのぶんぶん手を振りながらの見送りを背に、いろはは釈然としない気持ちでワープホールへと入っていった。

「なんだかなぁ」

プレイヤーはその2人を見ながらボソッと呟いた。

 

「さて、邪魔者じゃなかった、いろはちゃんも戻ったし、気分新たにいこうか」

「今、邪魔者って言ったぞ」

「ははは」

クロヱの言葉を聞いてプレイヤーは、リィスに耳打ちする。

リィスはそれに笑って答えるしかなかった。

「確か、霊峰 封神山に行くんだよね?」

クロヱが聞いてくる。

「え、はい、そうだけど。

こっちの事情知ってたの?」

プレイヤーはさっきの話しぶりから、クロヱは事情を知らないと思っていたので驚いた。

「もちろん知ってる。

こっちには優秀な眷属がいるからね」

クロヱがそう言って手のひらを上へ向けて前に出すと、その手の上に突然1匹のぬいぐるみみたいな魚が姿を表した。

「魚?」

プレイヤーとリィスはその魚を見る。

「始めましてではないですよ。

キミとは久しぶりですよね?」

魚はプレイヤーを見ながらそう言った。

「その声、もしかして歌魚レビィ?」

「はい、正解です。

覚えてていただいて嬉しいです」

クロヱの手の上でピョンピョン跳ねるレビィ。

「なるほどな、レビィなら魔法でこちらを探るのくらい容易いか」

「そう言う事」

プレイヤーの言葉に胸をはるクロヱ。

「今は、悪から尾びれを洗って秘密結社のお手伝いをしています」

「それ、あまり変わらないよな?」

「そうですか?」

器用に笑うレビィにプレイヤーははぁっとため息をつく。

「レビィありがとう」

「はい」

レビィはくるっと空中で1回転すると消える。

「というわけで、これをこよちゃんの研究室からくすねてきました」

クロヱは胸元からさっきいろはが使った機械を取り出した。

「ワープ装置?」

「そ、普通は1回のお仕事に1つだけだけどね。

今回はスピード重視だからいくつか持ってきた」

「絶対にさっさと用事済ませて師匠に早く会いたいだけだよな?」

「ははは」

プレイヤーの耳打ちにまたしても空笑いで答えるリィス。

「ほら、そこ無駄話しないで行くよ」

クロヱが装置を操作してワープホールを作る。

「なんか、クロヱってああいうキャラなの?」

「あ、たぶん戦う時は無口なアサシン風にしてると思いますけど、普段は明るく元気なキャラですよ。

それに歌もすっごく上手くて…」

リィスはプレイヤーに嬉しそうに伝える。

「うん、分かったって。

やっぱりリィスって6期生推しじゃない?」

「え?

わ、分かります?」

「うん、めちゃくちゃ分かる。

俺の友達の推しを説明する時の顔と全く同じ」

プレイヤーは微笑みながら言った。

「ははは」

リィスは少し照れた様子で微笑む。

「もう、そこでイチャイチャしてないで、時間押してるんだから早く行くよ」

「いや、イチャイチャしてない。

身の危険感じるような事言わないでくれ」

慌ててプレイヤーがクロヱに言う。

???

プレイヤーが何を言ってるのか分からない様子で、クロヱはプレイヤーを見た。

そして、2人がワープホールのところに来る。

「では、山登りに出発。

といきたいところだけど」

クロヱが振り向き、プレイヤーを見る。

「ばっくばっくばく~ん

秘密結社ホロックスの掃除屋でインターン、シャチの沙花叉クロヱです」

クロヱが挨拶して手を差し出す。

プレイヤーはその姿を見て、その手を握り返す。

プレイヤーの推し一覧にある、クロヱのアイコンが点灯した。

「前回はゆっくりと挨拶っていかなかったからね。

それにあの時は目の前にシオン先輩いたのに、お話出来なかったし」

前回、プレイヤーがクロヱに会ったのは海底神殿での戦いの時だった。

「今回は戦わなくてすんで良かった。

あと、お礼を言わないと」

「ん?」

「闘技場で助けてくれた。

ずっとお礼を言いたかったんだ。

ありがとう」

(気づいてたんだ)

「律儀だね」

そうクロヱは微笑みながらプレイヤーに言った。

「じゃ、行くよ」

『お~』

クロヱを先頭に3人はワープホールに飛び込んだ。

 

 

「はい、到着!」

ワープホールから出た3人は、霊峰 封神山の頂上からの景色を見ていた。

「前回は4日かかったのに」

「まぁまぁ」

プレイヤーの肩をポンポン叩いてリィスが慰める。

「で、ここで何をしたら…」

クロヱがプレイヤーにそう聞いた時、背後に何かを感じた。

(まさか、ここまで凄い圧を放つ相手なんて)

クロヱはそう思いながら振り返る。

プレイヤー達もそれを感じたのだろう、クロヱの背後を見上げる。

「やっぱり貴女だったんですね」

プレイヤーはその姿を見て言う。

「赤竜帝 桐生ココさん」

プレイヤーに言われてココはドラゴンの姿でニヤリと笑った。

 

「まさかもう来るとは思っていなかったですよ」

ドラゴンの姿のまま、ココはクロヱ達に話しかける。

「俺達もこんなに早く来れると思ってなかったです」

プレイヤーの言葉にうんうんと頷くココ。

「シオンパイセンから連絡がさっき来たばかりですし、さすがは第六世代組って事ですかね?」

そう言ってココはクロヱを見た。

「そんな事ないですよ。

しかし、まさか伝説の先輩をこんな間近で見れるとは思ってもみなかったです」

「その割にはわたしのこの姿を見てもまったく動じていませんね」

ココを見上げるクロヱに言った。

「一応、holoXでは掃除屋してるので、このくらいで驚いてたら、仕事になりませんから」

クロヱはそう言って笑った。

「なんかすぐ戦闘しそうな雰囲気なんだが」

「ですねぇ」

プレイヤーとリィスはそんな2人を横から見ながら身震いした。

「で、本題に入りますか?」

ココは首をぐいっと動かしプレイヤーに言った。

「はい、目的は素材回収です」

「OK。

じゃ、やりあいましょうか」

プレイヤーの言葉にココは頷き、その巨体を浮かせて下がり、間合いを取った。

「やっぱりそうですよね」

プレイヤーは仕掛けナイフを取り出し構える。

クロヱもリィスも各々武器を取り出した。

「もちろん、素材は倒して剥ぎ取らないと」

ココはそう言って笑った。

「では、行きます」

プレイヤーの掛け声で戦闘が始まった。

 

先制はココ。

ドラゴン状態のまま、その巨大な口から炎を吐き出す。

「GMチェンジ!

ビッグシールド!」

2人の前にGMスーツを装着したピンクウルフのリィスが出て、召喚した巨大な盾を構える。

炎を防いだピンクウルフの背後から左右に飛び出すクロヱとプレイヤー

そのまま、ココに向かって走る。

そうはさせまいとココは翼をはためかせる。

強風が起こりプレイヤーは足を止めた。

しかし、クロヱは。

(その攻撃、逆に助かるんだなぁ)

先程までいた場所から消え、ココの背後に現れる。

「スキル!」

ココは驚きながらも、クロヱの攻撃をなんとか尻尾で防いだ。

「さすがココ先輩」

後方回転しながら地面に降り立つクロヱ。

そこにすぐさま、尻尾で攻撃するココ。

クロヱはその攻撃を難なく避ける。

「紫電一閃!」

そのやり取りの間に間を詰めたプレイヤーが、技を繰り出しココに攻撃を仕掛けた。

ガン!

その攻撃をココは手の爪で受ける。

「ドリルロケットパーンチ!!」

元気な掛け声と共にピンクウルフが放った巨大なドリル付きのパンチがココに向かって飛ぶ。

ココはそれをもう片方の腕で弾き飛ばした。

間合いを取るクロヱ達。

「決定打はなしか」

プレイヤーは武器を構えたまま呟く。

「そう簡単には通させません」

バサッと羽ばたき、ココが飛び下がり起き上がる。

「く」

強風に耐えながらプレイヤーはココを見る。

ピンクウルフもクロヱも集まってきた。

「さて、どうしようか」

クロヱはココを見ながら聞く。

「作戦ありますか?」

ピンクウルフはプレイヤーを見て聞く。

「さっきココさんが言ってたスキルって?」

プレイヤーがクロヱに聞いた。

(あまり手の内は明かしたくないけど、いっか)

「沙花叉は相手の攻撃に反応して、攻撃を無効化した後、相手の近くに瞬間移動みたいな事ができる。

ただし、全てが無効化できる訳じゃない」

「なるほど…だったら」

しばらく考えた後、プレイヤーは2人に作戦を話した。

「分かりました」

「いいよ、その作戦にのる」

そう言って2人は頷いた。

「そろそろ再開してもいいですか?」

ココは3人を見下ろしながら言う。

「もちろん!!行きます!」

ピンクウルフは巨大な盾を召喚し、頭上に掲げる。

その下にクロヱとプレイヤーも一緒に隠れた。

そのままココに向かって走る3人。

「なるほど、頭上からのブレス対策ですね。

では、これで」

ココはその長い尻尾を振り盾の下をくぐらすように攻撃した。

しかし「いない?」

ココの尻尾は盾の下を通り抜けた。

ガランと音を立てて地面に落ちる巨大な盾。

「まさか!」

頭上を見上げるココ。

そこにはクロヱ達3人がいた。

「いけ!」

プレイヤーはピンクウルフの腰を掴んでいた手を放す。

「ダブルドリルパーンチ!」

両腕に巨大なドリルを装備したピンクウルフが、ココに向かって落ちてくる。

「く!」

咄嗟に羽ばたいて後ろに下がるココ。

「待ってた」

ぞく

ココは背後から感じたことのない圧を感じ、咄嗟に振り向く。

その先にはアイマスクを付けフードを深く被り鎌を振りかぶるクロヱがいた。

その姿に一瞬動きが止まるココ。

そして、最後の一撃がココに放たれた。

ガキン!

「いたぁ~!」

ココの頭を赤竜帝の小手を装備したプレイヤーが攻撃したのだ。

ココは頭を押さえる。

その姿は徐々に人型へと変わっていった。

戦闘終了だ。

「いったぁ~」

人型になったココは頭をさすりながらプレイヤーを見る。

「さすがにわたしの加護がある装備で攻撃されたら、ダメージありますね」

「今の俺にはそれしか思い付かなかったので。

クロヱちゃんやリィスさんならダメージを与えられる武器はあるかも知れませんが、これは俺の武器を直す為だったので、最後は自分で決めたかったんです」

プレイヤーの言葉に、頭をさするのを止めてココは笑顔で彼の顔を見る。

「さすがですね」

ココはそう呟いた。

「しかし、あんな圧を出せるとは思ってもいませんでしたよ」

ココはクロヱを見る。

「もうしませんよ、あんなしんどい事。

ココ先輩を一瞬止めるような圧なんて沙花叉には荷が重すぎ」

「ありがとう、クロヱちゃん」

「約束は守ってください」

そんなプレイヤーにクロヱが真剣な顔で言う。

「約束って?」

ココは変身を解除したリィスに近づきこそっと聞いた。

「シオンちゃんにすごく活躍したって報告する事です」

「なるほど」

クロヱに迫られ、「分かりました」と何度も答えるプレイヤーを見て、ココとリィスは微笑んでいた。

 

「さて、これがキミへの報酬です」

ココはプレイヤーに角を渡した。

「これって?」

「私の抜けた角ですね。

定期的に生え変わるので」

「そうなんですか?」

驚きの事実にプレイヤーは驚く。

それを見てにこにこなココは、クロヱの方に向く。

「次はクロヱ氏ですね」

ココはそう言って手を差し出した。

「え?」

「噂は聞いています。

必要なんでしょ?」

ココに言われて手を取るクロヱ。

「あ、ありがとうございます」

「いえいえ、可愛い後輩の為ですからね。

ただ、他のパイセンが言ってると思いますが、おいたをした時は覚悟決めといてください」

そう笑顔で言うココの目は笑っていなかった。

「き、気を付けます」

 

「では、また」

クロヱが作り出したワープホールの前で、3人はココに手を振る。

ココもその姿を見て手を振った。

そして、3人はワープホールへと消えた。

「これで良かったのですか?」

ココは背後の岩に向かって言う。

「ええ、ありがとう。

元凶を炙り出すにはこの方法しかないの」

岩影に隠れた人物はそういうと、どこかに消えてしまった。

「これが本当の最後になればいいのですけど」

ココは消えたクロヱ達を思いながら空を見上げた。

 

 

「本当にチートアイテムですね、それ」

「そう?」

ワープホールから現れた3人はシオンの小屋の前にいた。

プレイヤーはクロヱの持つワープ装置に言ったのだ。

「ま、回数制限とかあるけどね。

それより早く早く、シオン先輩、シオン先輩」

クロヱに背中を押されて、プレイヤーは小屋の扉をノックした。

「はいはい」

中から声がして扉が開く。

中からラフな私服姿のシオンが現れる。

「めちゃくちゃ早かったね、それとも忘れ物?」

そう言ってプレイヤー達を見るシオン。

にこにこ笑顔のクロヱと目が合う。

「げ」

バタン!

「ちょ、なんで閉めるんですかぁ~!」

ドンドンドンドン!

クロヱの顔を見た瞬間、扉を閉めたシオンに、クロヱは半泣きになりながらドアを猛連打した。

中で何やらドタドタ音がする。

それからしばらくして。

「叩きまくるなぁ!」

とドアが開いた。

そこにはあの魔女っ子衣装のシオンが。

「あれ?」

「シオン先ぱ~い」

「だぁ、近づくな」

シオンににじりよるクロヱとそこまでいやな顔をしてないシオンが後ろに下がる。

「なんでいつもの衣装?」

シオンが着替えた事に不思議そうなリィス。

「あ、ああ、そういう事か」

プレイヤーは何かを分かったのだろう、小屋に入りながら頷いた。

「どういう事ですか?」

部屋の中では、お茶を入れに行くシオンの後ろを、飼い犬のように後ろに付いていくクロヱ。

「あれが本来の師匠なんですよ」

「はぁ」

「前に俺に会う時は、俺が師匠、師匠って言うから師匠モードになってしまうって話してた事があったから」

「なるほど、シオンちゃんはそのモードをクロヱちゃんには見せたくなかったんですね」

「たぶん」

そう2人で話していると、シオンがクロヱを連れて?お茶を持ってきてくれた。

「ほら、沙、沙花叉も座りなよ」

「はい!」

そうして何故か椅子を移動し、シオンの隣に座るクロヱ。

「はぁ。

で、取ってきたの?」

ため息1つシオンがプレイヤーに聞いてくる。

プレイヤーはココからもらった角を見せた。

「へぇ、まじで取ってきたんだ凄いじゃん」

「沙花叉も頑張りました!」

そう言ってプレイヤーにウインクするクロヱ。

「は、はい、めちゃくちゃ頼りになりました」

「本当?なんか言わされてる感があるけど?」

シオンのジト目でも嬉しいのか、にこにこ笑顔を絶やさないクロヱ。

「はぁ、もういいけど。

それじゃ、武器ちょうだい」

シオンに鬼切丸を渡すプレイヤー

「ほら、沙花叉も手伝いなよ」

そう言って席を立つシオン。

「え?

敵の武器を直すのにですか?」

そんなクロヱにリィスがそっと耳打ちをする。

「初めての共同作業」

「やります。

沙花叉全力でその作業手伝います」

「何吹きこんでんのよ」

シオンに言われて「あはは」と笑うリィスを尻目にクロヱとシオンは部屋の奥へと入っていった。

 

濃厚、濃密、そして繊細な作業の為お見せできません(クロヱ談)

 

「ふぅ」

「はぁ」

艶やかな顔のクロヱと疲れきった顔のシオンが現れる。

「ご、ご苦労様です」

「いいけど、はい」

プレイヤーに鬼切丸を差し出すシオン。

「おお、直ってる」

「威力は前のより遥かに上がってる。

沙花叉も何故か途中から乗り気になって、変なギミック付けてたから。

試し斬りは慎重に。

はぁ、疲れた」

椅子に座るシオン。

「ほら、沙花叉も用事終わったでしょ。

早く帰りなよ」

「ええ~

やだやだやだやだやだやだー」

駄々をこねるクロヱ。

それを何故か恍惚な表情で眺めるリィス。

「はぁ、カオスだなぁ」

 

「本当は嫌なんですからね!

それとシオン先輩に何かしたら首飛びますよ!」

クロヱはそう言ってプレイヤーを指差す。

プレイヤーは鬼切丸の試し斬りとその後の調整の為に、シオンのところにしばらく止まる事になった。

リィスは「クロヱちゃんの姿を十分に堪能した」と言って、先にGM本部に帰っている。

「はいはい、それじゃ、お疲れさまでした」

シオンに見送られクロヱはしぶしぶワープホールへと入った。

 

 

「あとさんにん」

 

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