ホロライブ・オルタナティブver.IF外伝 ~ラプラスの野望~   作:天野空

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第32話 最後のホロメン

 

 

「コ レ デ ラ ス ト ダ」

 

 

 

「まさか、また呼び出されるとは思いませんでしたよ」

そこはどこかにある海辺。

岩の上に座り海を見ているその人物にラプラスはそう語りかける。

「そう?

予想はしていたと思ったけど。

もう、絆は後1つでしょ?」

岩に座る彼女はそう言ってラプラスを見た。

「そうですね、吾輩達もあなたの事を探していましたから」

「ここがどこか分かる?」

彼女は辺りを見渡す。

「分かりません。

ここに来たのも、部屋でくつろいでいた吾輩に、レビィが「呼ばれています」と言って連れて来てくれたので」

ラプラスは後ろを見た。

少し離れた場所でワープホールが開かれ、その横にレビィが静かに立っていた。

「あの子とは一度ここに来た事があったから、頼んだの。

もう一人ここに来た事のあるクロヱちゃんを呼んでも良かったんだけど、少し話をしたかったから」

「しんじんが?」

「ええ、貴女が知っているより、彼女は化け物よ?

いえ、holoXの5人がみんなと言った方がいいかな?」

「なんでも知ってるんですね」

「ええ、知ってる。

でも、貴女が知ってる以上の事は話さない。

ヒントはあげるけど」

彼女は岩から降りて今度は岩にもたれ掛かる。

「少しだけ貴女達の成り立ちを話させてもらうけどいい?」

「構いませんよ。

絆を結ぶには会話も大事ですから」

ラプラスはそう言って手を振った。

すると椅子が2つ現れる。

その1つに自分が座り、もう1つを目の前の彼女にすすめた。

しかし、彼女は手で断り岩にもたれながら話し始めた。

「まずはラプちゃんから。

貴女がどうしてそこまで規格外なのか。

それはこの電子空間に存在する超AIを元に素体が作られた為」

ラプラスは椅子に座り黙って聞いている。

「超AIの存在を知った運営が、あらゆる手段を用いて捕獲した超AI。

それを元に貴女の素体が作られた。

しかし、運営が予想出来なかったのが、その素体にリアルのラプちゃんの性格等をコピーした時、捕獲した超AIが素体に侵入一体化した事。

そのせいで、運営が想定してた以上の力を持つホロメン、ラプラスが誕生してしまった。

焦った運営は5つの封印具を使い力を封印したけど、その封印を施した時にそのAIは自分の一部を分離。

それがその頭のカラスよね?」

ラプラスの頭にいるカラスは何も言わず彼女を見ている。

「だからカラスとラプちゃん、貴女達は2つで1つの存在」

彼女に言われてしばらくしてラプラスは口を開く。

「その通りです。

わたしは運営に捕獲された超AIがラプラスと同化した存在。

リアルの自分には明かしていませんがね」

「だから?

貴女が世界征服を成し遂げようとしているのは、リアルでまだ世界征服をしていないラプちゃんへのアピール?」

「…」

「自分がラプラスだとアピールしたいが為かな?」

ラプラスは答えなかった。

そんなラプラスを見て彼女は微笑む。

「次に残り4人の事だけど」

「話させてばかりだと吾輩が退屈ですからね。

ここからは吾輩が喋りますよ。

何を話しても全て知ってるでしょうから」

ラプラスの言葉に今度は彼女が黙ってラプラスを見た。

「鷹嶺ルイ。

あれは情報処理や分析能力が他の誰よりも高すぎる。

リアルのかんぶを元に特徴を合わせて作られたのだろうが、アレは異常だ。

博衣こより。

無から有を作り出す力が、吾輩以上。

本当に何もないところから様々な物を作り出している。

いくら運営から資材を提供されるとはいえ、その比率がおかしい。

風真いろは。

ほぼリアルに似せて作られているが、1つ決定的に違うのは、あれは何かの因子を混ぜられている。

純粋な人属性ではない。

沙花叉クロヱ。

リアルから一番かけ離れているのがクロヱだな。

リアルにほぼないアサシン能力を別に強化インストールされている節がある。

そのせいでアサシンモードになると人が変わったようになる」

「へぇ、思ったより部下の事を見ているんだね」

「一応、総帥ですから」

ラプラスはニヤリと笑う。

それを見て彼女も笑った。

「ほぼラプちゃんの言った通り。

だからこれは補足として教えてあげる。

ルイちゃんはこれまで運営が情報収集してきた、情報処理能力や分析能力を貴女の超AIの一部を使いインストールされてる。

そういう事から言えば貴女の一部でもあるわね、彼女」

「…」

「側にいて安心するでしょ」

「ま、確かに」

ラプラスのなるほどと言う顔に微笑む彼女。

「次にこよちゃん。

あの子はもともと無限に素材を生み出す力と、想像し作る力を与えられてる。

いえ、無限に素材を運営から引き出す権限かな」

「無限に?」

「そう、リアルのこよちゃんに寄せる為に、いつでも研究出来るようにと与えられた権限だけど、それがちょっといや、かなりチート能力だったってわけ。

それが端から見ると無から有を作り出してるように見えてるのね」

「それで、素材を貰うにもお金が必要な筈なのにあんなにポンポン新しいのを作っていたのか。

羨ましい」

「そういうラプちゃんだって、ほぼ無限に何でも作れるでしょ」

「吾輩のは疲れるんです」

ラプラスの言葉に笑う彼女。

「次にいろはちゃんね。

ラプちゃんの言う通り、彼女はリアルのいろはちゃんとは違うわ。

徹底的に違うのは彼女のゲーム内設定で、両親は風魔一族になってるから」

「はい?」

驚くラプラス。

「逸話だけど、風魔一族には鬼の血が流れているって言われてるの。

その設定をあのいろはちゃんは受け継いで、鬼の因子が彼女に組み込まれている。

だから、たまに忍者みたいな事をするでしょ?

あれは幼い頃に両親に風魔忍術を叩き込まれたみたいな設定で、忍術スキルを所持してるのよ。

本人は言いたくないみたいだけど。

それを公表しちゃうとリアルのいろはちゃんとは、別の存在になっちゃうからね」

「まさか、本当にニンニンだったのか」

「これは内緒ね。

インストールされた先の素体が、そんな事になってて彼女真剣に悩んでいた時期もあったから。

でも、貴女達のお陰で今は受け入れ吹っ切れてるみたいよ」

「はじめの頃やたらに引きこもっていたのはそういう事か」

「そして最後、クロヱちゃんね。

彼女もラプちゃんの言う通り、アサシン部分が別にインストールされている。

アサシン集団と呼ばれる人達の情報。

暗殺手段、あらゆる殺人の仕方。

それをまとめて組み込まれたのが彼女よ」

「そんな事したら頭がおかしくなる」

「そう、だから、そうならないようにアサシンモードは時間制限付き。

長時間はそのモードにはなれない。

なると彼女は崩壊してしまうから。

日頃気だるそうにしているのは、その余波ね。

頭の中で通常モードにどうにかして移行しようとしているから。

気を抜くと組み込まれた情報が、普段の自分を侵食してしまう」

「しんじん、そんな素振りは全然見せなかった」

「隠したいんでしょ。

そうやって総帥に心配かけたくないから」

「…」

「さて、お話はおしまい。

これで貴女に伝える事は終わったわ」

「え?」

彼女はそう言って手を差し出す。

「話す事って吾輩達の生い立ちだけ?」

「そう、それを知ってラプちゃん、貴女はこれから戦わないといけない」

「戦う?」

「そう、絆を集めて終わりじゃないんだよ」

ラプラスは差し出された手をとる。

確かに絆を手に入れた。

「今は外とのコンタクトをとれるようにしてるけど、さっきの話は外部と遮断してるから、自分だけにとどめておいて」

彼女に言われてラプラスはゆっくりと頷いた。

「貴女は誰なんですか?」

ラプラスは握手を終え、レビィの待つワープホールに行く途中に振り返り彼女に聞いた。

「私は見た通りよ。

でも、少し貴女と同じかな?」

その言葉を聞いてラプラスは目を閉じ、ゆっくりと目を開けてもう一度彼女、AZKiを見た。

「また、会いましょう。

全てが終わった後で

おつあずき~」

手を振りながら最後にそう言った彼女はまさしくAZKiその人だった。

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