ホロライブ・オルタナティブver.IF外伝 ~ラプラスの野望~ 作:天野空
holoX城の大広間、いつものように5人の女性が集まっていた。
「これで、第一世代組の絆が集まったな」
holoX総帥ラプラス・ダークネスは机の上の画像を見て言った。
画像にはロックの絆一覧が表示されている。
現在は第一世代組と第六世代組のアイコンが点灯していた。
「次の先輩に目星はついているのか?」
ラプラスが右側に座るルイに聞く。
「ええ、これです」
画面の映像が変わり写し出されたのは1枚のチラシ。
そこには『第47回 樹海争闘戦』と書かれていた。
「運営が不定期で行っている大規模なPvPの大会ですね。
その参加者にすいせい先輩、あくあ先輩、トワ先輩が出るみたいです」
「ええ!トワ様が!」
「おほん」
ラプラスの興奮した声にルイが咳払いをする。
「え?あ、うん、なるほどな」
誤魔化すように言うラプラスだが、他のみんなは少し呆れたような顔をしている。
「それで、作戦は?」
「はい、ロックを含めた3人で大会に参加しようと思います」
「ばれないのか?」
「もちろんその点は大丈夫です」
ルイはこよりを見る。
こよりがピースして微笑んでいる。
「後、もう1チームX世代の子達も3人参加してもらおうと思っています」
「補佐的にだな」
「はい」
ラプラスの言葉にルイは頷いて答えた。
「それで、参加は誰がするんだ?」
「ロックのチームは私がロックに、残りはいろはとクロヱで、第X世代組にはマモリ、ベルフェ、アスモの3人に頼んでいます。
それぞれ、こよりの作った変身バッチを装備して姿を変えて参加予定です」
「うむ。では、参加するものは準備を怠らないようにな」
「分かりました」
「分かったでござる」
「は~い、気は進まないけど」
ラプラスの言葉に各々が返事をして解散となった。
その後、ルイは第X世代組の部屋に行き、作戦が正式に行われる事を伝えに行く。
いろははどこかに用事があるのか城から出た。
クロヱも同じく城から出る。
そして、3人は大会への準備に入った。
いろはは1人歩いていた。
そこは【ホロライブワールド】のどの世界とも違う町の裏通り、空は雲に覆われて町には薄く霧がかかっている薄暗い場所を進んでいく。
不釣り合いなその服装だったが、いろはに声をかけてくるプレイヤーはいなかった。
しばらく歩くと地下へと続く階段があった。
いろはは迷わずその地下へと続く階段を下りていった。
降りると目の前に扉がある。
扉をゆっくりと開ける。
「いらっしゃい」
中には様々な武器やアイテムが並んでおり、奥のカウンターには1人の女性店主がいろはを見て言った。
いろはは店の中に入り、店内を見渡す。
「まさか、あんたがここに来るなんてね。
背中に背負ってる長いのの他に何か必要になったのかい?」
女店主はカウンターの上で腕を組み身を乗り出すようにしながらいろはに聞いた。
「ふ、天下の死神様でも、お客には営業トークをするんでござるな」
「ま、ここに来る客は少ないからね。
そのくらいはするさ」
いろはの皮肉のような言葉に女店主は笑って答えた。
「それで、何しに来たんだい、お侍さん」
「今度、ある事情で銃を使う事になったでござるからな。
ここで練習させてもらおうと思ったでござる」
「なるほど」
女店主は少し考え、カウンターから何かを取り出すといろはに見せた。
「これかい?」
それは『樹海争闘戦』のチラシだった。
「まさかこんなところまでチラシが出回っているとは」
「ま、そちらの世界とこちらの世界は条件があるとしても行き来はできるからね。
それに情報も商品になる」
「抜け目ないでござるな」
そう言われ女店主は笑った。
「奥のカウンターから中に入ってついてきな」
そう言って女店主は奥への扉に向かう。
いろはもその後をついていった。
奥の扉の先にはまた地下への階段。
いろはが降りていくとそこには室内の射撃場があった。
「それで何を使うんだい?」
「ハンドガンとライフルを」
「撃った経験は?」
「ゲームで使った事があるくらいでござるよ」
そう言っていろはは笑う。
「ゲーム内のキャラがゲームで使った事があるとはなかなか面白いね」
「確かにいろはは、リアルの風真いろはではなくこの【ホロライブワールド】というゲームの風真いろはでござるが、いろはにはここがリアルでござるからな」
「確かに、それは私も同じだな」
いろはの言葉に女店主は微笑む。
「それじゃ、大会までの時間私が直々に銃の使い方を教えて上げるよ」
「それは心強いでござるよ、死神の技術謹んで学ばさせてもらうでござる」
こうしていろはは死神の女店主に銃の扱い方を学ぶ事になった。
そこは前回の事件でベルフェの使った闘技場。
今は運営によりこのエリアは封鎖され一般のプレイヤーは入ってこれない。
そんな闘技場の真ん中にクロヱは1人立っていた。
闘技場には無数の弾痕や槍や剣が突き刺さっており、巨大な丸太や岩が散乱している。
クロヱは袖から1本のナイフを取り出す。
そして、素早く横へと投げる。
ナイフは透明の糸を切った。
するとどこからともなく弾や槍、剣が飛んでくる。
クロヱはその場で最小限の動きでそれを紙一重で全て避けていく。
それらが終わると次は丸太や岩。
クロヱはどれも掠りもせずに避けきり、また闘技場の真ん中に立つ。
そこにダン!と1発の銃弾が。
クロヱは首を横に倒し背後からのその弾も避けた。
「止めてもらえます?
いきなり撃つの」
クロヱは弾を撃ってきた背後に振り向き言った。
「え?
自分で仕掛けた罠を避けたって練習にならんでしょう」
そう言って弾を撃った人物は銃をくるくると指で回す。
「何をしに来たんですか?」
「え?なんか沙花叉が1人寂しく遊んでるって聞いたから遊びに来て上げたの」
「誰ですかそんなくだらないデマを聞いたのは」
「ま、仲間に耳が大きいのがいるからね」
そう言って笑う人物。
「ふぅ、なら少し遊んでもらいましょうか」
ため息をついたクロヱは袖から一瞬でハンドガンを出す。
「相変わらず暗器として扱ったら何でも一瞬で取り出すね」
相手も拳銃を構える。
「それより、いいんですか?
沙花叉はこの世界をどうにかしようとしている人物の1人ですけど?」
「それはそれこれはこれでしょ。
その時は本気で相手して上げるよ」
そう言って相手は笑う。
「なら、今からは手加減するみたいですね、マリン船長」
「ふふ、先輩だからね。
実力の差は見せつけないと」
「楽しみですね」
ダン!
2つの銃の音がまったく同じで聞こえた。
そして、沙花叉クロヱと宝鐘マリンの遊びという戦いが始まった。