ホロライブ・オルタナティブver.IF外伝 ~ラプラスの野望~   作:天野空

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第9話 PvP大会での暗躍~後編~

『ごめんなさい』

ここは選手控え室。

ルイ達の前に座る第X世代組の3人。

彼女達は決勝戦に進めなかったのだ。

作戦で相手を倒さず逃がして次の相手を探すと言った方法をとっていた為、討伐ポイントが入らなかった。

そして、3人とも倒された為、そこにマイナスポイントが付きさすがに技術ポイントだけでは足りなかった。

「ま、仕方ないですよ」

ルイはそう言いながら微笑む。

「それより楽しかったでござるか?」

いろはが3人に聞く。

3人は満足そうに頷く。

「ま、それならいいんじゃない?」

それを見たクロヱも微笑みながら言った。

「では、3人には私達が決勝戦に出ている間にお願いしたい事があります」

そう言ってルイは3人にある仕事を頼んだ。

 

 

「さぁ、決勝戦。

気合いいれて行くでござる」

アナウンスが流れて第六世代組の3人はステージに上がっていた。

ルイは今チーム代表として番号くじをひきに行っていた。

「警戒するのは2チームかな」

クロヱは周りのチームを見渡しながら言う。

「そうでござるね。

先輩達のホロメンチームと後、GMチーム」

「なんか1人変わってない?」

クロヱはGMチームを見て言う。

「たぶん例の件で中身が入れ替わってるのでござろう」

「それ反則じゃん」

「確かにそうでござるが…」

「ここは静観していた方が得策かな」

ルイが戻って来た。

「どうして?」

「それは私達が今からちょっと悪さするから」

クロヱの言葉にルイは微笑みながら答えた。

「番号は9番でござるか?」

「そう、ちょっと確認したい事があってね」

ルイはこよりに頼んで遠隔でくじを操作してもらい9番を選んだ。

番号順にエリアに入っていく各プレイヤー

ルイ達の番になった。

「行くよ」

ルイの言葉に頷く2人。

そして、ルイ達は決勝戦のフィールドに足を踏み入れた。

 

(聞こえる?)

フィールドに入った3人にある人物から専用通信が入る。

(あれ?こよちゃん)

こよりからの専用通信に驚きながら返事をするクロヱ。

(はいは~い、こよですよ)

(こより、どんな感じですか?)

(うん、ばっちりこっちでは確認できてる。

オートナビ起動しとくね。

こよは実況のお仕事があるので)

そう言って通信が切れる。

「どういう事でござるか?」

不思議そうにいろははルイに聞いた。

「ほら、支給されたレーダー見て」

ルイに言われ2人はレーダーを見た。

「これはかなり簡易レーダー」

クロヱはレーダーを見ながら言った。

「そう、だからちょっとずるさせてもらおうと思ってね」

(ここから一番近いチームは何番のチームでどちらに行けばいい?)

ルイが専用通信で言う。

(お答えします。

一番近いチームは4番。

北に向かってください)

こよりの声で棒読みの説明が入る。

「これって?」

「そう、こよりの作ったオートナビ。

これを使う事で、GMチームと先輩達のチームに当たらないようにする。

あと、他のチームをその2チーム、特に先輩達のチームにぶつけるように誘導する」

「誘導?」

クロヱの言葉に頷くルイ。

「能力は同じだからね。

他のチームも先輩達やGMチームは攻撃する。

でも、私達は予選で圧倒的な成績で抜けている。

そこが今回生きてくる。

他のチームは私達と戦うより他のチームと戦う方がまだ勝てると考える」

「なるほど、それで先輩達やGMを弱らすのでござるな」

「そう。

ま、こっちに攻撃してくる相手はクロヱの回避と私達で殲滅すればいい」

「分かった」

「分かったでござる」

「じゃ、ナビを使いながら先輩達を追い込むよ」

そして、ルイ達の作戦が始まった。

作戦は順調。

クロヱが1人で先陣を切り残り2人は後から続く。

相手は1人で突っ込んでくる相手をルイ達のチームだと分かり、戦いを避けようと動く。

上手く回り込んだりして相手が逃げる方向を調整してトワ達のチームがいる方に誘導した。

中にはこちらに攻撃してくる相手もいたが、クロヱが全ての攻撃を避け、2人がその隙をついて倒すというこれまで無敗の作戦を実行して殲滅した。

(クロヱ、止まって)

ルイに言われ止まるクロヱ。

(どうしたの?)

(GMチームが来てる。

止まって迎撃態勢)

(分かった)

クロヱはその場に止まりGMチームを待った。

ルイ達もGMチームが来る方向の反対側に回り遠距離武器を構える。

しかし、(方向転換した)

そうルイからの通信が入る。

「気づいたでごさるかな?」

「でしょうね。

1人でいるっていうのがある意味私達の目印になってるから」

いろはにそう答えるルイ。

「それじゃ、そろそろ先輩達に仕掛ける」

そうルイが言った。

 

トワ達のチームに向かうルイ達。

ナビからの情報では今このフィールドには全部で4チーム残っていてそのうちの2チームが交戦中だ。

そのチームの1つはトワのチーム。

ルイ達はそこを狙って挟撃をかけるつもりだった。

(見えた)

先行しているクロヱからの通信。

(すいせい先輩1人)

追い付いたルイ達も確認できた。

確かにすいせい1人。

「やっぱり挟撃を仕掛けてきたか」

すいせいは笑顔でそうルイ達に言った。

 

「予想どおりですか?」

ルイはすいせいに相対しながら言う。

「トワちゃんがね、「背後に注意」って言ってたから警戒に来たんだけどまさか予選最強チームが来るとは思わなかったよ」

すいせいはハンドガンを構える。

(こっちの正体はまだ気づいてないでござるか?)

(見た目は完全に変えてるからね)

いろはとクロヱはそうやり取りをしていた。

「どうする?

そっちは1人こちらは3人だ」

ルイはそうすいせいに言う。

「そうだね。

本当ならひくところだけど、正直戦いたいなって思ってる。

予選最強の力見てみたいかな」

すいせいはそう言って笑った。

(どうする?)

(ここで1人倒せれば後々楽だし、絆も作りやすい)

クロヱにそう答えてルイが一歩前に出る。

「では、お相手しますよ」

ルイはハンドガンを構える。

「ありがと」

「え?」

ドカ!

「へぇ、やるねぅ」

そう言って吹き飛ばされたすいせいはゆっくりと立ち上がる。

それは一瞬だった。

ルイが相手をすると宣言した瞬間、すいせいが間合いを一瞬で詰めたのだ。

そして手に持つナイフでルイを攻撃しようとした。

それを横からいろはが蹴り飛ばした。

「本当に同じ能力なのか?」

いろははソードを構えながら言う。

「それはこっちのセリフ。

まさかさっきの動きについてこられるとは思わなかった」

ニヤリと笑うすいせい。

その姿に3人は身震いした。

「これは3人でかかった方がいいかも」

クロヱはルイの横に立つ。

「確かにここで倒さないと後々苦労しそうだ」

いろはも構える。

(絆を作るにはもう少しこちらに注目してもらわないといけないからフォローお願い)

(分かったでござる)

(うん)

「では、仕切り直しさせてもらう」

そして、3人はすいせいに向かって行く。

「これは燃えるね」

すいせいもソードを片手に迎えうった。

なるべくすいせいとルイが戦えるように2人はフォローする。

ルイの場合、ロックに入ってからロークという大会キャラを動かしている為、他の2人より動きが遅い。

「なかなかやるけど他の2人よりは遅いかな」

すいせいはそう言いながらソードでルイに連続攻撃をしかける。

合間にいろは達がハンドガンで攻撃するので、すいせいの連続攻撃はいつものスピードは出てなかった。

(これならさばけるか)

ルイはそう思いながら攻撃を受ける。

そして、(ピコン)と機械音がルイの頭の中に響く。

(きた)

ルイは大会前にこよりに言われた言葉を思い出す。

絆ができたら、頭の中で音がする。

それがこの音だった。

(絆OK)

ルイからの専用通信でクロヱといろはが動く。

今度はフォローではなく本気だ。

「動きが変わったね?」

ルイが後ろに下がり変わりに前に出る2人。

そんな2人にすいせいは言った。

答える変わりに微笑む2人。

互いに接近戦。

いろはがすいせいの前面、後ろからはクロヱが攻める。

2人の攻撃の合間を補うようにルイが中距離攻撃を行う。

まさにすいせいは休む暇がなかった。

そして、すいせいは膝をつく。

「さすがに3人相手はしんどいか」

そのまま腰を下ろすすいせい。

その体は光に変わっていく。

「3人じゃなければ倒せませんでしたよ」

ルイはすいせいに向かっていう。

それは本心だ。

3人で戦えばもっと早く倒せると思っていた。

しかし結果は完全に時間を稼がれた。

こちらに向かう2つの反応。

残りの2人の先輩がこっちに向かっている。

そして、ナビからはもう3人もこちらに向かっていると言っていた。

GMチームだ。

(このままだと乱戦は避けられないか)

ルイはここまで粘られたすいせいに正直恐怖を覚えていた。

(能力は全て同じで特殊なスキルは使えない。

それなのにこれだけやれるとは、さすがオリジナル)

「それじゃ、残りも楽しんでね。

可愛い後輩達」

『え?』

そう言い残し消えるすいせい。

「ばれてるでござるよ」

「ははは、さすがすいせい先輩」

「最後までびっくりさせられます。

さて、残りは2人。

きちんと絆を作りたいですが、GMも来てるみたいです。

まずは様子見をします。

クロヱ囮役を」

「分かった」

「では、私といろはは遠距離からの支援を」

「分かったでござる」

そして、クロヱを残し2人は森へと入った。

 

 

「見つけた」

1人森の中で待っていたクロヱに声がかけられる。

クロヱはゆっくりとそちらを向くと、そこには第四世代組常闇トワが立っていた。

「すいちゃんは?

いない。

あんたがやったの?」

トワはソードを装備しクロヱとの間合いをはかる。

「…」

クロヱは答えずにトワを見る。

トワもじっとクロヱを見ていた。

おもむろにクロヱは首を横に倒す。

「へぇ、今までのやつとは違うって事か」

クロヱが首を倒したのは、トワの背後からクロヱを狙って撃たれた弾を避ける為だ。

普通なら撃ってきた事も分からないようなその死角の攻撃をクロヱは避けていた。

「すいちゃんの敵討ち、させてもらうよ」

トワはそう言って間合いを詰める。

ギャン

トワの攻撃をクロヱはソードで受ける。

トワはそのままお構いなしに連続攻撃を放つ。

クロヱはその攻撃を避けながら、時折くる遠距離攻撃もソードで切り落としていた。

(来た、GMチーム)

クロヱにルイから通信が入った。

クロヱ達の右手の森から白獅子の仮面を付けた男が飛び出してきている。

ルイといろはは白獅子をスナイパーライフルで撃つ。

向こうも森からスナイパーライフルで白獅子を撃っていた。

「これはヤバイでござるな」

いろはは狙われた白獅子を見ていった。

白獅子は撃たれた弾をクロヱのように切り落としている。

それに「く」

ルイはこちらに向かって撃たれた弾をしゃがんで避ける。

白獅子が攻撃を避けながらこちらを撃ってきたのだ。

「このままだと計画が失敗する可能性がある。

出てクロヱのフォローしながらトワ先輩を狙う」

「分かったでござる」

ルイといろはは森から出てクロヱの方に向かう。

「な!」

ルイ達が森から出ると突然白獅子がこちらに向かって方向転換した。

(クロヱが狙いじゃない?

く、誘い出された)

(いろは、白獅子をお願い。

私はクロヱの方に向かう)

ルイは咄嗟にいろはに通信で指示を出す。

いろはは頷きルイの前に出て白獅子を攻撃した。

切り結ぶ2人。

その横をルイが抜け、トワ達の方に向かった。

森からヒーロ達もトワ達の方へ向かって来ていた。

ルイはクロヱと合流。

通信でGMチームの足止めを頼んだ。

クロヱは頷き、ヒーロ達の方へ向かう。

が、そこに横からあくあが森から現れクロヱを攻撃する。

そのタイミングでGMはふたてに離れて、クロヱとトワ達の方に向かった来た。

 

切り結んだ2人が離れお互いを見る。

同じ屈強な男性2人。

なのだが、白獅子はいろはに向かってある名を言ってきた。

「フウマ、風に真って漢字だと書くのかな?」

「さぁ、どうでしょうね」

そう言って笑ういろは。

(やはりこの人)

いろはは白獅子を見てある人物が頭に浮かぶ。

「そっちこそ、白い獅子は覚えがあります」

「そう?よくあると思うけど」

お互いに笑う。

いろはが勢いよく間合いを摘める。

しかし、白獅子はバックステップで間合いを取りながらガトリングを撃った。

手数の多いガトリングだが、その弾の弾道は直線。

いろははそれを見越して回避する。

チラッと横を見る白獅子。

「させない!」

白獅子がルイの方を見たのに気付きいろはは攻撃した。

「さすがに隙までは出来ないか」

それをソードで受け止めながら白獅子は笑った。

 

「やるねぇ、あんた」

ルイと相対するトワが言った。

ルイがクロヱとスイッチした後、ルイがトワと接近戦を行っていた。

「そうですか?

こっちはだいぶ傷だらけですけど?」

はぁはぁと肩を揺らし息をしながら回復薬を使うルイ。

(まだ、絆ができていない。

もう少し粘らないと)

「それに隙をついてちょっかいかけてくる子もいるし」

そう言ってリィスをちらっと見るトワ。

確かにトワの言う通り先程からちょっかいを出す感じでハンドガンを撃ち込むリィスだったが、正直ルイ達の戦いに入ってはこれていない。

「さて、どうしたものでしょうか?」

ルイがトワに向かってそう言うとトワはまたルイを見る。

(なるべくこちらに注意をひかないと)

お互いに睨み合ったまま動かない。

周りからの掩護射撃も今はなかった。

(ピコン)

ルイだけに聞こえる音が鳴る。

(よし、これで)

ルイがにやっと笑い動き出す。

(絆は出来たなら次は…)

「え?」

ルイはトワではなくリィスを狙い動く。

相手は驚き動きが一瞬遅れている。

「な、相手はトワがしてる!」

トワはそう言ってルイを追いかけソードで攻撃を仕掛けた。

(予想通り)

「やっぱり、トワ様は天使ですね。

自分より弱い相手を敵だと分かってても守ろうなんて」

背中から来るトワにルイはそう言うと、リィスにぶつかる瞬間一瞬でリィスの背後に回り後ろから背中で押した。

ルイの動きについていけてないリィスは背中を押され体勢を崩しながら前へ、トワへとぶつかっていく。

咄嗟に受け止めるトワ。

そして、リィスの背後でルイは構えていた小型ミサイルを発射した。

「く」

トワは敵であるリィスを抱きしめ小型ミサイルの盾となる。

そして、小型ミサイルは爆発した。

「トワ様!」

爆発の後、倒れているトワにリィスが声をかける。

「はは、ドジったぁ」

徐々に光になりながらトワは呟く。

「なんで」

「なんでかな、なんか守らないといけない気がしたから」

トワの手を握るリィス。

トワはその手を握り返し光と消えた。

「これは試合ですから、悪く思わないでくださいね?」

あの爆発の中座り込むリィスの背後に移動したルイは、その背にソードを突き刺した。

「リィス!!」

ゆっくりと光に変わっていくリィスにクロヱと戦っているヒーロが叫んでいた。

 

「くそう!」

「行っても仕方ない、もうあっちは決着ついてる」

クロヱそう目の前のヒーロに言った。

ヒーロとは実力差がかなりある。

さっきからの攻撃も1度も当たらずクロヱは時間稼ぎに回避していた。

「なぜ攻撃してこない!」

そうヒーロはクロヱに言った。

ダン!

「うが」

膝をつくヒーロ。

目の前のクロヱはハンドガンを構えていた。

「当てようと思えばすぐにでも当てられる。

ただの時間稼ぎ。

それくらい分からない?」

冷ややかに言うクロヱ。

「…」

ヒーロは最後の回復薬を使いながらクロヱを睨む。

(まだ諦めてない…)

さっきからどこからともなくクロヱに向かってスナイパーライフルの弾が撃ち込まれているが、見てないその弾さえもクロヱは避けていた。

「でも、もう時間稼ぎもいらないか。

目的は後1人」

クロヱはそう呟き、ヒーロの斜め後ろの森を見る。

(さっきから森から狙撃してくるあくあ先輩に出てきてもらうか)

そう考えクロヱはヒーロを見る。

(それにはまずこのGMが邪魔)

「おらぁ!」

ヒーロはクロヱに向かってハンドガンを撃つ。

「バカのひとつ覚え?」

クロヱはその弾を軽く避ける。

ヒーロは諦めず動き続けながら撃ち続けた。

時折、森から撃たれるスナイパーライフル。

しかし、クロヱはその弾をやはり全て避けていた。

(ホントにしつこい!)

その動きを見ていたヒーロは、何かを感じたのかハンドガンを撃った後突如クロヱに飛び掛かる。

「バカ?」

そのヒーロさえも紙一重で避けるクロヱ。

その手にソードを持つ。

「避けると思った!」

ヒーロはそう言ってクロヱの真横で地面を勢いよく蹴る。

そして、そのままヒーロはクロヱに突進してきた。

「!!」

いきなりの事で一瞬クロヱの動きが止まる。

(何?

真横で方向転換?)

その時、クロヱの頭の中で自主訓練した時にちょっかいかけてきたマリン船長の言葉が浮かんだ。

(ま、あらゆる場所からの攻撃を上手に避けられてると思いますけど、全部直線的な攻撃ばかりですからね。

もし、途中で方向が変わる攻撃とかされたら避けきれないかもですよぉ)

(あの時はマリン船長の言葉に「そんな攻撃、今回はないから」とバカにしたように笑ったけど…

まさか、プレイヤー自身がそんな動きをするなんて)

クロヱの腰を抱き締める形で動きを止めようとするヒーロ。

「離せ!」

「白獅子さん!」

暴れるクロヱを押さえながら叫ぶヒーロ。

「く!」

クロヱは白獅子から飛んできた弾丸をソードで切り落とす。

白獅子がいろはとの戦いの中撃ったのだ。

「このぉ」

クロヱは自分を捕らえるヒーロに向かってソードを振り下ろす。

ガ!

背中に突き刺さるソード。

「くそう」

光に徐々に変わるヒーロ。

「え?」

驚いたような声が腰から聞こえた。

光に変わりながら、憎らしげに笑い森から出てきている1人の人物を見るクロヱ。

(白獅子からの攻撃に合わせて撃ってくるなんて、さすがあくあ先輩よく見てる)

その先にスナイパーライフルを構えているあくあ。

(ごめん、先に出てる)

(了解、あくあ先輩引っ張り出してくれてありがとう)

そうルイから通信が入る。

(引っ張りだしただけになっちゃったけどね。

ルイ姉、いろはちゃん後は任せた)

(了解)

2人からの通信が終わり、クロヱは光に変わりながらも自分の腰を掴むヒーロを見る。

「今回はひいてあげる」

そう言い残しクロヱは光になって消えた。

 

「後は私達含めて4人か」

いろはを見ながら白獅子が言った。

少し離れてあくあとルイが対峙している。

ダン!

突如離れたルイにスナイパーライフルを撃つ白獅子。

しかし、弾を大きく外れて明後日の方向に。

撃つ寸前にいろはが白獅子のスナイパーライフルをソードで下から打ち上げたのだ。

「危ないな」

接近戦の間合いで白獅子に言ういろは。

(油断も隙もない)

「そう?」

とぼける白獅子の手にもソードが握られている。

白獅子の不意の攻撃を何とかいろはは封じてはいるものの、あくあ達は白獅子達の方も警戒しなければならないようになっている。

(牽制をする事であくあ先輩の注意がルイねぇに固定されない。

これじゃ、絆が出来ない)

「さすがと言うべきか」

ぼそっと呟くいろは。

「いつまでその喋り方続けるつもり?

そんなんじゃ、本気出せないんじゃない?」

白獅子は笑っていろはに言った。

「べ、別に普段からこんな喋り方だが!」

少しむきになるいろは。

「ふぅん。

おさるはどこかに落としてきた?」

「な、おさるじゃない、ござるでござる!

あ!」

「そうそう、その方が調子でるでしょ。

お侍さん!」

下からソードを切り上げる白獅子。

それを紙一重で避けるいろは。

「はぁ、せっかくの役作りが無駄になるでござるよ」

いろはは呟く。

「はじめからバレバレだったけど?」

「な、そんなことはないでござる!

それを言うなら白獅子どのだって、ぼたん先輩ではないですか!」

そういろはに言われ笑う白獅子。

「それは内緒な」

それから2人は近中距離戦闘をしていた。

いや、いろはがしかけていると言うべきか?

なるべくぼたんがルイの方に牽制をかけないようにしているのだ。

「さすがに接近戦では分が悪いか」

「よく言うでござる、分が悪いのはこちらでござるよ」

近距離と中距離の武器変更が恐ろしく早いぼたんにいろはは押されていた。

それに少し離れるとすぐにあくあ達へと牽制しようとするぼたん。

その度に何とか邪魔をして弾道を外してはいるもののこのままではいずれ弾が命中する。

何合かして距離を取るぼたん。

また、ルイを狙う。

「させない!」

いろははそのぼたんの行動に咄嗟に体が動いていた。

「待ってたよ」

(しまった!)

ぼたんの言葉に目を見開くいろは。

さっきまでハンドガンを使っていたぼたんは、ここまでの戦いで手に入れたガトリングをいろはの目の前に向けていた。

ぼたんは待っていた。

牽制を何度もする事で、牽制する動作をしたら不用意に近づいてくるように仕向けていたのだ。

「く」

咄嗟に防御をするも遅く、ぼたんのガトリングはいろはに放たれた。

手数の多いが威力の小さいガトリング。

しかし、それを連続で撃ち込まれ続ければいくら威力が低いと言えどもダメージは大きい。

そして、スナイパーライフルを構えたぼたんがいろはを狙う。

遠距離までガトリングを撃ち込まれ続けたいろはにそれを対処する力は残っていない。

(すまないでござる。

やられてしまった)

(牽制を防いでくれてありがとう。

後はどうにか頑張るよ)

いろはの通信にそうルイが答える。

そして、ぼたんは引き金を引いた。

ダン!

「隙ないですね」

引き金を引いたその瞬間を狙ってルイが撃った弾をぼたんはあっさりと避けていた。

「さぁ、最終戦するかい?」

ぼたんはそう言ってあくあとルイを見た。

 

 

ぼたんによっていろはは消えた。

残りは3人。

ぼたんはルイを、ルイはあくあ、あくあはぼたんに各々武器を構え硬直状態が続く。

各々2人に視線を移しながら出方を伺う。

誰が初めに動くのか?

動けば狙っていない方にやられる、そんな空間だ。

(さて)

ルイは膠着状態の中考える。

(この中距離戦であくあ先輩の注意をこちらに向けさせ、なおかつあくあ先輩を見ながらぼたん先輩の攻撃を避ける…

今の私にはちょっと無理かなぁ。

どうしたものか)

そんな時専用通信がルイに入った。

(ルイルイ?)

(こより?)

(そう、今解説席から見てる。

膠着状態だね。

それで、ちょっと裏技を使おうと思う)

(裏技?)

(うん、ルイルイが入ってるロックだけど、こちらで遠隔操作してみる。

中に入ってるより動きが悪いかもだけど、時間稼ぎは出きると思うから、ルイルイはあくあ先輩の方を見てて)

(分かった。

でも、かなり異様な感じになるんじゃない?)

(うん、かなり。

でも、ここで絆ゲットできないのも後々ヤバイから)

(OK、任せた)

そして、ルイは言われたとおりあくあを見る。

(何があっても目を離さない)

ダン!

突然均衡を破るようにルイがあくあを撃つ。

咄嗟に避けるあくあ。

その隙を逃さずぼたんはルイを撃った。

しかし、そのヘッドショットを避けるルイ。

(危ない、さすがぼたん先輩。

狙いが的確すぎるよ)

特殊なコンタクトレンズ型ディスプレイを見て操作しながらこよりは思った。

その動きに少し驚いたぼたんだったが、すぐに次を撃つ。

しかし、また避ける。

「な、怖いんだけど!」

あくあもルイを撃つが避ける。

あくあが怖がるのも分かる。

ぼたんが撃っているのはルイの側面。

そしてルイは一切ぼたんの方を向かずあくあを凝視したまま弾を避けているのだ。

ぼたんは止まらずルイを狙う。

たまに被弾はするルイだが腕で受けたりして致命傷はさけている。

(ピコン)

ダン!

ぼたんがルイの目を狙う。

弾はルイの目をかすり潰す。

この3人になって初めてぼたんの方を向いたルイ。

そのルイはぼたんを見てにやっと笑った。

ダダダダ!

その瞬間、あくあのハンドガンの連発がルイに全て当たりルイは光となって消えた。

 

『おつかれさま』

ステージの端で待っていたクロヱといろはが、こちらに戻ってきたルイに声をかける。

「危なかったぁ。

あと一足遅かったら絆作れないところだった」

「ぼたん先輩気づいたでござるか?」

いろはがルイに聞いた。

「どうだろう、はっきりとは気づいていないと思う」

ルイは試合会場を映す巨大なモニターを見る。

「2人ともすごい」

クロヱもモニターを見ながら言った。

「さ、今のうちに戻りましょう。

第X世代組の子達に頼んだ事も気になりますから」

ルイはモニターから目を外し2人に言った。

2人は頷く。

そして、3人は控え室の方に向かった。

控え室までの廊下に人はいない。

(こより、私達は先に城に戻りますよ)

(りょうか~い)

(あまり遅くならないようにでござるよ)

(じゃ、お先)

通信の後、ルイは転送装置を起動する。

そして、3人はholoX城へと帰還した。

 

 

「今回はご苦労だったな」

円卓に揃う5人。

「というか、はかせずるいぞ。

ノリノリだったではないか」

ラプラスはこよりに向かって言う。

「え?

そんな事ないですよぉ。

あれもお仕事の一貫ですから」

そう言いながらも何故か嬉しそうなこより。

「まぁまぁ、まずはいくつか報告を」

そんな2人を制して席を立つルイ。

ラプラスはこよりに言うのを止めて席につく。

「まず1つ目ですが、今回すいせい先輩、あくあ先輩、トワ先輩の絆を作ることに成功しました。

作戦現場にぼたん先輩がいましたが、変身していた為、絆を作るのは諦めています」

ルイの報告を聞いて満足そうに頷くラプラス。

「ま、あの状況でぼたんさんの絆まで狙うのはかなりしんどいだろうからな」

「はい。

あと、そのぼたん先輩ですが、もしかしたら我々の目的に感づいたかもしれません」

「なに!」

ルイの報告にラプラスは立ち上がる。

「最後のあくあ先輩との絆作りの時に、ぼたん先輩が私の目を狙った事。

そして、配信されていた大会の映像を確認したところ、ぼたん先輩があくあ先輩のステータス画面を出して何かを確認しているのが見られました」

「やはり、気づいている可能性が高いでござるな」

ルイの報告にいろはが答える。

「ふぅ、そうなるとこれからの作戦がやりにくくなるかもしれんな」

そう言いながらラプラスは席についた。

「ま、その辺はどうにかなると思うよ。

今開発している研究が上手くいけば絆の作り方も劇的に変えられる」

ラプラスにそうこよりが言った。

「あと、最後に気になる事が」

「まだあるのか?」

ルイの言葉にラプラスは疲れたように答える。

「コメント集の力が使われたのを見ました」

「…」

その言葉にラプラスが真剣な顔に変わる。

「使ったのは誰だ?」

「決勝戦中に第X世代組の3人に該当者を探してもらったところ発見。

しかし、その直後全身真っ白な装備を付けた騎士にその該当者はやられたそうです」

「やられた?」

「はい、白い斬撃を受けて該当者からコメント集の力が消えてなくなったそうです。

その後すぐにその騎士は撤退したそうで、3人は深追いはしなかったそうです」

「それが正解だな。

しかし、コメント集と白い騎士か。

コメント集はこの世界を蝕む力だ。

世界征服が目的の吾輩にとっては邪魔な力。

今度こそ消滅させないといけない」

ラプラスの言葉に頷く4人。

「後は白い騎士の方だが、コメント集の力を消す力を持っているのか。

できればその力を吾輩達も使えるようにしたいな」

「ですね。

現在コメント集の力を消す為にはいくらか時間がかかりますから」

そうこよりは言った。

「よし、引き続き絆集めと平行にその白い騎士の事も調べる事にする」

『了解です』

「では、解散」

ラプラスの言葉の後、1人1人と円卓から離れる第六世代組。

最後に残るラプラス。

「嫌な力が残ってるんだね。

第X世代組からは排除したんだけど」

頭の上のカラスがラプラスに言う。

ラプラス達が先の戦いで第X世代組を捕まえたのは、彼女達からコメント集の力を消し去る為でもあった。

「完全に消したと思ったが、警戒はしないといけないな」

ラプラスは1人呟くように静かに呟いた。

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