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「大きいな…」
私は今、大きな校舎を見上げている。
学校の名は“雄英”。
倍率300倍の学科まである超有名校だ。
何故私がここにいるのかと言うと、勿論受験だ。
私は会場である校舎の中へ向かっている。
辺りを見回すと緑髪の少年が転びそうになっていたりと多少のハプニングはあるようだが凡そ問題ないだろう。
勉強はした。それこそ今日ここに来る前に“帰ったら参考書燃やす”と公言するぐらいにはやった。
実技?なるようになるだろう。
なので、まぁ大丈夫だ。
私はここで、“ヒーロー”になる。
私の
「今日は俺のライヴにようこそ!!!エヴィバディセイへーイ!!!!」
ヨーコソー、と言ってみようかと思ったが、私はあまり自己表現が上手い方では無い。笑われるのがオチなのでやめておこう。
ボイスヒーロー“プレゼントマイク”。試験要項の説明役は彼らしい。
雄英高校“ヒーロー科”実技試験。
その内容は市街地でポイントを割り振られた仮想敵と戦って、破壊。破壊した仮想敵に割り振られたポイントの合計を競うという物だ。
手元の資料を見ながら、注意事項などについて話を聞き進めると、一人の男子が挙手した。
彼の指摘はこうだ。プレゼントマイクの言葉では三種とされた仮想敵。しかし資料には四種記載されている。
おかしいではないか。と。
それと同時に先程見かけた緑髪の少年を叱責した。
確かにブツブツ呟いているが…下手したら同じ学校に入学するかもしれん相手にそれはなかろう。もう少しやんわりとは言ってやれなかったのか。
流石に口に出す事はなかったが、そう思った。
一応プレゼントマイクの言葉にも耳を傾けていたのだが、少し気になる表現があった。
プレゼントマイクは、四種目の仮想敵は倒しても0ポイントであり、“お邪魔虫”そして“マ〇オの〇ッスン”と表現した。
懐かしいゲームを例題に出されたが、問題はそこでは無い。
私の勘が告げている。
この0ポイント仮想敵、この試験の肝だ。
周りは“避ける”つもりのようだが、ヒーローを養成する場所で、ヒーローの素質を一面的にしか見ないということもないだろう。
ヒーロー基本三項、ヒーローの行動の指針とされるソレは“救助”“避難”“撃退”の3つだ。
この試験要項に書かれているのは“撃退”のみ。
目を皿にして確認してもそうであることから、他の二項目は企業の人事考査と同じく“秘匿された採点基準”なのだろう。
そして、救助を必要とするという事はこの“お邪魔虫”は倒されることを想定していない。つまり、倒せない敵だ。
それに対する対応も見られているのだろうと思う。
単なる私の深読みかもしれない。
だが、ヒーロー科最高峰が、こんなところで手を抜くまい。
私はそう信じている。
全力で臨ませてもらうとしよう。
場所は移り、試験会場へ。
敷地内に町を一つ再現する広さと資金力には脱帽する他ない。
試験開始に備えてウォーミングアップなどをしている。勿論私もしている。
試験開始の明確な時間は伝えられていない。
嫌な予感がするので私は僅かな音も逃さないように備えている。
冷えた頭が演算を開始、個性が思考を加速させていく。
ここで、試験中に何をすべきかを定義しておこう。
1、2、3ポイントの仮想敵を撃破することで得られる
存在しない可能性もある救助、避難に関係するポイント。ヒーローを目指す人間が他の人間を見捨てていいはずもないのでポイントのあるなしに関わらず救助活動はするつもりだ。
これで、いいだろう。
空気が震える。
「はい、スタート。」
プレゼントマイクの声。抜けた声だが、間違いなく試験開始の合図。
「攻性演算
備えていた私は他の受験者より一足先に駆け出した。
「標的捕捉!ブッ殺ス!」
現れた仮想敵は1ポイント2体に2ポイントが1体。
「やれるもんなら…」
加速された思考の中で、緩慢に見える仮想敵の攻撃を避ける。
3体いても…こちらは
私の拳が1ポイント仮想敵の胴体を直撃するが、せいぜいが凹むだけ。
だが、ここに第二撃が襲い来る。
「やってみろ!」
「威力が強すぎて対人戦では使えないな…」
本当に、対機械戦特化になってしまった。
残念に思いつつも仮想敵を狩り進める。
私は市街地の奥へ進んだ。
そして、試験時間が残り少しになろうかという頃、“ソレ”は現れた。事前に存在が語られていた0ポイント仮想敵。
その大きさはとんでもなく、5、6階のビルを上回る全高があった。1~3ポイントの仮想敵はせいぜいが3m前後であるにも関わらず、だ。
当然、他の受験者は逃げ一択。
私も崩れる建物の瓦礫に巻き込まれた受験者がいないか探しつつ撤退をする。
道中、身体が透明な女子を助けつつ、周囲に声をかけ負傷者を搬送。更に、仮想敵の足回りを削っておいた。
できることはやった。しかし、試験は終わらない。
計測した限りでは、そろそろ終わるのだが…
「終 了〜!!」
「危ねぇ…」
「助かった…」
口々に安心を吐露していく他の受験者達。
私もあの仮想敵と本格戦闘は勘弁だったので安心した。
直後、大きな音と多量の粉塵が巻き起こった。
脚部を削った事が予想以上に効いていたらしい。
0ポイント仮想敵が物の見事に倒れていた。
「おぉぉぉ!」
歓声が上がった。私含め全員の溜飲が下がったのだろう。
「アンタすげぇな!足止めどころかぶっ倒しちまった!」
帰りの準備を進めていると突如男子に肩をバシバシ叩かれた。
「偶然だよ…それにしても、君も凄かったよ。見たところ、“皮膚を硬化させる個性”…かな?仮想敵をバシバシ倒してた。」
「それを言うなら…っと…」
「私は
「じゃあ梓澤って呼ばせてくれ!俺は
「アハハ…ありがとう。」
目立った怪我もない私と切島は雄英の看護教諭にして“屋台骨”であるリカバリーガールの治療を殆ど受けずにそのまま雄英の最寄り駅まで歩いていた。
「また会おうぜ!梓澤!」
「うん、また会おう。切島君。」
私の雄英受験はこうして幕を閉じた。
火傷覚悟でジャンプに手を出してみました。
作者の檜山です。
プロローグ、どうだったでしょうか?
ヒロアカは伏線等含め最高の作品ですので、それを損なわないように頑張りたいと思います。
圧縮窒素型杭打機の元ネタは“とある”の能力の一つです。