演算演算演算…塩酸?   作:檜山俊彦

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反撃の狼煙…?演算するんだよォ!

 

 

 

side緑谷出久

 

 

梓澤さんの全力の攻撃は、相澤先生(イレイザーヘッド)に伸し掛っていた敵(ヴィラン)によって防がれた。

 

 

それどころか、殴り飛ばされて…

しかも階段脇まで吹き飛ばされて…

 

 

「緑谷ダメだ…流石に考え改めただろ…?」

 

 

峰田くんの言葉も、するりと抜ける程の、恐怖。

 

 

 

すると、モヤのワープゲートが帰ってきた。

 

 

「死柄木弔」

 

 

「黒霧。13号はやったのか?」

 

 

「行動不能にはできたものの散らし損ねた生徒が居まして。一名逃げられました。」

 

 

「…は?」

 

 

深くため息をついて肌を掻き毟る“死柄木”と呼ばれた男。

こんな大それた犯罪を犯すリーダーにしては…

 

 

「黒霧…お前…お前がワープゲートじゃなかったら今頃粉々にしてたよ…流石に数十人のプロ相手じゃ敵わない…」

 

 

苛立ちを隠そうともしないその姿に僕は微妙に違和感を覚えた。

 

 

「ゲームオーバーだ あーあ 今(・)回(・)は(・)ゲームオーバーだ。」

 

 

「帰ろっか。」

 

 

一瞬、訳が分からず思考が止まる。

 

 

「帰る…カエルっつったのか?」

 

 

「そう聞こえるわ。」

 

 

「や、やったぁ!助かるんだ俺たち!」

 

 

「えぇ…でも。」

 

 

蛙水さんも違和感に気づいたみたいだ。

 

 

「気味が悪いは緑谷ちゃん。」

 

 

「うん…これだけの事をしといてあっさり引き下がるなんて…」

 

 

オールマイトを殺したいんじゃないのか!?ここで引き下がったら雄英の危機意識が上がるだけだぞ…?

 

ゲームオーバー…?何だ?何考えてるんだ…コイツら!

 

 

「けども…」

 

 

悪寒がした。とても、強烈な。

 

 

「ナンバーワンとしての矜恃ってヤツを少しでもへし折ってから帰ろう」

 

 

瞬間、“死柄木”の手は梅雨ちゃんの顔に触れる直前で…

想起されるのは、先程崩れた相澤先生の肘。

それが顔面に触れたら、

 

 

その結果は…明確な死。

 

 

でも、それより前に“死柄木”の身体が吹っ飛んだ。

 

 

「やめてよ…大事なクラスメイトなんだ…こんな所で失いたくない。」

 

 

僕達を庇って立つその姿は、先程殴り飛ばさた筈の“彼女”のもので…

 

 

「“死柄木弔”、だっけ?お前の人形に殴られたところが痛くてさ…少し憂さ晴らししたいんだ。だからさ、40秒。軽めのダンスに付き合ってよ。」

 

 

それでも立つその姿は、

 

 

「その脳髄にトラウマ刻んで獄に入れ、敵(ヴィラン)連合。」

 

 

とても、カッコよかったんだ…!

 

 

 

 

side梓澤梓

 

 

「ぐ…」

 

 

マズイ…恐らく意識が数秒飛んでた…

自動探査(オートスキャン)のせいだかお陰だかで飛び起きたけど…

 

 

完璧な失策。あの“脳無”と呼ばれていた敵(ヴィラン)を甘く見すぎていた。まさか圧縮窒素式多層防御(リアクティブサスペンション)をこうも容易く貫通されるとは…

 

 

エンデヴァーの最大火力に耐えられるように式を組んだんだけどな…所詮私では井の中の蛙か…

 

 

にしても、あぁ…寒い。身体が冷(・)え(・)て(・)い(・)く(・)。

いつもの頭だけが冷えていく感覚とは少し違う。

 

 

深い水の中に落とされて沈むような感覚…

少し久しぶりだな。3年ぶりぐらいか…

 

 

でも…3年前や6年前よりずっと浅い感覚だ…水深が、浅い。

多分、少し“眼”を開けば持て余す。

 

 

でも、さ。

だからこそ、今、できる事を。全力で。

 

 

“開眼”の後持続時間は今までの経験から恐らく40秒前後。

その時点で演算を一つ(本筋)に絞れば、“眼”を閉じてもやれる事はある…!

 

 

さぁ立て…!

挽回の時間だ!

 

 

閉じていた目を見開き、もう一つの眼も“開いて”今まさに敵(ヴィラン)に襲われている緑谷君達の元へ文字通り“跳んだ”。

 

 

 

side Re 緑谷出久

 

 

「ちょっとダサいな…考え直そう。ところで緑谷君。峰田君。蛙水さん。大丈夫?」

 

 

振り返ったその時、一つだけ疑問点が。

 

 

「その眼…!」

 

 

「それについての詮索は後でお願いね!」

 

 

梓澤さんの眼は、金色に輝いていた。

 

 

「クソが…脳無…!そのガキをやれ!」

 

 

“死柄木”の憎悪と怒りの声に反応して動く敵(ヴィラン)。

 

 

「ひっどいな…センス皆無だったとはいえレディの誘いを蹴るなんて。」

 

 

そう言ってやれやれとため息をつく梓澤さん。

そのまま迫る敵の一撃を、後ろに下がって“避けて躱した”。

 

 

「気分はさながら闘牛士ってとこかな…」

 

 

嵐のように繰り出される連打を、見る限り殆ど当たるか当たらないかの所で躱している。後ろ、右、左、見えるだけでももの凄い速度の応酬だった。

 

 

「何してる脳無!やれ!もっとだ!」

 

 

“死柄木”の言葉で速くなった拳の速度を見た梓澤さんは嫌そうな声で呟いた。

 

 

「おっと、これ以上はキツいんだよね…だからさ。」

 

 

そのままスっと横に回り込んで、驚く程自然に敵(ヴィラン)に足払いをかけた。

 

 

「君、空中遊泳に興味はある?」

 

 

軽い調子で放たれた一言と共に、“脳無”と呼ばれた敵(ヴィラン)が体勢を崩した。摩擦なんてないかよように、あっさりと。

そのまま放たれた拳が地面を抉り土煙を起こす。

しかもその後すぐ土煙を突き抜けて、“脳無”が宙に飛んだ。

 

 

四肢が宙ぶらりんで、誰かに投げられたんだと思った。

その瞬間その更に上を取った梓澤さんが踵落としを“脳無”の背中に入れた。

 

 

「落ちろ。」

 

 

鳴り響く轟音と共に音を立てず静かに地面に着地した梓澤さんは、そのまま一言。

 

 

「思ったより簡単に調理できたな…」

 

 

「この…チートがァ…!」

 

 

肌を掻き毟り怒りと不快感を顕にする“死柄木”。

そこに、更に梓澤さんが一言。

 

 

「そして、臨時ニュースだ死柄木弔。今ちょうど我らが英雄の到着だ。」

 

 

その瞬間、入口の扉がブチ破られた。

その姿に絶大な安心感を。だけど、その顔を見て一抹の不安を覚えた。“笑っていない”平和の象徴が、到着した。

 

 

 

 

「もう大丈夫…私が、来た!!!!」

 

 

 

 

「あ”ぁ”…コンティニューだ…クソが…!」

 

 

 





ようやっと最初の伏線回収…なんと遅き事か。

第11話、どうだったでしょうか?

初出の技の数々について、ここでは解説してみたいと思います。

自動探査(オートスキャン)
意識が途切れた際自分の身体状況を簡易的にチェックする技。(技なのか…?)

梓が飛び起きたのは勝手に自分の身体を見られてる感覚がかなり気持ち悪いから。


圧縮窒素式多層防御(リアクティブサスペンション)
言葉通り、圧縮窒素で複数の防壁を張る技。
他の人を守る救助用の技は別にあり、この技はあくまでも梓本人のみを守るもの。


全5層で構成されており、この頃のエンデヴァーの“赫灼熱拳プロミネンスバーン”なら5層でなんとか耐えられる仕様。


しかしオールマイト並のパワーを持つ“脳無”には通じず一撃で5層全てを紙屑同然に突破された模様。



ご精読ありがとうございました。
よろしければ評価。感想よろしくお願いします。

USJ襲撃編終了後、一つだけ幕間を書きたいと思っています。誰目線がいいでしょうか?

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