side緑谷出久
「さてと
「衰えた…?嘘だろ?完全に気圧されたよ…よくも俺の脳無を…!チートがァ!」
「全っ然弱ってないじゃないか…!
苛立ちを隠さず、首をガリガリと掻く死柄木。
「どうした?クリアとかなんとか言ってたが…」
「出来るものならしてみろよ!」
言葉にならない叫びをあげて動きを止める死柄木。
でも…!
出る幕じゃない。そう言う轟くん。それを聞いて、思う。
アレは…オールマイトのあの気迫は虚勢だ。
僅かにだけど、土煙に紛れて変身時の白い蒸気が出てしまっている。
もう活動限界が1分あるかも分からないんだ…!
すると、肩を叩かれた。
思わず振り返ると、そこには梓澤さんがいた。
先程まで梅雨ちゃんに担がれていた筈…!
「どうして…!」
「やりたい事が、あるんじゃない?相澤先生。預かるよ。」
その、僕の心を見透かしたような言葉に、目を見開く。
そして、決断した。
「お願い。」
慎重に、相澤先生の体を梓澤さんに受け渡した。
「任された。」
目線をオールマイトに戻すと、今まさにモヤの
今、ここで、僕だけが知ってる
思わず、“全力”で…OFAの100%で地面を蹴飛ばしていた。
殆ど近くまで迫れたけど、足が、折れた…!
それでも、今は…!
実体化してる、黒霧の胴体を…!
「オールマイトから、離れろ!」
僕の目の前に現れたのは、死柄木の手。
ワープゲートか!
「浅はかな!」
触れられれば“死”。回避は不可能…
諦めかけた瞬間、死柄木の手に弾丸が刺さった。
「来たか…!」
オールマイトが振り向く。
「ごめんよ皆。遅くなったね。動ける者をかき集めてきた。」
僕らが待ち望んだ、その声は。
「1ーAクラス委員長、飯田天哉!ただ今戻りました!」
USJのゲートに集まったのは数々の雄英教師達。その全てがプロヒーロー。
「あ”あ”来ちゃったよプロヒーロー。ゲームオーバーだ。帰って出直すか…ッ!」
身体に銃弾を打ち込まれ、余裕を崩す死柄木。
ワープゲートで逃げようとした、その時。
「引っ張られる…?」
13号先生が吸い込んでいる。
先生の“個性”なら吸引が…!
「今回は失敗だったけど…次は殺すぞ。平和の象徴…」
でもこのままじゃ死柄木が逃げる方が速…ッ!
その瞬間、死柄木が
「空間の接続が…断ち切られた…?」
驚愕を隠せずにいる黒霧。
そのまま“風”が吹くと、2人共、気絶するかの様に倒れた。
それを見たプロヒーローが即座に捕縛にかかる。
それを見て、思う。
「何も…出来なかった…!」
プロが相手にしている悪意は、僕らにはまだ早すぎる経験だった。
「そんな事はないさ…」
その声に、思わず反応する。
「あの数瞬が無ければ、私はかなり危なかった…」
「
その言葉に、万感の思いを込めて。
「無事で…よかったです!」
でも、この一件がこの後続く大事件の始まりだったけど、この時の僕には知る由もなかったんだ…
side梓澤梓
警察も到着し、敵達は
頭がズキズキと痛む。
最後の最後、
このUSJ一帯を5秒の間“隔離アドレス”に設定した。
もっと言えば、空間を跨ぐような干渉が内外両方からできない様にした。
そしてそのまま黒霧、死柄木両名の肺に窒素を叩き込んだ。
火災ゾーンの
「梓澤、大丈夫か…?」
「あぁ…ごめん、轟…」
「“眼”を…
「あの
昔読んで脳を焼かれた小説。そこに出てきた瞳から名を拝借したこの力は、推測は立てられるものの、結局何なのか分かっていない。
任意に発動可能なのだが、操作が自由にできる訳では無い。
“水に沈むような感覚”の深度によって引き出せる力の大きさが変わるが、具体的にいつどうやって感じるのかも分からない。
“個性”なのかどうかも分かっていない。
謎の力だ。そしてできるだけ頼りたくない力でもあった。
その理由を轟は父親から聞いたのだろう。
それにしても、かなり眠い…
「ごめん、轟…あとは任せ…た…」
眠気に抗えず、瞼が落ちる。
あぁ…今度、茶葉買い足さないとな…
side Re 緑谷出久
「今回は事情が事情だけに小言も言えないね…」
保健室に運び込まれた僕は、同じく治療中のオールマイトと話していた。
「私また活動限界早まったかな…一時間ぐらいはまだ欲しいが…」
「オールマイト…」
「まー仕方ないさ!こういう事もある!」
すると、ノックの音がした。
「失礼します。」
「久しぶり、オールマイト!」
「塚内くん!!君もこっちに来てたのか…!」
僕は入ってきた人にオールマイトが平然とトゥルーフォームを晒している事に驚いた。
「あぁ、大丈夫。何故って?彼は最も仲良しの警察。“塚内直正”くんだからさ!」
「ハハッ、なんだその紹介。」
塚内さんは苦笑しつつも、オールマイトから
「待った、待ってくれそれより…生徒は皆無事か?相澤…イレイザーヘッドや13号は!?」
塚内さんは「相変わらずだなぁ」と言いたげにため息をついた。
「生徒はそこの彼と別室にいる女子生徒が一人。それ以外は軽傷数名だけ。教師2人はとりあえず命に別状なしだ。」
「3人のヒーローが身を呈していなければ生徒達も無事じゃあいられなかっただろうな…」
その言葉にホッとする。でも別室の女子生徒…梓澤さんかな…?
「そうか…しかし、1つ違うぜ塚内くん。」
「生徒らもまた戦い、身を呈した!こんなに早く実戦を経験し、生き残り、大人の世界を、その恐怖を知った1年生など今まであっただろうか!?」
「
オールマイトはサムズアップして、「そう確信している。」と締めくくった。
「では、私は上の階に。」
「あの子に長いこと聴取するんじゃないよ。」
「わかっています。それでは…」
塚内さんはそう言って保健室から出ていった。
「リカバリーガール。上の階というのは…梓澤少女ですか?」
「その通りさね。かなり無理をしていた…あの子の主治医に何度も頭を下げられたよ…今から診察だね。」
主治医?
「彼女も守るべき生徒の一人です。よろしくお願いします。」
「わかっているよ。弟子もいるのだし、今回はもう休みな。オールマイト。」
そう言って、リカバリーガールも保健室を出ていった。
疲労がドッと溜まった僕の意識はこの後すぐ途切れてしまった。
梓の“眼”の元ネタは某無限の成層圏からでした。
第12話、どうだったでしょうか?
USJ襲撃編が終わりました。
アンケートの結果から、“轟焦凍目線”で、幕間を書かせて頂きます!皆様、投票ありがとうございました!
投稿は明日0時を予定しています。
最後に、ご精読ありがとうございました!
よろしければ評価、感想よろしくお願いします!
USJ襲撃編終了後、一つだけ幕間を書きたいと思っています。誰目線がいいでしょうか?
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芦戸
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蛙水
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飯田
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麗日
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上鳴
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切島
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口田
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砂藤
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障子
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耳郎
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瀬呂
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常闇
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轟
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葉隠
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爆豪
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緑谷
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峰田
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八百万