side梓澤梓
四限目の現代文が終わり、昼休み。
「なんだかんだテンション上がるな!オイ!」
「ここで目立てちゃプロへのどデケぇ一歩を踏み出せる!」
他にも飯田君、麗日さん、他にも皆それぞれが雄英体育祭に向けて盛り上がっていた。
私はそれを横目に欠伸をかみ殺してから
水筒をリュックに落として、そのまま深く息を吐いた。
そこに声がかかる。
「梓澤。昼飯、行くぞ。」
「わかったよ。行こうか。」
いつもより機嫌の悪い轟。まぁ大概
席を立ち、2人で廊下を歩く。
「なぁ………どうだった?」
要領を得ない質問に軽く首を傾げる。
「…結構曖昧な質問だね。自覚症状のこと?」
「…そうだ。」
「それなら昨日の内にわかったよ。」
「……早ぇな。」
返答が一拍遅れた。
恐らく
『少ない期間で分かった=日常生活に支障が出た』
と考えたのだろう。
そこまでじゃないんだけどなぁ…
まぁ、少し陰鬱な気分にはなったけどね。
「気にしなくても大丈夫。今の所生活に支障無いから。」
「なら、いい。」
それに、何故か轟に言いたくなかった。
心の中で自嘲する。
覚悟を決めた筈なのに、どこかで…
そこで、ふと聞こえたのは
「デクくんなんだろね。」
麗日さんと…
「オールマイトが襲われた際、一人で飛び出したと聞いたぞ?その関係じゃないか?」
飯田君か。
緑谷君は聞く限り別件らしい。
「蛙水くんが言う通り、超絶パワーも似ているしオールマイトに気に入られているのかもな。」
今の時間、“オールマイト”という単語。
オールマイトから昼食に誘われた…?
最初の戦闘訓練を思い出す。
一組目の最終盤、オールマイトは緑谷と爆豪の衝突を止められた筈なのに止めなかった…
それを思うと、有り得そうで少し納得した。
案外、師弟関係だったり…
そう思い、されど少し辟易とする。
平和の象徴が分かりやすい弟子を取ること以上に、
私の隣には隠れて怒気を発する轟の姿があったからだ。
私はそんな轟を宥めつつ、蕎麦を受け取った。
轟も蕎麦を受け取り、席に着く。
「「いただきます。」」
蕎麦を食べ始めると轟の態度が少し軟化した。
好物を食べたことで少し落ち着いたらしい。
2人で黙々と蕎麦をすする。
すると、轟が口を開いた。
「なぁ…自覚症状の内容って…どんなだ?」
唐突な言葉に息が詰まり、感情の整理が追いつかなくなる。
「ゴホッゴホッ…どうしたの?いきなり。君の質問はいつも突然だから別にいいけどさ。」
嘘だ。知られたくない。
心の中で得体の知れない恐怖が渦を巻く。
「すまねぇ…でも知っとかなきゃいけねぇ…じゃなきゃ俺は…」
そこで言葉に詰まる轟。
「言いたい、けど言えない」という所か。
いや、「言いたいことが分からない」の線もあるか。
ハハッ…なんて酷い現実逃避だろうか。
「ごめん。」
でも、
「今は…言えない。」
今は。
「そうか…分かった。」
何も知らないままで、いて欲しい。
「悪かった。先、戻っとく。……そんな顔も、するんだな。」
急いで蕎麦を完食した轟が言った言葉に理解が追いつかない。
私は、一体どんな顔をしているのだろう。
今、手鏡が無いことに何故か安心しつつ、暫くしてから私も蕎麦を食べ終えた。
かつて間違えて口に入れたしまった、輪ゴムみたいな感触だったと思いつつ。
そのまま五限、六限と続いた。
珍しく冴えた目でヒーロー基礎学を終えた放課後。
1ーA教室の扉の前に数多の生徒が集まっていた。
「出れねーじゃん!何しに来たんだよ!」
「敵情視察だろ。ザコ。」
「
爆豪の傲岸不遜な物言いに峰田君が指をさして震えている。
緑谷君曰く“あれがニュートラル”らしい。
「意味ねぇからどけ、モブ共」
「知らない人のこと取り敢えずモブって言うのやめなよ!」
飯田君。私もそう思う。
そして緑谷君は先程からアワアワしっぱなしだ。
「どんなもんかと見に来たが、随分偉そうだなぁ」
すると、集団の後ろから声がした。
「ヒーロー科に在籍する奴は皆こんななのかい?」
前列の人達を掻き分けて一人の男子生徒がこちらへ歩いてくる。
爆豪の噛みつきを意に介さずそのまま言い放つ。
「こういうの見ちゃうとちょっと幻滅するなぁ…」
そのまま爆豪の前に立った男子生徒はそのまま言葉を続けた。
「普通科とか他の科ってヒーロー科落ちたから入ったって奴。結構いるんだ。知ってた?」
「体育祭のリザルトによっちゃあヒーロー科への編入も検討してくれるんだって。逆もまた然りらしいよ。」
「敵情視察…?
少なくとも俺は調子乗ってっと足元ゴッソリ掬っちゃうぞーって言う宣戦布告しに来たつもり」
そう、中には虎視眈々と
彼もその一人なのだろう。
「隣のB組のモンだがよう!
これは…爆豪め、かなりヘイトを集めてくれたな。
その本人は…オイ。何勝手に抜け出そうとしてるんだ?
「待てコラ!どうしてくれんだ!おめーのせいでヘイト集まりまくちまってんじゃねぇか!」
ナイスだ!切島君!
「関係ねぇよ。」
「上に上がりゃ。関係ねぇ。」
爆豪はそう言い残し人垣を押し退けて帰った。
そうするとゾロゾロと人垣も消えていく。
帰宅したか、己のクラスに戻ったのだろう。
爆豪の言葉は、分からなくもなかった。
体育祭まで二週間、私も手札を増やさねば。
A組、B組のヒーロー科だけでなく数多の生徒が相手だ。
成長の遅れは即ち後退になってしまう。
そう思って席を立って周りを見回す。
いつの間にか帰っていた轟の席を一瞬見て、その後校舎を出た。
めちゃくちゃ間空きました…すみません。
これからはこのぐらいがデフォになってしまいそうです。
第十五話、どうだったでしょうか?
アレは嘘だ。
…すみません。普通に入れるタイミングが見つかりませんでした。今のプロットでは早くて職場体験編になってしまいそうですので、妄想しながらお待ち頂けると幸いです。
最後にご精読ありがとうございました。
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