side梓澤梓
「最下位除籍って…入学初日ですよ…!いや、初日じゃなくても理不尽すぎる!」
「自然災害…大事故…身勝手な敵達…いつどこから来るか分からない厄災。日本は理不尽に満ちている。」
「そういう
「放課後ファストフード店で談笑したかったならお生憎。これからの三年間、雄英は君達に全力で苦難を与え続ける。」
「
私はそろりと円から出て、生徒側に並ぶ。
「さて、デモンストレーションは終わり。こっからが本番だ。」
除籍回避を懸けた体力テストが始まる。
第一種目『50m走』
圧縮窒素を足裏、掌から噴出。
某鉄の男のような飛行形態だ。
記録は…3秒57。
クラス全体から見れば飯田君に次いで上位だが、満足はできない。改善の余地はある。
第二種目『握力』
左手を、振る。
これで“取っ掛り”ができた。
ちょうど無風になったせいで、少し手間が増えたが…
メシャコッ!
記録…702kg
間違いなく一位だと思ったが、上には上がいるらしい。
一位の女子生徒、万力を生み出しているが…他にはどんな物を作れるのだろう。
第三種目『立ち幅跳び』
先程と同じく4点から圧縮窒素を噴出した。
軽く浮いて少しづつ進んでいると、相澤先生から声がかかった。
どれだけできるか、と問われて処理落ちまで5、6時間は保つと伝えると私の記録は“∞”になった。
これは間違いなく一位だ。並ばれる事はあっても抜かされることは無い。
ようやく首席らしい成績を残せて安心した。
列に戻り、皆の測定を見ていると、一人の男子生徒に話しかけられた。
「久しぶりだな。梓澤。」
「そうだね。久しぶり。轟。」
彼の名は“轟焦凍”。
私のパトロンであり、この国のナンバーツーヒーロー“エンデヴァー”の息子だ。
まぁ、彼は父親のことを蛇蝎のごとく嫌っている。
私も嫌いだ。まぁしかし使える物は使わないと。
兎も角、彼と直接会うのは3年ぶりになる。
「…なんで、本気を出さねぇ。」
「本気かぁ…『調律』のこと?」
「それもそうだが、そもそも“眼”を開いてすらないだろ。」
…なんというか、買いかぶりだ。
そもそも『調律』は発想してから3年以上経つ今でも安定発動ができない。
轟の言う“眼”を開けない事が最大の原因だ。
半年前、エンデヴァー立ち会いの元『調律』を使った時、“眼”を無理矢理開いたために制御を誤り局所的な重力崩壊を引き起こしかけた程だ。
「出せないんだよ。本気。今もまだ制御出来ない。」
「じゃあ、3年前の“アレ”は
「…制御の修練はしてるけど…「轟、次はお前だ。
いつの間にか轟の番になっていたらしい。
「…わかった。」
私は小走りで向かう轟を見送りつつ、次の種目の用意を進めた。
第四種目『反復横跳び』
また風が吹き始めたのでもう自分で取っ掛りを作る必要も無い。
窒素を用いた高速機動で一位を目指す。
私の臓器にそこそこの負担を与えつつも、所定の性能を発揮して…
記録…156回
やっぱり自分にかかるGの軽減が課題だな…
口から零れる血を腕で拭って周りを見る。
種目が半分終わって、今までに出た記録を振り返ると一人だけ“平均的”な生徒がいた。
教室にあった席順表を思い出す。名前は…緑谷君か。
彼はどこも突出しておらず、また記録が優れている訳でもない。
このままではマズイと思う。
そしてここで懸念点が1つ。
相澤先生の除籍の話は恐らく事実だ。
去年、雄英の一年生が一堂に会するのを見たが、募集要項より人数が足りないクラスがあった。
どうなる…?
第五種目『ボール投げ』
持久走に向けて体力を温存するために、配分を気をつけて投げた。
記録…1027.9m
しかし上には上がいる。
麗日さんの記録“∞”に抜かされてしまった。
個性“無重力”…少し式を組めないか試してみようか。
と思っていると、緑谷君の番だ。
すると、第一投は…46m?
本人がショックを受けている…何が…
「見ただけで相手の個性を抹消する“個性”…!」
「抹消ヒーロー“イレイザーヘッド”!」
イレイザーヘッドはアングラ系ヒーロー。即ちメディア露出を嫌うヒーローなのだが…雄英に勤めていたとは…
そして彼の個性は“抹消”。見ている間変形系、発動系の個性を無効化する。その個性を使って緑谷君の個性行使を止めたのだろう。
それにしても緑谷君…ゴーグルだけで分かるのか。
凄いな…
しかし何らか指摘を受けてまた円に戻っていく。
その手から球が投げられて…突如生まれた爆風に私はたたらを踏んだ。
直前の様子を思い出すと指が離れるのが先程より遅かった。
視線を戻した私が見たのは、泣きながら相澤先生に宣言する緑谷君。
「先生…!まだ、動けます!」
それにしても、指が腫れ上がって…
変色までしている。力に耐えきれず自壊したのか…?
なんて…ムチャクチャな…!
その後ボンバーヘッド君が緑谷君に突っかかったりしたが相澤先生に制圧されていた。
その後もチラチラと緑谷君を観察していたが、やはり結果は振るわない。
というか痛みで乱れている様子すら見られたが…
私の心配は思わぬ形で吹っ飛ぶこととなる。
「ちなみに除籍はウソな。」
結果発表の直前、相澤先生はポロッとそう言った。
「君らの最大限を引き出す、合理的虚偽。」
どうやら、緑谷君も相澤先生の眼鏡に叶ったらしい。
一部の面々が発狂とも絶叫とも分からぬ声を出す中、私はホッと一息ついた。
『調律』ってなんやろ…(すっとぼけ)
第4話、どうだったでしょうか?
なんと、パトロンはエンデヴァーでした。
どうやって懐柔したのかとかは少しづつ書いていきたいと思っています。
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