演算演算演算…塩酸?   作:檜山俊彦

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ヒーロー基礎学…?演算するんだよォ!

 

 

 

side梓澤梓

 

 

個性把握テストを終え、図書室を見て回っていると帰宅する頃には誰もいなかった。

ちなみに物理学、特に重力等の力学系の本を読んでいた。

 

 

しかし…初日からぼっちか…

いや、まぁ…挨拶もロクにしないまま図書室に直行した私が悪いのだが…

 

 

やはり、先走るのは私の悪い癖だな。

 

 

等と考えられるぐらいには、思考能力が復帰してきたらしい。

今は四限、プレゼントマイク先生の英語の授業だ。

 

 

「エディバディハンズアップヘイセイ盛り上がれー!」

 

 

英文の空所補充問題か…

 

 

関係詞の違いから4番だろうが…如何せん眠い…

今こそ鋼の精神力で…!

 

 

…なんとか意識を保ち、昼休みになった。

 

 

雄英高校ヒーロー科は週6日制を採用しており、午前は普通科と同じく必修授業。昼休みになると大食堂でクックヒーロー“ランチラッシュ”謹製の料理が安価で食べられる。

 

 

しかし、雄英、ひいてはヒーロー科において最も特徴的な点。

それは午後からの授業。

 

 

“ヒーロー基礎学”にある。

 

 

「わーたーしーが!」

 

 

五限の始まり、大きな声が響くと共にドアが開いた。

 

 

「普通にドアから来た!」

 

 

 

「オールマイト…すげぇや本当に先生やってるんだ…」

 

 

「画風が違いすぎて鳥肌が…」

 

 

うむ、それは分かる。オールマイトは画風がアメリカンだからな。

 

 

「ヒーロー基礎学!ヒーローの素地を作る為様々な訓練を行う科目だ!単位数も一番多いぞ!」

 

「早速だが、今日はコレ!」

 

 

オールマイトが取り出したのは“Battle”と書かれた板。

 

 

 

「戦闘訓練!!」

 

 

 

クラスが色めき立つ。戦闘はヒーローの花形。

誰もが憧れる道だ。

 

 

そして、教室の壁がせり出して来る。

これは…

 

 

「入学前に送ってもらった“個性届”と“要望”に沿って誂えた戦闘服(コスチューム)!」

 

 

クラス全体のテンションが更に跳ね上がる。

 

 

「着替え次第、順次グラウンドβに集合だ!」

 

 

「「「はい!」」」

 

 

 

 

更衣室まで早歩きで行き、速攻で着替えた私は他の女子生徒が入ってくる前に着替え終えた。

 

 

ちなみに、このコスチューム。

学生に渡すには高性能だが、被服控除という仕組みにより無料(タダ)。しかも要望まで聞いてくれる。

 

 

独り身に大変嬉しいシステムだ。

 

 

グラウンドβへの通路で急いで着替えて来た何人かと遭遇する。

 

 

「梓澤!」

 

 

「切島君か…なんというか…ゴツイね…」

 

 

「あぁ!漢らしいだろ!…にしても梓澤は、殆ど何もついてねぇように見えるが…」

 

 

ここで私のコスチュームについて話そう。

私が出した“要望”は…

 

 

①腕部に圧縮窒素を放つためのSS(スリングショット)に近い機構を。

②肩部、大腿部に動きを小型の送風機を装着。

③デザイン案のヘッドセットに高性能なCPUを内蔵。

④頸部に炭素繊維+合金の鋼線+耐熱仕様のマフラーを。

 

 

の4つだ。

結果…

 

 

「いや、これでも機能がてんこ盛りなんだ。というかサポートアイテムを作っている会社は優秀だな。思わぬ所で使いやすくなっている。」

 

 

マフラーがかなり伸びる。恐らく相澤先生(イレイザーヘッド)のコスチュームから着想を得たのだろう。

 

 

用途を理解してくれていて、嬉しい限りだ。

 

 

そんなこんなでグラウンドβに全員が揃った。

飯田君が手を挙げる。

 

 

「先生!ここは入試の演習場ですがまた市街地演習を行うのでしょうか?」

 

 

「いいや、もう二歩先に踏み込む!屋内での()()()()訓練だ!」

 

 

ふむ、この時期にか…もう少し座学で段階を踏むと思ったが…中々凄いことをするな…

 

 

(ヴィラン)退治は主に屋外で見られるが、統計的には屋内の方が凶悪(ヴィラン)の出現率は高いんだ。」

 

「監禁・軟禁・裏商売…このヒーロー飽和社会…ゲフン真に賢しい敵は屋内(やみ)に潜む!」

 

「君らには、これから敵役とヒーロー役に分かれ2対2の屋内戦闘訓練を行ってもらう!」

 

 

そこで疑問を呈する蛙水さん。

 

 

「基礎訓練も無しに?」

 

 

「その基礎を知るための実践さ!」

 

「ただし今回は、ぶっ壊せばそれでいいロボじゃないのがミソだ。」

 

 

すると次々と質問がオールマイトに投げかけられる。

 

 

「勝敗のシステムはどうなりますか?」

「ブッ飛ばしてもいいんすか…?」

「また相澤先生みたいな除籍とかあるんですか…?」

「分かれるとはどのような別れ方をすればよろしいですか?」

「このマントヤバくない?」

 

 

「ん、んん〜!聖徳太子ィィ!」

 

 

オールマイトがキャパオーバーした…というか最後、質問じゃないだろ。

 

 

「いいかい!?状況設定は(ヴィラン)がアジトに“高威力の爆発物”を隠していてヒーローはそれを処理しようとしている!」

 

「ヒーローは制限時間内に敵を捕まえるか爆発物に触れる事。反対に(ヴィラン)は爆発物を守り通すかヒーローを全員捕まえる事。これが勝利条件だ!」

 

「コンビ及び対戦相手は、クジで決める!」

 

 

飯田君が適当なのかと驚いていたが、緑谷君の「将来の急造チームアップに備えるため」という意見に納得していた。

 

 

次々とクジを引きペアが確定していく。

 

 

A『麗日・緑谷』

B『障子・轟』

C『峰田・八百万』

D『飯田・爆豪』

E『青山・芦戸』

F『口田・砂藤』

G『上鳴・耳郎』

H『蛙水・常闇』

I『梓澤・葉隠』

J『切島・瀬呂』

 

 

となった。

 

 

「最初の対戦相手は、コイツら!」

 

「Aコンビ“ヒーロー”!Dコンビ“(ヴィラン)”だ!」

 

 

オールマイトが2つの球を取り出した。

メンバーを整理して…危機感を覚え演算を始める。

 

 

『問』

緑谷と爆豪の関係

 

 

『解』

お互いの表情、言動から爆豪上位の関係だったと推測

しかし、現状緑谷はその関係からの脱却を目指しているものと思われる。

 

 

『問』

このまま戦った場合どうなる?

 

 

『解』

昨日の様子から見て爆豪が独断専行をする可能性大。

爆豪の“個性”から危険な攻撃が行われる可能性あり。

緑谷は対抗手段が自滅覚悟の攻撃のみの可能性が高く爆豪の戦い方如何では一方的な展開の可能性あり。

 

 

 

脳内CPUの出した結論に辟易しつつ、私は地下のモニタールームに向かった。

 

 

 

屋内戦闘訓練。その第一戦が始まる。





頑張れ新任教師オールマイト!

第5話、どうだったでしょうか?

次回は爆豪と緑谷の戦闘を梓視点で書くことになると思います。


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