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side梓澤梓
「…疲れた。」
図書室で本を読みながら、今日の授業を振り返る。
轟と戦うことになったが、なんとか勝つことができた。
まぁ、“左”…炎熱の個性を使う気のない今の轟に負けてやるいわれはないのだが。
「ふぁ〜あ…」
欠伸が出てしまった。
昨日は遅く寝てしまった。今日は早く寝よう。
そう思った私は図書室から出て、廊下を歩く。そんな時、ふと、下を見た。
校門に向けて歩く爆豪と、それを追いかける緑谷君。
何事かを話している。
この距離では聞こえないし、“個性”まで使って聞こうとも思えない。秘密にしたいことだってあるだろう。
私はそう思って、忘れた荷物を取りに教室へ戻った。
すると、思ったより人が残っていた。
あぁ、今日の屋内訓練の反省会をするという話だったかな。
諦めよう。
しかし、発見されるまでは…!
「おぉ、梓澤、どうしたんだ?」
悲報『秒で見つかる。』
「…切島君。人にはね、見つかりたくない、“気まずい”タイミングがあるんだ…私のソレは今この瞬間だ。」
「お、おう…」
「なんて話は置いておくとして、荷物を取りに来ただけだからね。すぐ失礼するよ。」
そう言って、自分のリュックを手に取り、背負う。
「じゃあ、また明日。」
逃げるように教室を出る。
そのまま校門まで行くと、もう緑谷君も爆豪もいなかった。
居たとして何かできた訳でもないのだが…
まぁ、今は難しいことは考えず家に帰ろう。
“明日やろうは馬鹿野郎”と言うが、今ぐらいば馬鹿になろう。
どうせ、明日からも忙しい。
そう思い鼻歌交じりで帰路についた。
「眠い…」
雄英高校一年生3日目。またも強烈な眠気に襲われた私は、それをおくびにも出さないようにして席に着いた。
カフェインの入ったお茶を飲み、姿勢を正す事を常に意識すれば大体の眠気はなんとかなる。
そもそも、校門の前にオールマイト目当てのマスコミがわんさか溢れているのがいけないのだ。
一応もみくちゃにされる前に脱出したが、体力よりメンタルを削られた。
そのせいで久しぶりに2時頃に寝ても眠気が襲ってくる…
相澤先生が教室に入ってきた。
あぁ…もうホームルームの時間か…
「昨日の戦闘訓練、お疲れ。Vと成績見させてもらった。」
そのまま爆豪と緑谷君に軽い指導がなされ、そのまま本題に。
「急で悪いが、今日君らに“学級委員長”を決めてもらう。」
「学校っぽいの来たァ!」
皆が次々に手を挙げる。
トップヒーローは他を牽引する力が求められる。
その素地が鍛えられるとなれば、誰だってやりたがる。
実際。私も手を挙げた。
そこに響く大きな声。
「静粛にしたまえ!」
「“多”を牽引する責任重大な仕事だぞ…!“やりたい者”がやれるモノではないだろう!」
「周囲からの信頼あってこそ務まる聖務…!民主主義に則り、真のリーダーを皆で決めると言うのなら…!」
「これは投票で決めるべき議案!」
そう言う飯田君の手は、皆と同じ様に上を向いていた。
「そびえ立ってんじゃねーか!何故発案した!?」
「日が浅いのに信頼もクソもないわ飯田ちゃん。」
「そんなん皆自分に入れらぁ!」
「だからこそここで複数票を取った者こそが真に相応しい人間ということにならないか!?」
そのまま相澤先生に是非を問うと、かなり遠回しに許可された。
(というかアレめんどくさかっただけでは…?)
結界は…
「僕4票!?」
緑谷君に4票、八百万さんに2票集まり、それぞれが委員長、副委員長を務めることになった。
ちなみに、他の人に票を入れたらしい飯田は自己矛盾に苦しんでいた。
割り切りが難しい性分なのだろう。
しかして、四限の通常授業を終え、昼。
大食堂。
私は今、“4人”で卓に座っている。
…4人で、だ。
何故か飯田君に誘われ、緑谷君、飯田君、麗日さん、私の4人で食べているのだが…
…気が休まらない。
皆昼食を選び、もう既に食べている。
私はマナーに気をつけながら3人の話に相槌を打っていた。
…私、いらないんじゃないかな?
「いざ委員長やるとなると務まるか不安だよ…」
「ツトマル」
「大丈夫さ。」
「なんとかなるなる。」
緑谷君は不安があるらしい。
まぁ、あの感じだと爆豪に大分抑圧されていたみたいだしね…
今までの人生で成功体験が少ないのかもしれない。
「緑谷君のここぞという時の胆力や判断力は“多”を牽引するに値する。だから君に投票したのだ。」
ほう…飯田君も緑谷君に投票したらしい。
「でも飯田君も委員長やりたかったんじゃないの?メガネだし!」
う、麗日さん ざっくり行くなぁ…苦手なタイプだ…
「“やりたい”と相応しいは別の話…僕はただ僕の正しいと思う判断をしただけだ。」
そこで一つ引っかかる。飯田君の一人称だ。
麗日さんがそこに突っ込む。
「ちょっと思ってたけど飯田君て…坊ちゃん!?」
「坊っ!…そう言われるのが嫌で一人称を変えてたんだが…」
そう置いてから飯田君が話を始めた。
「あぁ、俺の家は代々ヒーロー一家なんだ。俺はその次男だよ。」
麗日さんが驚いている。
確かに、ヒーロー一家というのは凄い。
重圧もあるだろうに、雄英に合格している。
「ターボヒーロー、インゲニウムは知っているかい?」
「勿論だよ!東京の事務所に65人もの
「それが俺の兄さ。」
眼鏡に手を掛け、鼻高々に話す飯田君。
「規律を重んじ人を導く愛すべきヒーロー!俺はそんな兄に憧れ、ヒーローを志した。」
そして一拍置いて続けた。
「人を導く立場はまだ俺には早いのだと思う。上手の緑谷君が就任するのが
ポカン、としてしまう。
中々様になっていた。
緑谷君に票を入れた事を後悔してはいないが、飯田君が委員長になる未来も…
次の瞬間、昼間の喧騒を警報音が駆け抜けた。
「セキュリティ3が突破されました。生徒の皆さんは速やかに屋外へ避難して下さい。」
突如の非日常に大食堂が騒然となる。
飯田君が走り去る先輩に聞いたところ、“雄英敷地内への部外者侵入”が起きた事がわかった。
しかし、
先輩方の在学中なかった事…即ち今のタイミング得られる物が…オールマイトか!
という事はマスコミか…?
しかし、考えている合間に人の間でもみくちゃになってしまっている。身動きが…
「大丈ー夫!!」
「ただのマスコミです!なにもパニックになる必要はありません!大丈ー夫!ここは雄英!最高峰の人間に相応しい対応を取りましょう!!」
飯田君は大食堂出口上の排気管で事態を収束させた。
胆力、判断力、どっちもあるじゃないか…
私は次第に混乱が落ち着いて、解放されるまで眠気と戦いながらそんなことを考えていた。
そして、五限。
相澤先生に進行を移譲された緑谷君は、飯田君に委員長の職を譲った。クラスからの支持も得られたため、ここに“飯田天哉1ーA学級委員長”が誕生した。
ちなみにその頃、私はお茶を飲んで、カフェインを補充していた。
また日が空いてしまいました、すみません…!
第8話、どうだったでしょうか?
次話からはUSJ襲撃に、入りたい…です!
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