演算演算演算…塩酸?   作:檜山俊彦

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救助訓練(レスキュー)訓練…?演算するんだよォ!

 

 

 

side梓澤梓

 

 

マスコミの雄英侵入から一日。

私は一つの疑問について考えていた。

 

 

マスコミはどうやって雄英のセキュリティを突破したのだろう?

という事だ。

 

 

あの日帰りに校門を通る時、一区画に無理矢理補習した…言うなれば割れたコンクリートを配合の違う別のコンクリートで埋めたような違和感を覚えた。

 

 

もし侵入手段が推測の通りなら…

 

 

意識の糸が一瞬切れ、フラッと頭が傾く。急いで姿勢を正し、気づかれないようにお茶(カフェイン)を摂取。水筒を口の開いた鞄に落とす。この間3秒弱。

 

 

どうやら担当のプレゼントマイク先生には気づかれなかったようで、先程までと変わらず授業を進行している。

 

 

眠気を耐え、四限終了。昼も知り合いとは誰とも接触しないように昼食を取った。

 

 

そして午後。五限が始まる。

 

 

「今日のヒーロー基礎学は俺とオールマイト、もう一人の3人体制で見ることになった。」

 

 

相澤先生は“RESCUE”と書かれたプレートを掲げた。

 

 

「災害水難なんでもござれ人命救助(レスキュー)訓練だ!」

 

 

「レスキュー…今回も大変そうだな…」

 

 

「だねー」

 

 

「バカおめーこれこそヒーローの本分だぜ!?鳴るぜ!腕が!」

 

 

「水難なら私の独壇場。ケロケロ。」

 

 

皆が思い思いの感想を述べたが、相澤先生に一喝されていた。

 

 

「今回コスチュームの着用は任意で構わない。中には活動を限定するコスチュームもあるだろうからな。訓練場は離れた場所にあるからバスに乗っていく。以上。行動開始。」

 

 

そのままコスチュームを着てバスまで移動を開始。

周りを見ると、緑谷君はコスチュームを修理中らしい。

 

 

こうしていると色々な話が聞こえてくる。

 

 

私はこうやって陰に生きるのさ…ふっふっふ…

 

 

「バスの席順でスムーズに行くよう、番号順で2列に並ぼう!」

 

 

と言う飯田君。しかし、仮にも国立校の雄英が、20人のためにその倍以上が乗れる“高速バス”を保有しているだろうか。

 

 

そう思っていると、案の定市営バスの座席形式だった。

 

 

「イミなかったなー」

 

 

悔しそうにする飯田君に芦戸さんがトドメを刺した。

 

 

全員が席に着き、車両が走り始めると蛙水さんが緑谷君に話しかけていた。

 

 

「緑谷ちゃん、あなたの個性。“オールマイトに似てる”。」

 

 

「待てよ梅雨ちゃん。オールマイトは怪我しねぇぜ。似て非なるアレだぜ。」

 

 

言い淀む緑谷君を横目に個性談義が始まった。

 

 

「しかし増強型のシンプルな“個性”はいいな!派手でできる事が多い!」

 

 

切島君は個性が地味だと言っているが、地味であることは必ずしも悪い点ではない。

私のパトロン(エンデヴァー)も地味で地道な努力の元にNo2の座に君臨しているのだ。

 

 

それにしても、いつの間にか皆の視線が私に集まっている。

 

 

「…え、何事?」

 

 

「いや、派手で強え“個性”の話で爆豪、轟、梓澤の名前が出たんだが、梓澤の個性結局よくわかってねぇんだよな…って話になったんだ。」

 

 

皆がコクコクと頷いている。轟だけが無反応だが、それは私の個性を知るが故だろう。

 

 

「そうだね…この際話しておこうか。」

 

「私の個性は“現象演算”。簡単に言うと、少し特殊な発動系、かな。」

 

 

「演算…?それってまさか…」

 

 

「そう。緑谷君の思ってる通り。個性の名の通り“現象”を“演算”して物理現象を操作する個性なんだ。」

 

 

「え…めちゃくちゃな強個性じゃねぇか!」

 

 

「確かに強い個性なんだけど…少し厄介な点もある。」

 

 

私は指を開いて問題点を開示していく。

 

 

「第一に、とてつもなく燃費が悪い。例えば私はいつも窒素を操って戦闘をしている。しかし、普通に風を操る個性より何倍も疲れる。今の私だと凄まじくエネルギーロスが大きいんだ。」

 

「第二に、現在、実際に起きている現象にしか介入できない。私がいつも窒素を使っているのは“どこにでもあって”“何時でも使える”から。」

 

「更に、私が介入できるのは半径3m以内の現象に限られる。個性把握テストで私が投げた時強風が吹いたのは風を圧縮した分空きを埋めようと大気が勝手に動いているんだ。」

 

 

「なるほど…でも常在している物理現象は風だけじゃない。何か使えない理由があるのか…?轟君との戦いで使ったという設置型の罠も気になる…そもそも演算のキャパシティは…?仕組みはどうなっているんだろう…ブツブツ…

 

 

「緑谷ちゃん。怖いわ。」

 

 

蛙水さん。私もそう思う。

 

 

「もう着くからな…」

 

 

相澤先生の一言で車内は静かになった。

 

 

バスを降り、ゲートが開くと…

 

 

「すっげー!USJかよ!」

 

 

まぁ、確かにそれっぽいが…版権とか大丈夫なのか…?

 

 

「水難事故、土砂災害、火事、etc(エトセトラ)…あらゆる事故や災害を想定し僕が作った訓練場です。その名も…」

 

嘘の災害や事故ルーム(USJ)!」

 

 

本当にUSJだった…!

 

 

「スペースヒーロー 『13号』だ!災害現場で目覚しい活躍をしている紳士的なヒーロー!」

 

 

「私大好きなの13号!」

 

 

相澤先生と13号が何やら話している。

相談事、だろうか。

 

 

「えー始める前にお小言を1つ2つ…3つ…4つ…」

 

 

ふ、増えたな…

 

 

「皆さんご存知だと思いますが、僕の“個性”は“ブラックホール”。どんなものでも吸い込んで塵にしてしまいます。」

 

 

締め方が妙だな…

 

 

「その個性でどんな災害からも人を救い上げるんですよね!」

 

 

「しかし、簡単に人を殺せる力です。皆の中にもそう言う個性持ちがいるでしょう。」

 

 

代表的な物で言えば、麗日さんの“無重力”だろう。

威力で言えば他にもあるが、“簡単”であるならこれ程条件に当てはまる物もない。

中空に浮かして落とすだけ。

 

 

あまりにも簡単に人を殺せてしまう。

 

 

「超人社会は“個性”の使用を資格制にし、一見成り立っているように見えます。しかし一歩間違えば容易に人を殺せる“行き過ぎた個性”を個々が持っている事を忘れないでください。」

 

「相澤さんの体力テストで自身の力に秘められた可能性を知り、オールマイトの対人戦闘でそれを人に向ける危うさを実感したと思います。」

 

「この授業では…心機一転!人命のために個性をどう活用するかを学んで行きましょう!君たちの力は人を傷つけるためではなく、人を救けるためにあるのだと心得て帰って下さいな。」

 

「以上!ご清聴ありがとうございました!」

 

 

大事な事を学べたように思う。

心構え、という物は行動に影響を及ぼす。

 

 

さて…授業の準…

 

 

唐突に、“悪意”を感じた。

 

 

「先生!」

 

 

同じタイミングで相澤先生も気づいたらしい。

 

 

「ひとかたまりになって動くな!」

 

 

「なんだありゃ?入試みたいにもう始まってんぞパターン?」

 

 

切島君の気の抜けた声が今は少し羨ましい。

 

 

「動くな!アレは…(ヴィラン)だ!

 

 

その言葉に場の空気が一気に強ばる。

 

 

「13号にイレイザーヘッドですか…先日()()()教師側のカリキュラムにはオールマイトがここにいる筈なのですが…」

 

 

頂いた…!やはりあのマスコミ侵入は!

 

 

「どこだよ…せっかく大衆引き連れて来たのにさ…オールマイト…いないなんて…」

 

 

 

「子供を殺せば来るのかな?」

 

 

 





どうなる梓!続きは次話!

第9話、どうだったでしょうか?

次回から本格戦闘に入ります。
梓の個性の更なる謎が明かされる、かも。


よろしければ評価、感想よろしくお願いします。

USJ襲撃編終了後、一つだけ幕間を書きたいと思っています。誰目線がいいでしょうか?

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