どちらかと言うとラブコメ的なノリが強いです
シンがスペリオルに教えてもらったクエストをクリアし
新しい装備を手に入れて皆に見せびらかしていた頃
ミザリーもスペリオルに教えてもらったクエストをやりに向かっていた
その中でもクエストの名前が気になり
簡単だと思ったクエストの場所まで向かうと
そこでは何やら困っている老人の姿を発見した
『困った困った・・・一体どうすればいいのか・・・』
「あの〜・・・一体どうされたのですか?」
『おぉ!これはまた凄い別嬪さんが・・・
そうじゃ!お主!ワシのお願いを聞いてもらえぬか!?』
「えっと・・・とりあえずはお話を聞かせてもらえませんか?」
ミザリーはその老人から話を聞く事にした
どうやら王様から最も美しい女性を連れてきて
自分の前で舞を踊らせて欲しいと指示を受けたそうなのだが
生憎とその女性は足を怪我してしまったようで舞えなくなってしまったのだ
そこで老人は偶然ではあるが
自分に話しかけてきたミザリーに舞を踊って欲しいとお願いしてきた
「舞ですか・・・私はそう言うのはあまり覚えがないのですが・・・」
『それなら足を怪我した彼女に聞いて練習すれば大丈夫じゃ
問題は衣装の方じゃろう・・・
どうせならばお前さんに合わせた衣装を仕立てたいが・・・そうじゃ!』
老人は何かを思いついたようで突如として店の中に戻ると
何か地図のような物を持ってきてそれをミザリーに見せる
『これにはかつて最も美しいと言われた伝説の舞姫が使っていた屋敷が記されておる
もしかしたらそこにならばお前さんに合う衣装もあるかもしれん』
「なるほど・・・では舞の練習をしてからそのお屋敷に向かってみますね?」
それからミザリーは一時間ほど舞の練習で完璧に踊りをマスターすると
先ほどの老人が話していた伝説の舞姫が使っていた屋敷へと向かう事にした
幸いな事にそこはモンスターが発生するような場所ではなく
屋敷の中に入っても特に何かしらのイベントが発生する事はなかった
「もしかして衣装を手に入れるだけのイベントなのでしょうか?
ですがそれにしては特にこれといった物はないような気が・・・」
『・・・ほう?まさかこの私の屋敷に来る物好きがいるとはな・・・』
突如として声が聞こえてきてミザリーはその声のする方を見ると
そこにはあの老人が絶賛するだけの美貌を持った踊り子のような格好をした女性が立っていた
『私の名は貂蝉・・・其方も私が使っていた衣装が欲しくて来たのか?』
「貂蝉!?それって中国の四大美女じゃ!?
なるほど・・・確かにそれならばこれほどの美貌にも納得ですね・・・」
ミザリーは貂蝉に事情を説明してどうにか衣装を貸してもらえないかと交渉する
すると話を聞いた貂蝉はまるで何かを考えるように顎に手を当てていた
『・・・其方・・・その舞に代理で参加すると言っていたな?』
「はい?えっええ、代理なのは申し訳ないとは思っていますが・・・」
『面白い・・・!ならば私に其方の舞を見せてもらおうではないか・・・!
もしも私がそれに納得出来たのならば衣装を其方にやろう』
「えぇ!?」
まさか貂蝉がこんな事を言ってくるとは思っていなかったミザリーだが
おそらくはこれもクエストの内容の内なのだろうと思い
先ほど教えてもらった舞を見せる事にした
ミザリーの舞を見ている貂蝉は表情を一切変えずにただじっと見つめていた
そして舞が終わり彼女が発した答えはたった一つだった
『・・・残念だが・・・失格だな・・・』
「失格・・・ですか・・・」
失格と言う事はクエスト失敗なのだとミザリーは思っていたが
おかしな事にクエスト失敗のメッセージが来ていなかった
一体何故だろうと思っているとそのまま貂蝉が話を続ける
『確かに其方の舞は基本に忠実で美しく舞えていた・・・だが中身がないのだ』
「中身・・・ですか?」
『我ら舞を踊る踊り子は言うならば相手に自分の姿を見せるだけの高嶺の花・・・
しかしその心には常にその舞を一番に見て欲しいと思う人を思い浮かべなくてはいけないのだ
其方は・・・一体誰を思い浮かべる?誰に一番、自分の舞を見て欲しいと思う?』
「・・・一番・・・見て欲しい人・・・」
ミザリーの頭にはたった一人の人物が想像されるが
それと同時に思い浮かぶのは自分にとって親友とも言える存在
そんな彼女との関係も崩したくはないと考えていると
ミザリーの考えを見透かしたかのように貂蝉が口を開く
『先に言っておくが・・・誰が誰の事を想ったとしてもそれは自由だ・・・
それを胸に秘めておくのも晒し出すのも其方の自由だが・・・心までは偽るな
心まで偽ってしまえば・・・それは自分への枷になる・・・』
「自分への・・・枷・・・」
『それに其方が考えているもう一人の人物は
自分がその人を好きになっただけで怒るような心の狭い人物なのか?』
「そっそんな事はありません!ミィはそんな!」
『ならば何の心配もいらないのではないか?
其方は其方の心が従うままに・・・己の舞を披露してみよ』
「自分の・・・心に・・・」
ミザリーはその言葉を聞いてもう一度だけ貂蝉の前で舞を披露する
それは先ほどとは違い美しさだけでなく妖艶さや可憐さも備えており
何よりも違ったのは自分を見て欲しいという意思だった
それを見届けた貂蝉はとても満足そうな笑みを浮かべていた
『そうだ・・・我らの舞は誰かを思う心からくるもの・・・それを忘れてはならない
私にも一番に自分を見て欲しいと思う者がいた・・・最もその男は戦いに明け暮れていて
とても私の事を見てくれていたわけではないが・・・一緒にいられた事はとても幸せだった』
「貂蝉様・・・」
『高嶺の花は見られて美しくなるが・・・見てもらえるだけでは駄目なのだ・・・
どうか其方は見てもらうだけではなく・・・愛でられるような花になるのだな・・・
約束の衣装はあの箱の中だ・・・それでは私は行くとするよ・・・あの漢の元へな』
貂蝉はミザリーに出会えた事を幸福に思っていたのか
優しい慈悲に満ちた顔を見せながら消えてしまった
ミザリーはその姿を最後まで見届けてから
彼女の残してくれた衣装の箱を開けてそれを身に付ける
最後は王宮で彼女が認めてくれた舞を披露しクエストをクリア
そして彼女はギルドに戻るとそこにはミィの姿もあった
「ほう?それがミザリーの新しい装備か・・・凄いな」
「そうですか?そういえばミィ・・・貴女に報告したい事がありまして」
「私にか?一体何だ?」
ミザリーは他のみんなには聞こえないようにミィの耳元で囁いた
「私も本気で狙わせてもらいますね?スペリオルの事」
「!?・・・なるほど・・・何があったかは分からないが・・・
先に言っておく・・・ライバルは私だけではないからな?」
「ええ・・・誰にも負けるつもりはありませんよ?」
「・・・それに忘れていると思うが一番の敵は本人だぞ?」
「・・・あの鉄壁と言ってもいい理性の壁が凄いですよね・・・」