現代異能の災禍希望(パンドラボックス)   作:RKC

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38話 作戦

 最近の事です。なぜかは分からないのですけど、つけられ始めました。それも尾行の仕方にどこか覚えがあります。古巣からの刺客でしょうか。抜け忍の始末…にしても今更な気がします。

 

 とはいえ、丁度良かったのです。最近は後ろめたい気持ちになる事ばかり……そろそろ過去の清算をする時が来たのです。

 

 

 

           ♢

 

 

 

 尾行がいなくなってから数日、仕掛けてくるならそろそろでしょうか。新月の真夜中。私は特に用事も無いのに登山を初めました。

 

 学園寮の裏山、頂上には街灯が一つとベンチが一つ。野ざらしのまま整備もされていないボロボロの椅子に座りました。眼下には、学園寮と学園の灯りが二つほど見えるのみで、後は山ばっかりです。

 ……見納めの景色にしては少し寂しいのですね。

 

 そう思った瞬間なのです。唐突に私の背後に人が現れました。瞬間移動の素能(エレメント)でしょうか。

 迷わず繰り出される延髄蹴り。癖で柳雪折無(りゅうせつむ)を発動しかけたのを意識的に止める。直後、足が私の頭を蹴り飛ばし、首が折れた。死ぬ間際特有のスローモーション。

 

 勝手に殺して、それが重荷になれば勝手に死ぬ……あぁ、やっぱり私は最低最悪のクズなのです。

 それにしても、刺客の人はいったい何の目的で私を殺しに来たのでしょうか…気になります。死ぬ前に嫌な疑問が残っちゃいました。

 

 ……あぁ、そろそろ気が遠くなってきました。痛みを感じる前に死ねそうです。中々良い腕しているのですよ、刺客さん。

 

 意識が途切れる寸前。

 

 …ちょっと、違う気が……する、のです…

 

 一旦、私は意識を手放しました。

 

 

 

 

 

          ♢

 

 

 

 

 

 プルルルル……ピッ

 

「ただいま仕事が終わりました」

 

「死体は?」

 

「回収済みです。これから息のかかった火葬場で燃やそうかと。雷夢様も確認に来られますか? 海に散骨しようと思っているのですが」

 

「分かった、すぐ行く」

 

 ブツッ、ツーツーツー……

 

 

 

 

 

            ♢

 

 

 

 

 

 静かな惨劇があった次の日の異能学園1年A組ホームルーム。

 

「はい、点呼を取りますね。今日休んでるのは……また五文銭(ごもんせん)さんですか。誰か、彼女の行方を知りませんか?」

 

 先生の声を受けて、クラスの中が少しざわつく。しかし、先生の問いには誰も答えない。

 

「はぁ…また無断欠席ですか。今度はいつ帰って来るのやら…」

 

 フシみんの欠席は定期的にある事のため、誰も疑問に思わない。何事も無かったかのように一日が進んでいく。

 

 

 

            ♢

 

 

 

 その日の放課後、狼牙、柄鎖、雷夢、黒子、それと執事長・メイド長の5人が集合していた。計画の打ち合わせを進めるためだ。

 

「……にしても、他に場所は無かったのか? 柄鎖(つかさ)の修練場とか、雷夢(らいむ)の実家とか、最悪誰かの部屋とか…」

 

 彼ら彼女らがいるのはカラオケ屋の一室。そこに学生とメイドと執事が集合しているものだから絵面が凄い。ギリギリ、コスプレ集団として通らなくも無いかもしれない。

 

「私の修練場には上戸鎖(かみとくさり)の人間がいますし、雷夢様の実家も完璧に一枚岩でありません。そして、学生寮にメイドと執事を呼ぶのも変に目立ちます。という事で外部のどこか、それも大人数が集まっても不思議ではなく、尚且(なおか)つ急な集まりですので事前の予約が必要でない場所……。

 その条件を満たす場所が思いつく限りでカラオケぐらいしかなかったのですが…。9人が一遍(いっぺん)に集まるのではなく後から合流という形で、外から見ても自然に集まれますし」

 

「でも、カラオケには防犯カメラが付いてるって話だぞ。……ほら、そこにあるし」

 

「音声は拾っていないので問題ありません。話の内容さえ聞かれなければ良いのですから。…いえ、仮に話の内容を聞かれたとしても、普通の人からしたら荒唐無稽(こうとうむけい)。ゲームか創作物の話と勘違いされるだけでしょう。

 全員、カラーコンタクトを入れているので異能者(シンギュラリティ)ともバレていませんし」

 

 柄鎖が狼牙を納得させた後、続けて本題に入る。

 

「さて、本日はお集まりいただきありがとうございます。皆さんご存じかと思いますが、私は1年後に禁断箱(パンドラボックス)の生贄にされる予定の上戸鎖 柄鎖と申します。この度は私が生贄にならないための計画についてお話させていただきます。

 なにぶん私だけで考えた計画のため、至らない部分があるとは存じますが、ご指摘いただければ幸いです。何か質問がある際も遠慮なく聞いてくださって結構です」

 

 そう前置きをして柄鎖は話し始めた。

 

「まず、一番最初に思いつき、そして一番悪手だと思われるのが“話し合い”です。私を生贄にしないように嘆願します。方法として“感情に訴えかける手法”と“論理的に説得する手法”の二つがありますが……まぁ、どちらも無理でしょうね。

 親でさえ私の事を生贄にしようと決心しているようなので、感情に訴えかけるのはまず不可能。

 説得も…ねぇ? 私が稀代の天才とかであれば私を生かすメリットになるのですが、そうでない以上説得も不可能。私が死ぬだけで余計な混乱が起きないのですから」

 

 ここまでで特に反論や質問はない。柄鎖は続ける。

 

「である以上、私達に残されたのは強硬手段だけ。しかし、私たちの手勢はここにいる9人だけ、大規模に抗争をするのは避けたい。その上で私が生贄にならないためには、やはり禁断箱(パンドラボックス)を解放してしまうのが一番かと。そのために禁断箱(パンドラボックス)を強襲したいと思います」

 

 ガタンッ!

 

 そこで堪えきれないと言った様子で執事長・メイド長の一人、リーダーが立ち上がった。

 

「何か発言でしょうか?」

 

「…いや、その……ッんんんんんッ…ッ!!」

 

 唸り声を挙げながら痙攣を始めるリーダー。彼としては、小規模な局地戦ではなく雷家の全勢力も巻き込み、大規模抗争を引き起こしたかった。そうすれば雷夢が抗争を通して本来の暴力性を取り戻す可能性が高くなる。加えて、狼牙(クソガキ)柄鎖(クソアマ)が死んでくれれば、雷夢のリミッターも取り払う事ができる。

 

 大規模抗争に話を持っていきたい彼だが、ここで発言することは自らの手で推しの物語に介入することになってしまうのではないか? と考えてしまった。

 

 しかし小規模な抗争の場合、計画が失敗した瞬間即終了。その点大規模な抗争であれば、ズルズルと引き延ばし、1年後の時間切れも狙う事ができる。そう、自分の意見はまったくもって冷静で客観的だ。リーダーはそうも考える。

 

 いや待て、そう思い込む事で自分の望む方向に持っていこうとしていないか? 推しの物語に介入する合理的な理由を作り出しているだけなのでは…? そんな事は許されない。リーダーの厄介オタク性が顔を覗かせる。

 

 そうして、無限の思考が交錯し……

 

「ッんんんんッ~~~……ッ! ン゜ッ!!!」

 

 リーダーはオーバーヒートした。椅子にぐったりと座りこむ。

 

「…だ、大丈夫ですか?」

 

「狂人が混ざっていると言っただろう。たまにこうなる」

 

 雷夢(推し)がリーダーについてほんの少し言及したその時だ。

 

「コ゜ッ!!」

 

 ツインテールが奇声を上げて、仰け反る。

 

「え、っと……そちらの方も大丈夫でしょうか…?」

 

「狂人が混ざっていると言っただろう。いいから続けろ」

 

「……ま、まぁ、そういう事なら続けさせていただきます」

 

 柄鎖は気を取り直して本題に戻る。

 

「では禁断箱(パンドラボックス)を襲撃し、解放するという計画ですが、ひとまずこちらをご覧ください」

 

 そう言って、柄鎖は一枚の大きな紙を取り出す。

 

「私の記憶を頼りに制作した禁断箱(パンドラボックス)収容施設の見取り図です。正確な見取り図は厳重に管理されており、手に入れられそうにありませんでした。ですので、見取り図の正確さを黒子様に確認していただきたいのですが」

 

「わ、私ぃ…?」

 

「この中で禁断箱(パンドラボックス)収容施設に入った事があるのは私と黒子(くろこ)様だけでしょう」

 

「そうだけど……き、記憶違いとか、してたら……」

 

 目がぐるぐると回り、呼吸も荒れ始める黒子。そんな彼女を狼牙が宥める。

 

「落ち着け。お前が責任を取る必要は無い。ただ、おかしい所を指摘すれば良い。後は俺達が判断する」

 

「う、うん……でも、少しだけ期待して欲しい、かな…。が、頑張ってみるから…!」

 

 気合を入れて、見取り図と相対する黒子。すると、彼女はすぐさま首を傾げた。

 

「え、あ…これ……」

 

「どうしましたか?」

 

「ん、いや…その…」

 

 歯切れの悪い黒子。しかし、意を決して口を開く。

 

「私の記憶とは全然違う、かな…。ペン、ある?」

 

 柄鎖が黒子にペンを渡す。すると、黒子は迷いなく紙の上でペンを走らせ始めた。

 

「書かれている部分は大体合っているんだけど、書かれてない部分が多い、と思う…。このエリアはこっちにもう二部屋。ここの廊下はもっと奥まで続いてて、非常口まで繋がっている。非常口は外のここに繋がってて……」

 

 見事な手際で加筆していく黒子。瞬く間に見取り図が完成する。

 

「私の記憶だとこう、かな…」

 

「迷路のような構造をここまで……すべて通られたのですか?」

 

「え、いや……その、一回見取り図を見たことがあるから…その記憶を頼りに…」

 

「い、一回見ただけで…」

 

 驚愕する柄鎖。一方で狼牙は記憶の精査を行う。

 

「見取り図に書かれていた情報、他に覚えて無いか?」

 

「私が見たのは建設時に使ってた図だったから、確か寸法が…」

 

 黒子は部屋の一辺の長さ、天井の高さなど寸法を細かく書き込んでいく。

 

「もういい。お前の記憶が確かなのは良く分かった」

 

「そうですわね。これだけ細かく書けるなら疑う必要も無いかと。少なくとも私より正確なのは間違いなさそうですわね」

 

「凄いな、一見でこの精度か…」

 

「え、お、あ、えぅ……えっ、えッへへ……」

 

 狼牙に褒められ、だらしなく笑う黒子。その際に涎が垂れ、それを手で受け止め、トイレで洗ってくる羽目になっていたが。

 

「とにかく見取り図の正確さは保証されました。これを見ながら話していきましょう。まず、私達が目指すべきなのはここです。最奥の機関室。ここに侵入し、装置を止める事が出来れば作戦成功となります。そのためには…」

 

 そこで、ガルーが手を挙げた。

 

「あ、その……話を遮ってすみません」

 

「構いません。何か疑問ですか?」

 

「一応、前提条件の確認なんですけど……禁断箱(パンドラボックス)って、異能(エレメント)を封じるガスを流し込んでいるんですよね…? 瞬間移動で出てこないように…」

 

「えぇ。その通りです」

 

「だから、ガス装置を止めるのも一つの手段だと思います…。けど、そんなことしなくても手っ取り早く禁断箱(パンドラボックス)を開ければ良いんじゃないかって、思うんですけど…。

 目的達成の手段が二つあれば、作戦の幅も広がりますし…」

 

 そこで柄鎖は少し考える。

 

「……黒子様、禁断箱(パンドラボックス)に開閉扉はありましたか? 私の記憶では無かったと思うのですが」

 

「無かったはず……だと思う。扉が溶接された後みたいなのも無かった。そもそもあれだけ大きな鋼の塊に扉を付けるのは建設当時の技術力では無理な気が……。

 あれ? 出入口が無いのに、封印された人はいったいどうやって中に入れられたんだろうか…?」

 

「ガスを入れる空気穴から入ったとか、ですかね…?」

 

「人が通れるような大きさでは無かったと思うですが……。何かしらの素能で液体化させて入れたとか…」

 

 黒子のもっともな疑問にその場にいる人物は首を捻る。しかし、それに待ったをかけたのは狼牙だ。

 

「そんな事を考える必要があるのか? 今はどうやって禁断箱(パンドラボックス)を解放するかの方が重要だろ。

 出入口が無いのなら、ガス装置を止めるしかない。それだけだ」

 

「……そうですわね、考えてもしようがない事ですし。話を戻しましょう。

 ガス装置がある機関室までのルートはかなり複雑です。道すじは全員で記憶し、見取り図を各自撮影するなり、メモを取るなりして万が一忘れた時にも確認できるようにして置いてください。

 

 そして、禁断箱(パンドラボックス)の警備です。隔壁などは無し、異能者(シンギュラリティ)相手に生半可な壁があっても役に立ちません。代わりに迷路のような構造で時間を稼ごうという設計です。しかし、私達には見取り図があるので迷う心配も無い。

 

 そして人的警備ですが……正直甘いと言わざるを得ません。人数も少ない、加えて建設から100年の間に防衛意識がゆるんでいるのでしょうか、士気も低い。そもそも禁断箱(パンドラボックス)を襲う組織というのが今までに存在しなかったらしいですし。

 ここにいるメンバーであれば突破できるでしょう。

 

 肝心なのは禁断箱(パンドラボックス)を解放してからだと、私は考えています」

 

「封印されている奴をどうするか……」

 

「えぇ。封印されているのはかつて狼藉をこれでもかと働いた集団ν(ニュー)のリーダー。つまり、禁断箱(パンドラボックス)は刑務所みたいなものですわね。凶悪犯を野に放って、さてどうしましょうという所です。

 100年の間で反省していれば話は早いんですけどもね。十中八九、暴れるでしょう。それも再び封印されないよう、私を狙ってくる可能性も高いですし。一番の対策は、私たちの手で倒してしまう事ですが……実際、どの程度の力をもっているのでしょうかね」

 

 そこでツインテールが手を挙げた。先ほど急に奇声を上げて仰け反った実績のせいで、少し嫌な予感に駆られる面々だが、彼女は構わず発言する。

 

「昔話が情報ソースで頼りないけど、口伝ではこう伝わってる。“他人の素能を奪い、ストックできる素能を持っている”と。奪った素能で判明しているのは“瞬間移動(ブリンク)”と“蘇生(レストア)”の二つ。そして、仮死になれるという現代でも再現できていない奥義を使いこなしている。客観的に考えて、私達だけの手に負える存在とは思えないわね。

 なにより、蘇生の素能で殺しても死なない――残機があるのが一番ヤバい」 

 

 狂人の至極真っ当な意見に、気を削がれる面々。

 

「そうですわね……。私の素能で蘇生を阻止できるとはいえ、燃費が良くありません。もって2,3分。その間に仕留められれば……100年仮死状態になっているわけですし、少しぐらい腕が鈍っていれば良いのですが」

 

 そこでリッチが挙手。柄鎖が発言を促す。

 

「相手の戦力が分からない以上、出来るだけ戦力は多い方が良いと思うな。だから、僕たち9人以外の手も借りるってのはどう?」

 

「私達以外、ですか?」

 

「うん。敵の手を借りる、ってことになるのかな。

 作戦としては、施設を襲撃してすぐに禁断箱(パンドラボックス)を解放するんじゃなくて、あえて時間をかける。そうすると、敵の方も援軍を出してくると思うんだ。

 その状態で封印が解けて中の人と戦闘、ってなったら多分、総力戦になると思う。でっかい外敵が現れたら今までいがみ合ってても協力するのは人間の性だしね」

 

「なるほど。その作戦は良いと思いますが、敵の援軍が来た後、持ちこたえる必要があるのが問題点ですわね。ガス発生装置を止めて、ガスの換気が終わるまでに時間が分かりませんから、援軍到着と同時に即解放とはいきませんから。

 見取り図によると、非常口と正面玄関さえ押さえれば中には誰も入ってこれない。しかし、狭い非常口はともかく、広い正面玄関で防衛し続けるのは難しい気がしますが…」

 

「まぁ、そこは僕たち執事とメイド達に任せて欲しいかな。誰一人通さないって約束は出来ないけど、前線を崩壊させない程度には頑張れるから。抜けられたら機関室に向かうメンバーで対処してもらうとしてさ」

 

 そこで、ついぞオーバーヒートしていたリーダーが手を挙げる。

 

「そういう策でしたら、私は雷家から人手を引っ張ってこようかと思います。事前に準備をすると気取られる心配があるとの事なので、当日引っ張ってこられる限りですが」

 

「えぇ? リーダーに抜けられるのキッツいなぁ……。まぁ、援軍引っ張って来るのは大事だし、こっちで何とかしてみるよ。皆さんもそれで良いですか?」

 

 異を唱える者はいない。話は次へ進展する。

 

「次は非常口の守りですね。ここは狭いので一人で十分でしょう。しかし、逆に言えば一人で守り切らなければいけない。一番の手練れを配置するべきだと思いますが……黒子様はいかがでしょうか」

 

「えっ、わ、私ィ…?」

 

「えぇ。残ったメンバーの中で一番実力があるのは黒子様ですから」

 

「でも、私……最高でもランキング二位だったから…。一位の柄鎖の方が……」

 

「私は金剛不壊(こんごうふえ)で固いだけですわ。倒されはしませんが、簡単に抜かれてしまいます。相手を釘付けにできる力がここでは求められているのです」

 

 狼牙や雷夢も柄鎖の言葉に黙ってうなずく。異論はないようだった。

 

「だ、誰も抜かせなければ、良いんだよね…? 分かった。うん、頑張って、みる……」

 

「では残りの私と狼牙様、雷夢様で機関室を目指しましょう。私はともかく、突破力のあるチームになりましたわね。

 さて、これで作戦の概要は決まりましたが、何か意見や質問はありませんか?」

 

 全員、黙したまま。

 

「決まりですわね。作戦決行はいつに致しますか? できれば早い方が良いですが……」

 

「「いつでも」」

「こ、心の準備が…」

「いつでもいける」

「1週間は欲しいかなー」

「3日」

「た、戦いに時と場所は選びません…」

 

「……まぁ、1週間後としましょう。各自、最高の状態に仕上げるように。集合時間は午前6時、場所は禁断箱(パンドラボックス)最寄りのコンビニで」

 

 

 

 その日は、それで解散。時間をずらしてそれぞれが退出していく中、柄鎖が狼牙の肩を叩く。

 

「この後、時間ありますか?」

 

「問題無い」

 

「でしたら、学校で待っております。…それでは」

 

 柄鎖はそれだけ言い残し、部屋を出て行ってしまった。

 

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