Monster Hunter Link 1 ~幻影の悪魔~ 作:ヌカカ
闇と光。一見すると矛盾した対象。しかし,この二つの事象を同時に受け持つかのような存在がいるのだ。
私はしがないモンスター研究者。独特の生態系を持つ大陸群,アリシオの地になにやら異変が起きたと聞きつけ,現大陸からはるばると調査に向かった。私はリギンドンの港にあるという,ハンター事務所の一室を借り,この街に所属しているハンターと協力してとあるモンスターを調査追跡することとなった。
このリギンドンの街,現大陸で色々な地を放浪した私からしても,とても個性的な街だと感じた。大型の蒸気ビークルが街中を動き回り,モンスターの鱗で覆われたような壁の大きな建物,そして住民と一緒にモンスターが歩き回っている。ライダーという存在がいることは知っているが,彼らもそのライダーの系統なのだろうか。
現大陸で渡されたリギンドンの街中の地図を頼りに歩くと,こじんまりとした,少し古びた建物を見つけた。この街では珍しく,木造チックな作りが目立つ。ここだな,ハンター事務所とやら。
「君だね。噂の研究者さん。」
事務所に入ると,背の高く若干細身の男が私を出迎えてくれた。彼もハンターらしいが,何やら薄めのジャケットに長ズボンというカジュアルな服装のせいか,とてもそうには見えない。第一印象は"休日の村人"という感じだ。
「ええ,お待たせしてしまい申し訳ない。」
「ちょうど昼食を嗜んでいたところだったからね。むしろゆっくり来てくれても構わなかったさ。」
「ここがハンター事務所?さっき入ったときは村にあるような図書館かと思いましたよ。」
「誉め言葉だと受け取っておくよ。そちらだと街の4分の1ほどの大きさの施設もあると聞くじゃないか。とても信じられないよ。」
現大陸で聞いた話だが,このアリシオの地では対モンスター用の兵器の発達や,モンスターの養殖・育成の技術が活発になったことで,野生のモンスターへの対応策が豊富となっている。そのため,ハンターの役割も徐々に減り,ハンター志望者も年々減少の一途をたどっているという。このような事務所という形に落ち着いたのも,その影響によるものだろう。
「ところで,これから調査に向かうモンスター…本当にいるんですか?こういうの。」
「ああ,持ってきてくれたんだね,手紙と一緒に送った資料。もちろん,この大陸のハンターの一人として保証するさ。実際に相まみえたこともあるんだよ。」
私は改めて,原稿用紙ほどの大きさの数枚の紙きれを見つめた。
『閃晶竜 ラジュエリオン』
表紙にはそのようなタイトルがつけられていた。
宝石のごとく煌めく結晶を身にまとい、優雅に空を舞う。輝くものに目がなく、人知れず宝石や宝をおのれの物とする。透明な鉱石を飛ばし、光の屈折を利用した攻撃を行う。そして一瞬にして透明になったかのようにその姿をくらませるという・・・。
姿をくらませる?そんなモンスター,古龍ぐらいしか存じない。本当にいるのだろうか…。しかし,ここにきて間もない身としては,この男に従うしかなさそうだ…。
「なるほど,承りました。早速明日以降の話し合いをましょう。ええと…」
「ハーグだ。よろしく。」
「ロスタールです。よろしくお願いします。ハーグさん。」
私はハーグと硬い握手を交わした。肌にしみ込んだ土の香りと,武器を振ったときにできたであろう硬い肉刺のざらつきが,私の手の感触に刻み込まれた。