Monster Hunter Link 1 ~幻影の悪魔~   作:ヌカカ

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その3 月光に照らされし烈戦

閃晶竜は炎爪獣を見つけたとたん、空中で脚先の鋭い爪を向け、そのまま豪速球で突進した。炎爪獣も負けじと自慢の爪で蹴りを受け止めた。その瞬間、彼らを中心にズドォォォッと衝撃波が走り抜け、木々の葉がブワッと大量に飛ばされ、我々も後方へ一転するように吹き飛ばされた。

 

吹き飛ばされ、体勢を立て直した私は、目の前で閃晶竜と炎爪獣がお互いをにらみ合い、攻撃の隙を見計らっている様をみて、ただならぬ空気の張りを感じた。

 

「やめろお前ら…。お前らがこれ以上争えば、この大自然がめちゃめちゃになる…!」

私と共に吹き飛ばされてしまったハーグが、モンスター達めがけてそう呟いているのが聞こえた。

 

そう、私達が今回調査に出向いた本来の目的、それは『閃晶竜と炎爪獣の抑制』であったのだ。アリシオの生態系は現在とある異変を抱えており、最近この風谷で目撃された、この2匹がその元凶ではないかとハンター間で睨まれている。そこでこの2体の生態を調査し、力の抑制をするように命じられたのだ。しかし、具体的にどのような異変かは詳しく伝えられてはいない。ハーグ曰く、「見たら分かる」とのことだ。全くなんのことやら。

 

回想などしている暇はない。今この2体が戦えば、我々は愚か、周辺の生態系にも多大な影響が及んでしまう。それが見ただけで分かるほどに、2体の攻撃的オーラがひしひしと私の肌を刺激した。

 

ハーグは2体の攻撃をやめさせようとしているのだろうが、私の守護を優先している為か、私の前で構えたままだ。

 

まずは閃晶竜のターンだ。彼が翼をたなびかせ、フワッと宙に浮かぶと、体に付着していたと思われる"結晶"を振り払い、複数地面に突き刺さった。

すると結晶は月の光を吸収するかのようにビカッと輝きを増し、一瞬にして辺りが眩しくなった。

 

「み…見えない…!」

私は目をつぶったまま動くことが出来なかった。しかし、ハーグが背中に背負っていた大剣を抜刀し、私達の前におろし、光を遮ってくれた。

 

 「怪我はないか!?」

 「ええ…。大丈夫。」

「すまない…俺が不甲斐ないばかりに…。」

「いえ、あなたは運が悪かっただけです。むしろへまをしたのは私です。申し訳ありません。しかしいったいこれは…」

「言ったろ。あいつは結晶から放たれる光の屈折を使って獲物を惑わせる。このフラッシュもその一つだ。」

 

 

フラッシュは徐々に光を衰え,あたりの景色が再び見え始めた。しかし,私はすぐに異常に気付いた。閃晶竜の姿が見当たらないのだ。目の前にいるのはフラッシュに目をやられ,混乱している炎爪獣だけだ。

 

 「なに!?一体どこにいった!」

 すると奥の暗闇から徐々に閃晶竜の影が現れ始めた。炎爪獣はその影にめがけて突進し始めた。

 

 「あれは…まずいぞ!頭を守れ!」

 ハーグが何やら私にそう叫んだ。なんだ?一体…?

 

 炎爪獣は確かにその影に巨大な爪で切り裂いた。しかし,その影をすり抜け,まるでヒュッと虚空を切り裂いたかのような音が聞こえた。炎爪獣の唖然としたような間抜け顔が目の端にうっすらと移りこんだ。

 するとその影は,急に点滅しだしたかと思ったのもつかの間,その影が突然強大な衝撃波と熱線が辺りを蝕みだした。

 

 「ぐぅぅ‥‥うっ…」

 再びハーグが私たちを大剣で守り,その熱から身を守ってくれた。

 

 炎爪獣は衝撃波で吹き飛ばされ,私の目の前寸前のところでとどまった。私は血の気が引く思いだった。

 

 「さっきのあれはあいつのダミーだ。体から出た発火性の結晶を瞬時に移動しながら取り除くことで自分の分身を作ることが出来る。まあ,いわゆる“質量のある残像”ってやつだな。」

 

 その言葉通り,閃晶竜は再び姿を現した。私はこの一連の流れを見て察した。おそらく閃晶竜は,地面に落とした結晶に月の光を屈折させ,その光の作用で自身の姿を消していたのだ。我々は彼の“魔術”にまんまと引っかかってしまったわけだ。

 

 すると炎爪獣は再び立ち上がり,閃晶竜の方へ歩みだした。すると今度は彼の身体がほのかに赤く光を帯びだした。

 なんだ?もしや奴も結晶使い…いや違う,あれは炎だ。炎が彼の身体に帯び始めている。

 

 炎爪獣バルグリンデ。先ほどまで閃晶竜にやられ続けていた彼とは違う“炎”の熱が,あたり一帯を包み始めていた。

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