Monster Hunter Link 1 ~幻影の悪魔~   作:ヌカカ

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その4 炎の王者

自然と炎は常に犬猿の仲だ。一度草木に一個の火の粉が舞い降りれば,炎の波は数多の命を奪いつくすだろう。だが彼は違った。彼は炎の王者であり,大地の王者でもあった。

 

閃晶竜との戦いの最中の事だった。炎爪獣は唸りをあげながら、その巨体から炎の"鎧"を纏い始めたのだ。

 

「あの姿は…。」

「炎纏いだ。あいつは感情が高ぶると、発火性成分を含んだ体液を発火させ、己の武器にするんだ。だからあいつに触れてはならんぞ。体液が体に付着したらあいつの発火と同時に俺たちも燃えだすからな。」

 

ん?触ってはいけない?そういえばさっき炎爪獣が転んだときに脚にちょっとだけ付いちゃった…。

さっきまでの状況を振り返っていたその時、足から何やら煙臭い匂いと鋭い皮膚への刺激を感じた。

 

「うおおおい!?早速燃えてんじゃねえか!!!消せ消せ!!!!」

 

あああああああ!!!

 

2匹が目の前で争っていることも忘れ、私はその場を回転するように走り回った。ハーグは予備の水筒と寝床用の大きな布で私に纏わりついた火を消してくれた。助かった…。

 

そうだ!奴らはどうした…?と思った矢先、炎爪獣がいきなり高速で閃晶竜に向かって突進しだした。は…速い!もはや走っているのではなく、飛んでいるように見えるぞ!

 

キュアアアアアアア!!

 

今度は閃晶竜が炎爪獣が繰り出した炎のタックルに押し倒された。そして閃晶竜の翼が徐々に燃えだし、もがいている。

おそらく、炎爪獣は炎を後方に噴射することによって自身の推進力としているのだろう。そう思った矢先、今度は炎爪獣の爪がめらめらと炎を纏いだした。そしてそのまま閃晶竜をその爪で引っ掻き始めた。

 

キィイ…。

 

閃晶竜は弱々しい声しかだせず、炎爪獣の引っ掻きと全身に行き渡る炎に追い詰められていた。もはや炎の暴力。この地獄から逃れることは、出来そうにない。

そう、奴はこれまでのモンスターと異なり、炎を"意図的に"操ることが出きるのだ。まさに炎の王者だ。

 

彼らが戦闘を続けている最中の事であった。私の目の前に、閃晶竜から剥がされ、飛んできた結晶が地面に突き刺さった。

 

「危ない!」

ハーグは私の前に被さり、私を突き飛ばした。すると結晶が炎爪獣の炎と反応し、

 

どかんっ!!

 

と爆発した。ハーグは爆発の衝撃で吹き飛ばされ、その時に足をくじいてしまったようだ。

「いってえ…」

「ハーグさあああああん!!」

そう叫んだ矢先、同じような爆発があちこちで起こりだした。恐らく、私達の目に見えない結晶の微粒子すら、炎爪獣の炎と反応しているのだろう。

 

数多の空中爆発の最中でも、あの2匹は未だにもがきあっていた。嗚呼、ここは地獄だ。私は一刻もここを離れなければと、ハーグを肩にかつぎ、残り少ない体力で戦闘の場を後にし、林を一目散に抜けた。幸いにも2匹は私達に気づかず、未だに戦闘を続けている。もう後は走るだけだ。背中に背負われているハーグの体温が、私の背中を推してくれているような気がする。そのためか案外早く林の出口へ付くことが出来た。林の出口には、林から抜け出したのだろうか、色々な生物達が立ち往生していた。恐らく林の中の惨事の被害者達だろう。彼らを横目にして、林から少し離れたところで、手持ちの焼夷弾を放った。私はハーグを横に寝かせ、私も草原の毛布に倒れた。

 

「全く、ロスタールさんよお、あんたは本当に、トラブルメーカーだな。」

ハーグははあはあと息を吐きながら私にそう呟いた。だがその口元は微笑み、目は優しそうに潤っていた。

「ほんとうですね…。現大陸の色んな生態系を見てきたとおもったら、全然しらないことばかりだし、こうして狩り場に赴いても、結局ハーグさんの役にたてなくて…。」

私がそう呟くと、ハーグは続けた。

「なあにいってやがる!あんたがここまで運んでくれなかったら、今頃俺は蒸し焼きだったぜ!それによ、俺だって知らないことばかりさ、自然ってのはそのくらい巨大で美しいんだ。」

「巨大で…美しい…?」

「そう!あとよ、俺の事はハーグってよんでくれよ。さん付けはやっぱなれねえわ。」

私はクスッと笑った。どこかひょうきんな人だけど、あのときのように守ってくれた背中が、私にはとても大きく見えた。この人にあえて良かったと、感謝しても足りなさそうだ。

 

「ありがとうございます、ハーグ。私のことも、ロットって読んでください。昔から馴染みある呼び名ですから」

「おう!よろしくな!」

 

私達は夜空の光に照らされながら、微笑みを交わした。そして私はこれまでの疲れが出たのか、その場に寝込んでしまった。意識を失う直前、救助隊の荷車の音がカラカラと聞こえた。

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