アドステラ報道アーカイブス   作:陵戸 紫苑

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めちゃくちゃ間が空いてしまって申し訳ない。

最低でも1週間に1回は投稿しようとしたんですが、仕事と艦これとウマ娘で忙しくてですね(最低な言い訳)

文章あんまり練り込めて無い気がするので、色々ツッコミどころあるかもしれませんが許して下さい(最低な言い訳2回目)


A.S.0XX/XX/xx【NEETコラム①】

【NEETコラム】急速に進む宇宙開発がもたらす社会の分断

 

Ωインゴベルト・ヴァスマイヤー経済学者/大学教授

 

 この十数年で、パーメットとその様々な活用法の発見により、素材や情報技術面で大きなブレイクスルーが起こっている。特にその影響が著しいのは、宇宙開発分野であろう。パーメットの情報共有能力を応用した超光速(FTL:Faster Than Light)通信はその筆頭とも言える。宇宙空間においてタイムラグのない通信を可能にした恩恵は計り知れない*1。パーメットのような未知の、人類に有用かもしれない元素やそれを含有する鉱石を発見することは莫大なリターンを齎す。そのため国家だけでなく、様々な企業や団体が宇宙開発に参入しているのが今日の実情である。水星におけるパーメット採掘事業の本格化に伴い、この流れはますます加速するものと思われる。では、この宇宙進出は我々に何を齎すのか。人類は宇宙という無限のフロンティアを手に入れた、と薔薇色の未来を想像している人は多かろうと思う。実際、宇宙開発を推し進める国や企業ではそのような謳い文句が多用されている。しかし、この薔薇色の未来にありつける立場の人間は限られているのだ。

 

 世界保健連合(WHU:World Health Union)の調査報告書によれば、宇宙に長期滞在した場合以下のような健康被害が多数あげられている。

骨粗しょう症
微小重力による筋萎縮症
空間認識能力の低下
宇宙生活関連視神経症候群
平衡感覚障害

 これら健康被害には個人差があるため、旧暦の宇宙飛行士には高い身体能力や空間認識能力などが求められ、厳しい選抜試験をくぐり抜けたものだけがなることができた。さらに宇宙でトレーニングを行うなどして対策していた。現在でも開拓団に参加するためには旧暦の宇宙飛行士ほどではないが、高いハードルが設定されているし、企業や研究機関などでも同様に求められる基準は高い。では誰がこのハードルをくぐり抜けることができるであろうか。高度な教育を受け厳しい訓練を積んだエリートか、特定技能に非常に優れたスキルを持っている一部の人間、そして所謂宇宙適正*2の高い人間である。宇宙進出が進むに連れて制限は徐々に緩和されるとは思われるが、現状では宇宙における一般人は地球における上澄み中の上澄みと言えるであろう。まさにこの点が問題なのである。

 

 宇宙ー地球間だけではなく、無論地球内にも地域間や地域内における格差は存在する。以前から言われていたように、貧困の悪循環*3から逃れることは個人の力ではほぼ不可能だ。そこで登場したのが「宇宙フロンティア論」であり、無限のフロンティアである宇宙に進出することで新たな市場や雇用を創出できる、と政府や企業は主張している。そしてそのために莫大な労働力と資本を投下しており、宇宙産業関連の企業への優遇措置や”一時的な”増税*4を行っているのだ。だが、前述した通り宇宙に進出することができるのは現状一握りの人間だけなのであり、それが上澄み中の上澄みなのである。条件が緩和されたところで上澄みになるだけなのは想像に難くない。そして、地球に残されるのは「選ばれなかったもの」「上澄みを掬った残り」になってしまう。将来的に宇宙における経済圏が確立された時、この宇宙進出者と地球残留者の間の格差は、地球内部の格差どころではない、空前絶後の格差*5とそれに伴う社会の分断を引き起こすであろう。政府には、宇宙開発がすべての問題を解決するが如き虚言を弄して将来的な格差を拡大させるのではなく、起こりうる最悪の未来を想定した上で社会の分断が決定的なものになる前に対策を打ち出すことが求められている。

 

記事に関する報告


Ωインゴベルト・ヴァスマイヤー経済学者/大学教授

経済を中心に雇用・格差問題など、ニュースに良く出る最新の話題について解説を行っています。


 

【関連記事】

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パーメット研究機関「Vanadis」代表インタビュー「由来はパーメットの元素番号240から」

進む宇宙開発、進まぬ法整備 宇宙における国土の定義いまだ纏まらず

政府 宇宙進出した企業を対象に企業行政法の適用範囲の拡大を検討

 

*1
光子(光の粒子)は完全な真空中で毎秒18万6282マイル(29万9792km)進むことができる。これはとてつもない速さだが、例えば地球から火星(4200万マイル≒約6700万km)に光の速度で信号を送ると、3分2秒かかる。

*2
空間認識能力や平衡感覚に優れ、筋肉が付きやすいなど宇宙進出における健康被害に耐性を持っていること

*3
貧しい家族は少なくとも3世代以上の貧困状態の罠に陥るという事で定義された。そういった家族には貧困脱出の助けとなる知的・社会的・文化資本をもつ祖先がいなくなっているため、貧困から脱出するのには長い時間がかかる。貧困層は貧困から脱出するための金融資本・教育・コネクションを持っていないために起こる。言い換えるならば、貧困にあえぐ人々はその貧困の結果によりディスアドバンテージが発生するため、貧困が更に貧困を引き起こす。これは貧しい人々は生涯に渡って貧しいままであろうということを意味している。

*4
一部で採用されている宇宙開発関連税などのこと。なお一時的で終わった試しは歴史を紐解いてもなかなか無い。

*5
スラムの住民と底辺の億万長者の差はせいぜい数億~数十億だが、底辺の億万長者と頂点の億万長者の差は千億どころか時に兆を超える。では頂点の億万長者が宇宙経済をその手に握ったならばどうなるか?文字通り「天文学的な」差が生まれるのだ。




・NEET社(New Earth Economical Times)
適当に命名した経済新聞。NYT(New York Times)とは何の関係も無いです。

・パーメット式FTL通信
例示した火星より水星のほうが遠い(8210万〜2億1710万km)し多分あるんじゃないかな……という超絶適当な捏造。

・世界保健連合(WHU:World Health Union)
WHOをちょっとボカしただけ。

・旧暦
西暦のこと。A.S.(アド・ステラ)の技術は結構現代の延長線にあるものが多いので、西暦のあとA.S.(アド・ステラ)に変わったと想定してます。
Adはラテン語で英語の "to" や "on" や "for" に相当する前置詞。
Stellaはラテン語に由来し、英語、イタリア語などで「星」「惑星」または「星光」を意味する名詞。なので「星(の光)/惑星へ向かって」という意味なんですね。希望に溢れた時代になると期待してたんでしょうね(遠い目
AD自体が西暦って意味もあるんで、個人的にはこじつけで「星歴」と脳内で変換してます。

・Vanadis
8話でGUND研究じゃなくてパーメット研究って言ってるので研究機関としては古参だったんじゃないかなと思いました。

ヴァナディース (240 Vanadis) とは、小惑星帯にある大きな小惑星である。
1884年にアルフォンス・ボレリーによって発見され、北欧神話の女神フレイヤの別名から名づけられた。(wikiより引用)

ちなみに1個前の小惑星番号239がアドラステア (239 Adrastea)で、アドステラとちょっと似てるのが面白いですね。こっちは北欧神話由来ですけど。
なお、フォールクヴァングはフレイヤの住む宮殿だったりします。
ガンドが現代ノルウェー語で「復讐のための呪いの人形」だったりと北欧神話のネーミング元見てみると結構モチーフにしてるんじゃないかな……。wikiちらちら見るだけでも楽しいのでおすすめ。
元素番号240がパーメットだというのは完全な捏造です。

・格差拡大
宇宙飛行士の選抜試験とか求められるスキルとか見てると、宇宙という新たなフロンティアで一発逆転!とか絶対起きないよなってなりますよね。
記事内でも書きましたが、上澄みを宇宙に送ってるようなもんなのでそらそうなるよなという。
企業のパーティに黒人が全然居なかったりするのも、まあ発展途上国とかが宇宙開発参入できないよなーと。地球のデモだとちょこっと居たり、地球寮のオジェロ・ギャベルとかは黒人なので、そのあたりは露骨に描写してる感じしますね。
まあ、中にはサリウスみたいなのもいるんでしょうけど。
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