IS<インフィニット・ストラトス> ~青年で男の娘はアリですか?   作:イイ日旅立ち

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サイト閉鎖の憂き目に遭ったりもしましたが、このような場所を提供していただいて嬉しく思います。


また懲りずに連載しますが、以前までのようなペースはちょっと無理ぽ……とりあえず、今日は試しにプロローグだけ。


本当だったら改変とかリメイクとか出来たりしたかったりしたんですが、時間無いし諦めました。これもスパロボって奴の周回プレイが原因なんだ……ッ。


prologue

 

 

 

 

 

 

 

 僕こと『崩上湊』は当時小学四年生の時、学級委員を務めていた。

 

 

 

 

 責任感が強い訳じゃないけれど、役目を担ったからには仕事はこなそうと思うぐらいの気持ちはあった。

 

 

 じゃんけんで負けたからではあるが、そこら辺は気にしない。

 

 

 

 

 そして学級委員としての仕事を真っ当しようと思う僕の前に、立ちはだかる“壁”が存在していた。

 

 

 

 

 それはある三人の女子。それぞれが個性というかあくが強過ぎて、クラスの中で浮いた存在なのだが、この三人にはクラスメイトどころか教師ですら匙を投げていた。

 

 

 

 一人は誰も彼も見下して、いつも難しい本ばかり読んでる女子。

 

 

 一人はいつも眉間に皺を寄せて、尋常じゃ無く喧嘩が強く手のつけられない女子。

 

 

 一人はその女子と渡り合える女傑で、いつも自ら進んで一人でいようとする女子。

 

 

 

 教師の言葉すら耳を貸さず、そんな相手に果たしてじゃんけんで負けた程度の学級委員が何を出来るか。

 

 

 正直僕にはどうしようも無い気がしてならないのだけど、担任やクラスメイトからの視線が逃げる事を許さない。

 

 

 

 つか皆酷いんじゃなかろうか。僕にだけ面倒を押し付けて自分達は逃げるだなんて……僕だってすげぇ逃げ出したかったってのに。

 

 

 

 だが、僕は逃げなかった。いや、逃げられなかったというべきか。

 

 

 

 だからとりあえず頑張ってその三人と必死で話そうとし、幾度となく無視されたり殴られたり無視されたりボコられたり無視されたり蹴られたりそしてまた・・・・

 

 

 

 ・・・と、とまぁ艱難辛苦を乗り越えて、異性に対してトラウマを刻まれたりしたが卒業する頃にはかろうじて仲良し、とまではいかないまでも世話役としての任務を真っ当は出来たと思う。そういう事にして欲しい。

 

 

 

 そして中学。この時、僕は両親の都合で街を離れる事になり、中学にまでなって三人のまとめ役を押しつけられなくなった事が嬉しくて堪らなかった。

 

 

 

 何せ三人の問題児っぷりは地元に轟くほどであり、そんな三人と意思疎通を可能としただけで僕まで有名になってしまい、三人の親御さんには涙ながらに感謝されるわ『鬼のおかん』とか渾名をつけられるわ、表立って街を歩けなくなってしまっていたのだ。

 

 

 だから父の単身赴任で母が僕にどうしたいかを尋ねてきた際、僕は迷わずついて行く事を選んだ。

 

 

 

『でもいいの? あの子達の事は』

 

 

『いいんだ! むしろ僕が逃げたいんです! もう責任とかおかんとか無意味に崇められたり怯えられるのは御免なんだよ僕は!』

 

 

『そ、そう………湊がそう言うなら、それでいいけど……』

 

 

 

 母さん曰く、その時の僕は子供ながらに鬼気迫る表情をしていたらしい。それだけ必死だったと思うと、我ながら女子から逃げる事に必死になってた事が恥ずかしい……

 

 

 

 だがこれでもう面倒は無くなる。

 

 

 三人についての心配は無かった。そもそも僕なんかより基礎スペック的な意味では遥かに優れていたのだ、最低限のコミュ力が無くてもあの三人なら何ら問題無いと踏んでいた。

 

 

 

 それはつまり、僕の三年にも及ぶ努力が水泡に帰しても構わないという事になるのだが、あまり自分がやった事に自信が持てなかったので仕方ない。

 

 

 ただ引っ越す前日、例の三人がわざわざ見送りに来てくれたのは嬉しかったのをよく覚えている。

 

 

 しかも餞別にプレゼントを用意してくれていて、何も用意していなかった僕は自身の持ち物の中から三人が欲しいと思った物をお礼に渡す事にした。

 

 

 

 一人には以前から興味を示していた天体望遠鏡を。

 

 

 一人には僕が気に入ってあまり使わなかった髪留めを。

 

 

 一人には当時流行っていたロボットの模型を。

 

 

 

 面倒だ何だ言っておいて、その時になって初めて自分にとって彼女達が大きな存在だと気付き、くすぐったくなる気持ちを抑えて最後にもう一度だけ別れの挨拶をして僕達は別れた。

 

 

 

 

 

 それ以後は互いに連絡を取り合う事も無く、僕は田舎の学校で中高を過ごしていった。

 

 

 

 三人から貰ったプレゼンの、女物にしか思えない髪留めは仕方なく、本当に仕方なく付ける事にしたがそのせいでひと騒動起こったりもしたが概ね楽しい学生生活を送れたと思う。

 

 

 

 

 学生時代を思い返すと、やはりあの三人の事を思い出す。

 

 

 

 それだけインパクトの強いキャラだったし、大人になった今でもよく覚えている。

 

 

 

 

 ・・・・そうとも。子供時代に刻まれたトラウマは生涯に渡り、忘れる事なんて出来やしない。

 

 

 

 楽しい? 嬉しかった? そんなもんはほんの一面に過ぎない。

 

 

 僕がそれまでに負った負債に比べる事はしないが、それでもプレゼントを貰ったぐらいでトラウマが払拭出来る訳が無い。

 

 

 

 未だに当時のトラウマが強くて異性に近づく事すら出来ないし、恥ずかしい話、彼女が一度だって出来た事が無い。

 

 

 女子からトラウマを植え付けられると、例えそうじゃないと分かっていても刻まれた恐怖が甦るのだ。

 

 

 

 そしてこの物語は、大人になった僕が再び、当時のトラウマの元凶達と出会うところから始まる。

 

 

 

 

 

 ―――――――【IS】という名の舞台のもと、僕は再び胃痛と頭痛に苛まれる日々を迎えるのであった・・・

 

 

 

 

 

 

 

 ・・・・・・・・・・

 

 ・・・・・・・

 

 ・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 時は現代。

 

 

 僕は小学時代に引っ越してきた、見渡す限り山に覆われたような田舎の街である道場の師範代なんかをやっていた。

 

 

 

「……よしっ。今日の授業はこの辺で、それじゃ皆並んでー」

 

 

『うーっす』

 

 

『はぁーい』

 

 

 

 高校の授業の一環として武道の選択科目があり、僕は剣道の臨時講師として学校に招かれている。

 

 

 僕の道場は正式な剣道ではない、古武術の一つなのだがそこら辺は案外緩いというか、単に教師不足で教えられる立場の人間がいなかった事もあり、この街に住んでいる人間の中で『若くて、授業が出来る程度の知識と体力を有している』という条件を満たしていたのが僕だっただけの話。

 

 

 

 給料も出るので僕としては断る理由も無く快諾して、今も終わりの礼をしているところだ。

 

 

 

「んー、やっぱり剣道を教えるのって難しいねー」

 

 

『どぅえええええええええええ!?』

 

 

「……皆してコケるのは、流石に酷くない?」

 

 

 

 ほんの冗談というか軽口のつもりだったのに、男女共にコケるあたりノリの良い生徒さんである。

 

 

 ここら辺は人口も少なく、顔見知りの生徒だって多い事もあって授業をしていても気負いや緊張が無くて助かるけど、やっぱり授業なんだからもうちょっとはしっかりした方がいいんだろう。僕も緩くなったものである。

 

 

 

「まっ、折角学ぶんだから楽しい方がいいでしょ? だからこういうジョークもまた必要って事で。それじゃ委員長さん、号令よろしく」

 

 

「はい。正座、礼!」

 

 

『ありがとうございましたー!』

 

 

「はい、皆もお疲れ様。着替えたら汗の処理とか、胴着のケアも忘れない様に。後で匂うと授業中に隣のあの子から何か思われるかもよー?」

 

 

 

 これまた冗談だったのだが、顔色変えて消臭スプレーの貸し借りの相談を始める男子や、慌てて更衣室に向かう女子を見ていると案外洒落になっていなかった事が分かる。

 

 

 

「(うーん、思春期だねぇ……僕とは縁の無い話だ……)」

 

 

 

 彼女いない歴=人生の僕からしてみれば、あのように異性の関心に一喜一憂する姿は何だか微笑ましいというか、ぶっちゃけ羨ましく思ったり。

 

 

 僕自身、子供時代のトラウマで彼女が作れないし、欲しいとは思うのだけどどうにも一歩が踏み出せない。とんだヘタレだと自らを鼻で笑いながら僕も着替えるべく教員用の更衣室に向かい、

 

 

 

「……あのさ、僕の着替えを覗いてもどうしようも無いって、前も言ったんだけど?」

 

 

『ギクッ』

 

 

「口でそう言う人初めて見たよ……」

 

 

 

 その途中、背後から視線を感じ、溜息を吐きたくなる気持ちを抑えながら振り返ると生徒の視線が何故かこちらに注がれていた。それも、男女ほぼ同じくらいの数の視線が。

 

 

 

「い、いやぁだってさぁ……」

 

 

「うん。先生の体がどうなってるのか気になるし……」

 

 

「ぶっちゃけ未だに先生が“男”だって信じられないというか……」

 

 

「男でその顔は正直卑怯というか……」

 

 

「皆して悉く僕の学生時代のコンプレックスを刺激してくれてるね? いや今も何だけどさ」

 

 

 

 もう何度も口を酸っぱくして言ってきた事なのに、これは僕の人間的信頼値が低いせいだろうか。それとも、そんなに僕は女に見えるのか。

 

 

 

『うんうん』

 

 

『ぶっちゃけ、美少女です』

 

 

「せめて“少女”は止めてね? 確かに背丈そんな無いけど、童顔だけど、これでも二十代だからね?」

 

 

 

 とはいえ、それが説得力の無い言葉だという事も理解はしているのだ。

 

 

 

 男だと言いながら髪は長いし、三つ編みに纏めてあるし、偶に街唯一の定食屋でバイトする時に冥土服も着ているけども!

 

 

 

「あれすっげ可愛いんだよなぁー!」

 

 

「だよね、だよね!? あれは女子の私の目から見ても眼福だったわ……」

 

 

「いや、あれ店主に口添えした奴がいたでしょ? どう考えてもこの辺でメイド服は無いよ、ここはアキバじゃないんだよ……」

 

 

 

 あの定食屋のおっちゃんが個人的にメイド服なんて持ってるなんて事はあり得ない。もしそうだとしたら、僕はちょっとあそこでのバイトを考えないといけない。

 

 

 というか何なのだ、この僕の扱いは。この街で僕を正しく“男”と扱ってくれる人がいないんだけど。それも地域規模で。

 

 

 

 髪型を変えないのは、子供の頃からのゲン担ぎだから正直変えたくない。

 

 

 これはずっと小さかった頃、病気がちだった僕を何とかしようと両親が色々調べて、魔除けの意味合いを篭めて僕に女の格好をさせたのが切欠だった。

 

 

 何でも、そうする事で悪い物が近寄らなくなるそうで、これが原因かはさておき女の子の格好をするようになって僕は病気に罹らなくなり、小学校に上がる頃には普通に健康体になれた。

 

 

 

 だから今でも髪型はその時の名残を残して三つ編みなんてしている訳だけど、そろそろ考え時かもしれない。

 

 

 

『『そ、そんな!?』』

 

 

「僕はむしろ皆からそんなに言われなきゃいけないのが理不尽なんだけど」

 

 

 

 僕はそんな女装系でネタにされるキャラを固定されているのか。それが運命なのか定めなのか、全然嬉しくないなぁちくしょう。

 

 

 

 

 

 

 

 ・・・・・・・・・・

 

 ・・・・・・・

 

 ・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 何か遣る瀬無い気分のまま道場を出た僕はその足で校舎の職員室に向かった。

 

 

 

「はぁ……髪切ろうかな…? でもこれ結構気に入ってるしなぁ……」

 

 

 

 肩からさげている三つ編みお下げを指で弄りながら、どうすれば女ネタでからかわれないかを考えるが、学生時代にどう頑張っても拭えなかったので今更感はあるっちゃある。諦めきれないのは、僕が諦め悪いだけだ。

 

 

 

 そうしているうちに職員室の前に到着し、扉の前で少し身支度をしてからノックして返事を待った後に入室する。

 

 

 

「失礼しまーす。武道場の鍵を返しに来ましたー」

 

 

「おや、崩上君じゃないですか」

 

 

「お久しぶりです、石動先生」

 

 

 

 そこにいたのは妙齢の女性。

 

 

 学生時代にお世話になった、そう、色んな意味でお世話になった元担任であった。

 

 

 

「それにしてもごめんねぇ、高卒の崩上君に臨時講師頼んじゃって」

 

 

「別に構いませんよ。あと、何気にバカにしてます?」

 

 

「え? そうだったかしら、でも不快にさせちゃったらゴメンなさいね?」

 

 

「は、はぁ……」

 

 

 

 顔には年齢相応の皺が刻まれているが、それが気にならない愛嬌というか可愛らしさが先生にはあり、おそらく下手な若手教師よりも人気がある。

 

 

 

 そしてまぁ、僕のトラウマに引っ掛からない唯一の女性でもある。僕はこのまま熟女芸人よろしく、年上大好き人間になるのだろうか。それも悪くないと思ってしまう自分が、何か嫌だ。

 

 

 

「それにしても……ふふ、こうして卒業生で地元に残っているのは、崩上君ぐらいなものよねぇ」

 

 

「そうでも無いですよ。商店街で働いてる奴も結構いますから」

 

 

「あらそう? でも、今でも顔を合わせる機会があるのって崩上君だけだから。何となくそう思っちゃうのよ~」

 

 

「まぁ…他の皆も忙しそうにしてますからね。俺も道場の師範代やってますけど、バイトしなきゃ生計も儘ならないですし」

 

 

 

 両親は僕が義務教育を終えてすぐに、再び単身赴任で今度は海外に出て行った。

 

 

 

 流石に海外にまで着いて行くのもどうかと思ったのと、予想以上にこの街を気に入ってしまった事もあって僕は一人、この街に残る事にした。

 

 

 家はそのまま残っているけど、生活費は自分で稼がねばならず、もっと言うと道場の師範代というのは存外儲けが無いもので、先の定食屋のバイトも含めて色んなアルバイトをしなければならないのだ。

 

 

 

「でも……」

 

 

「?」

 

 

「あ、いやね? ここはそんなにまだ広まって無いけれど、都会の方じゃ顕著って言うじゃない、“女尊男卑”って」

 

 

「……らしい、ですね。確かに、ここで慣れてると大変でしょうね……」

 

 

 

 先生の発した言葉に少し間を置いて、僕は当たり障りの無い言葉を選んだ。というかそれは女性が男に言う台詞じゃないよ先生ぇ……

 

 

 

 

 女尊男卑。ここ十年近くで広まった風潮であり、その昔にあった男尊女卑のそのまんま逆、女性至上主義の考えが今や世界の常識であり、それによって男の肩身は狭くなってきている。

 

 

 

 

 その原因が十年ほど前に登場したある物のせいだという事は、誰もが知っている。

 

 

 

 その名を【IS】という、現行の兵器の中でも圧倒的な性能を誇るパワードスーツ。

 

 

 正式名称・インフィニット・ストラトス。元は宇宙開拓用にと開発されたそうなのだが、その性能が宇宙開拓よりも兵器としての運用を主眼に置かれたのはある種自然の流れと言えた。

 

 

 

 ただ、このISにも欠点は存在し、開発者にしかISの中心であるコアを製造出来ず、その数も全世界でも五百に届かない少数である事と、もう一つ。

 

 

 そのもう一つこそが女尊男卑の最たる原因。

 

 

 

 

 『ISは男には乗れない』・・・たったそれだけの事実が、世界を変えた。

 

 

 

 

 ISに乗れないから、何故それだけで男女のバランスが一変したのかというと、このISが世界のパワーバランスすら左右しかねない程の性能を持ってしまったがため。

 

 

 

 たった一機でもISを持っていない国を制圧出来るとまで言われた戦力の総てを女性が有している。これは紛れもなく“脅威”に他ならない。

 

 

 

 そしてそんな力を持った存在が、言い方は悪いが調子に乗らない訳が無かった。

 

 

 

 男には力が無い。だから世界は女性中心であるべきだと主張する存在が増大し、その結果が今の女尊男卑に繋がる訳だ。

 

 

 

 まだこの辺は田舎という事もあって、女尊男卑の風潮は無いようなものだが都会はそうはいかない。

 

 

 常にISに関するニュースが情報が流れ、女性主義を訴える政治家や教育者までいるという。

 

 

 

 正直教師として偏重主義を教え込む正気を疑うが、それほどまでにISという存在は世界にとって大きなファクターになってしまっている。

 

 

 

「僕ら男にはISなんてあまり関係無いですけど、そうも言ってられない世の中ですし」

 

 

「私だってそうよ? こんなおばさんがあんな空をびゅんびゅん飛ぶような代物、乗れる訳無いじゃない」

 

 

「あははっ、それもそうだ。先生だったらすぐに乗り物酔いしそうですもんね」

 

 

「酷いわぁ崩上君ったら。でも、そうかもしれないわねぇ……だから、ISで威張る人達を見てると、何だか同性として恥ずかしいわ。きっと開発者の方だって、今の状況を嬉しく思っていないと思うの」

 

 

「自分で作った物が勝手に解釈されてる訳ですしねぇ、確かにそうかも」

 

 

 

 

 まさか自分の作った物が世界を動かすどころか、思想すら変えてしまっているのだからそりゃもう驚いてる事だろう。その結果を、どう受け止めてるかはさておき。

 

 

 

 

 そしてこの時まではまだ、ISの事を世間話の種としてしか関わり合いの無い僕であったが、それは“あるニュース”を機に大きく変わりを見せる事とになる。

 

 

 

 

 

 

 

「――――――――へぇ、男のIS操縦者現る、ねぇ……世の中動くんだろうなぁ、ずずーっ」

 

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