IS<インフィニット・ストラトス> ~青年で男の娘はアリですか?   作:イイ日旅立ち

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スパロボWの主人公で何か描きたい!


そんな妄執に囚われている方のイイ日旅立ちで御座います。

まぁそれはともかく、カラオケが楽しくて仕方ない昨今。あまり高得点は出せずぶっちゃけ90点なんてとった事無いんですが、最高得点が87とかそこらなんですがそれでもやっぱ歌ってるとストレス発散出来るし、映像も配信会社のオリジナルが面白かったりしてマイブームになりつつあります。この際、一人カラオケも視野に入れようかしら……?


第十五話

 

 

 

 

 

 

 

 

 人間誰だって一人ぐらいは頭の上がらない人というのがいるものだ。

 

 

 

 

 余程自尊心が強かったり、思いあがりの強い人はまぁ例外として、大体の人は自分の弱点を知っている人、御世話になった人など。強気に出られない相手がいると思う。

 

 

 僕の場合、学生時代の恩師である石動先生がそれに該当し、ちょくちょく女装ネタで弄られるも文句を言えなかったりする。

 

 

 

 そして、そんな頭の上がらない人の中に“年下”も含まれているというのは、何気に恥ずかしいことなのかもしれないと思ったのは結構前。

 

 

 

 今じゃそれを恥ずかしく思えなくなってしまっているけど、それは一重に会う度にからかわれ玩ばれてきたせいだろう。本能レベルで刃向えないと認識してしまってるが故に。例えば……

 

 

 

『ねぇ湊~、今日はこれ着ない?』

 

 

『え゛っ。あの、そのなんちゃってナース服みたいな……薄くて短くて恥ずかしい格好を、ですか? いや、流石にそれは幾らなんでも……』

 

 

『でも見たいなー。これを着てクリップボードと体温計を持って【診察ですよ~】とか言われた日にゃ私はもう……!』

 

 

『お、お嬢様? 何度でも言いますけど、それはお嬢様のような御歳の女性がまかり間違っても所持してていい服じゃありませんし、ましてや成人男性である僕が着ていい格好じゃないんです。だから着ろと言われましても』

 

 

『見たいなー。見たいな~?』

 

 

『うっ…、そ、そんな小犬のような眼をしてもダメなものはダメですって! いくらお嬢様の頼みでも流石に……ていうかこのくの一コスじゃダメですか!?』

 

 

『うんっ♪』

 

 

『うわ凄い笑顔だーってちょっメイド隊何してうわやめ―――――』

 

 

 

 …………ちょっと待って、今トラウマが掘り起こされかけた。

 

 

 

 何故僕が“お嬢様”なんて言葉を使ったり敬語を使っているのかというと、僕や柳崎が住んでる街の説明をしなきゃならなくなるので割愛させてもらう。

 

 

 ただ言えるのは、僕や柳崎街に住む人にとって“お嬢様”の存在は非常に大きいものであり、何だったら町長とか市長とかそんな立ち位置にいるのが彼女だと言うこと。

 

 

 

 初めて会った時以来妙に懐かれたというか気に入られたというか、最初の頃はまだ可愛らしい子供という印象だったんだけど今じゃ玩ばれるのが普通になってしまった。これも僕が悪いのかそうなのか。

 

 

 そんな、知り合いになる女性の大半にこういった仕打ちを受けて半ば女性恐怖症になりそうな時だった。

 

 

 

『うぅぅ……いくら機嫌を損ねちゃいけないからって、そろそろ泣くぞこんちくしょうめ……ぐすっ』

 

 

『ねーねー、おねえちゃんどこかいたいの?』

 

 

『……だ、だいじょうぶ? けが、ない?』

 

 

 

 お嬢様から何とか逃げ延び、某閃忍な格好のまま膝を抱えて蹲っているとそんな声がかかってきた。

 

 

 

 以降、僕はお嬢様に弄り倒されながらも何とか平静を保ちながら相手が出来るようになった。

 

 

 全てはこの時声をかけてくれた二人の女の子のお陰。

 

 

 お嬢様の妹様とそのお付きの子。この二人のお陰で僕はお屋敷でお嬢様の相手を続けられたといっても過言じゃない。

 

 

 

 そして現代。

 

 

 

「……え、と。お久しぶり…です。妹様、本音ちゃん」

 

 

「おひさ~ウガミー。かき揚ウマウマだったよ~」

 

 

「……お久しぶり、です。あと、本音が勝手に食べちゃってすいません……」

 

 

 

 あー、メインおかず食べられてるというのまるで怒る気が起こらない。や、ダジャレじゃなく。

 

 

 目の前にいる制服の袖がダボついた少女と、そんな少女の肩を揺らしながらすまなそうに謝罪をいれてくる小柄な眼鏡少女。

 

 

 この二人を見てるだけで僕は一日中何も考えずに過ごせる自信がある。僕史上屈指の癒しコンビである二人を前に、たかだかかき揚如きでキレる僕ではない。

 

 

 むしろここ最近のストレス全てが春先の雪解けのように消え失せていくのが分かる。どうせならもっとかき揚を食べさせてあげたいぐらいだ。

 

 

 

「でもどうしてここに……?」

 

 

「えとね~、会長から私達には連絡があったから話だけは知ってたんだよ~」

 

 

 

 袖を揺らしながらそう答える少女の言葉に一瞬、背筋に悪寒が走った。

 

 

 その“会長”とやらの顔が一瞬で思い浮かび、未だに手つかずなこの状況が実はまだ嵐の前の静けさなのだと思い知る。でもそうだよ、柳崎の伝手がこんな学園にいる時点で怪しかったというのに自分を学園に置くことを認めさせられる程の力を持った相手となるとおのずと限られてくる。

 

 

 でも今は考えたくないので放置。今度は眼鏡の少女の方に目を向ければ、そちらの方は少しおどおどとしながらではあったけどしっかり答えてくれた。

 

 

 

「……それで、食堂に来てみたら見覚えのある姿が見えて、それで近づいたら……その」

 

 

「そうでしたか。気配を消してたつもりだったんですが……お見事です。お二人とも、成長なされましたね」

 

 

「えへへ~、こう見えて私も頑張ってるからね~」

 

 

「……あ、ありがと、ございます………あ、あぁあとっ!」

 

 

「はい?」

 

 

 

 小動物のように恥ずかしそうにもじもじしてる姿にデジカメを持っていなかった事を内心悔いていると、意を決したとばかりに顔を真っ赤にして眼鏡の少女に呼びかけられた。

 

 

 

「………わっ、私のことも、名前でっ、いいから……っ」

 

 

 

 目を閉じて、世界の中心で愛を叫んだ乙女のように顔が全部火のように紅く染まっている様はまるで林檎のようで。

 

 

 僕はふと隣に目をやり、袖ダボ少女と視線が合わさり言葉を交わさずに互いの意思が伝わる。

 

 

 

『何この激萌少女』

 

 

『かんちゃんはしじょーさいきょーの激萌少女だよ~?』

 

 

『……………萌えっていいね』

 

 

『最高だよね~』

 

 

『妹様マジ可愛いよね』

 

 

『当たり前だよ~』

 

 

 

 以上アイコンタクト終了。不安そうにこちらを見つめてくる眼鏡少女………もとい、お嬢様の妹である少女に対して僕は出来る限り最大限の笑顔を浮かべた。

 

 

 

「……分かりました。じゃあ、今度からは“簪ちゃん”って呼ばせてもらいますね」

 

 

「ダメダメウガミー。それだけじゃなくて、ね~?」

 

 

「え……? あ、あぁー、成程成程。それは失敬」

 

 

「え、えぇっ?」

 

 

 

 僕ともう一人の少女の会話に理解が及んでいないのか僕達の顔を交互に見ながらオロオロとしている少女に再び心が萌えで満たされていくのを自覚しながら、

 

 

 

「……こほん。そうだよね、本音ちゃんと喋り方分けてたんじゃ仲間はずれにされるって思うよね。御免、そういうの気付けなくって」

 

 

「ウガミーはそういうとこがまだまだだね~。鈍感さんは今時流行らないよ~」

 

 

「御免ってば。だからさ、流石に他の人がいる場所とかじゃ無理だけど、今みたいに三人の時とか知り合いがいるところだったらこんな風に話すから、ね?」

 

 

「だってさ~かんちゃん。これで会長からも一歩リードだね~」

 

 

「ほ、本音っ!」

 

 

「?」

 

 

 

 リードって……何が?

 

 

 

「……ね? 言ってもどうせウガミーじゃ分からないでしょ?」

 

 

「…………うん。分かりきってたこと、だもんね…………はぁ」

 

 

「露骨に溜息!? あの、簪ちゃん僕なんかしたかな!? もうすぐ謝るけど!」

 

 

「悪いっていうか~」

 

 

「……何もしてくれないのが、悪いっていうか……」

 

 

「わけがわからないよ!?」

 

 

 

 まぁそれでも。

 

 

 

 妹様“更識簪” その付き人“布仏本音”

 

 

 この二人は僕にとって紛れも無く癒しキャラであることには違いなく、この時間僕は学園に来てからの心労が洗い流されていくのを確かに感じたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 ・・・・・・・・・・

 

 ・・・・・・・

 

 ・・・・

 

 

 

 

 

 

 

「~~~~♪ ~~~~~~♪」

 

 

「うん? 湊、何だか調子良さそうだな? 今日一日はちゃんと休めたか?」

 

 

「うんっ。それがね、昼休みに食堂に行ってたんだけどそこでばったり妹様と本音ちゃんと会ってさ。やっぱりあの二人は僕にとっての天使ですよ……」

 

 

「……ふーん」

 

 

 

 流石に授業が始まるからあの時間しか話せなかったけど、この学園に二人がいることは分かったしまた暇が出来た時に会う約束も出来たから常以上に今は気分が良かった。

 

 

 それが態度に出てしまったのか、柳崎に尋ねられた問いに浮かれ気味に応えると何やら素っ気ない返事が。何故。

 

 

 

「まぁつまりお嬢様もここにいるって訳だけどさ………そーいや、あの人はもう僕がこの学園にいるの知ってるんだよね?」

 

 

 

 機嫌を損ねられると長引きやすいのは彼女の悪い癖だ。なるべく早く話題を変えようと別の話題を振ってみると不承不承といった雰囲気ではあったがきちんと返事が返ってきた。

 

 

 

「まぁな。私が学園にいられるのもお嬢に許可をもらったからだし、そもそも私達の行動の大体はお嬢は把握しているぞ?」

 

 

「え゛っ」

 

 

「何意外そうにしてるかおのれは。当たり前だろ、私達の境遇を考えれば放置している筈が無いだろ?」

 

 

「…………あー、そっち」

 

 

 

 てっきり弱みを掴まれて今まで以上の着せ替え人形にされるのかと悲嘆しそうになったけど、そっちの意味なら問題無い。良かったぁぁぁ……!

 

 

 

 でも確かに、今まではあの街に居たから良かったものの外出し、しかもその場所が表も裏でも大人気っぽそうなISを扱ってる学園だ。そら僕達の動向は気にするよねぇ。

 

 

 それでも、“あの”お嬢様が未だに何のアクションも起こしていないのは気になる。真っ先に弄られるものだと思っていたけど、漸く僕に飽きてくれたとか………

 

 

 

「いや無いだろそれは。お嬢がお前に飽きるとか想像出来ないし」

 

 

「……夢ぐらい見させてよね」

 

 

「そういうのは夢とは言わないんだよ、アホ」

 

 

 

 仰る通りで。大人しく夕飯でも作ってるよもう! 今日はちなみに親子丼だ。或いは遠い親戚丼ともいう。

 

 

 

 何もしてこないのは怖いけど、変にビビってても精神がすり減るだけだし今はこの平穏を享受するとしよう。また明日から篠ノ之達から逃げる日々だけど、癒しがあるから耐えられる。でもやっぱり手加減して欲しいな。無理だろうけど……。

 

 

 

「そういえば」

 

 

「ん~?」

 

 

 

 会話は途切れ浅い手鍋に玉ねぎ、鶏肉を入れて丼用の合わせ汁を入れて煮沸させていると何かを思い出したように柳崎が声を零していた。

 

 

 ある程度煮立ったところで溶き卵を回し入れながら何となく続きを促してみる。

 

 

 

「私今、学園の体育教師の代理なんかをしてる訳なんだが――――――」

 

 

「っ、げほっげほっって危なっ!? 鍋零すとこだった!」

 

 

「何を慌ててるんだお前は」

 

 

「そりゃ驚きもするさね! お前ちょっとそこに座れよ!」

 

 

「もう座って夕飯出来るのを待っているぞ?」

 

 

「それもそうだったね! でも何となく気分的に言わなきゃやってらんねぇんだよこちとら! あと正座!」

 

 

「ハイハイ……」

 

 

「何その仕方ないみたいな返事!? 僕はお前の自由加減にだね」

 

 

「仕方ないだろ。お嬢がやれって言うんだから」

 

 

 

 いやいや、そういう問題じゃないでしょ。てか、一応僕達って正体を隠してた方がいいんじゃないの? 僕だけ? あっ、そうですよねー。

 

 

 

 でも、それにしたって臨時教師とか。かなり目立つんじゃないかと問えば何とも無いように問題無いと言われるとこちらも返す言葉を持たない。

 

 

 基本的にオールマイティで器用貧乏の上位互換みたいな存在なので心配はいらないんだろうけど、何か納得いかない。

 

 

 

 出来あがった親子丼を卓袱台に運びながら、丼を置いてコンロの上で火にかけておいた揚げと人参、玉ねぎの味噌汁の入った鍋をそのまま持っていく。

 

 

 茶碗にそれぞれご飯と汁をよそって準備完了。副菜には食堂でテイクアウトしてきたシーザーサラダ。流石女子高、女の子大好きなサラダは当たり前のように置かれてあった。てか何で飲み会の度に皆挙ってシーザーサラダ頼むんだろ………よく分からん。

 

 

 

「で、話の続きなんだが……」

 

 

「……もうツッコまないよ」

 

 

「何でも近々学年別クラストーナメントがあるらしくてな、それであの一夏って小僧もクラスの代表として出るんだそうだ。アホ兎の妹と金髪外人娘に散々鍛えられてるらしいぞ?」

 

 

「へ~大変そうだね」

 

 

「お前の訓練もな」

 

 

「おうふっ」

 

 

 

 そして夕飯時の会話のネタは学園で近々開かれる大会についてに移っていた。

 

 

 ISに慣れるためとクラスごとの対抗意識を芽生えさせてより意欲的に授業に取り組ませるという目的の下開かれるトーナメント。それに一夏君も出るそうで今日の体育でも今挙がった二人にやんややんや言われていたのだそうな。

 

 

 

 大変そうだと思うけど、それだけ期待されているって事だと思う。一夏君とは知らない仲じゃないんだし、やはり頑張って欲しいものだ。

 

 

 

 

 

 

 

 ―――――――と、この時までは暢気に考えていた僕達二人。それが突如変わったのは外から聞こえてきたすすり泣く声を聞いた時だった。

 

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