IS<インフィニット・ストラトス> ~青年で男の娘はアリですか?   作:イイ日旅立ち

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サーバー移転が終わったようなので結構久しぶりの投稿です。


今回少し読みにくくなってるかもしれませんが、前半は回想で後半が前回からの続きとなっています。

そしてそんな事より最近になって戸田版のアストレイを見て腹が捩れそうでもう……っ。


クルクルシュピンは反則過ぎだろと。全く関係の無い話題でどうもすいませんでした。では。


第十六話

 

 

 

 

 

 

 

 

「………んぅ、ん~~~~~………! もう朝、か」

 

 

 

 

 

 雨垂れが屋根を打つ音で目が覚めた。外は雨のようで、朝から少し気が滅入る。

 

 

 ぼさついてるであろう髪を手櫛で簡単に梳いて上体を上げる。あまり寝心地が良いとは言えない煎餅蒲団ではあるがそれにも漸く体が慣れてきたように思う。

 

 

 

 そして慣れたと言えばもう一つ。

 

 

 

「………」

 

 

「……ぐっすり眠ってるな。時間は…………げっ、まだ全然早いじゃないか」

 

 

 

 部屋に立てかけてある時計に目をやってげんなりする。どうりでまだ同居人がすやすや眠っている訳だ。本来、私よりも先に起きて朝食の準備をするのがコイツの常になっているので、私が起きた時には大体朝餉の準備が終わってる場合がほとんどだ。

 

 

 

 故に、私が湊より先に目を覚ましてしまう事はかなり珍しい……というか、ここIS学園宿直室に居座るようになって初めての事だった。

 

 

 

 最初湊は激しく反対していたが、『信頼してるから問題無い』という私の一言で折れ、結局はこの狭い空間で男女一組が同じ寝食を過ごす事になった。

 

 

 兎やら眼鏡には歯噛みされながら何もしないようにと散々釘を刺されていたが、そこはまぁ、ほら、あれだ。

 

 

 男女が普通一つ屋根の下で生活するとなれば色々、そう、色々なことを想定して然るべきであって仮に私が何をせずとも湊の方が………という可能性だって無くは無い、んじゃないだろうか?

 

 

 まぁ言っても性倫理やら異性間の交遊感覚が中学生レベルで止まっている湊だ。そもそも“間違い”の犯し方だって知らないだろうし、アイツの変な義理堅さから鑑みれば私をそういう目で見ないように意識しているのは想像に難くない。

 

 

 

 そんな湊の防波堤を決壊すべく、多分の恥ずかしさを堪えながら学生時代湊にプレゼントしてもらったセーターを着て無防備な寝姿を晒してみたり、普段よりは女っぽさを出すべくそれなりに覚えた慎みというのも実践してみた。

 

 

 

 その結果は現状維持。まぁ平たく言えば全部無駄だったという感じな訳だが、そう言いきってしまえる程私の心に負った傷は浅くなかった。

 

 

 

「………暢気に眠ってまぁ。人がどれだけ緊張してるかも知らないで……」

 

 

 

 最初この格好で寝るとアイツの前で言った時、顔が林檎のように紅く染まり酷く狼狽していた姿を思い出す。

 

 

 その時は脈ありと内心期待に胸を躍らせ、ほんの少しの不安や恐怖、それ以上の高揚感に目が冴えて眠れなかったが案の定、湊が私に何かをしてくる事は無かった。

 

 

 その後も何度か私の格好を目撃しては『良い歳した女の子の格好じゃないでしょ!』だの『お願いだから着替えて! というか着こんで!』と言われて意識はしているんだろうと確信できたが、アイツから手を出してくることは無かった。

 

 

 

 私がどれだけ緊張しながら口では言えないようなシュミレートを重ねてきたかも知らずに、今日も卓袱台を挟んだ想い人は当たり前のように眠っている。人の気も知らないで幸せそうに眠る可愛らしい寝顔が、今だけはほんのちょっぴり憎らしく想う。

 

 

 

「……そんなに魅力ないかな、私」

 

 

 

 胸はそこそこ大きいと思う。少なくとも地元では私より大きい女子を見たことは無かったし、肌の手入れだって面倒だけど手を抜いたことは無い。

 

 

 けれどここにきて自分よりも余程スタイルの良い存在、それもよりにもよって湊の知り合いに兎と童顔眼鏡というダークホースの存在がここに来て私の焦りを加速させた。

 

 

 兎も身長が高い方ではあるが私のように平均を逸したような高さでは無いし、その上スタイルも申し分なく可愛らしい服装がよく映える。

 

 

 もう一人の湊の幼馴染も、身長は湊よりも低いのに首からしたが私や兎を差し置いて化け物チックなサイズを誇っていて、そうでなくても何気ない仕草の一つ一つがあどけなく背伸びした子供を彷彿とさせる可憐さがある。

 

 

 

 それに引き換え私はこの身長もあって洒落た格好をしたことが無く、ジャージを好き好んで着ているのも単純にそれ以外の服装が自分には似合わないからだ。

 

 

 

 だからこの二人っきりの空間での生活は私にとってのチャンスの筈なのに、湊の方からは何のアクションもしてくれないしかと言って私から行動するのは何となく女として負けた気がするから嫌だ。

 

 

 自分でも難儀な性格だとは思うし、相手の城壁も難攻不落に相応しいものだと思う。それに、最近じゃ競争相手まで増えて気が気でない。

 

 

 

「お前はつくづく面倒な奴だよ………こんなに人を振り回しておいて」

 

 

 

 近づいてその寝顔に指を出してみる。卵肌とはこういうものだと誇るようにその弾力は富んでいて、撫でてみてもツルツルとした感触は乙女として敗北感すら感じさせる。

 

 

 外見は何処からどう見ても美少女でしかないコイツ。

 

 

 でも、私は見た。そして知った。湊の外見じゃない部分と、本当の姿を。

 

 

 それは酷く脆くて、普段の仕草や口調で隠れて見えない湊の素を見て、私は本能的に直感した。

 

 

 

 嗚呼、きっとコイツは一人じゃダメだ。

 

 

 コイツは誰かを助けるような存在じゃない。本当に助けられるべき自分を差し置いて手を伸ばすだけの、バカなんだと。

 

 

 

 なら、誰かが助けてやらないと。この無謀でバカでどうしようもなく弱い男を護ってやれる存在が近くにいないと。

 

 

 常に隣に寄り添い、支えることのできる存在。

 

 

 

 …………願わくは、彼の隣で人生を共にする存在が自分であれば。

 

 

 

「……て、何を恥ずかしいこと言わせるんだこのバカは……っ」

 

 

 

 普段と違う時間に起きたせいだろう。何だか思考が変な方向に動いてしまった。これは私らしくない。さっさと忘れてしまうに限る。

 

 

 人のそんな葛藤も露知らずに今なお眠りこけている湊を見ていてふと、悪戯心が湧いてきた。

 

 

 

「これは罰だからな。お前が私をこんな風にしたんだ、本当なら責任を取らせるところだが………」

 

 

 

 顔を寄せる。ただそれだけの事で心臓が煩いほど高鳴り、そんなことあり得ないのにこの鼓動だけで湊が起きてしまうのではないかと思ってしまう。

 

 

 それでも何とか顔を近づけて、数回の深呼吸の後湊の口………の、少し上の鼻を抓みあげた。

 

 

 

「……ぐが? い、いだだだだだだだだっ!?」

 

 

「ほれ起きろ。何か今日は目が早く覚めてしまったから朝食も早く食べたい気分なんだ」

 

 

「だだだだったら鼻離…………へ、へぇへぇ……こ、このバカ! 眠ってる相手の鼻を抓むなよ息が出来なくなるでしょうが!?」

 

 

「ちゃんと加減はしたぞ。そんなことよりめしー」

 

 

「ひ、人の命をそんなことで片付けた……! いいよもう、作るよ作ればいいんだろちきしょー!」

 

 

「あっ、今日の味噌汁は赤出汁の気分なんだが」

 

 

「注文細かいね君! 了解だよお嬢様!」

 

 

 

 やけになりながら、赤くなった鼻と涙目をそのままに台所に足音荒く向かう湊を見ながら、

 

 

 

「………意気地なし」

 

 

「あ? 何か言ったー?」

 

 

「おかずは魚以外で頼むと言ったんだ、このロリ」

 

 

「せめてショタと言って!?」

 

 

 

 ………本当に、嫌になるなぁ。私ってこんなに臆病だったっけ……

 

 

 

 それが、私と湊の朝の光景。本当に、人の気も知らないで暢気にしてくれる……はぁ。

 

 

 

 

 

 

 

 ・・・・・・・・・・

 

 ・・・・・・・

 

 ・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 夜もいい時間というこの時間帯において、外から聞こえてくる泣き声というのは中々に怖いものもあるがこれはその手の怪談の類じゃないことはすぐに理解できた。

 

 

 理解した瞬間、僕は一瞬だけ柳崎に視線をやりあちらも同じように考えたのか頷いて見せ僕は立ち上がってすぐに部屋の扉を開けて辺りを見渡す。

 

 

 

 既に暗くなっている外に部屋の光が射し込み、暗闇に目が慣れるのを待つまでも無くその声の持ち主を見つけることが出来た。

 

 

 

「……のバカぁ、あほぉ~………ぐすっ」

 

 

「(喧嘩別れでもしたのかな?)えっと、君、こんな時間にどうしたの? ここ、結構寮から離れてると思うんだけど……」

 

 

 

 我ながら気の利かなさにほとほと呆れかえるが、今はそんな自己嫌悪はどうでもいい。

 

 

 宿直室のすぐ近くの木の下で蹲っていた少女に声をかける。今言った通り、ここから学生寮は結構な距離があり、よくよく見れば少女の服が汗で張り付いていた。ここが明るく無くて心底良かったと情けないことを考えていると少女の顔が徐にこちらを振り返ってくれた。

 

 

 

「……あによ」

 

 

「えっと、僕はそこの宿直室の者なんだけど、君こそどうしたの? 何かあったの?」

 

 

「べつに。何でもないわよ……」

 

 

「何でも無いならこんなところに普通来ないよ。それより君、汗かいてるみたいだし、それに服も少し汚れてるよ? だいぶ必死で走ってきたんだろうけど……もし良かったら、ちょっと休んでいかない? お茶ぐらいは出すからさ」

 

 

 

 自分で言ってみてアレなんだが、この言い方って割と危ない人っぽいよね。うん、状況が状況だけに通報されても仕方ない気がするけど、あくまでこれは善意です。それに部屋には柳崎もいるから問題は無い筈。

 

 

 少女は少しだけ考えた後、『いいわよ』とだけ言って立ち上がり僕の後についてきてくれた。いやもう少しぐらい警戒してもいいものだろうに、それほど今は参ってるということなんだろうか?

 

 

 

 宿直室に連れ帰って改めてその少女を見ると、その少女が昼休みの時間に一夏君達と一緒にいた勝気な方の少女だと思い出した。となると、彼女がこうなった原因はもしかして……

 

 

 推測もそこまでで、少女の姿を見た柳崎はすぐに風呂に連れていく事を提案。柳崎のことは体育の授業で見たからか彼女の方も素直に風呂場へと直行し、その間僕は飲み物と軽く食べられる物を用意する。

 

 

 風呂に入ってる時間で作れるものと言っても限られるので、予め夕飯の後のおやつ用に作ってあったヨーグルトババロアを切り分けて簡単に果物の詰め合わせ缶詰の蜜柑やさくらんぼと和えて完成。

 

 

 そして念の為寮の方に電話を入れて学生一人を見つけたので、落ち着き次第そちらに帰すと連絡を入れる。

 

 

 

『っていうかお前が寮長なのね、もう結構な事じゃ驚かないつもりだったんだけど』

 

 

『それはどういう意味だコラ』

 

 

『だって織斑お前、家事とか掃除とか家庭的な分野壊滅的に苦手でしょ? 僕がどんだけ教えても炊飯器だって使いこなせ…………アイツ切りやがった』

 

 

 

 少し心配だが、あれで家事以外は完璧にこなせる才媛だ。多分僕が何を言わなくても彼女がもしも僕が考えてる通りの理由で飛び出していたとしたら、それに気付いてくれる筈だ。

 

 

 

 一通りやる事を済ませてテレビを点けてクイズ番組が終わった頃に漸く、風呂から二人が着替えてあがってきた。

 

 

 

「おっ、その格好は……」

 

 

「えっと、すいません。着替えがこれしか無いって先生が」

 

 

「良いだろ別に。私のじゃどう考えても丈が余り過ぎるし、お前の昔の服なら丁度いいだろうし」

 

 

「それは別に良いんだけど……いやいや、でもやっぱ人の昔の運動着を着せるのはちょっと。君も嫌じゃ無かった?」

 

 

「い、いえそんな事はっ!? それにサイズもぴったりなので、大丈夫ですっ!」

 

 

「そ、そう……なら良いんだけど」

 

 

 

 学生時代の体操服ってベストな部屋着として重宝するよねぇ。何であんなに落ち着くのか知らないけど、未だに中学時代からそれを使っているのは単純に、僕の成長期のクライマックスがその時代だったという話。あっ、何かババロアがしょっぱいなぁ……。

 

 

 

 風呂に入る前と後でだいぶ様子が異なっているみたいだけど、柳崎が風呂にいる間で話を聞いていたんだろう。それならそれで話も進めやすいし、好都合。

 

 

 用意しておいたお茶とお菓子を並べて卓袱台の前に座るように促す。流石に六畳一間に三人は結構な圧迫感ではあるが、座る分にはあまり気にならない。

 

 

 

「これってひょっとしなくても、手作りですよね……?」

 

 

「うん。作り置きで悪いんだけど、甘い物食べながらの方が色々話しやすいかなーって。こういうの苦手?」

 

 

「ぜ、全然大丈夫です! むしろすっごく美味しそうだったからびっくりしちゃって」

 

 

「そうだろそうだろ。レシピさえ覚えさせれば下手なファミレスよりも美味い物を作れるからな、そこにいる奴は」

 

 

「人を便利屋扱いすんな、てか何でお前が僕より誇らしげなのさ」

 

 

「……ふふっ」

 

 

 

 話の前にまずは一口。女の子はそれで一気に気に入ってくれたらしく、嬉しそうに眦を下げながらスプーンを動かす手を止めずに一心不乱という表現がぴったりな程デザートに集中していた。やはり若い子は甘い物が好きなんだねぇ。かく言う僕は洋菓子よりも栗羊羹とかのが好きだったりします。

 

 

 少しして全部食べ終わると、さっきまでの自分の食べっぷりを思い出し赤面する女の子に僕は話題を切り出すことにした。このままじゃ和んで終わりそうだけど、その前に一応原因の究明とか対策とかしとかないと。お節介だと自覚しているけど、泣いてた子を放置するのは寝ざめが悪くなりそうだからヤだ。

 

 

 

「えーと、それじゃ、そろそろ聞きたい話があるんだけど……いい?」

 

 

「あ、はい。その、さっきは生意気な態度で、その…」

 

 

「その辺は気にして無いし、それに僕は学園の教師でも無ければそんなに偉い人間でも無いから楽な話し方で構わないよ。そっちのが話しやすい事もあるだろうし」

 

 

「へ? え、えっとそれじゃ………こんな感じになるけど、大丈夫ですか?」

 

 

「うん、全然。それで、聞きたい事っていうのはさっきの君の様子なんだけど」

 

 

「私も“君”呼ばわりは何だかくすぐったいんで、名前で呼んで下さい。凰鈴音って言うんでどっちでもいいですよ」

 

 

「それなら鈴音ちゃんで」

 

 

「うっ……率直にこられると結構恥ずいわね……」

 

 

 

 ならどうしろと。基本、年下の子は君かちゃん付けがデフォなのでこれで問題が無かったこのままでやらせていただきます。

 

 

 

「それで…あ、泣いてた理由でしたっけ? それは……えと」

 

 

「まぁ何となく予想がついてるかわ言わせてもらうけど、誰かと喧嘩したとかじゃない?」

 

 

「ぎくっ」

 

 

「それも……そうだねぇ、相手は学園唯一の男子学生、織斑一夏君と見たっ」

 

 

「ぎくぎくっ!?」

 

 

 

 ガインガインッ!

 

 

 

「お前も遊んでないで真面目にしろ。あと、凰は付き合わなくていい」

 

 

 

『『すいません……』』

 

 

 

 ちょっと雰囲気を和ます為のノリだったのに理不尽な。けれどノってきたということは、鈴音ちゃんの方も話す分には構わないということなのか。

 

 

 

 

 ――――そして、その僕の予想はあまりに甘く予想したものだとすぐに思い知らされる事になる。

 

 

 

 

「……大体一夏の奴ったら有り得ないっつうの! 人が一生分の勇気振り絞ったプロポーズを忘れてた挙句に曲解して『あぁ、毎日酢豚奢ってくれるってあれだろ? 食費浮いて助かるぜ』とか爽やかな笑顔で何言ってんの! 舐めてんの? 巫山戯てんの? バカなの? 死ぬの? てか死ねってのよあの鈍感唐辺朴澄まし眼鏡野郎! 何よあんな眼鏡ちょっと知性的に見せて格好良いじゃないそれでまたテキトーな女ひっかけてはフラグクラッシュするんでしょうよえぇアンタのことだからそれも無意識で全然気付かずにやるんでしょうよでもね! アンタにそうやってフラグを立てられた私はどうすればいいってのよ! 私の感情玩ぶだけ玩んでくれちゃってさ! 約束を忘れてあまつさえ相部屋にはパツキンブリティッシュに和風巨乳とかいるしもう何な訳!? 私に喧嘩売ってんのかスタイルブルジョワ共がぁぁぁああああ!?」

 

 

 

「うんうん。この際だ、どんどん毒を吐き出せ凰。今日ぐらいは私達が付き合ってやるからな」

 

 

「いや、てかこの勢いを放置しておいていいの?」

 

 

「………なら私かお前に今のアイツが止められると?」

 

 

「御免なさい」

 

 

 

 別にアルコールの力でも何でも無く、鈴音ちゃんの愚痴を聞いてるうちに彼女の方がヒートアップして前述のようなマシンガンどころか爆撃機並の口撃が止まらない。

 

 

 どうやら泣いていた時の精神的ダメージを振り切った今は、その怒りの矛先である一夏君やらその近くにいた女の子達に向いているようだ。言ってる事は支離滅裂だけど、とにかく『私怒ってます』という感情だけは嫌という程伝わってくる。

 

 

 

 罪なのはここまで女の子の感情を振り回す一夏君の無自覚スケコマシっぷりか。ああいうのをフラグメイカーって言うんだろうが、あれゲームの主人公だけの特権じゃなかったのか。リアルだとこうも女の子を揺さぶるものとは……恐るべし。

 

 

 

「それにしたって……プロポーズの誤解ってのは、いくら何でも酷いよねぇ」

 

 

「同情の余地無しだろそんなの。私はコイツの味方をするが、お前はどうする?」

 

 

 

 そうだねぇ……仲直りして欲しいというのが本音だけど、やっぱりここで取るべき道は一つだろう。

 

 

 

「鈴音ちゃん」

 

 

「マスターオブ唐辺朴……って、何ですか崩上さん?」

 

 

「僕、鈴音ちゃんの味方だから。だからさ、一夏君が自主的に謝り倒すまで応援してるよ! 柳崎も協力するしね」

 

 

「当り前だろう。女の一世一代の告白を無碍にする男なんて須らく叩きのめすべきだ」

 

 

『『(それは流石にやり過ぎでは…?)』』

 

 

 女の子の敵は皆の敵である。女尊男卑で無くったって、これは世界の真理だろう。可愛いは正義だと偶に自分にも降りかかってくる災厄になるけど、こちらは完全に僕は適用除外なので関係ナッシング。

 

 

 一夏君が己の過ちに気付いて頭を下げるその日まで、僕達もあまり一夏君に関わらないようにしとこう。外部か徐々に『俺、何か悪いことしたっけ?』と思わせる事が出来れば後はどうとでもなる。といいよね。

 

 

 

 何故か茫然としてた鈴音ちゃんだったが、すぐに気を取り直し『打倒一夏!』を目標に今ここに、僕達の共同戦線が結成されたのであった。

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