IS<インフィニット・ストラトス> ~青年で男の娘はアリですか?   作:イイ日旅立ち

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長い事引っ張ってしまった一巻の内容がやっと終わったー!

まぁ原作を全部踏襲する訳にもいかないので、予め終わりは設けているのでそこに向かって進んでいく感じですかねー。まぁ以前の物とは違って原作ヒロイン五人は全員一夏君側につける気満々マンなので、すこしあっさりするかもしれませんが。


第二十四話

 

 

 

 

 

 

 

 

「このバカ、アホ、間抜け、チビ、女顔、童顔、なんちゃって成人、スカポンタン、アンポンタン、ポカホンタス、スチューピッド、空け者、戯け、男に告白された回数三桁野郎、女より女らしいランキング永久欠番、………とにかく大馬鹿野郎が」

 

 

「目覚めた途端に罵倒とは御挨拶だね柳崎!?」

 

 

 

 

 泥のような眠りから漸く目を覚まし、体中の感覚が鈍っている事を確認するまでもなく浴びせかけられたマシンガンの如き悪口に反射的にツッコんでしまった。うん、こっちの方は鈍って無いっぽい。

 

 

 

「言って何が悪い。お前、自分がこうなると分かった上であの武器を使ったな? 全力で剄を使えば三日三晩眠りこける事を説明するの大変だったんだからな。関わった奴全員、本気で心配していたぞ」

 

 

「うぅ、そ、それは確かに悪かったと思うけど……」

 

 

「それに事情を知らずにお前を運んだ打鉄の奴なんてずっと泣き声でお前に謝っていたぞ。自分が悪かったからお前が死んだんだーってな。あくまで過度の疲労による強制睡眠だと言い聞かせるのに一時間もかかった」

 

 

「……誠に申し訳ありません」

 

 

 

 いきなりの悪口で反論しようと思っていたが、畳み掛けるように正論を叩きつけられ自分には謝る以外の選択肢が無かったと思い知る。

 

 

 僕の体内に流れる剄の総量は柳崎や師匠を優に超えるだけの質と量を備えている代わりに、僕自身の肉体はその剄に全力に耐えられる器では無い。

 

 

 普段の部分的な強化や発剄、軽神功ぐらいなら間隔を開けて使用する分には問題無い。

 

 

 だけど先日のような全力での強化を行うと途端に体への負荷が増すのだ。

 

 

 体で抑えきれない剄の流出により体力は一気に枯渇してしまうし、今柳崎が言った通り全力行使の後は強制的に眠りに就いてしまう。一応三日で覚めるのが普通になっているが、場合によってはもっと眠り続ける事もあるのだとか。

 

 

 

 そして今回。IS一機を生身で振り回した事と逆流してきたエネルギーからのダメージが災いして、意識を戻すまでにいつもなら多少が我慢が効く眠りもあの時はつい何も言わずに眠りに就いてしまった。

 

 

 

 それが皆に心配をかけてしまった。だから柳崎の言う事は尤もだと僕は反論する術を持たなかった。

 

 

 

「………フンっ」

 

 

「あだっ。ちょっ、お前のデコピンは洒落にならない……っ」

 

 

「無茶をした罰だと思え。それで、今体の調子は分かるか?」

 

 

「ちょっと待って………んと、いつも通りだと思う。全快まではもうちょっとかかるみたい」

 

 

「そ、うか……なら、手の方は」

 

 

「こっちかー。体力が戻るまで治癒に剄は回せないから、しばらくは使えないかな。実際今も感覚無いし」

 

 

「 」

 

 

 

 あくまで目覚めても完全に回復した訳ではなく、段階的に山を越えたようなもので、意識を落とすのは体の方が治癒に意識が邪魔になっているからだと師匠が教えてくれた。

 

 

 自分で意識しない“大至急治癒すべき箇所”を治癒するために無意識が働き、そこの治療が終わったら表層意識の方に体の制御を渡して知覚できる個所の回復に努める。

 

 

 これらを子供の頃は無意識でやっていたから山田や篠ノ之達からの理不尽にも体が壊れなかったのだそうだ。つまり、僕の才能の偏りは全部、過去の経験に適応した結果という訳だ。

 

 

 

 しっかし手が使えないのはちと不便かもしれない。見たところ包帯で指も固定されているから満足に動かす事も出来ないみたいだし…………うん?

 

 

 

 ――――――満足に動かす(・・・・・・)事も出来ない(・・・・・・)

 

 

 

「(これは………果てしなく拙い気がする……!)」

 

 

 

 何故だろう。今、僕は過去最上級に危ない場所に立たされている気がする。いや正確には寝込んでいる訳だけど、いやそーじゃなく。

 

 

 

「そ、そうか。まぁそうだよな、倒れた時なんて手が爛れて皮膚がケロイド状になっていたんだ。いくら剄の自己治癒が優秀とはいえ、あと一週間はお前でも治らないよな!」

 

 

 

 リュウザキザン? ナズェゾンナニウレジゾウナンディスカ?!……いけない、何か変な電波が。

 

 

 さっきまでの責めるように冷たくなってた表情とは一変どころか百変ぐらい変わったように、大体においてムッツリ顰めた顔が今日ははにかんだ笑顔で思わずこっちが赤く……ってそうじゃない、その嬉しそうな笑顔が今は何故か悪寒を誘う。

 

 

 

「え、えっとね柳崎、そうは言ってもほら、別に手が使えなくたって今時はバリアフリーな道具も多い訳だから別に介護とk――――」

 

 

「仕方ないよなっ。それに私はお前の保護者として学園にいる訳だから、お前の面倒をみるのは当然私の仕事だ。うん、だからしばらくの間の世話は私に任せてもらおう。………そ、それに何だ、私ももういい歳だ。別に、お前のなにを見たところで慌てる事もないしそんな気にもしないから……」

 

 

「予想通りの反応じゃないけど悪寒的中!? ちょ柳崎! 食事の世話だけでいいからね!? 恥ずかしいけど、『あーん』ぐらいなら任せるからさ! ね!?」

 

 

「……それは何か、私にはお前がいつもしてるような真似は出来ないと?」

 

 

 

 いや僕が何時貴女の介護をしましたか。そう言おうと思い口を開きかけて、その前に再びの鋭い視線に口を閉ざされた。

 

 

 

「普段の食事に髪のセット、気が付けば私の着替えを用意してたりするだろうがお前」

 

 

「い、いやぁ、ほら、もう付き合いも家族以外じゃお互い一番長いじゃない? だから柳崎見てたら次に何がしたいかぐらいすぐ分かるというか」

 

 

「っ! そ、そういう事を言うなっ!」

 

 

「あだぁっ!? こ、こっち怪我人! あんま叩かんといて!」

 

 

 

 別に介護って訳じゃないけど、昔から母さんにも似たような事をしてきたし、何かと一緒に居る相手だ。考える事全部とまでは言わないけど、大体の事は読める。

 

 

 だから今の同居においてもその経験を大いに活かして生活面で不自由させないようにしているけど、それは僕の性根みたいなところなのでそもそも意識してやってる事じゃないし、面倒をみているという感覚も持ってない。

 

 

 その筈なんだけど、どうやらあちらはそうは思っていないらしく、常の僕の行動が柳崎には甲斐甲斐しく思えたらしい。

 

 

 

「だから、私もたまにはお前に恩を返そうと思ったから面倒をみると言っているんだ。大人しく怪我人は介護を受けとけ」

 

 

「い、いや本当、食事だけでいいから。もう本当それだけでいいから!」

 

 

 

 別に世話をやかれる事が嫌な訳じゃない。むしろ柳崎みたいな美人さんに面倒をみてもらえるのは男として素直に自慢したくなりそうな程嬉しいんだけど、ちょっと今はいただけない。

 

 

 

「(手が動かないんだよこっちは! つまり大体の行動に支障をきたしている訳で、それは……)」

 

 

 

 例えば服を着替えたりとか、体を洗うといった事が困難であるという事で、さらには排せつの時とかも不便極まりない訳で。

 

 

 つまり介護を受ける事を許せば…………えっと、色々と拙い事を任せてしまう訳で。

 

 

 そしてそれは、今まで敢えて避けてきた事を、すなわち柳崎との間に“異性である”事を意識してしてしまうという事で、個人的事情によりそれは激しく嫌だったりする。理由は聞かないでほしい。

 

 

 

「(~~~っ! とにかくっ、今はこの話題を何とか逸らさないと!)」

 

 

 

 しかし柳崎の方も本気で介護をやる気みたいだし、一体どうすれば―――――――

 

 

 

「みっちゃーん、お見舞いに来た……て、起きてるー!」

 

 

「束ちゃん、病院じゃ静かに……あっ、湊君起きたんですね!」

 

 

 

 

 ―――――――この非常時に厄介な連中キター!?

 

 

 

 

 

 

 

 ・・・・・・・・・・

 

 ・・・・・・・

 

 ・・・・

 

 

 

 

 

 

 

「ここはやっぱり幼馴染である私がみっちゃんの面倒をみるべきだと思うの。ほら、リアルお姉さん属性の私ならきっとみっちゃんも安心出来ると思うし」

 

 

「はっ、妹よりもだらしない姉属性なんぞあって無いようなものだろ。それに似非幼馴染よりもここはやはり、十年の付き合いがある私を置いて適任はいまい」

 

 

「あ、あのですね。お二人の言い分も分かるんですけど、ここは背格好が近い相手の方がいいと思うんです。その方が……えっと、色々とお世話もしやすいですし」

 

 

『『背なんて関係無いだろ/でしょ!!』』

 

 

「な、なら眼鏡! 眼鏡キャラの方が介護とかお世話って単語により近しい気がしませんか!?」

 

 

『『そんなの知るかあああああああああああああ!!』』

 

 

 

 

 より厄介な面子が揃った事で一先ず僕への矛先は逸れたけど、問題自体は続行で現在三人の大人がまるで大人らしくない言い合いに火花を散らし合っていた。

 

 

 

「あの人達は……あっ、湊さん林檎食べませんか? 俺、切ったの持って来たんです」

 

 

「私も私も! 学食のデザートで美味しそうなの見繕ってきたから、どうぞ!」

 

 

「すいません、本当に姉がすいません……」

 

 

「まぁまぁ箒さんも落ち着いて下さいまし……えと、お気持ちは分かりますから」

 

 

「………君達が癒しだ」

 

 

 

 それに比べてこの子達のこの殊勝さっていうか何ていうかね、もう色々と心が安らぐの感じる。

 

 

 三人の大人を目に入れないようにしながら、一夏君達がお見舞いに来てくれたお陰でささくれかけた心が潤っていくのを感じた。ほんま、ほんまにええ子達やでぇ……。ってなんで関西訛りが。

 

 

 

「ほ~ら~、かんちゃんも持ってきたのあるでしょ~? 出した出した~」

 

 

「も、もう本音っ、押さないで……!」

 

 

「あっ、二人もわざわざ来てくれたんだ。ありがとね、何もしてあげられないんだけど、来てくれて嬉しいよ」

 

 

「………う、うん。その、入院中暇だと思うから、映画と再生機……私の趣味だから、湊さんも気に入ってもらえると思う」

 

 

「本当っ!? うわぁこれ絶版になった特撮にこっちはメイキング映像付きの特別版!」

 

 

 

 その上僕にとっての天使である簪ちゃんに本音ちゃんまで来てくれた、何なら倒れて良かったなんて思ってしまった。心配させてるというのに、こうしてお見舞いに来てくれた事が素直に嬉しい。

 

 

 そして簪ちゃんの趣味に以前理解を示し……いや素直に言おう。僕も個人的に特撮ヒーローとかロボット系大好きなのでこうした簪ちゃんのコレクションが見られるのはすげぇ嬉しい。

 

 

 

「……でも、これ本当に良いの? 大事な物の筈じゃ…」

 

 

「大丈夫。それは、布教用だから」

 

 

「あれって都市伝説とかじゃなかったんだ!」

 

 

 

 実用、保存用、布教用。よくあるオタクな人の異常な購買欲を示す言葉だと思ってたんだけど、まさか実在していたとは……しかもこれシリアルナンバー入りだし、流石リアルお嬢様は格が違った。

 

 

 しかし思えば、こうして簪ちゃん達と一夏君達が会うのって初めてじゃなかったっけ? 何故か時期尚早の四文字が浮かんだけど、本音ちゃんが間に入っているからあまり心配する事も無いと思う。

 

 

 

「へぇ~。じゃあその子はのほほんさんの友達なのか」

 

 

「うんっ、四組の代表で日本の代表候補生のかんちゃんだよ~!」

 

 

「……えと、よろしくお願いします」

 

 

「そんな畏まらなくても良いって簪! まぁ、アンタなら心配はなさそうだし(ボソッ」

 

 

「あら? 鈴さんはもうこの方とお知り合いなんですの?」

 

 

「まぁね!」

 

 

「そういえば君の試合を見せてもらったが、あのトンファー? 変わった武器だったから良く覚えているが……まさかこんなに小さかったとは」

 

 

「小さくないよっ」

 

 

 

 あれ? それキャラ違く……って、あぁネタに思わず反応しちゃったのか。教えてくれたありがと本音ちゃん。

 

 

 

「(あと、モッピーがきょぬーだから何となくコンプレックスが刺激されてるってのもあるんだけどね~)」

 

 

「(……あぁ、お嬢様関連でもありそうだけど、そんな気にしなくていいのに)」

 

 

「(ウガミーはひんぬーでも全然OKな人?)」

 

 

「(いや別に胸で好みを決めてる訳じゃないし……っていうか簪ちゃんは十分可愛いよね? 異論は当然無いと思うけど)」

 

 

「(当然だよー! でも、そういう事は直接本人に言ってあげてね?)」

 

 

「(…?)」

 

 

 

 よくは分からないが、まぁ機会があれば言う事もあるだろう。

 

 

 しかしこうして大勢が集まってくれると嬉しい反面、いい加減看護師さんが怒鳴りこんできそうなものなんだけど中々来ない。まさか権力?

 

 

 でもそんな心配も必要じゃ無かったようで、あまり騒がしくしないようにと一夏君達が気を遣ってくれて三人を引っ張ってってくれた。今度ガチで何かお礼するとして、部屋に残ったのは僕とお見舞いの品の果物と映像作品。そして、

 

 

 

『………』

 

 

『ぶーぶー』

 

 

「…あの、お二人さん? 別に今まで無視してた訳じゃないんデスヨ? ただ普通に首輪とかチョーカーに話しかけるのって可笑しいかなーと思って黙ってたんであってね? だから」

 

 

『『……………』』

 

 

 

「……ごめん、もう本当ごめんなさい」

 

 

 

 ………やけに不機嫌なIS二人。

 

 

 

 ISと話せる事はあまり言いふらさないように篠ノ之から言われていたので、柳崎が持ってきた時に首に巻かず枕の下に隠してしまったのが裏目に出た。

 

 

 布都御魂の方は終始無口で不満を訴え、事情を話さず急に倒れてしまった僕を本気で死んだと思った打鉄ちゃんは何だったら恨めしげな視線を感じてしまう程。

 

 

 悪いのは僕なので、先の柳崎の時と同じくひたすら謝り倒すしかない。自業自得という言葉が今は耳に痛い。

 

 

 

『……私達は大いに心配しました。私なんて現場にもいられず湊様が倒れたと聞いて気が気でありませんでした』

 

 

『ぼくはみなとが倒れて、へんじも無くってほんとうに、しんだと思ったんだよ』

 

 

『故に、湊様からは誠心誠意籠めた謝罪を要求します』

 

 

『要するにぼく達のお願いを聞いてもらうってこと! きょひけんは無いからね!』

 

 

「……うっす、了解っす」

 

 

『では私の事は今後愛称で呼ぶように。愛を籠めて、永遠の伴侶に枕元で囁くように、です』

 

 

『じゃあぼくの事はねー、えっとえっと………! そだっ、ぼくは“ちかね”って呼んでよね! ぜったいだよ!』

 

 

 

 多分世界で僕だけがISの我儘を聞けるんだろうなと思っても、特別に何かを感じる事は無かった。今後、無茶は控えます………………タブンネ。

 

 

 

「湊?」

 

「湊君?」

 

「みっちゃん?」

 

「…湊さん」

 

『湊様?』

 

『みーなーとー?』

 

 

「何で帰った筈の連中までいるのさ!? や、もう本当無茶とか今後一切しません! しないから……!」

 

 

 

 

 男の威厳ってなんだっけ? そんなもの、ISなんて無くったって端から無かったものなんだろうきっと。そう思わずにはいられない昼下がりだった。

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