IS<インフィニット・ストラトス> ~青年で男の娘はアリですか?   作:イイ日旅立ち

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連続更新遺影…じゃなくてイェイ! 土日使ってなんとか書きあげた試し書きその二のリトバスIn湊ネタです。


ちなみにこちらは今のところまだキャラとか原作の内容も把握し切れていないので中途半端が否めないんですが、意見を下さった方にも言った以上はどんな形であれ書こうと思いこんな感じに。主要キャラは薄いというかほぼ出ませんが一応原作キャラと絡んではいます。いますからね?

できれば作者がリトバスに詳しくないので知ってる方がいらっしゃったらメッセージや感想などで会話ネタやこういうのが見たいといった意見を送ってくれると嬉しいです。助けると思ってどうか、頼みます。それでは。※連続更新なので、ひとつ前にも投稿してるので、そちらへのご指摘もお待ちしたおります。


番外編~新連載ネタそのに~

 

 

 

 

 

 

 

 ―――――――ずっとむかしのはなしになる。

 

 

 

 

 

 

 僕には以前、親友と言える大事で大切で、一番仲の良かった友達がいた。

 

 

 あの頃は何にも考えずに遊び呆けて怒られるのが当たり前で、その時間に終わりなんてものが来る事なんて一つも考えないで、ただただ無邪気に遊んでいた。

 

 

 僕の人生を振り返ってみても、まぁうん。あの時代ほど楽しかった頃を思い出せない。

 

 

 振りかえられる程に長い人生という程でも無いけれど、人は振り返る生き物だ。

 

 

 過去を懐かしみ、嗚呼あの頃は良かった、あの時もっとこうしていれば、そんな事ばかりを考えながらも足は前に進めなければならない。

 

 

 感傷に浸るのは良い。でも、それでも過去だけに縋りつくのは人の在り方ではない。

 

 

 あくまでも過去があるからこそ人は前を、未来を向けるのだ。

 

 

 だから何時までも昔ばかり振り返るのは止めなさいと、いつか大人に言われた事があった。

 

 

 

 ……だがまぁ、その結果が今である。要するに、僕は過去ぐらいにしか想いを馳せられる存在が無いのだ。

 

 

 

 その友人とはこちらの一方的な事情で別れて以来、連絡を取っていない。もう僕の事は忘れてしまっているだろうが、何せもう十年近く音沙汰も無いのだから覚えていなくて当然だろう。

 

 

 それに、僕が友達と別れる事になる少し前まで、その友達は心の底から苦しんでいた。

 

 

 両親が死ぬという子供にとって最も依存している存在がいなくなってしまい、まるで抜け殻のようになってしまった友達を僕は結局どうする事も出来ずに離れ離れになってしまった。

 

 

 言い訳をさせてもらうなら、その時に僕は患っていた自身の病が悪化してしまい急遽病院に入院しなければならなくなり、さらにその病院は地元から遠く離れた専門医がいる遠い場所だったのだ。

 

 

 塞ぎこむ友達を今日こそは元気にしたいと思い家を出ようとした瞬間、病状が悪化し緊急で家を出る事になってしまい以来彼とは連絡が取れなかった。

 

 

 あの頃はただ時間を合わせて互いの家に遊びに行ったりしたぐらいで、電話番号すら聞いてなかったのは本当に僕のミスというか、今更の後悔だけどせずにはいられなかった。

 

 

 

 結局僕は、一番つらかった友達を見捨てる形で離れて行ってしまったのだ。

 

 

 

 それが今でも胸に棘のような痛みを残し、あれから十年近く経った今でも僕は後悔し続けている。

 

 

 一番の親友だと思っていたのに、僕は彼に何もしてあげられなかった。

 

 

 誰かが付いてなくちゃいけない時に、僕は自分の都合でそんな彼を見捨ててしまった。

 

 

 両親にそれを話せば、揃って『貴方は悪くない』と言ってくれる。けれど、それが自分を許す事になるかと言われれば、そうじゃない。そうじゃないのだ。

 

 

 

 病院で過ごしてきた十年近くの間、僕は彼に謝りたい一心で治療に専念して、過酷を極めたリハビリにも取り組んだ。

 

 

 何時か絶対に彼に会って、あの時離れてしまった事を一言謝りたい。

 

 

 風の便りによると、僕があの町を離れてすぐにある人物達と彼が出会い、彼の憂いを晴らしてくれたらしいと聞かされた。

 

 

 それは母が地方紙に記載されていた一部に彼が写っていた事を見つけて、当時治療を受け始めていた僕を励ますためにも元気に写真に載っている彼を見せてくれたのだ。

 

 

 そこには中の良さそうな五人の少年少女が写っていて、何でも放置されていた巨大蜂の巣を子供だけで退治したのだという。

 

 

 ただ、何をしたのかは書かれていなかったけど、あやうく大火事になってしまいそうだったようで、写っていたうちの一人の少年の服がやたら焦げていたのが少しだけ気になった。

 

 

 

 けれど何より僕の心に強く刺さったのは、写真に写った彼が笑っていた事だった。

 

 

 

 塞ぎこんで表情すらも失われた顔には明るい笑みが浮かんでいて、僕はそれを見て最悪な感情を抱いてしまった。

 

 

 無論、彼が元気になってくれた事は何より嬉しい。あのままじゃ絶対にいけないと僕も思っていたから、彼がどんな形にせよ元気になってくれた事が嬉しくない筈が無い。

 

 

 ………なのに、僕はそれだけを思う事が出来なかった。

 

 

 理由なんて稚拙で幼稚で我ながら我儘に過ぎるものだとは思う。

 

 

 

 何せ、そこに自分がいないというだけで僕は本来感謝すべき人達に一瞬でも、感謝以上に見当違いにも程がある―――――――嫉妬を抱いてしまったのだ。

 

 

 

 本当なら自分が彼を……そんな風に考えた時点できっと、僕は彼の友達失格だ。

 

 

 自分が離れただけなのに、彼やその仲間達は何一つ悪いどころかむしろ素晴らしい事をしてくれたというのに、僕は自分勝手にも彼の近くにいた人達に嫉妬を抱いてしまったのだ。

 

 

 それを自覚した瞬間、僕はそれからしばらく荒れていたと思う。

 

 

 どうしようもない自己嫌悪と、それでもどうしても抱いてしまう彼らへの嫉妬。

 

 

 自分の我儘さが嫌で、自分勝手な思考が許せなくて、ひたすら体を虐めるような事ばかり繰り返して、それが何にもならないと知っていて。

 

 

 

 そんな日々がしばらく続いた後、僕は一つだけ決めた事があった。

 

 

 

 多分もう、彼は僕の事を覚えていないだろう。僕はあまりに変わり果ててしまったし、あの状態にいた彼がもしかすると辛かった記憶と一緒に僕の事も忘れている可能性もあるかもしれない。

 

 

 でも、そんな事は関係無かった。

 

 

 僕はただ、彼と彼の仲間達に一言だけでも謝りたいと、そして感謝したいと思った。

 

 

 それは甚だ場違いやら自意識過剰極まるバカげた考えだろうとは思う。けれど、僕は多分、そういう事ぐらいしか出来ない方のバカだ。

 

 

 向こうは顔も知らない相手だというのに、僕はそれを承知で彼らに一言内心で抱いていた嫉妬を謝って、その上で彼を、親友を救ってくれてありがとうなんて言うのだ。勝手に消えた僕がだ。

 

 

 正直な話、徒労以上の何かで終わる可能性の方が高い。

 

 

 そうと知っていて僕はやろうとしているのだから、我ながら融通の利かなさは一体誰に似たのやら。

 

 

 

 

 

「――――――――何時ぶりだっけな、ここに帰ってきたのは」

 

 

 

 

 

 リハビリを終えてから通信教育などで義務教育の過程は何とか終わらせる事が出来た。多分きっと、彼はまだあの町にいるだろう事を予想にも満たない淡い期待を抱きながら僕は今、子供の頃住んでいた家に帰ってきた。

 

 

 随分長い事入院していたから既に両親もあちらの方に居を構えてしまっているけれど、祖母が管理してくれていたお陰でここに帰ってくる事が出来た。

 

 

 けどそれは今日までで、明日からは高校の寮に入る事が決まっている。時期としてはかなり季節外れになるけど、それは中学の数学が難しいのが悪い。数字なんて電卓で計算出来る範囲で使えれば問題無いのに、何が因数分解だ何が関数だ。あんなの、最早イジメだと僕は思う。

 

 

 

「湊ー、そろそろお夕飯にするからおりといでー」

 

 

「あ、はーい。今行くよ婆ちゃん」

 

 

 

 子供の時のように、ベランダに身を乗り出して夕日が沈む頃の風を浴びながら一人決意する。

 

 

 

 僕こと崩上湊は、親友・直枝理樹と新聞に写っていた仲間達を、リトルバスターズを探し出して必ずやあの時伝えたかった事を伝える。バカなオチで終わりそうな事だろうが、そう決めた。

 

 

 

 

 

 

 

 …………ただまぁ、一つ問題を上げるとしたらまず絶対に、理樹君には僕の事が分からないだろうという事だろう。何せ、本当に僕は“変わって”しまったからなぁ………何か不安になってきた。はぅ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ・・・・・・・・・・

 

 ・・・・・・・

 

 ・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 翌日。既に荷物は先に部屋に運び込んで貰っているので軽く鞄ともしもの時用の薬を携帯しながら、明日から通う事になる学び舎を見て回る。

 

 

 

「(……そういえば、僕こうして学校にまともに通うのも久しぶりなんだっけ)」

 

 

 

 そのせいか少しきょろきょろし過ぎていると思わなくも無いのだが、興味があるからしょうがない、うむ。しょうがないったらしょうがないよね。

 

 

 視線を忙しなく動かしているせいで教室の外から注目を浴びているが、それすらも気にならず僕は見た事の無い校舎の風景やらどうでもいい造りなんかに思いを馳せていた。

 

 

 ただ教室にいる生徒や廊下ですれ違う人があまり少ないのは、多分今がまだHRも始まっていない時間だから。

 

 

 フライング気味に登校したせいで案内の人が付く筈もなく、本当なら寮に行って荷物を開けなきゃいけないんだけど………

 

 

 

「(しまったな。寮の場所聞かなかったから分からないんだよねぇ~。せめて寮生っぽい人とかいればいいんだけど……そんなの見分けつくわけないし)」

 

 

 

 だからこうして、校舎を観覧しながらもそれっぽい人を探しているんだけどそもそも“寮生っぽい人”の定義って何さと自分にツッコミを入れる。それなら僕は“長期入院経験してそうっぽい人”という括りになる。そんなん見ただけで分かるか。

 

 

 こうなったら仕方ない。今教室にいる人達に声をかけるのはちょっと自分的にハードルが高くて無理なので、次に廊下ですれ違った人に寮の場所を訪ねてみよう。きっとその人が寮生だと仮定して!

 

 

 行き当たりばったり極まる思考だというのに何故か納得する自分の単純さが、こう言う時はありがたい。この辺りは子供の頃と変わっていない。でもあれ? それって成長してないってことじゃ……

 

 

 

「………うん、気のせいだよね、うん」

 

 

 

 僕だって成長はしてる。そりゃまぁ入院生活が長かった分色々と足りないものがあるのは知ってるけど、通信教育で結構色々な事を勉強したから問題は無い筈だ。

 

 

 ちゃんと高校一年生までの授業内容は教わったし、数学以外なら心配は要らない……筈である。その他にも同じカタログに載ってた通信教育の類も一通りマスターしてるし、よし。

 

 

 

 気合いを入れ直して廊下を歩くと念願の対向者を発見。一人を前に後ろにお付きのような人が三人ほど付き添っているけど、あれが世に言うところのお嬢様とその連れの構図だろうか?

 

 

 

「(……まいっか)あの、少しお時間をいただけないでしょうか?」

 

 

「あら? わたくしを一体誰と心得た上での挨拶ですかしら?」

 

 

「あっ、すいません。僕明日からこの高校に編入する予定の崩上湊って言うんですけど、実は寮の場所が分からなくて誰でも良いから通りすがりの人に道を尋ねようと。あっ! 別に何も卑しい事とかしないんで大丈夫です!」

 

 

 

 ちょっと自分でも最初の言葉は無かったのだが、何せ初めての経験、緊張のあまり口から変な言葉が出ても不思議じゃ無い。そういう事にしておいてほしい。

 

 

 相手の子は一瞬眉を吊り上げたけど、その後少し持ち直して最後の方で疲れたように手で額を抑えた。何と言うか、仕草が一々演技っぽい印象を受ける。口調も何だかそれっぽかったし。

 

 

 

「はぁ……普通自分からそのような事を言うのは珍しいと思いますが、まぁいいでしょう。偶々通りすがったのがソフトボール部のエースで四番のことわたくし! 笹瀬川佐々美であった事を光栄に思うがいいですわ!」

 

 

「エースで四番? えっと………つまりピッチャーで守備に要でもあって、打席で四番目だから打撃力もチームで一番って事ですよね? それって凄いじゃないですか! そんな凄い人に朝から会えるなんて感激です!」

 

 

「おーっほっほっほ! よく分かっていらっしゃる方ですわね貴女! 先ほどの無礼も今のでチャラにしてあげますわ!」

 

 

「無礼? 僕なんかさっき失礼な事しました?」

 

 

「……ま、まぁいいですわ。とりあえず、寮の場所を知りたいんですのよね? それに編入生用に昨晩寮が騒がしかったのはそのためでしたか」

 

 

 

 いやぁ、今日は朝からツイてる。笹瀬川さんみたいな凄い人と会えるなんて。そりゃ付き人だっているよねってなものである。

 

 

 妙に気分を良くしてくれたっぽい笹瀬川さんに態々メモ帳に地図を書いてもらい、お礼もそこそこに記された寮へと向かう。笹瀬川さんは朝練だと言っていたけど、やっぱり凄い人は練習もちゃんとやってるんだなぁ。凄いや。

 

 

 

 そうしてやっとこさ寮に辿りついた。後は女子棟を探して自分の部屋を―――――――

 

 

 

「(………?)」

 

 

 

 探すだけなのだが、校舎を歩いていた時とは違う喧騒のような声が妙に気になって、寮と思しき建物が見えながら僕はそちらの方に足を向けた。

 

 

 その入り口には『食堂』とあるので、多分寮生が何かをやっているんだろうけど一体朝から何をしているんだろう?

 

 

 

 人だかりが出来ていたのでその内側は外からでは見えなかった。仕方なく、人ごみに揉みくちゃにされるのを覚悟で手を前に出しながら人垣を掻き分けて行く。

 

 

 

「んっ……ちょっ、ちょっと通ります……っ」

 

 

 

 途中服が引っ張られたりしてこけかけたが、その勢いで人込みを抜けられたので丁度輪の中で行われていたものを見る事が出来た。

 

 

 

「うおおおおおおおおおっ! 行けぇ、猫おおおおおおおおおおお!!」

 

 

「フンっ、そんなもので俺を捉えられると思うな!」

 

 

 

 方や水鉄砲を構えた道着を着た長身の男子と、方や小猫の両足を突き出しながら暑苦しいまでに雄叫びをあげる逞しい体つきの男子。

 

 

 この二人が普通に取っ組み合いの喧嘩でもしていればさぞ迫力のある物になっていただろうが、得物が得物なので妙に脱力してしまうというか、けれど周囲は面白がっているらしくわいわいと騒いでいる。

 

 

 

 ―――これが高校生のノリなのか……僕ついていけるかなこれ?

 

 

 

 正直どういった経緯があれば小猫と水鉄砲のバトルが始まるのか想像もつかない。これが僕の知らない高校生という生き物なのか……僕本気で心配になってきた。

 

 

 逃げるようにその場を離れ、寮にある自分の部屋へと向かう。

 

 

 

 

 

 ………それが色々な意味でミスした選択だったと気付くのは、割とすぐ来るのだった。具体的には、明日ぐらい。

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