IS<インフィニット・ストラトス> ~青年で男の娘はアリですか?   作:イイ日旅立ち

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実にこちらでの更新は一週間ぶりとなります、イイ日旅立ちです。

既にご存じの方もいらっしゃるかもしれませんが、今現在境ホラの二次創作にも手を出しておりそっちの設定の確認とか執筆で忙しい事と、本編のネタが煮詰まりつつある現状のためまだ本編をあげるのは時間がかかりそうなんです。


てな訳で、今回もまたまた番外編に逃げます。以前にも書いた武装神姫ネタの方の書きためネタが二つほど仕上がったので、今回の分ともう一つでしばらく間を持たせようかなと。せめて境ホラの一巻分が終わるまでお付き合い下されば幸いです。

前回からの引き続きとなっておりますので、そちらと合わせて見てくだされば多少は武装神姫の事に触れられるかと。興味を持った方は現在放映中のアニメも是非。それでは~。


番外編~ハイそこ本編からの逃避とか言わない!

 

 

 

 

 

 

 

 

「神姫ねぇ、まぁ、あった方が色々と楽ではあるんだよなぁ……」

 

 

 

 

 放課後。

 

 

 

 湊は神姫部の方に出ているためまだ学校に残っていて、俺は入部届けを湊に渡して今は帰宅中。今日は特売日で卵と肉や安くなっているため、晩飯予定の親子丼の為にも見過ごすわけにはいかない。

 

 

 

「(こういう時にも神姫がいれば便利なんだっけか? 湊がよく來蓮に注文してるの見るし)」

 

 

 

 俺も湊も同じく家事を嗜んでおり、アイツもアイツで特売は見過ごせない筈なのだがそれでも部活に行ける理由。

 

 

 神姫はネットワークを繋ぐ事で宅配などの手配も容易であり、さらには神姫ポイントと呼ばれる神姫バトルや大会で優勝すると貰えるポイント制度のお陰で実費も安上がりで済むという。

 

 

 そういう手段があるなら、やっぱり神姫はいた方がいいのだろうが初期費用を考えるとどうにも気が滅入るというか。

 

 

 神姫ショップだとそもそも神姫の素体購入にはポイントを用いるそうだけど、それはある程度のポイントが必要なのでずぶの初心者もいいとこの俺が手を出せる領域じゃない。

 

 

 それ以外だとやはり店頭販売になるが、それは先に言った通り初期費用がバカにならない。ノーパソが安く思えるというぐらいなのだから、婆ちゃんの年金で暮らしている我が露口家には痛すぎる出費だ。

 

 

 

「(湊に頼めばポイントとか融通効かせてくれそうだけど、それはそれでなぁ……)」

 

 

 

 友人に集るような事はしたくない。神姫の素体を購入するにはやはりそれなりにポイントも消費するだろうし、稼ぐのだってゲーセンや公式大会など正規なバトルを扱ってる場所しかない。

 

 

 そういった場所は電車を乗り継がなければ通えないし、何より以前ゲーセンに湊を連れていった時に一体何人にナンパされた事か。それを考えるとやはりアイツをあの管理病棟のような場所に送りたくない。

 

 

 

 結局購入は見送り。いつかはと思うけど、その「いつか」が本当に来るかも分からない。

 

 

 

 だから今はあくまで目の前の事に。一先ずは、特売を逃さないようにそろそろ走るか。

 

 

 道行く人々の間を縫うように走りながら、目的地であるスーパーに到着。ここの特売はチラシを持ちこんだ人のみ限定なので、忘れず鞄からチラシを取り出していざ精肉売り場へ!

 

 

 

「おぉ、やっぱ特売だけあって鳥が安い。ついでだし皮も買って茹でて薄切りをポン酢で……うん、これも買っとこ」

 

 

 

 牛は高いものじゃないとあまり食べようと思わないし値段も量と比較すると高めなのでNG。

 

 

 豚は豚で油っぽいと婆ちゃんが腹を下す恐れがあるのでやはりNG。

 

 

 となれば自然、我が家で食卓に並ぶ肉ランク一位は断然鶏肉である。俺の趣味も多分に加味されているが、鶏肉は正義。異論は認める。

 

 

 肉を予算ギリギリまで買いこんで残りで親子丼用の野菜と、婆ちゃんへのワンカップを籠に投入して必要そうな日用品があればメモで次回の買い物で購入する。今は予算的に無理なので、こうして覚えておく必要がある。

 

 

 

「はいそれじゃ次の人ー!」

 

 

「よいしょっと。今日も頑張ってるな、ぜろ」

 

 

「店長の神姫扱いが酷過ぎて今日もブラック労働ですけどねー、早くあの人禿げないかな……」

 

 

「あ、あはは…」

 

 

 

 籠をレジに持っていくと、レジ打ちをしていたのは神姫だった。

 

 

 とはいえこれは珍しい事という訳でもなく、個人経営をしている店とかではよく見られる光景だったりする。

 

 

 ここのスーパーだと店長の神姫である『ゼルノグラード型神姫』の“ぜろ”がこうしてレジをしていたり、棚の陳列や卸売業者とのやり取りなどもこなしている。

 

 

 本人はきついメンドいと口に零すが、それでもやはり楽しそうに見えるのはそれがマスターのためになっているからだろうか。俺には、愚痴を零すぜろがそれでもやっぱり、嬉しそうに見える。

 

 

 

「そいじゃ全部で3068円になりまーす」

 

 

「んじゃこれで……ふむ」

 

 

「? どうかしたお客さん? あらやだ、ひょっとして私に一目惚れとかもーやーん」

 

 

「そうじゃねぇよ! ただ、やっぱ神姫がいると生活に色々と幅を持たせられるからいいなって思っただけだ!」

 

 

「それはまぁ、私達はそういう目的で作られてる訳だしねぇ。でも、露口さんとこならお婆ちゃんがいるし、確かに介護とかしてくれる神姫がいたら君も安心出来るもんねー?」

 

 

「分かってて今ふざけたなお前」

 

 

「あっはっは、若い子がそんな細かい事を気にしてちゃダメだよ! それじゃ、次が込んでるから掃けた掃けた」

 

 

 

 あんにゃろう……そう零しかける言葉を飲みこんで、後で店長への禿発言をツイートしてやる。絶対にだ。

 

 

 

 ―――――しかしまぁ、ぜろの言う通り家に神姫がいればバトルとかはともかく、婆ちゃんを見てくれるってのはある。

 

 

 下手なヘルパーよりもよっぽど安心して任せられるし、通信手段もネット越しで直接携帯に通信が入るというのもありがたい設定だ。

 

 

 こうなってくるとますます神姫が欲しくなってくるのだが、やはり金という一番の壁が………。

 

 

 

「………はぁ。さっさと帰ろう」

 

 

 

 これ以上考えると気が滅入ってきそうだ。足早に帰路に就く俺は、結局家に着くまで終始神姫購入について頭を悩ませてしまうのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 ・・・・・・・・・・

 

 ・・・・・・・

 

 ・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

「実琴君っ!」

 

 

「よぉ、朝から元気だな湊。そして今日が学校休みと知ってこの時間に何故来た、俺まだ眠り足りないんだが……」

 

 

「もう9時だよ! 普通に起きる時間でしょ!」

 

 

「俺休日は昼まで寝る運命と書いて『さだめ』と読むんだ……いつかきっと」

 

 

「そんな未来不確定決定だよこのおバカ!」

 

 

 

 失礼な。というか婆ちゃんも俺が寝てるのに勝手に客を招くなよ。

 

 

 そう思いつつ布団から身を起こして朝から元気な湊を見やる。相も変わらない男の娘っぷりは正直脱帽ものだが、何やらテンションがいつもより高いような。

 

 

 ひとまず着替えるために湊を部屋の外においやり、朝食で昨日の残りの親子丼鶏肉抜きを食べつつ、湊の話に耳を傾ける事にした。

 

 

 

「あのさ、昨日部長に言われて思い出したんだけど、神姫を手に入れるのって別に現金購入以外にも手段があったのてっきり忘れててさ」

 

 

「お前って來蓮以外は大会で勝った商品で手に入れたりしてたんだっけ?」

 

 

「うん。それは大体テスターとかを兼任でって意味だったんだけど、そのせいか普通に神姫をポイントで手に入れる手段があるのすっかり忘れちゃっててさ。と、いうわけでっ!」

 

 

 

 ビシィっ! そんな擬音がピッタリな勢いで湊は指を突き立て、自信満々に言い放った。

 

 

 

「―――――今日僕のポイントで実琴君の神姫を買いに行こう!」

 

 

「あむあむ……あっ、婆ちゃんそこのなめ茸取って」

 

 

「あいよ。でもそうかい、ついに我が家にも神姫が来るのかい……いやぁ、やっと実琴が時代の波に乗れるようになるんだねぇ」

 

 

「人を時代遅れみたいに言うなよ!?」

 

 

「……あの、僕の発言はスルーですか、実琴君?」

 

 

「や、そういう訳じゃないんだけどな」

 

 

 

 それは丁度昨日俺が考えて、それでも申し訳無いと思って却下した案だった。

 

 

 故に素直に受け取ろうにも申し訳無さが先立ってしまい、ついつい遠慮しようと俺の口は動いた。

 

 

 

「気持ちは嬉しいんだが、そのポイントだってバカにならないんじゃないのか?」

 

 

「ふぇ? 全然そんな事無いよっ、大会とかで稼いだっきり使ってなかったから、実琴君の分とお婆ちゃんの分を購入してさらにパーツまで一式揃える事だって余裕で出来ちゃんだぜ!」

 

 

「……このポイントブルジョワめが」

 

 

「な、何でそこで僕はぐりぐりを痛い痛い痛い理不尽過ぎるよぉぉぉおお!?」

 

 

 

 やかましか。人が友情を気にしていたら然も何でも無いように言ってくれやがって。こちとら根っからの貧乏癖のせいでそこまで考えが至らなかったわ。

 

 

 ……でもまぁ、これで懸念が無くなったと言えばその通りな訳で。

 

 

 さらに婆ちゃんの分までポイントを出してくれるというのだから、本当に湊には頭が上がらない。そう言って何度も頭を下げると湊の方が困ったように手を振りながら、

 

 

 

「良いんだって。僕も神姫ユーザーが増えるのは嬉しいし、それが実琴君なら尚更だしね」

 

 

「マジですまん、そして本当ありがとう。何もできねぇけど、俺で良かった今度何でも言う事聞くからよ」

 

 

「そんな気にしなくていい……って言いたいところだけど、実琴君が譲らないよね」

 

 

「当り前だ。お前だって、俺が断っても無理矢理ショップに連行するつもりだったんだろ?」

 

 

「えへへ……まぁね!」

 

 

 

 この辺は何となくシンパシーを感じる。俺と湊は外見も中身も全然違うが、こうした事でやはりコイツと友人で良かったと思う。

 

 

 

 神姫ショップはうちからだと駅で市街地まで行かなきゃいけない距離であるため、湊は朝早くから来て購入したその勢いのままバトルも一気に経験させる魂胆らしい。

 

 

 俺としてはいきなりバトルという戸惑いもあるが、それ以上に巷で大流行の神姫ライドシステムを使ったバトルというのを生で体感したい欲求の方が勝っていた。

 

 

 

「ところで、今日は誰も連れてきてないのか?」

 

 

「うん。今日は皆充電中だからね、それに………」

 

 

「? それに?」

 

 

「いや、その、さ。來蓮ならまだいいんだけど、僕が他の神姫を購入しようとすると絶対に暴れる子がいるから……」

 

 

「あー、成程。確かに」

 

 

 

 何時もなら頭なり肩なりに神姫を載せている湊であるが、今日はそういった理由があるためつれてこなかったのか。まぁ、愛されてるって言えば聞こえはいいからそういう認識でいっか。

 

 

 独占欲とも言うが、既に四体も所持している湊だしこれ以上増えたりすると神姫としてのアイデンティティにも関わったりするのだろうか。あまり多いと神姫の持つ奉仕欲求が満たされなくなったりとか。

 

 

 

 まぁ、俺にも関係無い話じゃなくなるかもしれない訳だけど。婆ちゃんと俺で家に一気に神姫が増えるのだから、その辺の事とかも後々考えておかねば。

 

 

 

「………ふふっ」

 

 

「んだよ、何笑ってやがる」

 

 

「だって、実琴君今楽しそうだったからさ。そんなに喜んでくれるんなら僕としても提案した甲斐があったよ」

 

 

「お前には本当、感謝するよ。今日はお世話になります、湊大先生」

 

 

「そ、その呼び方なんかバカにしてない!?」

 

 

「はっはっは。気のせいじゃね?」

 

 

 

 しかし浮かれているのは否定できない。やっぱ、俺も神姫が手に入れられるのだと思うと興奮している自分を認めざるを得ない。

 

 

 

 いつもよりも軽い足取りを自覚しながら俺達は神姫ショップに向けて出発した。婆ちゃんとも相性が合うような、ちゃんとした神姫を選んでやらないとな!

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