ラブ鎧武!   作:グラニ

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それは決して人類の英知ではない。

けれども、

今、反撃の木霊を彼方へ上げろ

刃と共に





45話:ExA ~反撃の刃~

 

 

 

 

 

 

 

 

朝陽が昇り始め、世界に清浄な空気が流れ始める。

 

初日だったのならば鳥達の囀りが響いていたというのに、今ではそれはない。響くのは海から聞こえてくる波の音のみで、それも確かに風情があるが現状は喜べるような事ではなかった。

 

呉島タカトラは深呼吸と共に周囲を見回す。

 

μ'sを運搬する為のトラックの準備は完了し、どの脱出経路の入口から突入するか検討もつけた。

 

不安だらけのこの作戦だが、タカトラはすでに暗雲に顔を顰めて尋ねた。

 

「……………どうしてお前達はそんなに余所余所しいんだ?」

 

「気にしないで下さい」

 

弟の呉島ミツザネに啼臥アキト、西木野真姫と星空凛がどこか距離を取っているようで取っていないという微妙な空間を作り出しており、それが当然他のメンバー達にも伝染して怪訝そうな顔をしてしまっている。

 

昨日、この絶望的な状況を打破する為に真姫が提案した作戦。それはμ'sの歌声には暴走しているインベスの気持ちを落ち着かせる効果があり、それを利用して橙的なライブを行い暴走インベスを無力化しようというものだ。

 

インベスを無力化させられれば、残る敵勢力は黒の菩提樹によるアーマードライダー部隊だ。使用しているものはドングリロックシードでアーマードライダーグリドンとなるらしいが、アキト曰く素人に毛の生えた程度の実力しかないらしい。

 

ならば勝機はかなり上がる、というものだ。

 

μ'sのライブによって未来が決まると言っても過言ではない構図に、音ノ木学院の制服を着込んだ一同をライブ会場とするユグドラシルイーヴィングル支部まで運ぶ手筈だったのだが。

 

「ライブ、大丈夫なのか?」

 

「…………それまでには絶対に持ち直すわ」

 

不安まみれな真姫の答えに、思わずタカトラは苦渋の表情をしてしまう。

 

「…………何があった?」

 

「それが、その…………私達にも…………」

 

ちらりと園田海未に尋ねてみるも、その返答も曖昧なものだ。

 

昨日、タカトラと九紋ヨウコ、戦極リョウマ、中山を中心とした作戦会議を進めている間、μ's達は休むように言ったが、何だかんだで起きていたらしい。

 

その間にあの4人に何があったかまではタカトラも把握はしていない。それ以上は関与するべきではないと思っていたが、失敗だったか。

 

「もう、真姫ちゃんも凛ちゃんもしっかりして!」

 

「アッキーもミッチも!」

 

高坂穂乃果と東條希に叱咤されるも、4人は曖昧な顔を消さない。

 

「……………いやぁ、その…………」

 

アキトは不意に顔を向けると、凛と目が合ってしまう。同時に頬を赤くさせて、さっと顔を背けてしまう。

 

「……………アキト君も凛ちゃんもどこか調子悪いのかな?」

 

「2人ともどうしたのかしら…………」

 

南ことりと絢瀬絵里の疑問に、判目になった矢澤にこと小泉花陽が鼻で笑い飛ばす様に言った。

 

「どうせ人知れない所でいちゃついてたんでしょ」

 

「凛ちゃんの柔肌を堪能したり、その残り香を楽しんだり!」

 

「でぇぇい、かよちんの相変わらず俺限定の毒舌! ほら、ヨウコさんの顔がやっちゃいけないような顔になってる待って来ないでーっ!!」

 

2人の爆弾発言によりヨウコの気配が変貌し、逃げ出したアキトへと襲いかかる。

 

何をしているんだか、と息をついてタカトラは手を叩いて集中させる。

 

「作戦開始前だというのに……準備を進めるぞ。μ'sとアキト、その他数名の武装メンバーはトラックに搭乗。中山達非戦闘員は葛葉達の様子を伺いながら地下シェルターに避難だ」

 

タカトラの号令で一同はそそくさと行動に移し始めた。

 

今回の作戦。一番危険ではあるが、μ'sに同行する事をアキトは望んだ。タカトラとしては非戦闘員として残っていて欲しかったが、リョウマの後押しもあって同行を許可したのだ。

 

銃の使い方もレクチャーした。実際の撃ち方は最悪な状況での実戦で慣れてもらうしかないが、それ以外で活用出来るとリョウマは思っているのだろう。

 

アーマードライダーデューク。

 

秋葉原でユグドラシルが把握しておらず、まだ開発途中であるはずのゲネシスドライバーで変身する戦士。リョウマはアキトがデュークの変身者であると思っており、あわよくば今回の事件でそれを突き止められればという魂胆だろう。

 

もしも、本当にアキトがデュークであり、こちら側に付いてくれるというのならこの上ない戦力になる。

 

だが、本当にそうだった場合、全てが解決した後で追求しなければならない。最悪、敵対する事になったとしても。

 

弟の親友を伐らなければならない。甘いと言われるだろうが、いい気分にはなれなかった。

 

続々と乗り込んでいくμ'sの中で、穂乃果が中山へと告げた。

 

「中山さん、コウタ君とカイトさんをお願いします!」

 

「もちろんです、任せて下さい!」

 

今だに目を覚まさない葛葉コウタと九紋カイトは連れて行けるはずもなく、貸別荘の地下シェルターに避難させる事にした。

 

それに異を唱える者は誰一人としておらず、μ'sの面々もそれを快諾した。

 

強く頷く中山に安心そうに笑った穂乃果がトラックの荷台奥へと入っていき、次に乗り込んだ真姫がミツザネへと目を向ける。

 

ミツザネはその視線を真っ直ぐ受け取り、しばらくの交錯の後に強く頷いた。それを見て真姫も強く頷いて続いて入って行った。

続いて中に入ろうとしたアキトが、ふと思い出したように振り向きながら履いているサルエルパンツのポケットを間探り出した。

 

「ミッチ、これお前が持ってて!」

 

言葉と共に投げられたそれは綺麗な放物線を描いて、ミツザネの元へと届けられる。

 

「…………ロックビークル?」

 

受け取ったミツザネがまじまじと見てみるも見たことのない物だからか首を傾げてしまう。見た事がないのも当然である。その時はミツザネやコウタ、カイトは居合わせなかったのだから。

 

「ベゴ二レックだ」

 

「もしかして、新型の?」

 

ベゴニレック。

 

μ'sの夏合宿がイーヴィングルへ変更になった要員の1つであり、ネットCMを担当する予定だった物だ。ビークルモードでは二足のインラインシューズとなり、地面を高速で走れる他、そのエネルギーを使って高く跳躍する事も出来るのだ。

 

アキトが持っていたのは2日目に試運転をやったからであり、そのまま回収するのを忘れていた事に今気が付いた。

 

というか、この状況ではせっかく撮影したデータも放送計画も企画倒れになっていそうである。

 

「……………黙ってよう」

 

特ににこに打ち明けた瞬間、冗談抜きで大泣きされそうな気がする。

 

自身の胸奥にそっと仕舞い込み、タカトラは全員が乗り込んだのを確認してからミツザネを見やった。

 

「確認するぞ」

 

「μ's達のトラックを護衛しながら瀬賀やアネモネさんが出てきたら応戦。なるべく個々で離れた位置で戦闘をする」

それはアーマードライダーの戦闘にμ's達を巻き込まないようする他、近くにいるインベスを引き寄せないようにするという配慮の為だ。瀬賀達と遭遇すれば護衛の任は放置して、戦闘に集中しなければならない。μ'sを守りながら戦う事は出来ないのだから。

 

なので、もしも瀬賀、アネモネ、そして狗道クガイが襲ってきた場合、μ'sを守るのはアキトや残った社員という事になる。ライダーがいないという想像したくない状況が、そうなる可能性が高そうという事がタカトラに「本当にこれでいいのか?」と何度も自問を訴えてきた。

 

しかし、現状を見直す時間的な余裕もなければ人員もいない。正しく最悪な部の悪い賭けである。

 

普段のタカトラならば絶対に許容出来ず、他に手があるはずだと模索するというのに。

 

なのに。

 

トラックの中でこれから戦地へ向かうというのに、いつものライブに臨むかのようにミーティングをしながら和気藹藹としている教え子達を見つめる。

 

本当にこの9人ならば、と希望がタカトラの中で膨れ上がった。現実主義の自分らしくない、と思いつつも悪い気はしなかった。

 

「兄さん?」

 

ミツザネに呼ばれて、頬が自然と緩んでいたタカトラは引き締め直すとμ's達と改めて向き直る。

 

「みんな」

 

タカトラが呼び掛けると、9人はこちらを振り向いてくる。

 

力を貸してくれ。

 

そう口にしようとした所で、それは昨日告げた事に気付く。そして、それはユグドラシル主任としてのものだ。

 

ならば、今言うべきは。

 

「今日のライブ、楽しんでこい」

 

「………はい!」

 

ユグドラシルとしてではなく、音ノ木坂学院の教師として、アイドル部顧問として。

 

元気よく返事をする一同に、タカトラは頷いてミツザネを見やった。

 

「よし、行こう」

 

「うん」

 

互いにロックビークルを起動しようと指を掛けた時だった。

 

銃声と共に足元で火花が散った。

 

「きゃぁっ!?」

 

絵里が悲鳴を上げて、タカトラ達も咄嗟に伏せて初撃をやり過ごす。

 

そして、顔を上げた時、そこに立っていた影に瞠目した。

 

「……………まさか、そちらから来るとはな」

 

「そうか? こちらは貴様達の居場所を知っている。なら、襲撃した方が有利だ」

 

何でもないように告るのは瀬賀長信。腰に戦極ドライバーを装着し、左右にライフル銃を構えたアーマードライダーグリドンが2人。

 

ここまで接近を許していた事に舌打ちをしたくなるが、そんな暇はなくグリドン達が銃口を向けてくる。

 

この距離では当然、タカトラ達が変身するよりも社員達が銃を構えるよりも向こうの攻撃が早い。何千引き金に掛けている指に力を込めるだけでいいのだ。

 

こうして、イーヴィングル。いや、世界の命運を掛けたライブは最悪な形で幕が上がるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

##########

 

 

 

 

 

 

 

 

 

最悪だ、と言葉にしたくなったが、ぶつけられた殺気に当てられて真姫は口を開く事が出来なかった。

 

さっそく自分が考えた作戦を開始しようとした所で、すでに詰み手を置かれた。向けられた銃口を目の当たりにして、真姫だけでなく他のメンバーも恐怖で硬直してしまっている。

 

「戦極ドライバーを持っている者は差し出して貰おうか。君達も変な動きをしたら命の保証はしない」

 

遠回しに脅迫され、後ろにいることりが小さく悲鳴を漏らす。しかし、それは嘘偽りのない現実であると向けられている銃口が証明していた。

 

トラックに乗り込んでいた社員達が悔し下に降りていき、残っているのはμ'sとアキト。運転席にいるリョウマとヨウコのみだ。

 

そして、促されるように先にアキトが降りようと真姫の横を過ぎた時。

 

「アルフを呼べ。呼べば来る」

 

「えっ……?」

 

たったそれだけの言葉を残してアキトはトラックの淵に足を掛けた。

 

呼べば来る。

 

それだけ聞けばよくわからない言葉だが、言わんとしている事はわかる。

 

名前を呼べばアルフが来てくれる、というのだ。

 

本来、インベスを人為的に召喚するにはロックシードを解錠する必要がある。しかし、この状況でそんな事が出来るはずなく、インベスを呼ぶのは不可能に近い。

だが、もしも。アキトの言う通り名前を呼んで召喚出来るのなら。

 

絶望的で最底辺なこの状況で、なりふり構っていられなかった。

 

「アルフッ!」

 

直後、トラックの上にクラックが開く音が響き、紅い獅子が飛び出した。

 

「何っ!?」

 

「インベスを召喚しただと!?」

 

現れたライオンインベス、アルフに2人のグリドンが驚愕の声を漏らす。それは明確な隙となり、アキトがトラックに戻りながら叫んだ。

「出せ!」

 

「っ、させ……!」

 

狼狽から回復したグリドンがライフル銃を発砲しようと再度構えるが、それをタカトラとミツザネが蹴り上げて阻止した。ぶれたライフル銃をアルフが鋭い鉤爪で破壊し、さらに数撃打ち込み怯ませる。

 

甲高い音を上げてトラックが発進し、その反動でアキトが花陽へと倒れ込んで豊満な胸に顔を突っ込ませるラッキースケベは置いておいて、真姫は離れていくミツザネへ目を向ける。

 

生身でグリドンの攻撃を避けながら、ほんの一瞬だけ片手を掲げる。

 

大丈夫の合図。サムズアップ。

 

それを見ただけで安堵の息を漏らし、真姫はアルフへ目を配る。離れ過ぎて再びアネモネの声の影響を受けてしまえば忽ち傀儡となり、ミツザネ達の敵となってしまう。

 

その意図に気付いたアルフは最後、グリドン達を吹き飛ばしてからクラックへと戻っていった。

 

それを見届けて息をついた真姫は振り返り、衝撃で倒れ込んだ一同を見やる。

 

「大丈夫?」

 

「アキトがかよちんにセクハラした以外は大丈夫」

 

「今のどこが故意なんだよ!? あ、でもご馳走様です」

 

ちゃっかり堪能したことにわざわざ頭を下げるアキトに、ジト目を向ける凛に顔を真っ赤にさせて俯いてしまっている花陽。

 

それだけで何が起きたのか聞かずとも理解出来てしまい、つい先程まで命の危険に晒されていたというのに、いつもの変わらない光景が広がっている事に真姫は思わず笑った。

「しかし、よくインベスを声だけで呼び出せたものだ」

 

運転席から関心したようにリョウマが言ってくる。それは真姫というよりもアキトに向けられており、ふふんと花陽の隣に座ってドヤ顔を披露した。

 

「μ'sの声はインベスに影響を与える。真姫のアルフへの愛情は、ライオンインベスへ進化したのを見るとかなりのもんだからさ。今なら出来ると思ったんだ」

 

理論もなにもない、ただの感覚の話し。それで見事、危機を脱したのだから恐ろしいものである。

 

アキトの物言いにますますリョウマの気配が狂気を帯びていくような気がして、話題を反らそうと開放されたままの扉へと目を向ける。

 

すると、空から飛来してくるインベスに気付いて、真姫は声を荒上げた。

 

「インベスよ!」

 

真姫の言葉に全員が一斉に外へ目を向ける。接近しつつあるインベスは遠く個体までは判別出来ないが、数は目にみえるだけで5体ほど。

 

唯一変身出来るアーマードライダーであるヨウコは運転中で、当然手を離す事は出来ない。リョウマも研究員なのだから銃を使った戦闘はほぼ不可能であり、残ったアキトが床に散らばってあるライフル銃へと手を伸ばした。

 

「待ちたまえ、アキト君」

 

しかし、それを制したのはリョウマだ。何やら作業をしているらしく、そのまま振り向かずに告げてくる。

 

「あの距離では素人の君がいくら撃ったところで当たりはしないし、弾の無駄だよ。それに全方位をカバーする事は出来ないだろうしね」

 

「じゃあどうするのさ?」

 

アキトが聞き返すと、こちらを顧みて1枚のCDを掲げて言った。

 

「ここは手筈通り行こうか」

 

そう言ってCDをオーディオ機器に挿入し、再生ボタンを押した。

 

すると、内部スピーカーではなく車体に付けられているスピーカーからそれは流れ出した。

 

「これって………」

 

「私達の………?」

 

それはオープンキャンパスにて披露したμ's9人としての初めての曲、『僕らのLife 君とのLive』だ。それが外部スピーカーを通じてトラックの周囲に響き渡る。

 

しかし、それはまるで神田でもたまに見かける暴走車のように周囲への配慮を完全に無視した音量でμ'sの曲を流していた。

 

俺達はここにいるぞ、と言いふらしているようで不安を覚えた真姫がリョウマを見やる。

 

「ね、ねぇ………音量………」

 

「そうだね。もっと大きくしようか」

 

「そうじゃないわよ!? 私達、居場所を知られたらまずいんじゃないの!?」

 

μ'sのライブは文字通り、最後の希望だ。なるべく敵が溢れているこの場所では気付かれないよう隠密に行動しなければならないのに、これでは逆効果だ。

 

「忍びなれども忍ばない!」

 

「忍びなさいよ!」

 

「忍ぶどころか、暴れるわよ!」

 

「うわわわっ!? 本当に運転が荒くなった!?」

 

奇妙にテンションを上げるリョウマのヨウコに、にこと穂乃果が突っ込みを入れるも半ば無視するようにトラックが加速した。

 

しかし、それは瓦礫の多い市街地に入り込んだからであり、さらに周囲にいるインベスがこちらへ攻撃してこない事に真姫は気付いた。

 

「インベス達が………?」

 

「真姫ちゃんの作戦は成功、って事かな?」

 

凛に抱き着かれながら、真姫は自分の予想が正しかった事に拳を握り締める。インベスを抑えるのはこの作戦の肝であり、ライブの成果にもよるだろう。

 

急に緊張が襲ってきて、ようやく不安がのしかかってくる。

 

「大丈夫だよ」

 

それを察したのか、凛が耳元で囁いてくれる。

 

「真姫ちゃんは、私達は1人じゃない」

 

その言葉だけで救われたように、真姫は自分の中から不安が薄れていくのを感じた。目を向ければメンバー達みんなが、頼もしげな笑みをこちらへと向けていた。

 

何を気負う必要があるだろうか。ライブに臨むのだからある程度の緊張は必要だが、そこに不安など一切要らない。

 

自分には、これほどまでに頼しい仲間達がいるのだから。

 

「みんな………ありがとう」

 

「おぉぅっ!? 真姫ちゃんが感謝を言葉で…………!?」

 

試しに素直になってみれば、にこには驚かれるが惣じて暖かい気持ちになれた。

 

ふっ、と笑みを零した時、トラックが減速するのを感じて全員が運転席へと振り返った。

 

「着いたわ」

 

ヨウコの言葉でトラックが停車して、それを合図にするように全員がトラックから降りる。アキトだけがライフル銃と衣装の入ったボストンバックを持ち上げる。

 

降りた場所は市街地の中にあるとは思えないほど質素な造りになっており、給水施設のように見えた。白いコンクリートの四角い建物に周囲は雑な植物で覆われており、一見すれば目につくが単なる島が管理しているもの、くらいの印象しか与えてこない。

 

ここがこの島の避難経路の入口だとは到底思えない。おそらくはユグドラシルに吸い付くリョウマ達曰くの老害が外部から来た来訪者から見れば単なる関係者のみの施設に見えるだろう。

 

「ここが入口ですか………?」

 

「そうは見えないけと………」

 

怪訝そうに建物を見やる海未と絵里に、運転席から降りて戦極ドライバーを装着したヨウコが頷く。

 

「ちゃんと確認した情報よ」

 

「まぁ確かにうむくカモフラージュされてるけど、不自然に老朽化が進んでる。隠し事をするなら定期的に作り直さないといけないのに。まったく隠す気あるのか」

 

何故か不満げに語りながらリョウマが扉を掴み、開けようと力を込めるがうんともすんとも言わない。

 

「まぁ、施錠はされてるよね」

 

分かりきっていたように呟いてからヨウコを見やると、彼女は頷いて愛用しているピーチロックシードを取り出した。

 

「変身」

 

 

『ハイィーッ! ピーチアームズ! 舞姫、アン、ドゥ、トルァ!!』

 

 

アーマードライダーマリカへと変身したヨウコは、ドアノブを掴むと一瞬だけ睨み付ける。

 

「ふんぬっ!」

 

そして、思いっきり引き抜いた。元々、リョウマの指摘通り老朽化が進んでいた為か文字通りドアがそのまま引き抜かれ、建物に軽い亀裂が走る。

 

土煙や埃が一気に充満し、真姫は思わず咽込んで涙目になりながら叫んだ。

 

「あ、危ないじゃないの!」

 

「さっ、これで中に入れるよ。行こうか」

 

何事もなかったように中へ入っていくリョウマに続いて、文句も言うのも時間の無駄と思ったのか穂乃果達は息をついて後を追うように続いて中へと入っていく。

 

真姫とて問答している時間も惜しい事はわかっている。絵里と海未に頷いて中へと足を向ける。

 

その時だった。建物にさらなる亀裂が入ったのは。

 

「っ、危ない!」

 

咄嗟に海未がその事に気付き、叫びと共に真姫と絵里の手を掴んで引っ張った。向こうではマリカがはっと気付き、反射的にことりと希を抱きしめて飛ぶのが見える。

 

轟音と共に建物が崩れ、先ほどとは比べものにならない大きな砂埃が3人を襲う。

 

息を止めてそれらを吸わないようにして落ち着いた頃に目を開けると、そこにあったのは瓦礫の山だった。

 

「そんな…………!」

 

まさか、生き埋めに。

 

嫌な予感が真姫を過った時、ポケットの中に入っていた携帯電話が震える。

 

それを取って画面に表示されている『東條 希』の文字に安堵を浮かべて、通話に出た。

 

「もしもし!?」

 

『真姫ちゃん! そっちは大丈夫!?』

 

希の慌てた声に真姫は思わず携帯電話を耳元から離すが、すぐに笑みを浮かべてから絵里と海未にも聞こえるようにスピーカーモードに切り替える。

 

「こっちは大丈夫。絵里も海未も怪我はしてないわ」

 

真姫の言葉に電話の向こうで安堵の声が漏れるが、事態は悪化している事に間違いはない。支部へ向かう為の秘密の抜け道はこうして瓦礫に埋まってしまい、真姫達には入る手立てはない。アルフを召喚してもこれらを駆除するのは難しいだろう。

 

しかし、諦める訳にはいかない。意を決しての行動が無駄になってしまうだけでなく、6人だけはアネモネの声に対抗出来るとも限らないのだ。

 

相手の力が未知数である以上、こちらも最大限の力で対抗する必要がある。

 

『入口からは行けそうにないね。北の方……君達が建物を見た形から左手の方に青い塔があるのが見えるかい?』

 

希もスピーカーモードに切り替えたらきく、リョウマの声が響く。言われた通り左の方角を見やると、少し離れた場所に立つ青い塔が見えた。

 

「見えるわ」

 

『それが次に近い避難経路への入口だ。こちらから再び力を加えると倒壊して今度こそ生き埋めになる可能性がある以上、迎えに行く事は出来ない。そこで合流しよう』

 

『っ、そんな………!』

 

リョウマの提案にことりが悲鳴を上げる。地上には暴走したインベスが闊歩している戦場であり、そこをただの女子高生である真姫達3人に駆け抜けろというのだ。

 

だが、迷っている暇などないのはここにいる3人が重々承知している。

 

「わかりました」

『っ、海未ちゃん………!』

 

「私は大丈夫です。穂乃果、ことりを………」

 

『…………わかった。向こうでね』

 

絶句することりに海未が元気づけるように告げる。そこで穂乃果に言うあたり、流石は幼馴染みの絆というべきか。

 

『地下からでは電波は届かないだろう。先にアキト君に向かってもらって鍵を外しておく………いいかい、インベスによる抵抗は本当に絶体絶命の時だけにするんだ。戦闘を行えば音で集まってくる』

 

重たい口調で告げるのは脅しではなく警告だからだ。向こうにはわからないとはいえ頷いて、最後にみんなに言い放つ。

 

「じゃ、みんな………向こうでね」

 

『それがあの世じゃない事祈っててててっ!? おい、凛冗談だってお………!』

 

アキトの断末魔を最後に通話が切れて、真姫達は思わず笑みを零した。

 

「さぁ、行きましょう!」

 

「少し遠いですが………大丈夫ですよね」

 

気合いを入れる絵里と海未に、真姫は携帯電話を仕舞いながら片目を眇めて返した。

 

「誰に言ってるの? こっちは毎日、絵里や海未のメニューをこなしてるのよ」

 

遠目で見ても青い塔までの直線距離は大したほどじゃない。例えどれだけ離れていたとしても諦める、などという選択肢を取る気はさらさらなかった。

 

その思いは絵里も海未も同じなのか強く頷き合うと、走り出そうとそちらへ足先を向ける。

 

その直後、飛来した光が停車していたトラックを潰し爆発を引き起こした。

 

「っ………!」

 

一瞬の事に視界を潰し、真姫はすぐそちらへと振り向く。

 

そこにいたのは炎の鎧を纏っているかのように燃えている初級インベスと、それを追いかけてきたらしい様々な上級インベス達だった。

 

「まずい………!」

 

絶句したように海未が呻く。真姫達が戦場で平気でいられたのもμ'sの歌声がインベスを落ち着かせる、というのがあったからだ。しかし、それを発していたトラックは破壊されてしまい、歌の加護はなくなったも同然だ。

 

インベスを襲っていた上級インベス達がじろりと真姫達を睨んでくる。それだけで四肢が固まり、絶望に支配されたかのように動けなくなってしまう。

 

「あ………あぁっ………」

 

「真姫!」

 

「いけません、ここから離れないと!」

 

尻餅をついてしまった真姫を抱き起こそうと絵里と海未が両脇を抱え上げてくれるが、願いに反して身体は動いてくれない。

 

獲物が動けないとわかったからか、上級インベス達はゆっくりとこちらへ間合いを詰めてくる。

絶体絶命。

 

まさしくその言葉通りの舞台で、響いた。

 

2つのエンジン音が。

 

「っ………!?」

 

その音で上級インベス達の注意も逸れて、真姫達も目を向ける。

 

2つのエンジン音と聞いて思い浮かべるのはコウタとカイトだ。あの2人はいつも颯爽とバイクで登場しては助けてくれるのだなら。

 

しかし、遠くから疾駆してくるバイクは真姫の見たことのないタイプのものだった。

 

1つはサクラハリケーンやローズアタッカーと同じオフロードバイクで黒い車体に前面に金色の装飾が施されている。

 

もう1つも黒い車体なのだがアメリカンバイクのようにゆったりとした大型のもので、前面部が円盤のようになっているのが特徴的だった。

 

2台のバイクは上級インベス達を跳ね飛ばすように減速する事なく突っ切ると、真姫達の前で停車した。

 

「大丈夫!?」

 

搭乗していたのはどちらも青年であり、ヘルメットを取るとモデルのように顔立ちの整っていた。オフロードバイクの青年は活発そうで笑顔が似合いそうな印象を与えてきて、アメリカンバイクの青年はアキトのようなエスニック調のシャツを着込んでいた。

 

「あ、貴方は………!」

 

「昨日の変態さん………!?」

 

「………知り合い?」

 

乱入者によって冷静さが取り戻せたのか立ち上がった真姫が海未と絵里に問い掛ける。

 

絵里に変態呼ばわりされた青年はどこかがくっと肩を落ち込ませ、活発そうな青年が苦笑を浮かべながら言った。

 

「ここは危ないよ。近くのシェルターまで………」

 

「待って! 私達、あの塔に行かないといけないの!」

 

言葉を遮り真姫が指さした青い塔を見やり、青年達は頷いた。

 

「わかった。あそこまで連れていくよ!」

 

「違法だけど俺のバイク、大きいから2人くらい乗せられると思う」

 

「い、いいのですか!?」

 

颯爽と現れてはこちらの詳しい事情も聞かずに力を貸してくれるという事に、海が思わず聞き返す。

 

すると、活発そうな青年は満面の笑顔で告げた。

 

「だって俺、クウガだし!」

 

サムズアップ。

 

軽快そうでクウガというのがわからない真姫達だったが、不思議とこの青年になら任せて大丈夫だという安心感を覚えた。

 

まるでコウタ達なら大丈夫だ、という不思議な安心感を覚えるように。

 

「俺も。目の前で助けを求めて手を伸ばしているなら、それを掴まなきゃ絶対後悔する。だから、俺はその手を掴みたい!」

 

手を伸ばして掴む仕草をするエスニック調の青年に、絵里はふっと口元を緩めた。

 

「すみません、お願いします!」

 

「君達はこっちでいいかな?」

 

海未は活発そうな青年のバイクの後部座席のような場所に乗り込み、真姫と絵里もエスニック調の青年が操るバイクに跨る。

 

本来ならばヘルメットなどをしなければならないのだが、乗った時にインベス達の鳴き声を耳にした青年達が叫ぶ。

 

「行くよ! しっかり掴まってね!」

 

「はい!」

 

「よろしくお願いします!」

 

海未と絵里の言葉を合図にするかのように、2人の青年はアクセルを回してバイクを発進させる。

 

一気に猛スピードを出した2台のバイクは、崩壊した街並みから外れた郊外を走る。暴走したインベスの姿はなく、後ろからも追いかけてくる様子はなくバイクが走行する音だけが響き渡った。

 

「追ってこない、わね………」

 

「お2人はどうして?」

 

落ち着いたのか海未が青年達に質問を投げかける。どうして知り合いなのか、という事もわからない真姫ではあったがとりあえず静観する事にした。海未と絵里がこうして接しているのだから、悪い人間ではない事は確かだ。

 

「この騒ぎで逃げ遅れた人がいないか探しては誘導してたんだ」

 

「1日経ったとはいえ、解決の目途も立ってないようだしね」

 

「そんな危険な事を…………!?」

 

たった2人で暴走インベスが活動している場所で避難誘導するなど、アーマードライダーの力をよく知っているからこそ無謀だと言い切れる行動だった。

 

絵里の驚愕に活発そうな青年がちらりと絵里の方を見て言う。

 

「俺達で解決してもいいんだけど…………」

 

そこまで言いかけた時、はっとした様子で背後を顧みた。

 

同時に背後で木々を吹き飛ばす轟音が響き、絵里にしがみ付いている真姫は慌てて後ろを向く。

 

「っ、イノシシインベス!」

 

オープンキャンパス時、音ノ木坂学院に出現しては大暴れをした巨大インベス、イノシシインベスが咆哮を上げながらこちらへと近付いてきていた。

 

完全に敵意を向けられている事に真姫の背中を嫌な汗がぶわっと弾ける。

 

「もっと強く掴まって!」

 

「あと口も閉じて! 噛んでも知らないからね!」

 

しかし、2人の青年は慌てた様子もなく姿勢を正すと、さらにバイクを加速させた。

 

巨大であるが故に1歩足を踏みしめる事に強い振動となって大地を揺らすが、そんな事お構いなしに2台のバイクは走る。馬力も通常のバイクとは比べものにもならないのか、イノシシインベスを引き離すような形で青い塔へと向かった。

 

そして、目的地に到着する頃にはイノシシインベスは遥か遠くになっていたが、振動は大地を伝って確かに近付いて来る事を教えてくれる。

 

「あ、あのインベスがこっちに来たら避難経路が…………!」

 

地下に通路を作るという事は空間を生み出す事であり、必然的に地盤は脆くなる。あれほどに巨体で移動するだけで振動させる程の重量がその上に立ったらどうなるかなど、予想するに容易い。

 

何とかしてイノシシインベスをこの場に近付けさせない必要があった。

 

しかし、あの上級インベスよりも先に進んだ進化態でもあるイノシシインベスを止めるのは至難の業だ。オープンキャンパス時もかなりの大事となり、苦戦を強いられたのだからアーマードライダーのいない真姫達にはどうにも出来ない事だった。

 

「わかった」

 

しかし、細事を聞かずにエスニック調の青年は頷いてヘルメットを取ってから、降りた真姫達を見やる。

 

「あれはここで俺達が食い止めるよ」

 

「っ、そんな!?」

 

とんでもない事を言い出す青年に絵里が呻く。

 

「あれはただのアーマードライダーでは勝てないんですよ!?」

 

「大丈夫だよ」

 

絵里の心配は無用と言わんばかりに、活発そうな青年もバイクから降りて笑う。

 

「確かに俺達はアーマードライダーじゃないけど、ライダーだからさ」

 

「は………?」

 

いよいよもって言っている意味がわからず、海未が声を漏らす。

 

そうこうしているうちに遠くにイノシシインベスの姿を確認し、真姫は目を見開く。

 

それを同じように確認した青年達は数歩出ると、ふと思い出したように言ってくる。

 

「そうだ。今から見る事は秘密だよ? 特にアキトに喋ったら怒られちゃうから」

 

どうしてそこでアキトの名前が、と疑問を口にするよりも先に青年達は動いた。

 

活発そうな青年は腰に両手を掲げるとどこからともなくベルトが出現し、エスニック調の青年が戦極ドライバーのような細長いベルトを腰に当てるとバックルが伸びて巻き付く。

 

異なった方法だったが、一瞬で()()()()()()()()()()()()()()だという事は理解出来た。

 

活発そうな青年のベルトは中央に大きな赤い水晶が付けられ、その周りを金色の装飾が施されている。まるで遺物のような神秘的なオーラが放たれていた。

 

エスニック調の青年のベルトにな3つの穴があり、そこへ目掛けて右から赤、緑、黄色の3枚のメダルを挿入した。

 

そして、頷き合うとそれぞれがポーズを取る。唸る叫びを響かせながら、活発そうな青年は右手を斜め左から右へと動かし、エスニック調の青年は左手でベルトを傾けると右手で右腰に出現した円盤のようなパーツを握り締める。

そのエスニック調の青年の姿を、真姫は見覚えがある。傀儡となったミツザネを止めるべく、アキトが変身した際に取ったポーズと同じだったからだ。いや、アキトが緊張を持ってやっていたのに比べて流暢な動きを見るに、青年の方が本家と考えるのが妥当である。

 

そして、アキトには憧れの人がいる事も思い出した。普段から着ているエスニック調の服もその人が愛用しているからだ、とも聞いた事がある。

 

もしかして、という真姫の思考は、2人の叫びによってかき消された。

 

「変身!」

 

「変身!」

 

活発そうな青年は左手をベルトの左側のスイッチの上に置いて、右手を握り拳として一緒にそれを押す。まるで拳を受け止めるかのように。

 

エスニック調の青年も右手の円盤でメダルをスキャンするかのように滑らせ、強い瞳を光らせる。

 

瞬間、叫ぶ通り2人が変身した。

 

閃光に目が眩んで視界から外した瞬間、そこに立っていたのは知らない戦士だった。

 

活発そうな青年は赤い鎧にクワガタを彷彿とさせるデザインの仮面の戦士。

 

エスニック調の青年は赤の仮面に黄色い腕、緑の足という変わった姿だ。

 

 

『タカ! トラ! バッタ! タ、ト、バ! タトバ タ、ト、バ!!』

 

 

珍妙な歌と共に。

 

「………タカ?」

 

「トラ………?」

 

「バッタ………何よそれ」

 

意味もなく顧問の顔がちらついたが、真姫の問い掛けに戦士は困ったように頬を描いて振り向いた。

 

「俺はオーズ………えっと、歌は気にしないで」

 

「気にしないでって………」

 

気にするな、とい方が無理なのだが、オーズという名には当然聞き覚えぎある。アキトが変身した時に名乗った憧れの戦士の名だ。思えばあのアームズと似通った所があり、この戦士を模したのだと思えば納得出来る。

 

「俺はクウガ……って、そんな事言ってる場合じゃない!」

 

活発そうな青年が変身したクウガは慌てたように言うと、青い塔へと指さした。

 

「ここは俺達に任せて、行きなよ!」

 

「この世界を救うのは君達だろ?」

 

「で、でも………」

 

突撃現れた戦士に困惑の色を隠せない海未と絵里だったが、真姫は迫ってくるイノシシインベスを見て歯を食い縛る。

 

「…………大丈夫なのよね?」

 

真姫は尋ねる。あのインベスを倒せるのか、というのではなく。

 

「ちゃんと勝てるのよね?」

 

「うん、任せて!」

 

「大丈夫!」

 

強く頷くオーズとサムズアップをしてみせるクウガ。

 

本当に不思議だ。たったそれだけで単調で何の根拠もないというのに。

 

それを見ただけで、強い安心感を覚えるのだから。

 

「わかったわ。絵里、海未!」

 

「っ、ごめんなさい!」

 

「ここはお願いします!」

 

真姫が急かしてから走ると、絵里と海未も礼を述べてから走り出す。

 

青い塔へ辿り着くまで決して振り返らない。戦いが始まったのか、特有のピリッとした空気が真姫の背中を打つが振り向いている余裕はない。

 

そして、青い塔への入口はすぐに見つける事が出来て、同時にアキトが扉から出てきた。

 

「うおっ!? お前ら早くな…………!?」

 

アキトが言い終わるより先に押し込むように入口の中へと入り込み、真姫達は大きく息を吐いた。

 

地下通路は空調が効いているのか外よりかは涼しい空気で、生きていると改めて現実を知らせてくれているようだった。

 

思わずしゃがみこんだ真姫達を、合流出来たアキトは命からがら逃げてきたにだと思ったのか、何も言わずに待っていてくれる。

 

息を整えながら絵里と海未と視線を交わす。

 

あの謎の戦士の事は秘密にした方がいい。クウガとなった青年との約束が脳裏を過り、言葉にせずともそれは共有出来た。

 

アキトが普通ではない事は、すでに真姫達も勘付いている。ただ、まったく変わらない態度で飄々としており、頼りにしているからこそ、今この関係を悪化させたくないと思ったから黙っているのだ。

 

違う。

 

本当はただ、アキトがそんな得体の知れない世界の住人なのかもしれない、と思うのが嫌なだけだ。

 

「………きついかもしれないけど、地下にいるみんなと合流しよう。扉1枚の向こう側で戦闘が起きているのかもしれない」

 

「…………そうね」

 

アキトの提案に頷いて絵里が身体を起こす。向こうでは今、2人の未知のライダーが戦闘をしている。こちらには来ないと思うが、それでも2人の存在が謎である以上は絶対だとは断言出来ない。

 

アキトを先導に3人はゆっくりと階段を下って行く。

 

ふと、その最中に真姫はずっと思考の片隅へ追いやっていた事を思い出した。

 

大丈夫だとは思うが、あのまま走り去って置いていくような形になってしまった戦士達。

 

ミツザネとタカトラは大丈夫だろうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「このまま傍観者に洒落込んでいてもいいんだけど」

 

しゃん、と何かを叩く音が響く。

 

それは眠っている2人の少年を睥睨しながら、薄いピンク色に輝く結晶を取り出す。

 

「けれども、せっかくのおもちゃ箱をひっくり返されるのも気に入らない」

 

それを砕き、少年達に振りまき、しゃんと音を立てる。

 

「君達には、働いてもらうよ。その姿の人間(おもちゃ)を見るのが一番面白いからね」

 

しゃん、しゃん、しゃん。

 

音が何度も響く。

 

少年の指が、微かに動いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

呉島ミツザネが所有するロックシード

 

 

・ブドウ

・キウイ

・ヒマワリ

・ローズアタッカー

・ベゴニレック

 

 

 

 

 

次回のラブ鎧武!は……………

 

 

 

 

「理想を語るのは結構だが、言葉程度で理想を現実に出来ると思うな!」

 

「理想を語る事の何が悪い!」

 

「出来ると思っているのか!?」

 

「出来るかどうかじゃない! やるったらたる、それだけだ!」

 

激突する3人の意思。

 

 

 

「ミツザネ、お前は戻れ! これは罠だ!」

 

気付いた瀬賀の思惑。μ'sに迫る危機に、龍は走る。

 

 

 

『……………俺達が眠っている間に、そんな事になってるなんてな』

 

『………………オレ達のやる事など、最初から決まっている』

 

 

そして、ついに————!

 

 

 

次回、ラブ鎧武!

 

46話:ExA ~反撃の矢~

 

 

 






どーも、グラニです。

約3週間ぶりの更新となりました。上旬はスクフェスのイベント駆けるのに集中していたので…………

スクフェスといえばサンシャインがアニメでとっくに始まり、この作品ではあまり触れてこなかったですね。

見ててラブ鎧武の世界観であてはめたら、あぁこんな感じかなと妄想しつつ観ております。どことなく嫌な予感を漂わせつつも、ただμ'sという伝説をなぞっていくだけなのか、それともAqoursというちゃんとした自分達の物語を作っていくのか。とても楽しみでもあります。

それを表に出すかは………うむ、まずはラブ鎧武を完結させなければ。Twitterなどでもその変の質問は飛んできているのですが、夏合宿すら1年かけている某BLEACH並の展開のこれでサンシャインまで書けと…………

でも、本編中にサンシャインキャラが出せそうな予感が微レ存?


ついでではないですが、先日の内田彩さんの武道館ライブに参戦してまいりました。生うっちーを見るのはドーム以来だったのですが、喉の調子も戻ったようで何より。
それどころか武道館に響き渡る歌声に、これほどまでの声量かと痺れました。

その中でのMC話しなのですが、バンドのドラム担当の方が以前、うっちーを含めた9人で武道館ライブをしたときにも参加していたらしく、今では1人で立っているうっちーの背中がとても頼もしく見えてます、という語りにライバーとして感無量でございました。


これじゃ近状報告になってら。

作品のことに触れましょう。

この話から一気に解決に向かって反撃です。瀬賀達の野望を、黒の菩提樹の暴動を、アネモネの復讐を止める為、一斉に動き出します。

ちらっと出てきたオーズとクウガは、本当にスポット参戦です。なのですぐに消えてしまう運命ですが、変身を書けただけでも楽しかったです。

どんな解決を導き出すのか、ぜひ楽しみにしていてください!


次回でついに、あの2人が……………!?



感想、評価随時受け付けておりますのでよろしくお願いします!

Twitterやってます
話しのネタバレなどやってるかもしれませんので、良ければどうぞ!

https://twitter.com/seedhack1231?s=09





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