FILM RED IF 歌姫と麦わらの子 クレド 作:黑米田んぼ
「アハハハハハやっぱ腹減っている時に食べるメシはうめぇ!!サンジお代わり!!」
「あーちょっと待っててくれ他で手が」
「おいルフィ!今骨付き肉が焼きあがったんだが食うか?」
「食う!!」
四皇同士の決闘の空気は何処へやらエレジアに漂う笑いと笑顔の空気。今のエレジアは麦わらの一味と赤髪海賊団。そしてハートの海賊団を始めとするその他の海賊たちや残っていた観客たちを含めた大規模な宴が開かれていた。
最初こそ海賊と一緒に食べあうなんて・・・エレジアに来た者たちの多くは海賊によって多くの被害を受けて来た人も多く嫌悪感を抱く者は多い。
だが、様々な理由でエレジアに留まった者たちにとってサンジを始めとする大海賊団の料理人たちが作る料理の匂い。他の海賊であるはずなのに平気でサンジに料理の注文をするロー、そして笑いながら一緒に食べようぜと四皇とは思えないオーラを放つルフィとシャンクスに心を許して宴に混ざっていく。
「・・・・・変な感じ」
そんな光景を見てクレドはそんな空気を感じて不思議な気持ちになる。
「アハハハハハ、クレド!そんな所で突っ立ってないでお前もこっちに来いよ!!」
「あ、・・・うん・・・」
ゆっくりとルフィに近づくクレド。
「おっと、クレドちゃん。さっき出来たばかりなんだ食べてみないか?」
料理を持ってきたサンジが料理を小分けにしてクレドに差し出す。
「・・・・・はんぐっ・・・・・美味しい♪」
サンジの料理が上手いと声を上げるクレド。
「シシシ、サンジのメシは上手いからな」
笑いながらルフィも料理を食べる。
「追加の食材を取って来たぞ」
ハートの海賊団のペンギン、シャチと共にエレジア近海で大量の魚介を取って来たジンベエ。
「ハハハ、これは酒が進みそうだルー調理頼むぞ」
様々な魚介類を見てシャンクスも楽しそうに片手でエビを掴む。
「任せろお頭ライバルが多くて腕が鳴るぜ」
ラッキールウが食材を持っていく。
「―――――」
遠くで宴を見守るウタ。12年ぶりの楽しい宴。12年ぶりの大勢の人達とのふれあい。あの日が戻って来たのだと。
「―――――でも良いのかな?」
ウタの心にチクりと刺さる後悔トットムジカを解放してしまいエレジアを滅ぼさせてしまった罪望まない者たちを自分の勝手な善意で夢の世界に閉じ込めようとした事がウタの足を重くする。
「―――――おや、此処にいたのかねウタ」
ウタの背後からゴードンが声をかけてくる。
「あ、うん―――――え、ゴードンそれって?」
振り向いたウタの視線にはゴードンが手に持っている物に注がれていた。
「ああ、ルフィ君が教えてくれたんだこれの存在を。君の部屋に巧妙に隠されていたのを見つけたんだ」
ゴードンが持っているもの、それは12年前の真実が映っている電電虫だ。
「あ、ああ・・・」
ウタの顔が青白くなる。その電電虫が世に流れたら自分はクレドは・・・そんな悪寒がウタの体を包む。
「ウタ、私は考えたんだ12年前の罪それを前にずっとすくめていた。けれど、私もいいかげん前に進もうと思うんだ」
真剣にゴードンは言葉を紡ぐ。
「嫌・・・待って・・・止めて・・・ゴードン・・・」
何をしようとするのか察したウタはそれをやめようとする。
「いや、止めるつもりはないよウタ。それに、君が思っているようなことはしないとも」
そう言いながらゴードンは電電虫を操作していく。
「え?どういう事?」
困惑するウタ。
「こういう事だよ」
ゴードンは最後の操作を終える。
『映像を初期化します完了まで3・・・2・・・1・・・初期化完了しました』
電電虫が初期化を告げる。
「―――――どういう事?」
ウタは問う。何故エレジアの惨劇の真実を消したのだと。
「ウタ、君はあの悲劇を自分のせいだと思っているんだね」
ウタの問いに答えるためにゴードンは質問を質問で返す。
「・・・・・うん、あれは私のせいだ。私のせいで沢山の人が死んだんだ」
顔を下げてウタは自罰する。
「そうか、・・・ウタ、君はそれを自分の罪だと思っているのだね?」
「うん」
「なら、その半分で良いんだ私が背負っても良いかね?」
そうゴードンは言う。
「え?・・・どうして?」
そうウタは聞く。
「あの惨劇は私の管理責任だ。君のウタウタの実に気づく事も出来なかった君の歌をエレジア中に響かせてトットムジカがやって来たのも私の責任だ。私の罪なんだ。・・・・・君は悪くないんだ」
ゴードンは自分の思いをウタに告げる。
「違う。悪いのは好奇心で歌っちゃった私の責任だって」
ウタは堪らず反論する。
「そうか、だが。全て君が悪い事は無いのじゃないかね?」
「でも「ウタ」」
ゴードンはウタの肩に手を乗せる。
「君は十分苦しんだ罪は十分与えられたはずだ」
しっかりとウタの目を見るゴードン。
「君に、君の歌に罪はないんだ。悪いのは全部自分勝手な魔王のせいなんだ。君が罪を感じているなら歌って欲しい。君の歌は世界を変えられる力があるんだ。それは音楽王国エレジアの国王である私が確固たる自信をもって言える事なんだ」
「―――ゴードン」
涙を流すウタ。やっと本音で言ってくれたのだと歌ってくれと。
「これから私はエレジアを復興させたいんだ。もう一度音楽溢れるエレジアを取り戻したいんだ」
「・・・・・そうか。ならクレドは最初の国民何だね」
「ああ、クレドが笑顔で歌える故郷にしたいんだ」
「それは・・・いいね」
「ああ、とても良い事だ」
ゴードンやっとその思いをウタに言うことが出来たのだ。
「さぁ、行こうウタ。君の大切な人たちがいる場所へこの楽しい時間をこの電電虫に残して行こうじゃないか」
そう言いながらゴードンは電電虫を録画モードにする。
「うん。行こうクレド達がが待っている」
ウタもそう言いながら二人はルフィ達のいる所に向かう。
「ん?ウタ!体は大丈夫なのか?」
ウタに気づいたシャンクスが声をかける。
「うん、調子が戻って来たから」
ウタは穏やかな笑顔を見せ皆を笑顔にさせる。
「はしゃぐのは良いがほどほどにな酒とかはダメだぞ」
船医であるホンゴウが一言言う。
「「えー」」「ウタは兎も角お頭は何を言ってるんですか」
「せっかくウタも20超えたし娘と酒を飲みたいのだが・・・」
「そんなのは完治してからでも良いでしょうが」
楽しそうに笑う赤髪海賊団。嘗て赤髪海賊団の音楽家だった少女の笑顔が更に明るくなっていく。
「良かったなウタ。シシシ」
クレドと一緒に料理を食べながらウタの様子を見ていたルフィも釣られて笑う。
「楽しそうですねルフィさん」
そう言ってコビーも宴を楽しんでいるのか飲み物を片手にルフィの元にやって来る。
「おう、コビーも宴を楽しんでいってくれよ!」
「ええ、でも程々にしないと皆に迷惑をかけてしまいますので」
「シシシ海軍は大変だな!」
互いに笑いあうルフィとコビー。海賊と海軍相容れない敵同士。それでも二人の仲はそれさえも超える友情なのだ。
「・・・・・」
そんな笑いあう二人を見つめるクレド。我慢が出来ず声を上げる。
「お父さん、何で海軍なんかと仲良くしているの!?」
声を上げるクレド。それに対してルフィは。
「まぁ、そうだよなでもよコビーは友達なんだよ」
あっけらかんと答える。
「ええ・・・でも海軍はお母さんを」
困惑するクレドそれに対してルフィはクレドの頭を優しく撫でる。
「しょうがねぇよウタがやろうとした事はそれだけヤバい事だったし俺たちは悪い海賊で海軍は一応正しいし、俺だって海軍に死ぬほど嫌な奴がいるけどそれでもコビーは俺の友達なんだ」
そう笑うルフィの隣にコビーも立って言う。
「僕はルフィさんのおかげで海軍に入ることが出来た恩人なんです。でも同時にルフィさんは僕が越えたい目標なんです」
「そうだな俺たちはライバルだ」
「そ、・・・そうですね。ライバルですよね」
少し頬を赤らめるコビー。
「ん?そこにいるのは何時ぞやの若い海兵か久しぶりだな」
コビーに気づいたシャンクスがウタと共にやって来る。
「おっ、覚えていたんですか僕みたいなのに!?」
顔を覚えていた事にコビーは驚いた。
「ん?シャンクス。コビーを知っているのか?」
疑問を持つルフィ。ルフィはコビーがルフィの祖父にして海軍の英雄ガープの傍に近い立場であっても四皇と絡む程の場面を入って二年ほどのコビーがいくらあるのだろうかと。
「ふっ、頂上戦争の時にな当時の海軍大将赤犬に啖呵を切った奴を覚えていないはずがないさ素直に良かったぞ若き海兵」
木製のジョッキをテーブルにおいてシャンクスは笑う。
「それにお前四皇になったバギーに5億相当の懸賞金をかけられたそうじゃないかウチの傘下はともかく他の海賊からすれば格好の獲物になるだろうな」
「あ、はは。そうですよね」
笑うシャンクスに対してコビーは苦笑いをする。それに対してルフィは。
「シャンクス俺はあいつを四皇何て認めないぞ!」
バギーの名前を聞いてぶー垂れるルフィ。
「ハハッ、バギーが嫌なんだなルフィ。デカくなったと思ったがまだまだガキだな」
ぶー垂れるルフィにシャンクスは笑いながら酒を飲む。
「だってよぉシャンクス。あいつシャンクスの麦わら帽子を傷つけて唾まで吐いたんだぞ」
麦わら帽子を擦りながらルフィは開いた手で食べ物を食べる。
「・・・・・そうか。まぁ、それは俺とあいつの問題だからなルフィが分からなくても仕方ないさ」
酒を鏡にしながら自分の顔を見るシャンクス。その表情を見てルフィとウタはシャンクスとバギーのただならぬ関係を感じ取った気がした。
「変なのお父さん海軍に友達がいるのに大っ嫌いな海賊がいるんだ」
ルフィとシャンクスの会話を通してクレドはそう思った。
「ああ、人ってのは色々な関係を持っているものだ。ロジャー船長もお前のひい爺さんである海軍のガープ中将と何度も戦ったが船長は楽しく戦う友達だと思っていたし同じ大海賊であっても白ひげとは仲が良くても金獅子とは相いれない敵としてぶつかったりしたんだ」
シャンクスは自分の幼き頃のゴール・D・ロジャーの友人関係を思いだす。
「え?わたしのひいおじいさん海軍なの?」
困惑するクレド。海賊であるルフィを父に持つクレドからすれば自分に海軍の身内がいるとは思わなかった。
「おうじいちゃん海軍だぞ」
それに対してルフィはあっけらかんと答えた。
「で、でもお父さんは海賊で・・・」
「誰が親であっても自分がやりたいように生きればいいのさ。自由にお前がやりたい事をすればいいのさ」
そうシャンクスはクレドに優しく諭す。
「そうなんだ・・・」
その言葉をクレドはゆっくりと飲み込む。
「はいクレドこれ上げる。あーん」
話が終わったと思ったウタは集めていた料理の一部をクレドに食べさせようとスプーンをクレドに伸ばす。
「あーん。・・・美味しい!」
口に入った料理にクレド興奮する。
「ウタ俺も俺も!!」
それを見てルフィは口を大きく開けてウタに催促する。
「んもう、・・・はい、あーん」
別の料理をフォークに刺してルフィに突っ込む。
「おぐぅっ・・・もぐもぐ・・・うめぇ!」
フォークを自分の手で掴み口の中にある食べ物を食べるルフィ。
「ウタ俺にも・・・」
そんな二人を見てシャンクスも催促するが。
「シャンクスは自分で食べてよ」
ウタにあっさりと切り捨てられた。
「―――――すみませんウタさん麦わらのルフィさん写真を一枚欲しくないですか?」
ガーンと落ち込んでいるシャンクスを尻目に料理を食べているルフィ、ウタ、クレドの三人の元に一人のカメラを持った男がやって来る。
「おっ、良いなウタ、クレド?」
面白そうだと思いウタ達に問うルフィ。
「うん良いね」
「わたしもー」
二人も喜んで撮影に臨む。
「はい・・・もっと寄せて・・・はい・・・お子さんを中心に・・・はい。良いですよ。では笑って笑って・・・ハイチーズ!・・・完璧です写真は麦わらの一味の船にで良いですか?」
男は現像した写真は何処に送れば良いのか聞く。
「赤髪と麦わらに一枚ずつでお願いします」
そうウタは言う。
「分かりました。ありがとうございましたいい写真を期待してくださいね」
そうい言ってモルガンズの記者はその場を去って行く。
――――――宴は盛り上がっていく。
「・・・・・」
クレドの瞳に写る人々の楽しい光景。
ベックマンとゾロが二人で静かに酒を飲む光景。
ハートの海賊団の面々がサンジの料理を食べてリクエストを言うが船長であるローが苦言を言うがサンジに差し出されたおにぎりは直ぐに手に取った光景。
ウソップに追いかけられるヤソップの光景。
幾つもの料理をタッパーに詰めてルフィに一言告げてその場を去ろうとするカタクリ達の光景。
何もかもが幼いクレドには新鮮でその光景はクレドの将来を形づけるのには十分すぎるものであった。
「お父さんわたし一曲演奏したい!!」
お城からギターを取り出しワクワクしながらルフィに言う。
「おっ、良いじゃねぇか。そうだもっと宴を楽しめブルック。クレドと演奏してやってくれ!!」
その言葉にルフィは嬉しそうにブルックに頼む。
「ヨホホホ了解しました!最高の一曲を演奏しましょう!」
ブルックも楽器を取り出し観客たちによって整えられたステージに向かう。
「おっと、ボンク・パンチ、モンスター俺たちの孫娘の初舞台だ盛り上げてくれ」
シャンクスも自分の船の音楽家の名前を呼ぶ。
「分かったぜお頭。やるぞモンスター!」
「ウキキ」
1人と一匹の音楽コンビも自分の楽器を手に取りステージにやって来る。
「えへへ、こんなに沢山の観客。わたし上手く歌えるかな?」
色々な音楽家たちがステージに集まりその主役であるクレドは不敵な笑みを浮かべながら緊張する。
「ヨホホホそんなに肩を張らなくて良いんですよ。宴の歌って言うのはどんなに下手でも楽しければモーマンタイですよ」
「ハハハ、そこの骨の言う通りだ。楽しければ何でも良いんだ俺達がサポートするお嬢ちゃんは自分の思いのままに演奏すれば良いんだ」
「キッキー」
音楽家たちがクレドを鼓舞する。
「うん・・・じゃあ行くよ・・・先ずはお母さんの新時代!!」
ギターが鳴り響き。ドラムの音色が響く。宴のメインイベントが開かれた。
「・・・・・ルフィ」
クレド達の演奏が響く中ウタはルフィの手に自分の手を絡ませる。
「うん?どうしたんだよウタ?」
ルフィは突然の行動に疑問を覚える。
「私ねやっぱりエレジアを滅ぼしたことを許せないの」
「・・・・・そうか」
ウタの思いをルフィは静かに聞く。
「でも、私は私の出来る罪滅ぼしをしようと思う。だから支えてお願い」
ウタは絡ませた腕を強く握る。
「ああ、大丈夫だ俺もシャンクスもついている」
手と手を握る二人この愛は決して断ち切られることは無いとシャンクスは軽く笑った。
――――――宴から一夜明け海賊団達は各々の進路を船に漕ぎ出す。
そんな海賊たちに世界中に世界経済新聞社モルガンズによる新聞がばら撒かれる。
―――――世界の歌姫UTAが結婚!!お相手は新四皇麦わらのルフィ!!二人の間には既に愛の結晶が!!
・・・・・と書かれたトップページは世界中の人たちをざわつかせた。
あるものはその結婚に驚愕し。
ある者はその結婚を祝福した。
またある者はその結婚に酷く驚き泣き叫ぶ者も多い。
ざわめく人たちの声を聴きそれだけ世界はそのスクープに心を躍らせたのだろうとモルガンズは笑っていた。
次回最終回偶然と過ちによって生まれた少女の未来をどうぞ見届けて下さい。