FILM RED IF 歌姫と麦わらの子 クレド 作:黑米田んぼ
2年前
「―――――おや、こんな所にいたのかねクレド」
「あっ、おじいちゃん。ねぇ、おじいちゃん、この扉を開けてよ」
クレドは地下書庫の扉を指さした。
「ここか、・・・難しいかな暗くて危ない」
「・・・・・そうなんだ」
「ここが気になるのかね?」
そう尋ねるゴードンにクレドは少し悩み。
「・・・・・笑わない?」
「ふふっ、笑ったりしないさ。どんな理由かね?」
彼女も音楽家の卵だ。エレジアの歴史を辿り自分の音楽を更に高めたいのだろうと考えていたゴードンだが。
「―――――声が聞こえるの」
「・・・・・え?」
「・・・・・寂しい、歌って、誰かに見つけてって声がこの扉の奥から聞こえてくるの」
「―――――それは」
「・・・・・可笑しいよね人なんてたまにやって来る船以外にはおじいちゃんとお母さんと私だけなのに」
唖然とするゴードンを見てクレドは寂しそうな顔を見せる。
「・・・・・いや、そんな事は無いよ。・・・・・もしかしたら魔王の嘆きかも知れない」
「魔王の嘆き?」
「―――――そうだ。このエレジアには古に封じられた魔王が居るとされる」
「どうして封じられているの?」
「古の時代に魔王はエレジアを滅ぼされ生き残った者たちは身動きの取れなかった魔王を封印しその場所に繋がる場所はこの地下書庫の何処かにあるとされている」
「―――――まるで私とお母さんだね」
「ッ!――――――」
「私のもう一人のおじいちゃんはエレジアを滅ぼしたんだよね。昔のエレジアを滅ぼした魔王はエレジアに閉じ込められてエレジアを滅ぼしたおじいちゃんの子供のお母さんとわたしは此処から出られない。
「―――――クレド」
「・・・・・ねぇ、おじいちゃん。お父さんってどんな人なのかな?」
「・・・・・私もそれは分からない」
「早く来ないかなお父さん」
「―――――クレド」
何とも言えないゴードンはただクレドを優しく撫でて地下書庫から離れた。
「お母さん、怒っている?」
「う~ん、複雑かな悪いのはルフィだし」
エレジア城にある音楽室にウタはクレドとサニーを連れて来た。
「・・・・・お父さんと何かあったの?」
「・・・・・・・・・・・・まぁね」
悲しそうなウタを見てクレドは聞く。
「・・・・・ねぇお母さん。今日のお母さんは何だか変だよ」
「・・・・・・・・・・」
「いつも明るいのに今日は何処か何時ものお母さんはちょっと辛そうだよ」
「・・・・・はぁ~~何でそんな言葉を言えるのよ」
「おっ、お母さん!?・・・おっ、怒っているの!?」
「・・・・・さっきも言ったじゃない悪いのはルフィだって、何でこうもルフィが言いそうな事になるのか血のつながりを感じるわ」
顔に手を当て呆れるウタ。
「・・・・・お父さん、お母さんに何か言ったの?」
「・・・・・私とルフィの問題だからクレドは気にしないでも良いのよ」
「・・・・・お母さん」
「なぁに?」
「ちょっとセッションしようよ。そしたら元気になるかもしれないし」
「・・・・・魅力的だけどそろそろライブに戻らないと」
ライブに戻るとウタが言った瞬間クレドの表情が目に見えて変わる。
「・・・・・なんで、あんな奴らの所に行くの?」
「こら、そんな事を言うんじゃない!皆辛い日々を私が救っているのよ」
「・・・・・」
「そんな顔をしないで新時代が来たら思いっきりお父さんと遊んだり楽しい歌を作ろうね」
「・・・・・ねぇ、お母さん。本当に今作ろうとしている新時代って本当にお母さんの作りたい新時代なの?」
その言葉はウタを愕然とさせた。
「・・・・・何でそんな言葉を言えるの?」
「・・・・・だって、お母さん。辛そうな顔をしているよ?」
「―――――っ!」
鏡を見て悲しそうな自分の顔を見てウタは唖然とする。あの目を瞑った海兵はネズキノコには感情の暴走を引き起こすと言った。それを今ウタはちゃんと理解した。
「―――――ごめんね、クレド。・・・ちょっと、ルフィと話してくるからそのライオン君とそこに居てね」
ウタは音楽室から出ようとする。
「お母さん!」
クレドの声を聴きたくないのかウタは大急ぎで逃げる。
「・・・・・・・・・・お母さん」
「―――――サニー」
しょんぼりしているクレドをサニーは優しく擦った。
「―――――会って一日も経ってないのに何でこんなに似るのかなルフィ」
「・・・・・何かあったのかよ」
寝室にはトランプのダイヤを模した椅子に貼り付けられたルフィがいた。
「揃って私が辛いってハッキリ言うのは血なのかな?なんでそんなにずけずけ言ってくるのかな?」
「・・・・・だったら止めろよ」
「・・・・・今更止められるわけないじゃん」
「んなけわねぇ!!こんなの止めろウタァ!!」
「海賊のアンタと歌姫の私じゃあどうにもならないじゃない」
「そんなわけ―――」
言い返そうとするルフィの顔の横に巨大なランスが突き刺さった。
「―――――何も言わないでルフィ」
ウタのアメジストのような綺麗な紫色の瞳がルフィを見つめる。
「―――――ウタ」
ウタの目に光が無くまるで巨大な宝石のような瞳に何とも言えない気持ちになるルフィ。
「私とクレドの能力は組み合わせれば無数の組み合わせが出来る」
ランスをルフィの顔に近づける。
「これもその組み合わせの一つ。私の記憶の本を私が槍に変えた」
「その槍にはどんな記憶が入っているんだ?」
「―――――私の一番痛くて辛い記憶。私がクレドと初めて会った日の記憶」
ウタは目を閉じてルフィの顔を優しく撫でる。
「あの日は多分人生で二番目に辛かった日かな。あの日は本当にシャンクスが憎かった」
せつなそうな顔をしながらウタはその時の事を話す。
「あの日私は一人だった。ゴードンは優しくしてくれたけど当時は他人の扱いでもましな位に距離があったし知り合いは誰もいなかった」
それでもウタは自分の目をルフィの目に合わせて話す。
「出産の辛さを和らげようと優しい言葉をかけてくれた助産師の先生の言葉は私にはそこまで響かなかった」
「―――――」
ウタの話をルフィは座して聞いた。
「孤独の中私は出産の痛みを感じながらずっとルフィとシャンクスの名前を叫び続けた。いるはずも無いのにね」
「―――――」
「知ってる?出産の痛みって女にしか耐えられないんだってお母さんは強いってことなんだよね」
ウタは再びランスをルフィに向けた。
「クレドのユメユメの実で取り出した本はその人の普段は覚えても居ない当時その人が体験した記憶を全て体験する能力でもあるの。もしこの槍にルフィが刺されたらルフィでもただでは済まないよ。だからルフィ、海賊も冒険も全部辞めてよ」
そう言い放つウタ。
「―――――やれよ」
「―――――は?」
だが、未来の海賊王はウタの予想に無い言葉を言った。
「刺せよ、その槍で俺を」
「いや、何を言っているの?私の言っている事何も分かっていなかったの?」
困惑するウタにルフィは語る。
「分かっているよ。でもよ、それはウタが辛くって悲しかった記憶なんだろ?」
「・・・・・そうだよ」
「ウタが辛い思いをしたのは俺のせいでもあるんだ。だから、俺は逃げねぇ」
「死ぬほど痛いよ」
「しししし、俺は死なねぇ!」
明るく真っ直ぐな瞳でウタを見るルフィ。
「―――――馬鹿」
ランスをルフィに向ける。
「―――――わりぃ」
優しく受け止めようとするルフィ。
「アンタのそう言う所。昔から
ランスがルフィの体に突き刺さる。
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁァァァァァッッッ!!!!」
エレジアの城の中でルフィの悲鳴が響いた。