遊戯王GX ~二人のHERO~ (旧題:遊戯王GX 精霊と転生者)   作:野良猫14

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第2話リメイク版

全体的に会話を圧縮
それに伴い原作キャラのシーンが減っています(主に三沢)


第2話  出会い VS試験官

 

side八雲

 

さて、少し調子に乗りすぎた感じもするが試験も無事終わり、仕込みも済んだ。

十代の性格なら恐らく…

 

「お~い!」

 

さっそく仕込みが働いたな…

どうやら本命の方はまだ動こうとしていないし、接触するのは後でいいだろう。

 

俺はこちらを呼んで手を振っている学ラン姿の男に近づいた。

 

近づいてみると他にも二人、丸眼鏡をかけた小柄な奴と

白い制服を着た真面目そうな奴も一緒なことに気付く。

 

…コイツはますます好都合だ。

 

「呼んでたのは俺で間違いないかい?111番くん。」

 

「おう、間違いないぜ0番!」

 

とてつもなくいい笑顔で迎えてくれる十代。

やはり俺に声をかけてきたな。

 

十代なら見たことのない「E・HERO」を使う俺に興味を持つだろうと思ったが、上手くいったな。

この場で十代たちと繋がりを作っておけば、後々役に立つだろう…

 

「俺の名前は永嶺八雲だ、好きなように呼んでくれ。」

 

「俺は遊城十代だ!よろしくな!!」

 

「僕は丸藤翔ッス。」

 

「僕は三沢大地だ。」

 

「ああ、よろしくな。」

 

いかにも元気いっぱいで、子供っぽい笑顔の「遊城十代」

小柄で自信なさそうな丸眼鏡の「丸藤翔」

この中では一番大人びて真面目そうな「三沢大地」

 

三人とも本来の物語では中心となって活躍するメンバー。

まあ、若干一名途中でフェードアウトした気もするが…

 

ともかく、ここで顔を合わておいて損はない。

 

「八雲!俺とデュエルしようぜ!!」

 

早速か、十代の奴ホントにデュエル大好きだな。

俺としてもその挑戦は受けたいところだが。

 

「悪いけど、今は遠慮させてもらう。

 時間もあまりないし、まだデッキも調整中だしな。」

 

「えぇ~!」

 

とてつもなく残念な表情をする十代。

まあどちらの理由も本当だし、本命がいつ帰るかも分からないからな。

 

「ごめんな。まあ、アカデミアに入学したら真っ先にデュエルしよう。」

 

「ん~、分かった!約束だぞ、八雲!」

 

渋々といった感じだが了承してくれたか。

 

実際「こっち」に来てまだ1週間ほどしか過ぎてないし、いろいろ忙しかったからな。

このデッキだって「あっち」での記憶を頼りに「こっち」にあるカードで組んだ急造品だ。

…帰ったらまだまだ調整が必要だな。

 

「永嶺君、1つ聞きたいんだが、なぜ君の受験番号は0番なんだい?

 デュエルアカデミアの受験番号は1番からのはずだが…」

 

三沢の疑問も当然だろうな。

十代と翔も「そう言えば…」って顔してるし。

 

「あぁ、そのことか…

 ちょっとした理由があって俺は筆記試験を受けられなかったんだ。

 そのせいで筆記試験は後日行うことになったから、緊急措置として受験番号が0番になった。」

 

「なるほど…」

 

「大変だったんスね。」

 

嘘だけどな…

まあ本当の理由は言えるわけないし、この理由で通しておこう。

 

 

それからしばらくお互いのことなんかを話していたりしたが、そろそろ本命のとこへ探りを入れに行くか…

 

 

「それじゃあ悪いが俺はこの辺りで失礼させてもらう。デュエルアカデミアで会おうな。」

 

「おう!デュエルする約束忘れるなよ!!」

 

「はいはい。またなー。」

 

興奮状態の十代に軽い返事を返しつつ三人に背を向けて歩き出す。

幸い本命は荷物をまとめているがまだ立ち上がってはいない。

 

俺は少し前の光景を思い出しながら、()()の元へと向かった

 

 

1時間ほど前 海馬ランド

 

 

試験開始からすでに数時間が経過し、全体の8割ほどの受験生のデュエルは終了した。

俺の試験順は特例ということもあり一番最後だと聞いていたが、俺は試験の開始時から会場に来ていた。

その間はずっとほかの受験生の試験デュエルを観察し、目的の人物がいないかと探していたわけだが…

 

「まあ、そう簡単に見つかりはしないか…」

 

《本来ならこの場にいない筈の人物を探す》

とは言っても、本来この場にいる人間が分からない状態だしな。

少しでも怪しい奴はいないかと何十人って受験生のデュエルを見てきたが、まったくもって見当もつかない。

派手な勝ち方をしていたり、特殊なカードを使っているような奴もいなかった。

こうもヒントがないんじゃ正直お手上げだな。

 

「先生は手札から、『切り込み隊長』を召喚する。」

 

そんな先の見えない展開に頭を抱えていると、また1つ試験が始まった。

無駄かもしれないが、ここまで来たら最後まで受験生を確認しておこう。

 

「さらに『切り込み隊長』の効果でもう1体『切り込み隊長』を特殊召喚!」

 

ほう、切り込み隊長2体によるロックか。1ターン目からいやらしい展開だな。

あれじゃ相手は攻撃宣言することができない。

 

「先生はカードを1枚セットしてターンエンドだ。

 さあ、このロックを突破してみたまえ!」

 

「…は、はい…」

 

受験生は女の子か…

ショートカットの栗色の髪に、幼さの残る可愛らしい顔立ち。

背丈は低めなのに、それに反比例するかのようなスタイル。

 

…これは正直

 

「…好みだ。」

 

っと、いかんいかん。そんなこと考えてる場合じゃないってのに…

 

しかし大丈夫かあの娘?さっきから緊張してるのが目に見えて伝わってくる。

今も落ち着こうと必死になって深呼吸してるし。

 

…たぶん、あの娘もハズレだろうな。

 

「…私のターン、ドロー!」

 

ほかのデュエル場の試験を見ようかとおもったが、凛とした声に視線を戻した。

なんだか、急に彼女の雰囲気が変わったような…

 

「私は手札から魔法カード『サイクロン』を発動して伏せカードを破壊します。」

 

「クッ!?『()代償(だいしょう)』が!」

 

カードから放たれた竜巻に、試験官のセットしていた罠カードは貫かれる。

これで罠の心配はなくなったが、『切り込み隊長』2体による攻撃不能のロックは健在。

さて、彼女はどうやってロックを抜けるつもりだろう?

 

「さらに私は永続魔法『(かみ)居城(きょじょう)-ヴァルハラ』を発動。」

 

『ヴァルハラ』…

自分フィールド上にモンスターが存在しない場合に限り、

天使族モンスター1体を手札から特殊召喚できる永続魔法だったな。

ということは、彼女は天使デッキ使いか。

 

「私は『ヴァルハラ』効果を使い『堕天使(だてんし)ゼラート』を特殊召喚します。」

 

出てきたのは天使は天使でも堕天使か…

見かけによらず、なかなかエグイカードを使ってるな。

 

堕天使ゼラート ATK2800

 

「そして、『堕天使ゼラート』の効果を発動。手札の闇属性モンスター1体を墓地へ送り、

 先生のフィールド上に存在するモンスターを全て破壊します!」

 

『ゼラート』がその手に持った剣を天に掲げ、雷雲から闇を帯びた雷を召喚する。

2体の『切り込み隊長』は抗うことを許されず、その身を貫かれ焼かれてしまった。

 

「そ、そんな…」

 

これで試験官のフィールドはがら空き。

『ゼラート』の攻撃力は2800、これだけならまだライフは残るが…

 

「私は『ダーク・ヴァルキリア』を通常召喚します。」

 

闇に染まった戦乙女が、試験官を見下ろしフィールドに降り立つ。

これで決まりだな。

 

ダーク・ヴァルキリア ATK1800

 

「バトルフェイズに入ります。2体でダイレクトアタック!!」

 

2体が黒い翼を羽ばたかせ、試験官に襲いかかる。

その慈悲のない攻撃により試験官のライフポイントは全て奪われてしまった。

 

「うわぁぁぁ!?」

 

試験官 LP4000→LP0

 

後攻ワンターンキル…

あまりの早業に周囲は呆気にとられてしまっている。

しかし、こんな奴がこの場にいたのか?堕天使を使う奴なんて、俺の記憶には「響みどり」くらいしかいないんだが…

 

「…あ、ありがとうございました。」

 

デュエルが終わると、先ほどまでの凛とした雰囲気は彼女から消え、元の気弱そうな表情に戻っていた。

俺はその後も、彼女の動きから目を離さないように注意していた…

 

 

side???

 

 

やっぱりデュエルアカデミアを受験する人ってすごい人ばかりなんだな。

特に1番最後に試験を受けた0番の人…

 

「すごかったな…」

 

アカデミアの実技最高責任者、クロノス・デ・メディチ先生をワンターンキル。

しかも、扱いの難しい融合召喚を連続で使用した鮮やかなコンボ。

その直前にクロノス先生を倒したもう一人の男の子共々、この試験場にいる全ての人の度胆を抜いた。

 

「奏ちゃんも負けてないですよ」

 

横に座っているルナが、私のことを励ましてくれる。

確かに私もワンターンキルはやったけど…

 

「勝ち方はそうかもしれないけど、やっぱり敵わないよ。」

 

クロノス先生に勝ったことだけでなく、あの二人には見えない強さを感じた。

明るく、どんなつらい時でも前を向いて進める、そんな強さ…

 

「いいなぁ…」

 

無意識に、ため息混じりの呟きが零れた。

引っ込み思案で、人見知りで、臆病な自分…

さすがにあの頃に比べれば良くはなったけど、それでも明るいとはとても言えないし…

 

「奏ちゃん、元気出してください。

 アカデミアに入って、たくさん友達作るんでしょ!」

 

「うぅ…。そのつもり、なんだけど…。」

 

全然、まったく、できる気がしない…

ずっと叔母さん以外と話してなかったし、友達の作り方なんて覚えてないよ…

 

そういえば、あの二人なんかさっそく仲良くなってたみたいだし、どうやったらあんなに早く…

 

 

「ちょっといいかな?」

 

 

「えっ?」

 

 

声がした方を振り返ると、そこには先ほどから考えていた受験番号0番の人が立っていた。

 

「初めまして。俺は永嶺八雲、よろしく。」

 

あまりに突然の登場から、流れるように挨拶。

私は軽くパニック状態になりながらも、こちらも挨拶をしなければならないことに考えが至った。

 

「えっ、えと…わ、私は月代奏(つきしろかなで)といいます。

 …お、音を奏でるの奏です!よろしくお願いします!」

 

席から慌てて立ち上がり、なんとか声を振り絞っての挨拶。

正直もういっぱいいっぱいで、今すぐにでもここから逃げ出したい衝動に駆られる。

な、なんとかして心を落ち着かないと…

永嶺さんもこちらがものすごく緊張しているのに気付いてるみたいで苦笑いだし。

せっかく声をかけてくれたんだし、なにか話題は…

 

「そんなに緊張しなくても…

 ところで、隣の女の子は妹さんかな?」

 

「…えっ?」

 

予想外の言葉に驚いた私は、辺りを見回す。

間違いなく、私の隣に座っているのはルナだけ。

でもおかしい、だって、普通の人にルナの姿は…

 

「あっ、いえ…その…」

 

完全にパニックに陥り、まったく言葉が出ない。

「なぜ?」「どうして?」そんな言葉ばかりが頭の中を駆け巡り、考えがまとまらない…

 

そして、慌てふためく私を見て、合点が行ったと言わんばかりの表情をする永嶺さん…

 

「ああ、やっぱり。そっちの女の子はカードの精霊だね。」

 

 

side八雲

 

 

「ああ、やっぱり。そっちの女の子はカードの精霊だね。」

 

この一言に、月代さんの思考は完全に停止したようだ。

俺としてもカードの精霊を近くで見るのは初めてだから確証は持てなかったが、やはりか。

 

「もしかして、お兄さんにはルナが見えるんですか?」

 

どうやら精霊の名前は「ルナ」と言うらしい。

長い銀と蒼が混じった髪を揺らし、その幼い外見どおりの幼い声で不思議そうに問いかけてくる。

 

「あぁ、見えてるよ。始めまして、永嶺八雲だ。」

 

そういって手を差し出すと、満面の笑みを浮かべたルナに両手でつかまれた。

 

「はっ、始めまして!ルナはルナって言います!よろしくお願いしますです!!」

 

元気いっぱいに腕を振って喜びを表現するルナ。

少し腕が痛いが、ここまで嬉しそうな表情をされると言いづらいな。

 

「えっ、ルナが見えるって、そんな、え、あ、ほ…本当に?」

 

「本当だよ。今はすごく嬉しそうな顔してる。」

 

対して月代さんは表情がこわばっている。

どうやら素性のわからないこちらを警戒しているようだな。

なんとか安心させてやらないと、話が進みそうにないな…

 

「あぁ、別に月代さんやルナをどうにかしようなんて考えてないよ。

 たまたま仲の良さそうな君たちを見かけたから声を掛けただけさ。」

 

まだ半信半疑のようだが、少しは冷静になってきたようで表情から硬さが消えてきた。

何とか少しくらいは話が聞けそうだな。

 

「えっと、永嶺さんは…」

 

 

それからしばらくの間、月代さんからの質問に俺が答える形で会話が続いた。

どうやら月代さんは、自分以外に精霊を見える人にあったことがないそうだ。

なので、俺にルナが見えることにはとても驚いたそうだ。

同時にルナも、自分のことを見える人は月代さん以外では初めてだそうで、話すことができる相手が増えたことにとても喜んでいた。

 

逆に俺は、精霊を見ることができる人にはあったことがあるが、精霊を見たことは初めてだということにしておいた。

実際見るのは初めてだし、俺としても月代さんとルナとの交流は有意義なものだった。

 

 

「っと、もうこんな時間か。悪いけどそろそろ帰るよ。」

 

大分月代さんからも緊張が取れ、楽しく会話をしていた最中。

俺は時間を確認して、帰る旨を伝えた。

 

「…そっか、だいぶ話してたもんね。」

 

「八雲、もう帰っちゃうんですか?残念ですぅ…」

 

残念だと言わんばかりの表情の月代さんと、実際に残念だと口に出すルナ。

実はまだ時間には余裕があるが、次の繋がりを作るためにもこの辺りで切り上げるのが妥当だろう。

 

「俺もまだまだ2人と話したいところなんだけどな…」

 

こちらも残念だと言わんばかりの溜息を盛大につく。

…卑怯だが、月代さんがどういった行動に出るか観察させてもらおう。

 

「……ちょ、ちょっと待ってください!」

 

少し悩んでいたようだが、意を決したように切り取ったメモ帳に数字の羅列を書いていく。

そして書き終わると、躊躇いがちにそれを差し出してきた。

 

「あ、あの……これ、私の連絡先で……永嶺さんが暇なときにでも………もし、気が向いたら………」

 

だんだんと声が小さくなり、顔も俯いてしまっていく。

こちらに差し出した両手も先ほどから震えっぱなしで、今にもメモを落としてしまいそうだ。

 

(…これはさすがに、罪悪感が)

 

話をしている最中にも感じたが、月代さんは人付き合いが苦手なんだろう。

そんな娘がさっき知り合ったばかりの、それも同い年の異性に自分の連絡先を渡すなんて、どれだけの勇気を振り絞ったのだろう…

 

 

俺は差し出されたメモを受け取り、顔を少し上げた月代さんに精一杯の笑顔を向ける。

 

「ありがとう。必ず連絡するからもっとたくさん、色々な話をしような。」

 

確かに、月代さんは怪しい。

精霊が見えるデュエリストがアカデミアにいて、十代たちと関わらない筈がない。

なのに、俺が記憶している物語には一切登場していなかった。

やはり彼女こそが、本来ここにはいない存在。《イレギュラー》ではないかと疑ってしまう…

 

だが…

 

「…うん!連絡、待ってるね!!」

 

その笑顔に、とてつもなく、胸が高鳴った。

 

連絡先を受け取ってもらっただけで、泣きそうなほど喜んでくれる月代さん。

そんな彼女を疑いたくないと、どうしても思ってしまう。

 

 

彼女が怪しいという事実と、生まれてくる彼女への好意。2つの相反する気持ちを抱えつつ、俺は海馬ランドを後にした。

 

 

 




第2話リメイク、以上になります。

元からデュエルは少な目な回でしたので、そちらはご容赦を。
一応八雲、奏、ルナのデザインは旧版どおりのイメージで大丈夫です。

八雲=トレイン・ハートネット(BLACK CAT)
奏=八神はやて(なのは3期)
ルナ=リインフォースⅡ(なのは3期)

ただ、八雲の性格が微妙に変わってるんでちょっとズレた感じはします。

まあこんな感じで話は進んでいきまして、次回はアカデミア入学から別デッキのお披露目までです。

それでは、最後までお読みいただきありがとうございました。
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