チート能力持ち、現代社会に異世界転移するも歪んだ愛を向けられて今にも死にそうです   作:ぼんじりA

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アカンパニーオン!マサドラへ!



一話

 

 

 

「う……ん…」

 

 

眩しい光が瞼の隙間に差し込んでくる。さきほどまでいた場所とは明らかに違う未知の世界。

思わずほぅ…と感嘆を帯びたため息をつき、男は自分の現状を実感し始めていた。

 

 

「これが異世界かぁ……」

 

 

そこは今まで見たこともない鉄の建物の群生地帯だった。ゆうに五十メートルは越えるであろうそれは、見渡す限り至る所に悠然と存在していた。

 

 

「あのじいさん、転移先は『ニッポン』て言ってたな」

 

 

あのじいさん、とは俺をこの異世界、日本に送り出した神様的な奴のことである。

 

俺、ことヨウ=グリーンブックはこことは別の世界で生まれた人間だ。

ある日ひょんなことから命を落としてしまったのだが、実はそれは神様の手違い的なやつで(本当は俺は死ぬ運命じゃなかった云々)で温情措置を受けこのニッポンに異世界転移してきたのだ。

 

 

「さーてどうすっかな、右も左も分からん。山さえ見えりゃ暫くは自給自足で生きられるんだが……」

 

 

見渡す限りの鉄の山、ヨウが求めている物とは違う異世界の建造物は、ヨウのこれからの生活の期待と不安を増幅させた。

 

 

「あ、そう…いえば、じいさん妙なこと言ってたな……」

 

 

 

 

『ヨウくん、当たり前じゃが初めての異世界で不安じゃろう。なにせ言葉も分からない、文化も、着ている服も、環境も、人々も、君のいた世界とは何もかも違う。

 

ワシが君にできるのは今から征く世界の言語を解し喋れるようになるスキルを授けることと、ちょっとした助言だけじゃ。

 

ワシはヨウくんのように日本に異世界転移する子らを何度も見送ってきた。あちらの世界の事は時折天界から見守っておる故、事情は詳しいつもりじゃ。

 

どうしても困った時には、今から言う場所を尋ねてみるといい。異世界からの転移者と言うと喜んで受け入れてくれるはずじゃ。

 

その場所はーーーー‥‥』

 

 

 

 

 

「確か…戸塚探偵事務所…だっけ。

場所はニッポンの、T県S区1丁目の…」

 

 

じいさんが言っていた俺の他にも異世界転移した奴らが集まってるのだろうか。

 

それともこの日本では異世界転移者なんてのは当たり前なのだろうか。

 

不安と期待を胸に、道中異世界の未知の物体に驚きながらも、道ゆく人に目的地の場所を尋ねてなんとかたどり着いたのであった。

 

 

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

 

 

「ここが戸塚探偵事務所か」

 

 

俺が目覚めた場所で見た鉄の建物と違って、なんというか随分寂しい雰囲気のする場所だな…。

なんてことを思いつつ、階段を上がり《戸塚探偵事務所》とネームプレートが貼りつけてあるドアを開けた。

 

 

「お…いらっしゃい。ご依頼の相談かな?」

 

 

桃色の髪の毛を靡かせた、ミステリアスな雰囲気を纏った若い女性が、一瞬驚きながらも突然の来訪者に応対する。

 

 

「あの、俺、困ったらここにいけって言われて…俺、異世界転移者なんです」

 

「……はあ?」

 

 

 

はあ?……と言われたぞ、今!!!

窓の光が女性の眼鏡に反射して瞳が見えないが、きっと「ヤバいやつ」をみる目で見てるに違いない。

 

 

「………」

 

「え、えっと、すいません間違えました!!」

 

 

沈黙に耐え切れず一刻も早くこの場から離れようとする。

 

あのじじい!!!喜んで受け入れてくれるとか言ってたじゃねーか!!

じじいに揶揄われたのか、俺が場所を間違えただけなのか……。

 

 

「ちょっと待って」

 

「……は、はい…」

 

「君、異世界転移者って言ったね、それって『トラベラー』のこと?」

 

「トラベラー…?」

 

 

聞きなれない言葉に思わずおうむ返しをしてしまう。もしかして日本では異世界転移者のことをトラベラーというのか…?

 

 

「ト、トラベラーです!!バリバリの!!!いやぁ日本ではトラベラーって言うんだ知らなかったなぁ!!」

 

 

もしかして、と光明が見えた俺は一転してそう返す。掴めるチャンスをみすみす逃すわけにはいかない。

 

俺にとって異世界である日本で生活するにあたって協力者は必要不可欠だからだ。

できることなら全力で手助けしてもらいたい。

 

 

「本当かなぁ?じゃあ証拠を見せてもらおうかな」

 

「証拠、とは、具体的にどんな…」

 

「私の知るトラベラーはみんな不思議な力を持ってる。具体的には宙に浮いたり、姿を消したり、火の玉を出したり、体がちょっと大きくなったり……そういうのを、見せて」

 

 

じいさんの言ってた通り日本にはやはり転移者、トラベラーが確かにいるらしい。

それにしても姿を消したり火の玉を出したりなんてのは見たこともない能力だが……転移元が全員同じ世界であるとは限らないのかもしれない。

 

 

「わかりました。俺の力なんて大したことはないですけど、証拠になるのなら」

 

 

そう言って俺は彼女が先程まで座っていた机に向かって手をかざす。

 

すると机がフワリと浮き上がり女性の頭の上でくるくると回り出した。

ヨウが手を振ると、机はまた元の位置に音も立てずに着陸した。

 

 

「………」

 

 

女性は机のほうをぼうっと見ている。

またもや光が女性の眼鏡に反射して瞳がよく見えない。

 

この反応は…というか反応も何もないけど、どうなんだ?ショボかったか?それともこれくらい日本では当たり前なのか?

 

 

「マジかよ」

 

 

落ち着いた口調だった女性が声色を変え真顔でこっちを見つめてくる。

第3の答え、そもそも転移者だと信じてなかったらしい。

 

 

 

 

ーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

ヨウが事務所で女性の頭の上で机をくるくるさせていたまさにその時。

 

 

「見つけた……将来の伴侶…」

 

 

探偵事務所の向かいのビルの屋上から窓の中の光景を恍惚とした笑みで見つめる和装服の少女がいた。

 

貴方を殺して私も死ぬ…とか言い出しそうな雰囲気を纏った少女は、漆黒の髪を指でくるくるといじりながら身悶えている。

 

 

「はぁ…はぁ……ふふっ…貴方は私のもの…」

 

 

 

 

 

 

「絶対に逃がさないから」

 

 

 

 

 

ヨウはその気配を感じ取ったのか目の前の女性との空気に耐えかねたのか、ぶるっと身震いした。

 

 

 

 

 

 

 






マキマのマ●コ、マキマ●コというツイートを見つけて爆笑してたら1日が過ぎてました。
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