ダンまち×Fateシリーズ   作:英雄に憧れた一般人

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ただ書きたかったところを書きました。
ふと思いついたことを筆にとった次第です。
気楽に読んでください。


アストレア・レコード
聖女巡合


 

 

 

 

 

 

 

 

 

誰かに呼ばれた気がした。

誰かが手を伸ばした気がした。

誰かの声が聞こえた。

誰かの涙が見えた。

 

それが誰のものか、どこの誰なのか。

そこに意味はいらない。

誰であろうと、救いを求める者がいるのなら、私はその救いに応えるのみ。

それが、あの日から何一つとして変わらない、私の『正義』なのだから。

 

 

 

 

 

 

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世界の中心と聞き、君達はどこを思い浮かべるだろうか?

きっと、住んでる場所や持ってる知識になどによってそれは変わるだろう。

本初子午線を世界の中心と捉えるなら、イギリスが世界の中心となるだろうし、多くの人種が集まるとすれば自由の国アメリカなどが挙げられるように思う。

世界を地球と捉えるなら、地下奥深くにあるマントルが世界の中心とも言える。

かつて天動説が有力であった時は地球を中心に世界が回っていたと考えられていたし、逆に地動説は太陽を中心に回っていると考えられている。

他にも例を挙げればキリがない。

世界の中心とは君たちが思うように多種多様な在り方となる。

だが、我々とは全く異なる文化、知識、力、文明、環境、在り方などではそれらは変わってくる。

とある英雄は『英雄』としてではなく『道化』として人々に希望を魅せ、笑顔を咲き誇らせた。

明日を望んだ『英雄』達の、その始まりとして。

故に、立ち上がる者が現れ、多くの英雄が生まれた。

絶望に満ちていた世界を希望と夢に満ちた世界へと願った『英雄』達によって、人々は笑顔を取り戻した。

そして、『英雄』に興味を抱いた神々は下界へと降り立った。

彼らの高潔なる魂に惹かれ、彼女らの気高き在り方に心を打たれ、『英雄』へと憧れを抱くようになった。

自分たちの思い描く『英雄』を求めるようになったのだ。

だから人々に力を貸し与えた。

例え自分たちが全知零能(ぜんちれいのう)となろうとも、力が制限されようとも、神々は『英雄』に魅せられてしまったのだ。

そうして世界の中心とも言える地が生まれた。

大穴から現れる怪物たちを打ち倒し、神々の恩恵を受け、様々な種族が手を取り合い、街を築いた。

街は人を呼び、人は文明を生み、文明は秩序を生んだ。

世界の中心となったその都市はそびえ立つ塔を中心として名付けられた。

迷宮都市オラリオ、と。

迷宮都市も強者たちによりその秩序は保たれていた。

最強とさえ謳われた者達は不可能を可能に、絶望を希望へと変えていった。

だが、彼らにも限界があった。

例え最強と謳われようとも、人では、竜の打倒は成せなかった。

それからだ。

人々から笑顔が減ったのは。

最強と謳われた『英雄』達はそれぞれの道へと進み、強者に怯えていた悪人達は大手を振って街も人も蹂躙(じゅうりん)をし始めた。

秩序が崩れ、正義と悪による混沌により、かつての活気はなくなった。

生きるならば己の力で生きねばならない。

強者の助けを期待するな。

弱者からは奪ってしまえ。

守るのは自分の明日。

誰もが希望を見いだせなくなっていた。

誰もが笑顔を咲き誇らせることもなくなっていった。

かつて『道化』が示した希望の道は、一瞬にして消えかけていた。

誰もが願う。

奇跡を起こせる人の現れを。

誰もが祈る。

かつての秩序が取り戻されることを。

誰もが夢を見る。

今日も、明日も、明後日も、未来を笑って生きれる日が来ると。

故に、願いは届けられた。

僅かな奇跡を。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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その人は急に現れた。

鎧に身を包みながらも、清廉さがいき届いた金髪と紺色の服が示すように気高く高潔な少女。

何もかもを見透かしてしまいそうな蒼い瞳をしたその人は、先程起きた闇派閥(イヴィルス)の幹部による凶行の被害者へ膝をつき、被害者達の目を閉じ、そして祈りを捧げた。

 

「貴方達の魂に安寧を」

 

静かに、短く祈りを告げる。

一連の流れを終え、少女は立ち上がり、上へと向かって歩みを進めた。

一体誰なのか、何が目的だったのか、どこから来たのか、そのどれもが分からず、私達は立ち尽くすことしか出来なかった。

【アストレア・ファミリア】の面々が戻ってきた時にそのことについて話をしたが、彼女らとはすれ違っていないという。

彼女は、本当に何者だったのだろうか…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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街が盛大に賑わっている。

失われたと思われていた活気が、今日だけは都市に満ち溢れていた。

ギルド主催での冒険者による炊き出し。

(うごめ)く闇に抗い、いつか来る平和の為に光を照らし続ける者達により行われるそれは、力を持たぬ者達の確かな安らぎとなっていた。

それはこの世界に来て数日の少女もすぐに理解出来た。

勉学が苦手である身なれど、人の心の機微には(さと)い彼女はこの状況を好ましく思っていた。

闇に飲まれそうな暗い雰囲気は今はなく、人々は昨日を生きたことを喜び、今日を生きたいと祈り、明日を生きていたいと願う。そんな者達の姿に喜びを感じぬ者は多くはないだろう。

だからこそ彼女は己が招かれざる客であることを理解しているが故に、身なりは顕現した時の戦闘服ではなく、町娘と何ら変わらない服装で練り歩いていた。

冒険者の作る炊き出しに舌鼓(したつづみ)を打ち、街の様子を観察する。

己が呼ばれた理由は理解している。

だからこそ、敵の脅威を知り、『正義』を掲げる者たちと接触を図りたかった。

ただ、急に現れた少女が仲間に加わりたいと言ったとして、その信憑性はほとんど無いにも等しい。

今は元々の身内ですら疑心暗鬼に(おちい)りかねない程、危ない状況であるのだ。

故に、タイミングが重要であった。

そしてそれは、いつも予期せぬ時に訪れる。

 

「きゃぁぁぁぁぁぁぁあぁぁぁぁあぁぁあ!!!!」

 

安寧に満ちていた場所は、その悲鳴を皮切りに戦場へと化した。

少女はすぐに戦闘服に身を包み、悲鳴のあった方角へ駆けた。

人の流れに逆らい、そこへ辿りつけば、悪辣な笑みを浮かべる女と白の装束に身を包んだ者達が今まさに殺戮(さつりく)を起こしかけていた。

すでに数人ほど事切れた者がいる。

祈りは後。

少女の判断は早く、速やかに白装束の者たちを主へと掲げる旗で倒す。

この世界には魔法がある。

魔術ではなく、魔法。

炎や氷、風など自然現象を操るものや自身の身体能力を向上させたりとあるようだが、元の世界の魔術とどれ程の違いがあるのか、少女には分からない。

元々魔術自体詳しくない彼女だ。

ならばやることは単純明快。

近距離戦闘と遠距離戦闘を行える者がいるなら、被害を抑える為に、まずは遠距離戦闘を出来る者を叩く。

彼女にとって、魔法だろうが魔術だろうが関係ない。

無辜の民を助ける為に、旗を振るうのみである。

 

「ぐぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

 

「あ?なんだてめえ?てめえみてえな(アバズレ)見たことねえぞ」

 

「その汚らしい口を閉じなさい。貴方の様な外道に名乗る義理はありません」

 

「はッ…!はいそうですねって辞めるわけねえだろクソ雑魚がよォ〜〜!!!」

 

女の持つ大剣と少女の持つ旗が鍔迫(つばぜ)り合い、互いに力量を冷静に把握する。

 

(この乳臭えガキ、Lv.5の私とまともにやり合えるだと?一体どこの派閥(ファミリア)だぁ?腑抜け共(あいつら)闇派閥(イヴィルス)には見たことねえ)

 

(くっ!やはりこの世界に私の知名度は無い。ですが、(しゅ)の信仰は確かに感じます!ならば、私は戦える!!!)

 

少女はすでに人の身ではない。

いや、半分人の身である、と言った方が適切だろう。

かつて参加した大戦では、とある少女の身に宿ることで実体を保つことが出来ていた。

では今回は?

彼女は簡単に言えば、魔力の塊だ。

細胞が無数に集まったのが人や動物であるように、彼女は魔力が細胞の役割を果たしている。

そして魔力は神代において満ち溢れていた一般的なものであったが、とある王が神と人の(たもと)を分かった以降、徐々に薄れていき、少女の生まれた時代にはすでにほとんど無かったに等しい。

科学の発達。

魔術のオカルト化。

神への信仰心の薄れ。

諸々の事情が重なり、魔力は大気にはすでに枯れかけていたと言ってもいい。

だが、ここは神と人が共に住まう地。

魔法が知れ渡られ、神が実在するが故に信仰心は(あつ)い。

少女の元いた世界の神代よりも、この世界は魔力で充ちている。

なればこそ、身体は実体を維持でき、受肉によるランクダウンは引き起こされない。

少女の身は、魔力によって生の肉体と何ら遜色(そんしょく)無いのだから。

ただ挙げるとすれば、それは知名度による弱体化は免れないということ。

この世界に彼女を知る者はいない。

それは彼女がいくら万夫不当(ばんぷふとう)の存在であっても、目の前の敵を倒し切ることは出来ないことを指す。

 

「てめえみてえな旗振り野郎見たことねえ!一体どこの所属(ファミリア)だぁ?」

 

「私は(しゅ)に仕える身。それ以上でも、それ以下でも、それ以外でもありません」

 

「はぁ?(しゅ)だぁ???だからその(しゅ)ってクソ野郎を答えろっつってんだろォ!!!」

 

最初は笑みを浮かべ質問していた女だったが、少女の返答にただただ疑問を浮かべた。

それは相手にされていないと勘違いし、情報の秘匿であると的外れな推理をさせるには十分であった。

少女はまともに答えただけであるが。

 

「「やぁぁぁぁぁぁぁ!!!」」

 

「ちッ…乳臭えのが増えた」

 

「黙れ外道ッッ!!!」

 

「貴方、話は後で聞かせてもらうから。だから、今は力を貸して!」

 

「ええ、私も貴方達に会いたかった!喜んでこの身を貸しましょう!」

 

突然現れた2人の少女。

1人は風のような疾さで駆け、暴風のように怒りを(あらわ)にしている緑のマスクを着けた金髪のエルフ。

もう1人は真紅のように赤い髪をたなびかせ、普段は優しい緑色の瞳を無辜(むこ)の民から笑顔を奪った彼らに怒りを向けているヒューマン。

その2人は殺戮と破壊を繰り返す『悪』と対峙する少女を知らない。

しかし、旗を振るう少女はその2人を知っている。

毎日街を巡回し、『悪』と呼ばれる存在と最前線で戦う『正義』を掲げる者達。

この巡り合わせは(しゅ)のお導きだろう。

だからこそ、まずは最優先とされる目の前の敵を打倒する。

 

「はッ…!Lv.3(雑魚)が二人増えたところで意味ねえんだよォ!!!」

 

「ならば、Lv.5(わし)も加わるとしよう」

 

女が()えた瞬間、女は壁へと吹き飛ばされていた。

女がいた場所には、成人男性と比べると少し低い、しかしその身体はどっしりとした威厳を(まと)った男のドワーフがいた。

 

「【重傑(エルガルム)】……!」

 

エルフが呼んだその名にて旗を振るう少女も改めて気付いた。

ロキ・ファミリアの最古参が1人。

怪力、豪傑を体現したような人間であり、この場において最も頼りとなるLv.5(強者)

最早形勢は『正義』に傾いていると言っても良いだろう。

だが、それで終われば暗黒期はこれほど長く続いていないのだ。

 

「ってーなっ、馬鹿力がぁ!だが来やがったなぁ、【ロキ・ファミリア】!」

 

女は何事もなく立ち上がり、目の前に現れたドワーフへ邪悪に満ちた笑みを持って応えた。

計画通り、そう考えるのが手に取るように理解出来た。

あくまでも陽動が女達の仕事。

本命は今頃あらゆる場所にてその時を伺っている。

だから自然と笑みがこぼれる。

だが、それほど単純なら、『正義』はすでに失墜している。

 

「ふんッ!生憎だが、貴様等の『陽動』を見越して、すでに行動を起こしておる」

 

「ヴァレッタ様!同志の潜伏先から煙が…!目標襲撃前に、冒険者に強襲されたものかと思われます!」

 

白装束の男がこの場の敵の首領、ヴァレッタへとそう報告を行った。

それを聞くや否や、ヴァレッタはみるみる内に不機嫌となり攻撃の構えを辞めた。

 

「ちッ…死ねよクソが。派手に暴れてやったっていうのに、何も意味がねーじゃねえか」

 

「どうやら、貴方達の目論見は外れたようですね」

 

「あぁ?乳臭えガキが一人前に煽るじゃねえか。だが私の相手をしている暇なんかねえよぉ」

 

ヴァレッタがそう言うと同時に残っていた白装束の者たちが一斉に散らばり、剣を振り回し始めた。

それもただの剣ではなく、『魔剣』を無作為に。

 

「なっ…!」

 

「どこまでいっても腐っておるわ!」

 

「逃げ遅れてる人が大勢いる……いけない!」

 

「ハハハハハッ!さっさと助けに行ってやれよぉ、正義の味方ぁ!無辜の民ってやつが、瓦礫に押し潰されて死んじまうぜぇ!」

 

ヴァレッタは数人の白装束を引き連れ帰って行く。

それを追いかけようにも民を見捨てることは彼女たちには出来なかった。

故に、憎々しく睨みつけることしか出来ないのである。

 

「っ……【殺帝(アラクニア)】ぁ!」

 

「リュー!今は街の人たちの救出が先!」

 

「っ!…わかっています!」

 

「こうなればっ……同志よ、破壊を振りまけ!ヴァレッタ様の御指示通り、一人でも多くを道連れにしろォ!」

 

残った白装束の者たちは破壊活動を再開させ、より多くの市民に死を与えようとする。

この者達を放置すれば被害はさらに拡大する。

しかし市民も助けなければならない。

取るべき行動は、それしかあるまい。

 

「ええい、兇徒(きょうと)どもめ!闇派閥(イヴィルス)は儂が何とかする!」

 

「わかったわ!行くわよ、リュー!」

 

「はいッ!」

 

「私も救出を手伝います!」

 

「ありがとう、助かるわ!」

 

これが彼女達の出会い。

笑顔溢れる場所が惨劇へと変貌したその日、『正義』と『聖女』は出会いを果たした。

これは存在しえぬ歴史。

これは願いから生まれた物語。

多くの犠牲を生んだ惨劇は、僅かな『英雄』の犠牲を持って喜劇へと変えられる。

さぁ語ろう。

これは怨嗟(えんさ)に囚われた復讐劇へと続く物語ではない。

これは、これこそは、真の『英雄譚』である。

 

「貴方の名前を聞いていなかったわ!私はアリーゼ・ローヴェル!貴方の名前は?!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「私の名はジャンヌ・ダルク!救いの声を聞き、遥か遠き彼方からやって来ました!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アストレア・レコード

聖女巡合(せいじょじゅんごう)












読んでいただきありがとうございます。
次回も楽しみにしていただければと思います。



番外編で読んでみたいのは?(時間軸などに合わせ執筆時期が異なります)

  • ベル君がオラリオに来るまでのお話
  • 金時、師匠になる(終了後予定)
  • ジャンヌとアストレア・ファミリアの女子会
  • 英雄神話組の何気ない日常
  • 花のお兄さん、恋する乙女を応援する
  • 次回執筆予定のちょっと先出し
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