一人の村娘がいた。
国に素朴な忠誠心を持った、
それで良かった。
多くを望まず、例え国が戦争中であろうとも、家族と慎ましい幸せを感じていた。
そんな生活も、そう長くは続かなかった。
ある日、一人で外を歩いていた少女は、『神のお告げ』を聞いた。
言葉にできない程神々しく、この上ない程美しい大天使と、聖人二人の
今まで目にしてきた何よりも美しいその御姿は、感動、なんて言葉で言い表すことなど不可能な程のものがあったのだろう。
そんな光景を前に、誰も泣き崩れる以外の選択肢はとれない。
それから少女は
最初は誰も少女を信じなかった。
『神のお告げ』を神官や司教が聞いたのではなく、どこにでもいる村娘が聞いたということ対する信憑性は言わずともわかるだろう。
しかし少女は諦めなかった。
何度も何度も少女は軍へと赴き、貴族との繋がりも得て、
嘲笑は驚愕へと変わり、侮蔑は尊敬の念へと変えられた。
その後は軍と合流し、様々な戦いを最前線で戦い続けた。
旗を振り、味方を鼓舞させ、勇気と覚悟をもって挑み続けた。
多くの命を奪った。
多くの命が奪われた。
それでも少女は旗を振り、剣を手に取り、前へと進み続けた。
高潔で謙遜、誠実、純真な少女の決して揺らがない信仰心は何よりも強い武器となり、道を切り拓き続けた。
味方はその勇敢さに奮い立ち、続くように次々と戦果を挙げて行った。
皆が少女を誇りとした。
皆が少女を英雄と称えた。
皆が少女を救世主と崇めた。
その後に王太子を戴冠させ、なおも国のために戦い続けた。
敵国に捕らえられ、最期には火刑に処されようとも、誇り高く、気高くあり続けた。
最後の最期まで、高潔を貫いた彼女の生き様を敵国の兵達は恐れた。
だから彼等は彼女を徹底的に貶め、その名を汚し続けた。
『奇跡』を起こし続けた彼女に民衆が惹かれないように。彼女は本物であったと兵達に気付かせないように。そうであってはならないと王は認めたくない故に。
それでも、その程度の
後に少女の汚名を拭うため、多くの者が声を上げ、少女の名声は取り戻された。
勇敢に立ち向かい、多くの者に勇気を与え、例え四面楚歌の状況であろうとも気高く振る舞い、信仰心が決して揺らぐことがなかった彼女に、人々は『光』を見た。
多くの者が広めた。
多くの者が語り継いだ。
しがない村娘は、今や世界で最も有名な聖女へと、その名を歴史に刻まれた。
だが、それはこの世界の話。
英雄望む冒険者の世界には、彼女の話はない。
彼女は聖女であって、戦ったのはあくまで人である。
八つも首がある恐ろしき竜の首をとってはいない。
猛毒を吐く邪竜へと剣を突き立ててはいない。
精霊に力を借りたわけでもなく、彼女はただ『啓示』に従い戦っただけ。
彼女は、この世界の『英雄』なりえない……そのはずだった。
そう、
彼女は喚ばれた。
多くの願いを聞いたからこそ、彼女は手に旗を持ち、例え見知らぬ世界の者達であろうと肩を貸し、共に戦うと召喚に応じた。
いくら『奇跡』を多く起こした彼女であろうと、知名度が無いこの世界が喚ぶことは不可能だ。
しかし彼女はいる。
ならば、きっとそういうことなのだろう。
彼女を知る誰かが、いつか来る厄災に備えた。
今では足りぬと、今のままではただ無意味な死体が積み上げられると。
それが許せなかった。
だから備えた。
冒険者と名乗る彼等がモンスターという壁を乗り越えるために、理不尽を、不条理を、憎悪を、悔恨を、怨嗟を、恐怖を、あらゆる『絶望』を乗り越えるためのその手助けとして。
超えるべき試練であるからこそ、
誰も知らない聖女の物語を伝えた。
極東に伝わるお伽噺に脚色を加えた。
愛を貫いた男の生き様を女神に聞かせた。
だから彼等は異世界と縁を繋ぎ、助けを求める声を聞き取ることができた。
今はまだ語る時ではない。
安心するといい。
きっと、出番は来るとも。
だから今は、『今を生きる
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金の装飾と聖母の紋章が描かれた旗をたなびかせ、紺青の戦闘服に身を包み、目の前の暴虐から友を守るためその力を使用した、
その場にいた者は『光』を見た。
穢れなき、聖浄なる光を見せつけられた。
暴虐の魔女は知っている。
原初の幽冥たる神は待っていた。
【万能者】は驚愕した。
そして、緋色に燃ゆる真紅の髪の少女は、不敵に微笑んだ。
「やっぱり、ジャンヌは死んでいなかったわね!さっっすが私!フフ───ゴフッ!!」
「すぐ調子に乗るな馬鹿団長!……ジャンヌ、てめぇ後で覚えとけよ」
「すごく嫌な予感が致しますが、承知しました」
自分の信じていたことは間違っていなかったことに、嬉しくて思わずいつものように調子にのろうとすれば、案の定吐血した。
嬉しいのはわかるが、自分の状態を把握して欲しいものだ。
彼女は「無理ね!」とドヤりそうであるが……。
ライラもジャンヌが駆けつけたことに嬉しさと驚きはあったのだが、アリーゼにツッコミをいれたり、今の状況的に悠長に話している時間が無いため、手短に伝えたいことだけ伝える。
そして他の者達の協力を得ながら、重傷者達を後ろへと下がらせる。
ライラに何をされるかをジャンヌも何となく察しながら、再度前を向き直す。
目の前にいるのは今の惨状を引き起こした邪神とその眷族、そして英霊にも負けない美貌を持った魔女がいる。
ジャンヌが教会で出会い、それ以降教会では会うことはなかった女性。
【ヘラ・ファミリア】の【静寂】アルフィアが、目の前にいる。
「ふむ。こんなところで会うとは、な」
「えぇ、こんな状況で貴女とは会いたくなかった」
言葉を交わす。
状況が違えば、友になれたかもしれない。
時が違えば、唯一無二の戦友となれていたかもしれない。
全ては、たられば。
『
今起きているこの状況が、何よりの証拠であった。
起きてしまったことは、覆らない。
「あれ?もしかして知り合い?」
「そうだな。違う目的で同じ場所にいた。ただそれだけだ」
「冷たいなぁ」
冷ややかに笑う男。
神だというのに、威厳を感じさせず、それでいて掴みどころが無い敵に回すと厄介な
己の
人の心が読めないのに神の心が読めるわけがない。
苦手なタイプ、というやつだろうか。
どこぞの作家のような軽々しさ。
どこぞの聖職者のような侮れなさ。
そんな彼なのに、敵意も殺意も感じないという点が非常に違和感であった。
「初めまして、
目の前の男はまるで貴族のように
まるでクリスマスにサンタから玩具をもらった子供のように、求めていた物が目の前にあるとでもいうように、その瞳は確かに輝いていた。
「……貴方の目的は?」
「オラリオの崩壊。全ては
この問答に意味は無い。意味など求めたところでこの男がまともに答えるわけがない。
一対一の状況なら答えたかもしれない。
しかし今は敵も味方もいる戦場である。
ならば答える義理など欠片も無い。
「アルフィア。貴女はどうなのですか?」
「理由を求めて何になる?」
「私が知りたい。それだけです」
「なら、戦って勝ち取ってみせるがいい。例えお前が『
話は無用。
取り付く島もなく、冷たくあしらわれる。
「来い、聖女。『冒険者』の作法を教えてやろう」
「私は聖女ではありませんよ。ですが、『英霊』の作法を教えてあげましょう!」
その手に握る旗の穂先をアルフィアへと向ける。
静かに手をジャンヌへと突き出し戦闘態勢をとる。
互いに戦う意志を示し、彼女達にはもう、言葉は必要なかった。
「【
「光を!」
アルフィアは音の塊を、ジャンヌは光輪を繰り出す。
音と光はぶつかり合い、激しい衝撃を巻き起こし、お互いの攻撃は並の冒険者の域を優に超えていた。
規格外。
あまりの威力に周囲の瓦礫は吹き飛び、建物はいくつかが破壊された。
その衝撃は後ろに避難していたアリーゼ達にも届き、力を入れなければ吹き飛ばされかねない程であった。
「──っ、バケモンかよ!!」
「な、なんなんですか、あれは!?」
ライラもアスフィも驚くことしかできない。
この光景が夢だと思いたくなる。
「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
ジャンヌは旗を振り回し、かつての月世界の戦いの記録を何故か引き継いでいる彼女は、自身が使っていた様々なスキルを駆使してアルフィアと戦う。
「照らし出しなさい!」
「───ッ、【
空中へ飛び上がり、旗を振ることで青い光の柱を出現させる、『主よ、今こそ裁定を』を放つ。
それをアルフィアに難なく
「天に還りなさい!」
「【
『主よ、今こそ裁定を』と似た攻撃を放つが、先程よりも威力が高い『光の矢』で
最初は『誓いの光輪』を放ったことでアルフィアの【
一言だけで魔法を放つアルフィアの手数は圧倒的に多い。
それを何とかスキルを持って撃ち合っているが、ジリ貧なのは確かであった。
それに、だ。
「
カキィィィィィィィィィィン
ジャンヌの旗を落ちていた剣で弾く。
『才禍の怪物』『才能の権化』の名の通り、アルフィアは一度見た動きを再現でき、なおかつ並行詠唱も可能にして対応する。
ジャンヌは多くの戦いを経験しているが、戦闘の
対してアルフィアは戦闘の
軍配がどちらに上がるかなど説明するまでもないだろう。
「くっ!」
「【
「光を!」
またも間一髪で耐えるが、そう何度も上手くいかない。
撃ち合いにより閃光と轟音が響き、目を遮ってしまった。
一瞬の隙を、ジャンヌは作ってしまった。
「
「なっ!」
ガシッ
光を抜けてアルフィアはジャンヌの元に一瞬で近づき、その細腕に似合わない筋力でジャンヌの首を締め上げる。
アルフィアは
対してジャンヌは英霊であるがために、知名度の薄さがここにきて響く。
「終わりだ」
「かはッ!」
段々強まるアルフィアの手の力。
ジャンヌは何とか逃れようと足をバタバタと暴れたり、手を引き剥がそうとするが意に介されない。
さすがのジャンヌもピンチであった。
「ぐっ……!」
「諦めろ。そして私達の成すことを邪魔するな」
そうすれば見逃してやる。
選択肢の無い交渉。
だが、ジャンヌが助かるにはあまりにも道が残されていなかった。
普通ならばここで「はい」と言うのかもしれない。
自分の命がかかっているのだ、仕方あるまい。
これからのことに干渉しないだけで命が保証される。
ならばそう答えれば良い。
普通ならばそれで良い。
しかし、彼女は
それも並の英霊のよりも更に諦めが悪い英霊である。
「だ……」
「さぁ、言え」
「───大天使の加護を!」
「!?」
ジャンヌが告げた瞬間、ジャンヌを中心に魔力の集まりを感じたアルフィアはその手を放し、後ろへと距離を取った。
そうしてジャンヌを中心に集まった魔力は風から燃え盛る炎へと変化し、炎の渦が形成された。
ヴァレッタ達を倒した際に使用したのもこの『浄化の炎』である。
自分を中心に魔力と人を集め、一気に炎の渦により敵を一網打尽にするジャンヌのスキルの一つ。
一対多数において最大限発揮されるスキルではあるが、先程のような至近距離での戦闘でもその真価を発揮する。
さすがのアルフィアと言えど、距離を取らねば危険だと判断した。
「全く、諦めが悪い」
「こほッ、こほッ……。えぇ、私の辞書に、『諦める』という言葉はありませんから」
呼吸を整え、再度アルフィアへと向き直すジャンヌ。
その瞳には強い意志が宿り、決して折れない覚悟を感じられる。
どんな絶望的状況であろうとも、それが諦める理由にはならないと、『
意思を得たことで生と自由について考え続け、どんな逆境であろうと立ち向かうことができると、『
月での記憶は曖昧ではあるが、記憶が無かったとしても、不屈の意志をもって戦い続けることができると、『
彼等に共通するのは、前に進み続ける意志。
理不尽は諦める理由にはならない。
不条理は足を止める理由にはならない。
「ふっ…抜かせ小娘。貴様がいくら足掻いても、定められた運命を変えることはできん」
「その通りでしょう。私達英霊は、すでに各々の使命を終えた身。私達がいくら頑張ろうと無駄なのかもしれません」
「なら───」
英霊達がどれほど力を貸そうとも、どれほど声をかけようとも、結局決断するのは今を生きる者達である。
定められた運命に抗うのも、その運命を受け入れるのも、それは今を生きる者達にのみ与えられた権利。
故に、英霊達は何をしようともその行動に意味が無いのかもしれない。
しかし。
「ですが、肩を貸すことはできる」
「…………」
「肩を貸し、共に立ち上がることができる。声をかけ、励ますことができる。手を取り、引き上げることができる。そして何より、私達が生きたことが、次へと繋ぐ『勇気』となる!」
英霊との出会いは、人に勇気を与える。
臆病でひねくれていた少年は、王の臣下となり、多くの者達に道を示した。
卑屈で劣等感を抱いていた少年は、皇女にふさわしき人となるため、生きることを諦めなかった。
温厚で凛とした少女は、恩師たる存在により、自身を見つめ直すことができた。
「定められた運命を嘆くでしょう。悔やむこともあるでしょう。辛く苦しく、先の見えない『闇』に呑まれるでしょう」
例え死者であろうとも、運命は牙をむくことがある。
どうしようもないそれを、生者が太刀打ちできることの方が難しい。
この世界に希望がなく、絶望で満ちていたその時は確実に、人は闇に呑まれていた。
「しかし!───だからこそ、私達がその『闇』を斬り裂く『光』となる!今を生きる者達に『希望』を示す!」
その剣は闇を斬り裂くため。
その旗は光を示すため。
その意志は未来へと繋ぐ憧憬となるため。
決して潰えぬ光を、彼女は掲げる。
どれほどの闇の中であろうとも、誇り高く輝く光であり続けるために。
「なら問おう、聖女よ」
それまで傍観していたエレボスは戦いに割って入った。
彼女が英霊であるならば、『正義』を知る彼女ならば、自身の望む解答をしてくれると、一方的な信頼をするが故に、今でなければならなかった。
「例え話だ。線路があり、その上を
トロッコ問題。
現在でも続く倫理学上の問題。
片方を助けるために、もう片方を見捨てる。これは許されることであろうか、否か。
友を助けるために赤の他人を犠牲にする。
家族を助けるために友を見捨てる。
大勢を助けるために家族を見捨てる。
どれを選んでも、誰かが喪われてしまう。
あえて『正義』の問いではなく、この問題について問うたエレボスは、ジャンヌに期待していたのだろう。
どちらかを助けるために、彼女は何を犠牲にするのか。
眷族達も考える。
どちらも犠牲にしたくない、しかしどちらかを犠牲にしなければならない。
『正義』をより破綻させる問い。
アリーゼ達には、あまりに酷であろう問題を、ジャンヌは毅然として答える。
「決まっています」
「ほう」
彼女には揺らがない信念がある。
諦めが悪く、理想を追い求め、友の助けとなりたいという誰しもが持つ願いを掲げるただの村娘。
そんな少女の答えは、かつて対立した人類救済を願った青年も、あらゆる試練を跳ね除けた大英雄も、数多の敵を轢き潰し流星の如く駆けた英雄も、きっと同じ答えを出す。
それは、あまりにも英雄らしい答えである。
「その
「…………」
「…………」
「…………」
その場はアルフィアが望んだ静寂へと変わった。
風が吹く音も、瓦礫が崩れる音も、
それでもなお、ジャンヌは言葉を続ける。
真面目に、純粋に、何の憂いを抱いていないように。
「小だけを、大だけを救う必要はありません。両方救えばいい。例え実現が不可能と言われようとも、その結果を目指すことは間違いではない」
不可能だと諦めない。
人は、不可能を可能にしてきた生き物なのだから。
空を飛びたいと想った。
だから人は多くの失敗を得て、それでも積み重ねられた想いを繋ぎ、空を駆けることができるようになった。
夜でも明るくいたいと願った。
夜の闇を恐れ、火の光が
未知を知りたいと考えた。
果てしない
多くの人が失敗してきた。
多くの人が諦めてきた。
多くの人が嘲笑った。
それでも、多くの人が、繋いできた。
この
これを人は、『
「………フッ………………フフフッ…………………………………フフフフフッ」
それを知る
多く問うてきたことでありながら、その百点満点以上の解答をしてみせた英霊は、本物だと、再認識できたから。
とある青年に教えられた時は
しかし、これは現実であった。
彼の話は本当だった。
遥か昔、
彼も同じ答えを言った。
神もいない、魔力はあるが神性がほぼ無いあの時代に、唯一世界からの救けを聞き、喚びだされたというあの青年と同じ答えを、目の前の少女はしてみせた。
これほど胸が高鳴ることがあるだろうか。
これほど興奮することがあるだろうか。
嬉しい。
嬉しい、嬉しい。
嬉しい嬉しい嬉しい、嬉しい嬉しい嬉しい嬉しい嬉しい嬉しい嬉しい嬉しい嬉しい嬉しい嬉しい嬉しい嬉しい嬉しい嬉しい嬉しい嬉しい嬉しい嬉しい嬉しい!!
心の中は歓喜で満ち溢れていた。
彼等なら大丈夫。
彼等ならきっと今を生きる者達に見せてくれる。
そう。
彼等なら、『約束の
彼等なら、これより待ち受けるいかなる苦難にも屈さない輝きを眷属達に与えてくれる。
だから、笑おう。
かつての『道化』のように。
こんな時だからこそ、笑って、悪者らしくあろう。
「フハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!」
「っ!」
「いや、すまない。クッ……思わない答えにブフッ………笑いが」
突然笑い出すエレボスに、ヴィトーもジャンヌもアリーゼもライラもアスフィも他の者達も呆然とする。
ただ、その笑いの神意を知るアルフィアだけは、誰にも気付かれぬように静かに口角を吊り上げる。
アルフィア達の時は来てくれなかった。
自分達こそが最強だと自負していたから、自分達なら成せると奢っていたから、だから助けは来なかった。
助けを求めた時には、すでに遅かったから。
もし、あの時に誰か来てくれていたのなら、何かが変わっていたのだろうか。
今持つ『失望』も、別の何かに変わっていたのだろうか。
そんな風に思ってしまい、ジャンヌがいる彼女達を少しだけ、羨ましく思ってしまう。
だから、自分は彼女等の最大の壁となろう。
愉快で、滑稽な、誰もが笑顔となる『喜劇』ではなく、彼女等が自らの道を斬り拓き、先に待つ『絶望』にも立ち向かい、勝利する『英雄譚』とするために。
「面白い答えだ。久々に笑わせてもらったよ。だが、それは結果を残さねば意味の無いものだぞ?」
「知っています。ですから、私はこの旗を掲げ続ける。この旗こそが、明日を斬り拓く『
一つの『正義』が示された。
迷っていた少女達に、失望していた魔女に、『絶対悪』を名乗る邪神に。
故に少女達は立ち上がる。
目の前の絶望は、越えられない壁ではないと教えてもらったから。
正解は二者択一ではなく、無数の選択肢があるのだと示してもらったから。
『正義』を名乗る彼女達に伝わるように、『剣』と『翼』を告げてくれたから。
「ここで下がるのは、愚策よね」
「決まってるだろ、団長。あぁそうさ。あの聖女様はあえて言ったんだ。だったら、
「えぇ、だからこそ、あの壁を超えてみせましょう」
『正義』は立ち上がる。
どれほど深く叩き落とされ、
この場だけでも構わない。
まずは告げよう。
復活の狼煙を。
集ったその時に、改めて名乗ろう。
『正義』の復活を!
「さぁ、行くわよ!!」
投稿遅くなりすみませんでした。
番外編で読んでみたいのは?(時間軸などに合わせ執筆時期が異なります)
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ジャンヌとアストレア・ファミリアの女子会
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花のお兄さん、恋する乙女を応援する
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次回執筆予定のちょっと先出し