シャーレ活動備忘録   作:遊園市街

113 / 236

 感想評価お気に入り登録誤字報告により生きています。



誰かの為の

 

 ミレニアムのセミナー執務室。4人の仕事スペースには2人しかいなかった。左手でペンを回し、右手で頬杖を突いてうんともすんとも言わないスマホの画面を苛立ちながら眺めるユウカと、彼女の怒りが飛び火しないように部屋の隅の方にいるコユキ。

 居心地の悪い沈黙が流れて、次第にペンを回す音が速くなり……彼女の手元からペンが離れた時に呟いた。

 

「……遅い」

 

 遅い。遅すぎる。ノアが「先生の様子を見に行ってきます」と言って2時間が経とうとしている。病院までの距離は往復30分圏内、面会する時間等を含めて1時間程度。それにも関わらず、2時間。SNSで文を送っても、スタンプを送っても何の反応もよこさない。そもそも既読すらつかない。電話にも出ないから、『何かあったのか』と勘繰るのも無理がないだろう。

 通知音が鳴って画面を見ても公式アカウントからのメッセージだったり、望んだ人物からの連絡でなかったり。探しに行こうか、と思っても手掛かりは多くなく先生がいる病院近辺を探す他ないため効率的とは言えない。どうするべきなのか、という思考が頭の奥で堂々巡りしてばかりでせり上がった言葉は溜息に変換される。

 

 ────最近はこういう事が多くなった。ミレニアムで起きた大きな事故。先生が負った瀕死の重傷。リオによるアリスの誘拐。要塞都市エリドゥの存在。リオの目的。アリスの正体。短期間に様々な事が起き過ぎた。しかし、整理する時間や休む時間は与えられず、今まで以上に目が回る様な毎日を繰り返す。

 色々な事に疲れてしまったのだ。朝から夕方まではミレニアムのセミナーとして責任ある立場に立ち。家に帰って食事や入浴を済ませたらベッドに身を投げて、スマホで遠くなってしまった日常を眺める。更新されない先生との会話履歴。ゲーム開発部と先生と自分で撮った写真。

 最後の会話は次の当番の事と、プライベートで遊びに行く約束。リマインドには次にシャーレへ行くときに買っていくものが記されている。何事も無ければ今週末に遊びに行く予定だったのに……誰にも見せれない弱音を零して、何度も眠れない夜を超えた。

 

 ────初めて会ったあの日から、この感情はいつも彼に搔き乱されている。

 

 ユウカはもう一度溜息を吐いて、立ち上がった。

 

「暫く席を外すわ。留守は任せるわよ」

 

 ノアを探しに行く決心をしたユウカは銃を持ち、コユキに留守を任せようとするが……返事が返ってこない。いつもならお土産の1つや2つ要求するはずなのに、なんて思いながら振り返ると────彼女はいかにも何かやらかしたような顔でPCの画面を眺めていた。それに何か猛烈な嫌な予感を覚えたユウカは彼女の元まで静かに歩いていき……画面をそっと覗き込んだ。

 

「コユキ? 何してるの?」

「うわぁあ!? ユウカ先輩!?」

 

 勢いよく画面を閉じてPCを自身の背後に隠す。この間約1秒。見事なスピードだった。怪しい、怪しすぎる。外出前に仕事が1つ増えた、なんて思いながらユウカは腰に手を当てて。

 

「で、何をやったの? 怒らないから言ってみなさい?」

「それ絶対怒るやつじゃないですか……」

 

 無言の笑顔で圧を掛けるユウカと、そんな彼女に戦々恐々のコユキ。傍から見れば完全に後輩を虐めている構図であるが、コユキの普段の言動が結構アレなため、仮に公衆の面前で詰めたとしても咎める人物はそこまで多くない。

 しかし、コユキは唯のごく普通の女の子だ。褒められたかったり、可愛がられたかったり、甘えたかったり。或いは誰かに必要とされたかったり。人間なら誰しも持っている願いを持つ、15歳の可愛い少女。ちょっと善悪の判断がまだできなかったり、偶にやる事の規模が大きかったりするだけだ。

 

 故に今回も事をやらかしたとユウカは当たりを付けているのだが、話も聞いていないのに有罪を言い渡すのは違うだろう。裁判でも弁護は当然の如く行われているのだ。別にそんな改まった場ではないが、コユキの言い分は聞くと決めている。尚、黙秘権は存在しない。

 

 だが、彼女は想像していたよりも簡単に口を割って。

 

「暇だったんでD.U.の監視カメラの映像を覗いてただけですよ~。そしたらちょっとヤバそうな映像がゲットできちゃって……」

 

 コユキはPCの画面を見せつける。画面に映る白黒の監視カメラの静止画キャプチャ。時刻は大体2時間半ほど前。何の変哲もない、ありふれた日常の一部を切り取っただけの場面であったのだが……其処に、映っていた。

 

 見慣れた顔、見慣れた服。見間違えるはずがない。あれは────。

 

「先生!? どうしてッ!?」

 

 手足を引きずりながらでも前に進む彼が、そこには映っていた。病院のシステムをジャックしたのは良いが、流石に街路の監視カメラ等にまでは気が回らなかったのだろう。或いは、その対処にリソースを回せないほど消耗に消耗を重ねてしまっているのか。

 

 何方でも構わない。事の仔細はどうであれ、彼は目を覚ましていて外に出ている。自分の体で。それはユウカにとって非常に喜ばしい事であったのだが……何故、生死の境目を彷徨っていた彼が出歩いているのか。その疑問が頭を過った途端、喜びは不安で塗りつぶされ────彼の解に至った瞬間、ユウカは握っていた携帯端末を潰さんばかりに力を込めた。

 

「本当に、貴方は何をやっているんですか……ッ!?」

 

 自分の命すら定かではない切迫した状況なのに、彼は誰かの命を優先している。死に体を引きずり、動かない体に鞭打って、アリスの為にエリドゥへ向かっているのだ。誰がどう見ても愚かな行動、しかし彼は胸を張って灰になろうとしている。

 

 ────そんな結末、納得できる訳も無かった。

 

 血が出るほど奥歯を噛み締める。ノアの帰りが遅いのも納得だ。彼女は何処かで彼と鉢合わせてしまったのだ。そして、2人は行動を共にして……。

 

 そう思うと、ユウカの胸の奥がずきりと痛んだ。裏切られた気分と言っても良い。何故、何も言ってくれなかったのか。何故、頼ってくれなかったのか。心配をかけたくないとか、巻き込みたくないとか、そんな遠慮をする間柄でもないだろう。2人が『力を貸してほしい』と言ってくれれば喜んで頷いたのに。

 

 無論、こんな事で友情も信頼も愛情も揺らがないが……それでも、感じた寂しさは嘘ではない。

 

「コユキ、予定変更よ。準備しなさい。私達もエリドゥに行くわよ」

「うえぇ!? 本気ですか!?」

「本気も本気よ。それに、あなたも先生にはお世話になってるでしょ?」

「いやまあ、先生は嫌いじゃないですけど……」

 

 確かに先生は嫌いではない。セミナーに来たときは必ず構ってくれるし、褒めてくれるし、可愛がってくれるし、必要としてくれる。お菓子もくれるし、滅茶苦茶に甘やかしてくれるのだ。自分に対し苦言ばかり呈する人しかいなかった彼女にとって、ありのままを肯定する先生の存在は少しずつ大きくなっていた。

 先生を見棄てるのは忍びない。大切に想われていることは身を以て知っている。そのお礼……と言って良いのか微妙だが、彼が困っている時には助けに成りたいとは思っていたが……流石に自身の上司兼先輩のおっかないリオに真っ向から歯向かうのには勇気のパラメータが足りなかった。

 

 だが、そんなコユキの事情はユウカにとって知った事ではなく。

 

「ほら、さっさと行くわよ」

「うあぁああああ────なんで────!」

 

 

 ▼

 

 

 同刻。ユウカとコユキが向かっている事なんて全く知らない先生はビルの陰で息を整えていた。情けないとは自分でも思うが、込み上げてくる発作は抑えることが難しいし、我慢しても良い事がないとよく知っている。

 荒い呼吸を繰り返し、外壁に背を預ける。薬剤を打ち込んでから約5分が経過した。そろそろ全身を回り出す頃合い。神秘の無毒化も順調であり、少なくともこれが原因で死ぬことはなくなった。

 

「……ふぅ」

 

 冷たい息を吐いて、ふらつく不格好な足で立ち上がる。ノアが咄嗟に支えてくれたから無様な転倒は晒すことなく、形だけは両足で大地を踏みしめた。

 

 ────足の感覚まで消え始めている。早くしないと。

 

「色々と迷惑かけちゃってごめんね……ノア」

「気にしないでください。寧ろ、頼ってくれて嬉しいですよ?」

「……本当、ノアには敵わないよ」

 

 呟きながら、先生はシッテムの箱を使用して体に電気信号を流す。眠っていた神経を無理矢理叩き起こし、再び体を動かせる状態へと遷移させる。

 

「ノア、ありがとう。私はもう大丈夫だよ」

「先生、もう少し休んだ方が……」

「気持ちはありがたいけど、時間は有限だからね。今は先に進まないと」

 

 ノアの気遣いをやんわり断った彼は笑みを浮べて、ノアの肩から離れる。シッテムの箱の戦闘用システムを励起。そして、再び起動する生徒との接続。彼の瞳が蒼く染まり、尾を引く燐光が近未来の都市に咲いた。

 

「30セクション西、C&Cとトキが交戦中。22セクション北西、ゲーム開発部とエンジニア部がドローンと交戦中……まずいね、リオの秘蔵っ子が起動した」

 

 リオの秘蔵っ子……それに心当たりがあったノアは苦笑いを浮べた。何とも形容しがたい独創的な外観と、それに見合わぬ理不尽極まりない戦闘能力は良く知っている。余程荒事に長けた生徒以外では相手にならない程のスペックを鑑みれば、リオのもう一つの切り札と言っても差支えない。

 

 ────ゲーム開発部が本体を抑えて、その隙にエンジニア部とヴェリタスが総出で止めに掛かれば辛うじて勝機が生まれる。()()()が間に合えばもう少し有利に進められるが……。

 

 そう思い、先生は画面にマップを映し2つのマーカーを表示させる。先生とノアよりは突入部隊に近いが、それでも間に合うかはかなり微妙なラインだ。

 

 しかし────リオの都市の構造変更を利用すればチャンスはある。良くも悪くも合理性で動く彼女は非常に次の手が読みやすい。しかし、それは彼女が単純であることを示さない。寧ろ式は複雑極まる。だが、それらを根気よく計算し最終的に得られる解はシンプルだ。

 彼女の思考を読み、状況を俯瞰し……取り得る手を、切る手札を予測する。

 

 徐々に近づいている突入部隊と陽動部隊。分断されたネルと3人。倒されたドローンの数。リオの秘蔵っ子。トキの最後の武装。変更された都市区画。ゲーム開発部とエンジニア部。ヴェリタスの支援。

 持ち込んだイレギュラーにはシッテムの箱を介して情報を流している。

 先生達とも、両部隊とも別で動いている彼女達の存在。

 

 ────それらを、全て統合して。先生は唯一つの解を導く。

 

「……ノア」

「────はい。貴方のノアです」

 

 先生の声に呼応するノア。彼女は悪戯っぽく笑って、先生に手を差し出す。白魚のような、と述べることすら憚られるほど綺麗な手を前にした彼は一瞬驚いたような顔をして……優しく、その手を握った。健康的な白さを持つノアとは正反対の、血の抜けた青白い肌。彼の細くしなやかな指先をノアは愛おしそうに、子どものように握り締め、指先同士を絡める。

 

 貴方のノア────その言葉にどれだけの想いが籠っているのかは彼女しか知らない。この想いは彼女だけのものなのだから。だが、それでも……この指を、手を通して少しでも伝わってほしいと願う。自分を愛せない貴方へ送る愛。貴方が愛されている確かな証明。

 

 それを知ってか知らずか、彼は何時ものように微笑んだ。此処に居るよ、此処で生きているよ、と息を伝える確かな眼差し。

 

「この都市を動かしている基幹システムに侵入して道を作る」

「よろしいのですか? そうしたらきっと……」

「うん、確実に私達にも矛先は向く」

 

 それはつまり、今までのような隠密行動ができなくなることを示す。状況をひっくり返せる特異点たる先生を相手にリオは容赦も油断もしない。確実に、全力で潰しに来る。ドローンだけで済むなら温情。最悪の場合、秘蔵っ子を此方側に回されるかもしれない。先生とノアの2名でどうにか相手できるような相手ではないため、アレが来た場合は────切り札の使用も考えなければならないだろう。

 

 大きすぎるリスク。だが、今は選り好みしていられる状況ではないのだ。リオの手札がまだ残っている段階で消耗し過ぎてしまったら確実にトキで詰んでしまう。それを避けるためにもリスク受容で動かなければならない。

 元より状況は最悪なのだ。今更悪い事の1つや2つ重なったところで変わらない。まだ詰みでない以上、ここからでも巻き返しは効く。

 

 ────アリスとケイを助け、全員を無事に日常へ帰す。今はそれだけを考えろ。自分の身体なんて二の次だ。

 

「侵入経路は……あのビルかな。アレの地下の10階にこのセクションを動かすコンピューターがあるはずだから、それを踏み台にして大本に入り込む。経路さえ作ればあとはヴェリタスがどうにかしてくれるから……10分もいらない。ハッキング前にビルは閉鎖する。ドローン相手なら硬度的に10分は確実に持つから、問題は……」

「ハッキングが終わった後、ビルから出るときですね」

「うん。ビルは確実に包囲されているはずだから、通常経路では難しい。ビルの屋上も駄目だから、安全に出るなら窓からしかないけれど……」

「……私の身体能力で先生を抱えてビルからビルに飛び移るのは少々厳しいですね」

 

 ノアはビルを見上げてそう呟く。彼が指差したビルから最も近い距離にある建物まで目測30m、彼を抱えて飛ぶことができるとは思わなかった。自身の限界なんて嫌というほど知っている。火事場の馬鹿力、なんて言葉はあるがそんなものを狙って使えるとは考えていないし、彼の命が懸かっているのに博打なんてできる訳がない。

 

「地上でドローンを撃破しながら……も現実的ではないよね。となると……」

 

 彼は手元のタブレットを操作して、クラフトチェンバーの生成済物資のリストを眺める。膨大な量のそれをソートし、目的の物を見つけた彼はこの場に顕現させた。

 

「ジップラインとハーネス……ですか?」

「そう。長さも結構あるから少し遠いビルまで移動できるはず」

 

 ────尤も、これはブラフであるが。

 

「あとはデコイを巻いてドローンを散らせば少しは安全になる……と良いんだけど」

「……分かりました。移動中は私がお守りしますね」

「ありがとう。頼むよ、ノア」

 

 

 ▼

 

 

 目的地たるビルまでの道中は不気味なほど静かだった。生物の気配を一切感じない沈黙。まるで停止した世界のような静寂の中、ノアの駆ける足音だけが鮮明に聞こえる。

 

「貧弱な先生でごめん……本当にごめん……」

「気にしないでください。そのお体で走るのは辛いでしょうし……」

 

 尚、先生はノアに抱えられながら心底申し訳なさそうにしている。キヴォトスの生徒のスピードに死に掛けの彼が付いて行ける訳がないためこの光景はなんら不思議ではないのだが、女子高生に抱えられる成人男性という絵面が相当アレだ。

 

「……見えました。あそこが目的地ですよね?」

「うん。入口直ぐのエレベーターホールを通過して、奥の非常階段に入って。ロックは解除してある。そのまま階段を地下5階まで降りたら、フロアの中に」

「はい。お任せください」

 

 ノアは一切減速することなく建物の中に入る。彼の言葉通りエレベーターホールを素通りし、奥にある非常階段の戸に手をかける。カチャリ、と音が響くとすんなり開いて冷たい明かりに照らされる無機質な階段が眼に飛び込んできた。

 彼女は上のフロア表示を気にしながら階段を下る。1F、B1F、B2F、B3F。階層を下るごとに空気が冷たくなり、足音が反響する。B4Fの文字が目の隅に映ると、ノアは更に歩を早めた。

 全速力で階段を下りて、踊り場を足で踏む。頭上、フロア表示はB5F。このビルの表示の上での最下層。階段の戸を開ける。鍵は掛かっていなかった。

 

 ドアを開けると、無機質な光景が眼に映る。構造的には役所だろうか。受付のような何かがあって、待合の椅子があって、電光掲示板とモニターがある。奥にはエレベーターホールと階段が見えた。

 恐らくはこのセクションの統括施設。住民を招き入れる、となった時には此処で諸々の手続きを済ませるのだろう。

 

「着きましたよ、先生」

「ありがとう、ノア。重くなかった……?」

「いえ、全然ですよ。寧ろ想像以上に軽くて心配になっちゃいました」

 

 悪戯っぽく笑うノアに釣られて先生も笑い……すぐに顔を引き締める。彼はそのまま迷いなく歩を進め、受付カウンターを飛び越えて奥へ向かう。最奥のドアの電子錠を1秒も掛からずに解除し、ドアを開けると従業員用の更衣室や通路、階段があったが……それらには目もくれず、更に奥へ。そうして彼等は壁の前で足を止めた。

 そこに手を翳すと電子音が響いて、壁と思われた場所が稼働しエレベーターへ繋がる道が露出する。

 

 2人は道を歩き、待機していたエレベーターに乗り込む。微弱な振動に揺られて、地下6階から9階……データセンターや物資置き場、ドローンの待機場所を通過し、目的地たる地下10階に辿り着いた。

 

「此処が……」

「そう、私達の目的地だ」

 

 スパコンが座す広大な空間、空調により一定に保たれている場所。LEDで照らされる道を澱みなく歩く先生と、彼の隣で何が飛び出してきてもいいように銃器を構えて周囲を警戒するノア。2人はコンソールが鎮座する場所まで向かい……そして。

 

「ビルの全隔壁を封鎖した。中に配備されていたドローンは全て停止させた。これで私がやるべき事を終えるまでの時間は確実に稼げる。脱出は地上40階から1km離れたビルまでジップラインで移動。その後はデコイを散布してドローンを散らしつつゲーム開発部の子達との合流を目指して動こう」

 

 先生は懐からケーブルを取り出し、シッテムの箱とコンソールを繋ぐ。そして、生命維持の一部を機能停止させ、リソースに余剰を持たせる。機能を切った瞬間、意識を持って行かれそうになったが、それを何とか耐えて気丈に前を向く。

 

 ちまちまと市販のタブレットで戦うのはもう止めだ。埒が明かない。此処から先は真っ向からリオと戦うのだ。例え命を対価にするとしてもシッテムの箱を出し惜しみしている余裕はない。

 OSたるアロナが不在でも、オーパーツはオーパーツ。その演算能力はそんじょそこらのスパコンなんて比較にすらならない。1割弱のスペックでも本腰を入れないハッキング程度ならば充分可能だ。

 

「じゃあ、始めよっか」

 

 それだけ言い残し、彼はハッキングを開始する。ものの数秒で目の前のスパコンが掌握されるが、これは所詮前座。本命は────エリドゥ中央タワーの地下20階の量子コンピュータだ。

 

「────勝負だよ、リオ」

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。