シャーレ活動備忘録 作:遊園市街
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たい焼きを食べ終え、少女達の可愛らしい小競り合いも終わった頃。先生は結局ノノミとホシノの手によって口にたい焼きを突っ込まれた。シロコはそれを若干不満げな表情で見ていたものの、『最初は私だったし』と思うことによって心の平穏を保っている。
「あはは……皆さん、楽しそうですね。賑やかで、仲がよくて……」
「だねぇ。いやぁ、おじさんは付いていけないよ~」
「ホシノ先輩もちゃんと渦中にいたじゃないですか……」
苦笑いを浮かべるヒフミに、からからと笑いながら返答するホシノ。その後ろでは微妙な表情のアヤネが誰にも聞こえない表情でポツリと呟いた。
休憩を終えた彼女達は再び情報収集を開始した。取引されたであろう店舗から話を聞いたり、またはブラックマーケットで活動している人から情報を買ったり。それらの交渉役は先生が請け負っており、彼の人心掌握術が活かされる事になったが……。
「────そうですか。ありがとうございます」
「良いってことよ、兄ちゃん。あんま良い話できなくてごめんな」
「いえ、とんでもないです。貴重なお話でしたよ」
店主に向けて腰を折って一礼し、店から出てくる先生の表情は芳しくない。アヤネは「どうでしたか?」と聞くと彼は苦笑いで首を横に振った。
「全然。データ上はこの店で取引が行われているはずなのに、誰も知らなったよ」
「此処まで情報がないなんてありえません……妙ですね」
「ヒフミさんもそう思いますか?」
アヤネがそう問いかけると、ヒフミは神妙な面持ちで「はい」と頷いた。
「お探しの戦車の詳細情報……絶対どこかにあるはずなのに、探しても探しても出てきません。通ったはずの販売ルートは全て外れ、保管記録も何処にも残ってませんし……全て何者かが意図的に隠しているような、そんな気がします」
「そんな事、可能なの?」
「隠すこと自体は可能だと思います。規模が大きいとはいえ、お金と物が動いている市場なので……。ですが、いくら此処を牛耳っている企業でもここまで徹底してブラックマーケットを統制することは不可能なはず。どこかしらから情報は洩れるはずなのに、それすらないなんて……」
シロコの問いに答えながら、ヒフミはアヤネが操作する端末を覗き込む。表示されている情報はフェイク、隠された真実の示唆。明らかな隠蔽工作と偽装工作の結果だった。
「そんなに異常なことなの?」
「異常、と言うよりは……『普通ここまでやりますか?』という感じですね……。此処に集まっている企業は、ある意味開き直って悪さをしていますから、逆に変に隠したりしないんです」
ヒフミは「例えば」と言ってごく一般的な高層ビルを指差した。キヴォトスにありふれているビルの一棟ではあるが、ブラックマーケットの建物にしては清掃が行き届いており清潔な外見を保っている。正門には武装した警備員の姿があり、他にも巡回しているオートマタの姿が幾つか。他の施設よりも重厚な警備は何処か物騒な印象を感じる。
「あそこのビル。あれがブラックマーケットに名を馳せる闇銀行です」
「闇銀行?」
オウム返ししたセリカに、ヒフミは「はい」と首肯して。
「ブラックマーケットで最も大きな銀行の一つです。聞いた話だと、キヴォトスで行われる犯罪の15%の盗品があそこに流されているそうです。横領、強盗、誘拐などなど、様々な犯罪によって獲得された財貨が、違法な武器や兵器に変えられてまた他の犯罪に使われる。そんな犯罪循環が続いているんです」
犯罪の循環。ブラックマーケットの大きな意志が、それを望んでいる。グロテスクなまでに利益を追求し、暴力を発注。全ての犯罪はブラックマーケットに通じる、と言われれば誰もが納得してしまう。構造的な暴力、理性的な犯罪。あるいは、表にいられなくなった存在達の逃げ場所。
想像よりも、キヴォトスに根差した闇市は深い。
「……そんなの、銀行が犯罪を煽っているようなものじゃないですか」
「その通りです。此処に黒くない企業はありません。銀行も犯罪組織の一角なんです」
「酷い話ですよね」
ノノミが悲しそうにそう呟くと、セリカが憤慨しながら拳を固く握りしめた。
「酷いじゃ済まないでしょ! 連邦生徒会は何やってんの!?」
「理由は色々あるんだろうけどね~。何処もそれなりの事情があるだろうからさ」
この人みたいに、そう思ってホシノは先生を見やる。
「現実は、思った以上に汚れているんだね。私達はアビドスばかりに気を取られ過ぎて、外のことを余りにも知らな過ぎたかも……」
自分達の知らない世界。手近な暴力と、そこに潜む闇。アビドスの面々は無知を痛感する。そんな皆を痛ましそうに見ていたヒフミであったが────ふと、先生が遠くを見つめていることに気付いた。彼が見つめる先には幾つかの人型の影。武装した戦闘型のオートマタが、隊列を組んで歩んでいる。
「────マーケットガード。距離は離れている」
「マーケットガードですかッ!? 皆さん、隠れましょう! こっちです!」
先生の呟きに顔を青くしながら叫んだヒフミは、近くにいたセリカとホシノの腕を掴んで咄嗟に路地裏に駆け込んだ。先生も同様にシロコ、ノノミ、アヤネと一緒にヒフミの後を追い、身を隠す。
ちらり、と外を覗くとはっきりとした姿が見えた。黒一色で固められた外部装甲、点灯している青のカメラ。大柄なオートマタを覆い隠せるほど巨大な分厚いシールドと高火力の銃器。かなり物々しい、一目見ただけで友好的ではないことが分かる集団であった。
「あれが、マーケットガードですか?」
「はい。先ほどお話した、ここの治安維持機関の中でも最上位に位置する組織です」
「……つまり、此処の警察ってこと?」
「警察とは名ばかりだよ。頭からつま先まで犯罪に染まってる唯の武装集団が、治安維持を騙っているだけさ」
「先生の仰る通りです。此処では恐怖の象徴として扱われていますから……」
そう呟き、物陰から皆で隊列の行く先を見守る。表の警察機構とは比べ物にならないほど物騒であり、治安維持とは名ばかりの暴力装置であることがよく分かる出で立ちであった。
「パトロール中、でしょうか? ですが……」
「ん、配置が変。何かを待っている……?」
「あの並び、もしかして護衛?」
そう呟いた刹那、真正面の道路を車が走っていった。重厚な車体。横に広い車体と膨らんだ後部からトラックであることは分かるが、至る所に取り付けられた追加装甲で非常にごてごてしている。側面には銃座すら見受けられるため、武装車両にも思えた。
用心深く周囲を確認しながらゆっくりと進むその様子は、襲撃等のイレギュラーを警戒している様にも見受けられる。
「────セリカちゃんが当たりっぽいねぇ」
「成程、現金輸送車の護送だったんだ」
「────あの車両は……」
何かに気付いたアヤネは眼鏡の望遠機能を作動させ、注意深く車両を見る。もしかしたら、いやでも────そう考えているアヤネに、シロコが問いかける。
「アヤネ?」
「あの車両とナンバー、見覚えがあります。できればもっと近くに……」
望遠機能にも限界はある。これ以上詳細を知りたいなら近づくしかない────そう思っているうちに、車両は先程ヒフミが説明した闇銀行の前で止まり、検問を受けたのち正門から内部へ入っていった。
「闇銀行に入りましたね」
「────もう少し近づいてみましょう」
「き、危険ですよ! ここからの方が……」
「大丈夫です、あの路地なら」
アヤネが指差した先には、銀行近くにある路地。今隠れている場所よりも狭いが、この人数でも隠れることはできるだろう。
シロコが先行し、周囲の安全を確認した後、此方に合図を送る。そして、それに続く様にセリカ、ホシノ、先生、ノノミ、アヤネの順で路地裏に入っていった。ヒフミは右往左往しながら、最後はどうにでもなれと思って飛び出した。
「────今月の集金です」
「ご苦労様、早かったな。では、こちらの集金確認書類にサインを」
「はい」
「良いでしょう、確認しました」
「では、失礼します」
正門の奥は重厚なシャッターが下りており、左右を固めている警備員の姿が見える。そして、輸送車の運転手が運転席から降りて、何かの署名を行っている最中であった。紙の書類、インフォメーションセキュリティは確保されている。
先生がタブレットの集音機能を行使しているため、音声もクリアに聞こえていた。
「────さあ、開けてくれ。今月分の集金だ」
護衛が認証を行い、シャッターを上昇させる。地下に繋がるスロープ。あの先で現金の引き渡しが行われるのだろう。
完全に上昇しきったあと、運転手は車両に戻り運転を開始する。
「視てください、あの人……」
「あれ……? な、何で!? あいつ、毎月ウチに来て利息受け取ってる銀行員だよね!?」
「ん、本当だ」
アヤネに続いて、セリカが気付いた。書類にサインをして、運転席に乗り込んだ人物は……今朝集金に来ていたオートマタと同一個体であった。きな臭くなってきた、そう思ってアビドスの面々は顔を歪める。
「……今、照合できました。車両の型番もナンバーも、今朝集金に来ていたカイザーローンのものと一致しています。ですが、なぜブラックマーケットに……」
「カ、カイザーローンですか!?」
カイザーローンの名前を出した瞬間、ヒフミは目を見開いて驚愕した。その様子に彼女はカイザーローンについて何か知っていると判断したホシノは冷静に問いかける。
「ヒフミちゃん、知っているの?」
「カイザーローンと云えば……かの有名なカイザーコーポレーションが運営する高利金融業者です……」
「有名な……? マズいところなの?」
「あ、いえ……カイザーグループ自体は犯罪を起こしていません。ただ……合法と違法の間のグレーゾーンで上手く振る舞っている多角化企業で……カイザーは私達トリニティの区域にもかなり進出しているのですが、生徒達への悪影響を考慮し『ティーパーティー』でも目を光らせている企業なんです」
「『ティーパーティー』……あの、トリニティの生徒会が、ね」
トリニティ総合学園は複数の学園が統合されて生まれたマンモス校であり、その生徒会ともなれば与える影響力は絶大である。その生徒会が目を光らせている企業だ、どう考えても真面ではない。
「ところで皆さんの借金とはもしかして……アビドスはカイザーローンから融資を……?」
「借りたのは私達じゃないんですけど……」
「話すと長くなるんだよね~。アヤネちゃん、さっき入っていった現金輸送車の走行ルート、調べられる?」
「今調べてるので、少し待ってください!」
ホシノの指示に先んじて調べていたアヤネはルートの逆算、解析を図るが、どうやってもヒットしない。監視カメラの映像も改竄されているのか、影すら追えない状態であった。突き付けられた結果にアヤネの顔が陰る。
「……ダメですね。全てのデータをオフラインで管理しているようです。全然ヒットしません」
「だろうね~」
その反面、ホシノは気楽な声で答えた。予想はしていたのだろう。後ろめたい事をやるなら徹底的に、悪人の性根は嫌と言うほど分かっている。
「……そういえば、いつも返済は現金だけでしたよね。それはつまり……」
「私達が払った利息を、ブラックマーケットの闇銀行に流すため……?」
「じゃあ何? 私達はブラックマーケットに、犯罪資金を提供していたってこと!?」
「……まだはっきりと断定できません。証拠が足りませんし……」
先生は「証拠、か」と静かに呟いた。表情を変えず、シャッターの先を見つめている彼ならば、或いは────そう考えた彼女たちの期待に応えるように、彼は緩やかな笑みを浮べた。
「集金確認書類はどうかな? 押さえられたら証拠になると思うよ」
「おお、確かに~」
「ん、ナイスアイディア、先生」
集金確認書類には恐らく取引日時、金額、所在地、区分、担当者の名称、顧客の名前は記載されているはずだ。それを入手できれば、運ばれてきたものの大体の動きは把握できる。仮にアビドス高等学校の名前が顧客に刻まれていれば、その時点で動かぬ証拠になる。連邦生徒会やヴァルキューレにでも突き出せば、企業にガサ入れが入るだろう。
先生の案に納得の表情を浮かべるホシノとシロコであったが、ヒフミは思いっきり首を横に振っていた。
「で、でも書類は既に銀行の中ですよ。忍び込もうにも、ブラックマーケットの中でも最も強固なセキュリティですし、あれだけの数のマーケットガードが目を光らせていますし……」
正門の左右を固めている2名、巡回しているのが4名。内部にはもっと多くのガードが控えているだろう。そして、通報されたら更に多くの兵士が回される。
幾ら戦闘力に優れるアビドスの面々でも、際限なく溢れる正規のマーケットガードを相手にするのは骨が折れるだろう。
「それ以外に現金輸送車の集金ルートを確認する方法は……ええっと、うーん……」
「ん、他に方法はないよ」
「えっ?」
他の平和的な案を模索しているヒフミの肩に置かれたシロコの手。自信満々な微笑みを浮べている彼女に何かとても嫌な予感を覚えたヒフミであったが、多分気のせいだと自分に言い聞かせることにした。
シロコは微笑みを浮べたままホシノの方を見やり、アイコンタクト。
「ホシノ先輩、ここは例の方法しか」
「なるほど、あれかー。あれなのかー」
「……ええっ?」
天を仰ぎ、「マジなのかー」と言って目を閉じる。だが、止めるつもりはない。他に案を思い付かないのもあるが、このチャンスを逃したくなかったのだ。
「あ……! そうですね、あの方法なら!」
「何? どういうこと? ……まさか、あれ? 私が思ってるあの方法じゃないよね?」
「まさかとは思いますが、もしかしてあれですか……?」
「え、えぇ……?」
他のメンバーもシロコが提案する手段に思い至ったのだろう。ノノミは楽しそうに、セリカとアヤネは恐る恐るシロコに問いかける。
「ん、これしかない」
「う、嘘!? 本気で!?」
「うわぁ……はぁ……」
力強い肯定。シロコの決意は変えられないだろう。それを悟ったセリカは驚愕し、アヤネは諦めた。もう何を言っても無駄であろう。
そして、一人話から置いて行かれているヒフミは、それぞれ別の表情を張り付けているアビドスの面々に『あれ』について問いかけた。
「……あ、あのう。全然話が見えないんですけど……『あの方法』って何ですか?」
ヒフミの真っ当な疑問に、アビドスの皆が彼女を見る。
彼女は関係ないが、この場にいる以上、一緒に行動した方が良い。どうやっても騒ぎになるのだ。一緒に逃げれず、彼女だけ捕えられた、なんて後味の悪い結末にはしたくない。
「……先生、いいよね?」
「……本来は止めるべきなんだろうけど、道を示したのは私だ。何かあったら責任は取るよ」
苦笑いを浮かべながら頷くと、シロコは満足げにヒフミの方を向いた。
「────残された方法はたった一つ」
重々しく告げられるのは、手に入れる手段。シロコは鞄から取り出した例のモノを頭に被った。
「銀行を襲うの」
青の覆面を被ったシロコは、いっそ清々しいほど澄み切った声音と表情で犯罪実行の旨を告げた。
ターゲットはブラックマーケット最大規模の闇銀行。目的は現金ではなく、集金確認書類。
勿論、シロコとて初めから襲うつもりはそこまでなかった。だが、状況は一変したのだ。ここは銀行強盗をキメておくべきだろう。覆面を常備しておいて良かった────そう思い、シロコは満足げに胸を張った。
そして、『銀行を襲う』と云うワードを咀嚼し、呑み込み、理解したヒフミは数回目を瞬かせて────驚愕のあまり、思わず叫んだ。
「はいっ!?」
「だよね~。そういう展開になるよね~」
「わぁ☆ そしたら悪い銀行をやっつけるとしましょう!」
「マジで? マジなんだよね? ふぅ……それなら────とことんまでやるしかないか!」
「……はぁ、了解です。こうなったら止めても聞く耳持たないでしょうし、どうにかなる、はず……」
慌てて辺りを見渡せば、アビドスの少女たちは全員覆面を装備し終えていた。額に振られた番号と目出し帽。表で歩いていたら間違いなくヴァルキューレの御用になっていたであろう姿は、銀行襲撃に最適な出で立ち。
目出し帽を被っていない生徒は自分だけだ。そして、現状反対しているのも自分だけ。
全員、本気だ────そう直感したヒフミは声を荒げながら、なんとか止めさせようと言葉を尽くす。
「ほ、本気ですか!? 本当に銀行を襲うんですか!? というか、何で覆面なんか持ってるんですか!?」
「ごめん、ヒフミ。貴方の分の覆面は準備がない」
「うへー、って事はバレたら全部トリニティのせいだって言うしかないねぇ」
「えぇッ!? そ、そんな、ふ、覆面……何で、えっと、だから、あ、あぅ……」
当たり屋もびっくりなトンデモ理論でこの場の罪を擦り付けられそうになったヒフミは、混乱しながら鞄をひっくり返して何かを探す。自分が何を探しているのすら分からないレベルで頭の中が混乱している彼女は涙目だ。それに気づいた先生がヒフミを宥めているが、彼女の頭の中は混乱しっぱなし。
こんな罪を被ったら学校にいられなくなってしまう……あ、先生って花の香りなんだ────と、焦りと雑念が混ざりあたふたする彼女の姿を見ていられなかったのか、ノノミは『そんな、悲しいのは駄目です!』と言わんばかりに声を上げた。
「それは可哀そうです! ヒフミちゃんだって……あ、そうです!」
妙案を思い付いたのか、ノノミは鞄から鋏と油性ペンを取り出し作業し────完成したものをヒフミに差し出した。
「ほらヒフミちゃん、取り敢えずこれをどうぞ☆」
「え、あ、えっ?」
「たい焼きの紙袋? おお、それなら大丈夫そう~」
「ちょ、え? ちょっと待って下さい皆さん……あ、あうう……」
仲間外れは駄目だと思ったノノミの、微妙にずれていると言えなくもない厚意はたい焼きの紙袋だった。目の部分は丸くくり抜かれており、視界の確保はできている。たい焼きの甘い香りがヒフミの嗅覚を擽るが、馬鹿にされてるようにしか思えなかった。
「ん、完璧」
「ちゃんと番号も書いておきました、ヒフミちゃんは5番です!」
「見た目はラスボス級じゃない? 悪の根源だねー、親分だねー」
「えっ、あ、わ、私も御一緒するんですか!? 闇銀行の襲撃に!?」
最早逃げれないことを悟ったヒフミは、それでも一握の希望に縋るように涙目で訴えると────ホシノが悪戯っぽく笑った。
「さっき約束したじゃーん? ヒフミちゃん、今日は私達と一緒に行動するって」
「う、うああぁ……しましたけど、約束しましたけどぉ……うう……こんな事学校に知られてしまったら……わ、私、もう生徒会の人達に合わせる顔がありません……」
「問題ないよ! 私らは悪くないし! 悪いのはあっち! だから襲うの!」
「ん、それじゃあ先生、例の台詞を────」
全員が先生の方を見る。シャーレの白コートを脱ぎ、黒一色のスーツ姿になった彼は黒のi番の覆面を被り、タブレットを操作。万が一の保険をかけ終えた彼は宣言する────アビドスに巣食う悪意を暴くための、探求を。
「アビドス対策委員会とヒフミ、出撃!」
「おー!」
「あ、あうう……」