シャーレ活動備忘録   作:遊園市街

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vol.2 時計じかけの花のパヴァーヌ【ユア・ネーム・イズ】
Let's Go New Game!


 

 

 

 私の声が、聞こえますか?

 

 そこにいますか?

 

 この世界を救う────勇者よ。

 

 あなたのことを、ずっと待っていました。

 

 今こそ、全てを話しましょう。太古、天使と魔族が……

 

 

 

 

 ▼

 

 

「カットカット、カッ────ト!」

 

 ミレニアムの部室に快闊な少女の声が響き渡る。ゲーミングキーボードを勢いよく叩きながら立ち上がる、桃色の猫耳ヘッドホンカチューシャと同色の尻尾が特徴的な彼女はシナリオライター。どうやら自身が手掛けた話のあらすじが気に入らなかった様子で、頭を抱えながら部室の中をうろうろと歩いていた。

 

「ダメダメ、在り来たり過ぎ! これだと発売と同時にこけそうな感じ! 私がユーザーだったら、プロローグでこのテキストが出た瞬間に『あ、やめよ』ってなるよ!」

 

 使い古されたテンプレート。ありきたりな二項対立。誰かと誰かが争っていて、その何方かの勢力に主人公が属していて。そして、もう一方の勢力を倒すために立ち上がる。変に奇を衒ってない非常に分かりやすいシナリオであるが、様々な娯楽が群雄割拠する昨今、このような王道は余程でない限り『いつものやつね』と流されてしまうだろう。

 大事なのはファーストインプレッション。手に取ってくれたユーザーの心を掴むあらすじ。それを目指して彼女は再びモニターと向き合う。

 

「もう一回!」

 

 気を取り直して、テイク2を開始した。

 

 

 ▼

 

 

 

 

 勇者よ、あなたを待っていました

 

 私は女神モモリア。

 

 私達の世界────ミレニアムランドは今、過去に類を見ない危機に瀕しています。

 

 この危機を乗り越え、生徒会の廃部命令からゲーム開発部を……いえ、ミレニアムランドを救えるのはあなただけです。

 

 これから始まる、あなたの冒険のその先に……。

 

 どんな試練や逆境が待ち受けているか、今はまだ分かりません。

 

 ですが……どうか最後まで、勇気だけは失わないでください。

 

 勇者様の傍には、旅路を共にする少女達も居るはずですから。

 

 

 

 ▼

 

 

 新しい世界で、貴方はその少女達から『勇者』ではなく……。

 

 もっと特別な、相応しい名で呼ばれる事になるでしょう。

 

 その名前とは……。

 

 

 ▼

 

 

 薄っすらと開いた瞳の中に光が差し込んだ。人工的な明かり。後頭部のクッション、背中に当たるカーペット、掛けられたブランケットの感触。

 此処は室内だと理解するのに時間は掛からなかった。だが、自分の記憶を信じるならば、こうして目が覚めるまでは室外に居て歩いていたはずだ。

 記憶の空白地帯、その間に何があったのだろうか。倒れたのか、それとも襲撃を受けたのか。どちらもあり得る。倒れるのは単純に疲労の蓄積。襲撃を受ける理由も両手の数では足りない位に思い当たる。

 

「先生!」

「……んぅ」

「あ、目覚めた!?」

 

 先生の顔を覗き込んでいた小柄な少女は彼が目を開ける瞬間をばっちりと見ていて、意識が戻ったと分かるや否や即座に声を掛けた。その声音には意識の覚醒への安堵が多く含まれており……先生はその少女を見て全てを思い出す。その途端に頭が痛くなってきた気がしてきた。

 手を突いて上体を起き上がらせる。数回瞬きをして、軽く頭を振って眠気と鈍痛を吹き飛ばそうとするが上手くいかず、ただ無意味に頭を振っただけの人になった。もっと言ってしまえば、頭を振った影響で鈍痛の方は更に酷くなっている気がする。

 熊のマスコットがあしらわれたブランケットを丁寧に畳みながら、彼は少女……モモイの方を向いた。

 

「気が付いたか? 君は運が良いな!」

「急に変な喋り方しないで、お姉ちゃん。先生が戸惑ってるでしょ」

「へへっ、嬉しくってつい……」

 

 モモイの横から顔を出した少女は、モモイとそっくりの顔立ちをした少女であった。色違いのヘッドホンと尻尾。明朗快活を体現したようなモモイとは異なる、落ち着きと冷静さを孕む表情。彼女は先生の方に顔を寄せて愛らしく問いかける。

 

「先生、大丈夫?」

「……うん、多分」

「いやー、良かった! このまま目を覚まさないのかと思ったよ」

「本当に良かったです。お姉ちゃんが窓の外に投げたプライステーションが、偶然先生の頭に命中した時は……このまま殺人事件の容疑者になってしまうかと思いました」

 

 溜息混じりにミドリは言う。そうだ、彼が倒れたのは疲労でも襲撃でもなんでもない。ただ、モモイが投げたゲーム機という名の鈍器が偶々彼の頭にクリーンヒットしただけだ。

 ……ある意味、襲撃かもしれない。

 

「お姉ちゃんの代わりに謝ります。ごめんなさい、先生」

「ふーんだ。そう言うミドリだって、私が『もしかして先生に当たっちゃったかも!?』って叫んだ時、第一声は『プライステーションは無事!?』だったじゃん」

「そ、それは……私達ゲーム開発部の財産リスト第一号だし、思わず……」

 

 若干分が悪いと悟ったミドリは「とにかく」と言って。

 

「先生はあのシャーレから来たんですよね?」

「うん、そうだよ。二人とも初めまして」

「うわっ、本当に!? じゃあ私達が送った手紙、読んでくれたんだ! もし読んでくれたとしても本当に来てくれるなんて思ってなかった!」

「可愛い生徒のお願いを無下にする事なんてできないよ」

 

 ふわりと笑いながら言い、先生は手紙の内容を思い返す。

 

 

 ▼

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

A long time ago in a galaxy far, far away……

 

 

 

 

 

 

 

 

ゲーム開発部

 

 

 

 

 

Episode Ⅰ

The Rise Of Saiba sisters

 

ゲーム開発部は無慈悲にも廃部の危機に陥った!

部の存続を願う少女達は己が威信を賭けて成果を作り、コンテストにて賞を取らなければならない。

今は正に大ミレニアムプライス時代!

 

一方その頃。

妖怪太もも大魔神こと早瀬ユウカは

お菓子を食べ過ぎた所為で増えた体重を必死に落としていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ▼

 

 

「え? 何? 何なの?」

 

 突然訳の分からない怪電波を受信してしまった先生は冷や汗を浮べながら困惑の声を漏らした。

 何が起きたのか分からなかった。催眠術だとか超スピードだとかではない、もっと恐ろしいものの片鱗を味わってしまった先生は恐らくSAN値チェックに失敗したのだろう。

 ユウカの太ももを見上げるくらいの角度で読むと丁度良い感じになりそうなスペースオペラの内容は結構スカスカだった。どれくらいスカスカかと云えば、内容の半分がユウカの体重の話で埋まる程度には。

 

「えぇ……?」

「先生どうしたの?」

「いや、何か世界一有名なスペースオペラが始まりそうだったんだ……今朝の事を思い出そうとしただけなのに……」

 

 うーん、と頭を呻らせる先生を見てミドリは『プライステーションが良くない当たり方をしたんじゃ……』と内心冷や汗を掻く。一部始終を見ていない彼女の知る所ではないが、モモイが投げたプライステーションはそれはもう良い当たり方をした。ダーツで例えるならダブルブル(25*2)、弓道で例えるなら皆中。モモイは物を投げる才能に長けているのかもしれない。

 

 怪訝な顔を向けるミドリに苦笑いをして、彼は改めて手紙の内容を思い返す。

 

 ────ゲーム開発部は今、存続の危機に陥っています。生徒会からの廃部命令により破滅が目前に迫っている今、助けを求められる相手は貴方だけです。勇者よ、どうか私達を助けてください! 

 

 そうだ。こんな内容だった。アロナがノリノリで読み上げていたのが面白くて録画したことまで思い出した。

 

 切羽詰まった危機的状況。なりふり構っていられないと言わんばかり。一握の希望をこんな己に託してくれた少女達。眩しいくらいに純粋で、無垢な……愛しい生徒達。

 

 彼女達の願いを叶えるためにこの身は在るのだ。都合の良い願望機と揶揄されようが構わない。誰かの願いを叶える流れ星でいいじゃないか。

 

「改めて……ゲーム開発部へようこそ、先生!」

「先生に来て頂けて嬉しいです」

「此方こそ呼んでくれてありがとう。会えて嬉しいよ」

 

 開いた窓から風が吹き込む。新たな出会いの祝福。心地の良い温度にその身を預けながら3人は大切な『初めまして』を告げる。

 

「私はゲーム開発部、シナリオライターのモモイ!」

「私はミドリ。イラストレーターで、ゲームのビジュアル全般を担当しています。あと、今ここに居ないけど、企画周りを担当している私達の部長、ユズを含めて……」

「私達が、ミレニアムサイエンススクールのゲーム開発部だよ!」

 

 

 ▼

 

 

 自己紹介から少し経った頃、ゲーム開発部には一人の来客が訪れていた。ゲーム開発部にとっては見知った顔だったが、あまり会いたくない類の人だった。

 

 特徴的な青い髪をツーサイドアップにした、太ももが眩しい彼女はミレニアムサイエンススクールの生徒会に当たるセミナーの会計、早瀬ユウカ。或いはゲーム開発部の保護者兼母親。

 だが、今回の来訪はゲーム開発部の保護者的な側面は全くない。今のユウカはセミナーの会計だ。故に、話す内容も必然固くなる。

 

 今回は再三告げられていた廃部の最後通告。当然そんな事を受け入れる訳にはいかない彼女達はユウカへの反論材料としてある賞を受賞したゲーム開発部産のゲームを引き合いに出したのだが……反論をぶつけられたユウカの表情はとても微妙だった。

 

「……そうね。確かに受賞、してたわ」

 

 テイルズ・サガ・クロニクル……このゲーム開発部における、唯一の成果。ゲームもさることながら、幾つもの印象的なレビューがこの作品に寄せられていた。

 

 曰く。

 

 ────私がやってきたゲーム史上、ダントツで絶望的なRPG。いやシナリオの内容がとかしゃなくて、ゲームとしての完成度が。

 

 ────このゲームに何が足りないのかを数えだしたらキリがないけど……まあ、一番足りてないのは正気だろうね。

 

 ────このゲームをプレイした後だと、デッドクリームゾーンはもしかして名作の部類に入るんじゃ、って思っちゃうわ。

 

 他にも、色々。先生としてはとても興味深いゲームなのだが、一般受けするかと言われれば笑って誤魔化すだろう。つまりはそういう事だ。

 

 ユウカの……セミナーの言い分としては、『クソゲー1位のゲームを作るような部活に回す予算はない』というかなり真っ当な意見だ。しかもそれ以外に成果もなく、部員の数も少ない。故に廃部となるのは自然の道理だろう。だが、彼女達とてそれに『はい、分かりました』と素直に頷くわけにもいかない。

 

 故に、ユウカとゲーム開発部は一つの取り決めをする事になった。

 それはミレニアムプライスまでに何かしらの成果を出し、賞を受賞する事。これが果たされればゲーム開発部は存続し、果たされなければ廃部になる。一切の言い訳の余地がない、白か黒かの二択、シンプルなルール。

 

 きっちりと約束を交わしたユウカは立ち上がり、溜息を吐く。

 

「まさか先生の前でこんな、可愛くないところを見せてしまうことになるなんて」

「ふふっ、ユウカはいつだって可愛いよ」

「……全く、先生はいつもそうやって……」

 

 頬を僅かに赤くさせ、指で毛先を弄ぶユウカ。冷酷な算術使いの姿は何処へやら。その表情は先程までゲーム開発部を詰めていた少女とは同一人物とは思えないほど女の子だった。

 

 彼女は態と大げさに咳ばらいをして、踵を返し出口に向かう。

 

「では、またお会いしましょうね、先生」

「うん、またね」

 

 

 ▼

 

 場所は変わって、ミレニアム近郊────廃墟。科学が発展した近未来的なミレニアム都心から距離がある此処は廃ビルと瓦礫の山が立ち並ぶ、放棄されて久しい場所だった。

 

 それもそのはず、この場所は連邦生徒会が立ち入りを制限していたのだ。ミレニアムのセミナーではなく、連邦生徒会が。基本的に自治区の統治は学校に任せている連邦生徒会が態々干渉してまで立ち入りを固く制限していた謎の領域……数理と叡智を肯定するミレニアムの特異点。計数されざる場。その詳細は一切不明だ。

 これまでは危険な地域だから、という理由で立ち入りを制限していたのだが……危険な理由が不明なのだ。単純に危険な存在が居るのか、あるいは放射能汚染のように環境が悪いのか。それとも地盤が緩いのか。誰も入ったことがないのか、そもそも入ることができないのか。入ったら最後、戻ってこれないのか。或いは、特定の人物でないとこの廃墟自体が意味を成さないのか。

 

 この場所の詳細を知っている可能性があるのは連邦生徒会長か、調月リオ(ビッグシスター)、先生しかいないだろう。

 

 彼女達は此処にあるものを探しに来ている。

 

「ねぇ、お姉ちゃん。一体いつまでこうしてればいいの?」

「アイツらがどっか行くまで……!」

 

 ヴェールに覆われたキヴォトスの未知、その多くを知る人物がすぐ傍にいるとは露知らず、モモイとミドリは小柄な体を活かし瓦礫に身を隠していた。その向こう側ではオートマタが数体隊列を組んで歩いている。正常か、或いは異常か。何方かは分からない。だが、廃墟と言われるにしては徘徊しているオートマタの状態がそれなりに良い事が気がかりだ。何処かに生きているメンテナンス施設があるのか。それとも、廃墟とは名ばかりでこの場を整備している誰かが居るのか。

 

 静かな都市に響くモーター音が遠のいた事を確認したモモイは片目だけ瓦礫の外に出し、簡易的なクリアリング。オートマタもドローンもいない。

 

「ひゅー、もう行ったかな? よし、じゃあ行こう!」

「よし、じゃない!」

 

 瓦礫を飛び出そうとしたモモイの襟を摘まんで引き留めたのはミドリであり、その顔には驚きやら何やらで一杯だった。彼女は捲し立てるように口を開く。

 

「いったいここは何!? あんな謎のロボットが、数え切れないぐらい動き回ってるし!」

「何って……もう何回も言ってるじゃん。廃墟だよ。出入り禁止の区域っていうからまあ、ある程度の危険は覚悟してたけど。いやあ、冷や冷やするね……」

 

 正にゲーム感覚で危険極まる場所に足を踏み入れたモモイ。そんな彼女に呆れたミドリは溜息を吐いて、改めて周囲の状況を確認する。何処を見ても廃墟、廃ビル。崩れた道路とライフライン。そして、銃器を持ちながら徘徊するオートマタとドローン。総じて、穏やかとは口が裂けても言えない雰囲気だった。まるで人間が排斥されたような都市。実際に足を運んでみても謎は深まるばかりだった。

 

「あのロボット、いったい何なんだろ? ううん、それより……あんなのが幾つも欲してるこの廃墟って一体何なの?」

「うーん、私もヴェリタスからちょっと聞いただけだから、分からないことだらけだけど……本来、ここの出入りは厳しく制限されてた、ってとこまでは先生にも言ったよね?」

 

 その問いに首肯するとモモイは満足そうに頷いて。

 

「ここの出入りを制限して、存在自体をできるだけ隠そうとしてたのは……連邦生徒会長だったの」

「連邦生徒会長って……あの、キヴォトスの生徒会長たちの頂点にいたのに、突然いなくなっちゃった人?」

「そうそう。あの人がいなくなってから連邦生徒会の兵力も撤収しちゃって、そのまま放置されてるみたい」

「そのおかげでこうして入り込めたんだけど……」

 

 モモイは仕切り直すように「とにかく!」と叫んで。

 

「ヒマリ先輩によると、ここはキヴォトスから消えて忘れ去られたものが集まる、時代の下水道みたいな場所なのかもしれない……って」

「ヒマリ先輩が……」

 

 明星ヒマリ。ミレニアム史上、たった3名しか所有していない『全知』の学位を持つ少女。尚、この全知の学位は本当に存在するのか否かの真偽は不明である。だが、彼女は全知の名に相応しい傑物であり、実際に存在するならば確実に所有しているだろう。

 彼女は元はミレニアムのハッカー集団、ヴェリタスの部長であったが、今はリオの要請で特異現象捜査部というセミナー直下の組織の部長をしている。武闘派のC&Cと対を成す、知力に特化したミレニアムの切り札が彼女だ。

 ここまで聞くと堅物に思えてしまうが、実際の彼女はかなり愉快な人物だ。超天才清楚系病弱美少女ハッカーと自らを公言して憚らない自信家であり、図太い、イイ性格をしている。しかし、自尊心は高いが傲慢ではなく、他人を貶す事はない。他人の能力を認め、賞賛し、信頼している点は彼女の数多くある長所の内の1つだろう。

 

 完全に余談だが、彼女が時々つけている『全知』の2文字があしらわれたちょっとダサいアイマスクは先生も持っている。少し前に遊びに行った際、ヒマリがくれたのだ。

 

「いつもRPGの賢者みたいに『私は何でも知ってますよ』って感じのヒマリ先輩が、かもしれないって言葉を使うのも珍しいね……それくらい、未知の世界なんだ。でも、なんでこんなところにG.Bibleが……あれ、ちょっと待って!?」

 

 ミドリは表情を驚き一色に染め上げた。まさか、いやそんな事は、頼むから間違っていてほしい……そんな逡巡が見え隠れするように、彼女は双子の姉に問いかける。

 

「まさかとは思うけど……お姉ちゃんが『ここにG.Bibleがある』って言ったのは、キヴォトスから消えて忘れ去られたものが集まるって聞いたから!? そ、それだけの理由でこんなところに!?」

「それだけじゃないよ。ヴェリタスにG.Bibleの捜索を依頼したら、座標を教えてくれたの……最後にG.Bibleの稼働が確認された座標が指してたのは、普通の地図には存在しない場所だった」

 

 そこでモモイは先生に自身達の探し物……G.Bibleについて話してなかったと思い、自らが知る情報を説明し始める。曰く、ゲームの聖書。過去、ミレニアムサイエンススクールに在籍した伝説的なゲームクリエイターが作成した書類であり、その中には『最高のゲームを作る方法』が載っているようで。

 簡単に言えば、彼女達はその方法を知るためにこの場に足を運んだのだ。

 

 改めてG.Bibleの内容を聞いたミドリは、その余りにも突飛で胡散臭い、眉唾物と吐き捨てられても仕方がない謳い文句にジト目になりながら。

 

「……どこかのゲームクリエイター学校の広告じゃなくて? なんか、凄く詐欺っぽい」

「違うよ! G.Bibleはあるって! 読めば最高のゲームを作れるようになる『ゲームの聖書(バイブル)』は、絶対にある!」

 

 だが、G.Bibleの存在を心の底から信じているモモイは勢い良く否定する。

 

 ────そうだ。在ってもらわないと困る。もしこの話が行き止まりなら、ゲーム開発部は消えてしまうのだ。その未来は何としてでも避けなければならない。他ならぬ、彼女の為に。

 

「そのG.Bibleを読めば、最高のゲーム……『テイルズ・サガ・クロニクル2』が作れるはず! ヴェリタスから貰ったこの座標に向かって行けば、そこにきっとG.Bibleが────」

「──────」

 

 その時、徘徊しているオートマタに見つかった。

 

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