鬼と鬼殺とサムライソード   作:文明監視官1966

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鍛えすぎて腕がムキムキになってきたので初投稿です


首チョンパ

 

 

 

ねぇ、知ってる?ずっと前からある御伽噺なんだけどね?

 

 

 

満月の夜に出歩いてるとね、こわーい妖怪が現れてね。その妖怪に食べられちゃうんだって。

 

 

 

こわいよね?でも、この話には続きがあって、なんだっけ・・・えーと・・・そう!『ゐにみにまにも』って三度唱えると真っ黒なお侍さんが現れてその妖怪を退治してくれるんだって!

 

けど、そのお侍さんを呼ぶと自分の大切な物を奪われちゃうんだってさ。

 

 

『とうかこうかん』って言うんだって!だから満月の夜にはなんでもいいから食べ物を持って行くといいんだ!それを大事な物だって言えば代わりになるらしいよ!

 

 

それがお侍さんの嫌いなものだったらどうするんだろうねー?怖いねー、怖いねー、怖いねー・・・・・・え?稲川淳二?誰それ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「テッメェ舐めてんのか!!虫の丸焼きなんぞ食えるわきゃねぇだろーっ!!」

 

 

「いや美味いんですって!ホント!!食べてみてくださいよぉ!!」

 

「頭を梟の頭みてぇにネジって切ってやろうか!食いもんねぇなら身ぐるみはげやオラァンッ!!」

 

「いやー!やめてー!えっちー!」

 

「舌ぶっ切るぞこの野郎!?」

 

 

 

あ、どうも。私です。

 

ただいま鬼から助けた人間から報酬を受け取ってるところでごわす。え?やってる事が追い剥ぎ?失礼な、命を助けたんだからそれ相応の物を貰わなきゃ割に合わんでしょう。私はね、正義のヒーローじゃないんでね。

 

主に食料。次に銭。その他はまぁ、金になるならなんでも。これが報酬代わりだ。断ったり、逆に化け物扱いして逃げ出したりしたら・・・まぁぶった斬るよね。

 

タダより怖い物はないぜ。え?お前が怖い?ごめんね、私悪魔なのん。

 

「食べてみてくださいって!ほら!」

 

「やっめろ!それ近づけんな!マジで細切れに、むごー!?」

 

悪魔形態(サムライソード)にも関わらず物怖じせずに私の口に虫を突っ込んでくる男。この野郎!よくも虫なんぞ食わせおって!!今すぐ腹ァカッ捌いてブツ切りに・・・・・・!!

 

「・・・・・・いけるなこれ」

 

「でしょ!?見た目があれですけど美味いんですよ虫!」

 

「まぁ、確かに・・・味は海老みたいだし・・・」

 

そういえば虫って宇宙食にも使われてたんだっけか。栄養価が高いとか何とか。ううむ、これは・・・・・・セーフです。

 

「しゃーねーな。これで勘弁してやるよばりむしゃ」

 

「ありがとうごぜぇやす!」

 

「おう、もう鬼になんて見つかるなよー」

 

そう言って背を向け手をヒラヒラと振りながら歩き去っていくと後ろから「危なくなったらまた呼びまぁす!」と大声で言ってきた。いいけどお前次はちゃんとした食いもん持っとけよコラ。次虫出したら睾丸一個切り離すからな。

 

ん?『ゐにみにまにも』が何かって?いや、あれだよ契約みたいなもん。その呪文を唱えると俺と仮契約で繋がって自動的に呼び出されるって感じの。悪魔っぽいでしょ?ちなみに本来は『どちらにしようかな』って感じのニュアンスらしいぜ。俺は特に意味も込めずに適当な思いつきで広めたけど。

 

 

さて、ここまで来れば分かると思うが私は俗に言う転生者と言う奴である。二次創作において良くあるアレね。

 

しかし私には神や仏にあった記憶も何かを与えられた記憶も無い。それどころか前世の事などほぼ全て記憶から失っている。記憶喪失とか言うやつだ。

 

前の事など微塵も興味が無いので別にいいのだが、何故か創作物についての記憶だけは残っていた。いやホントになんでだ。

 

余程そういったのが好きだったのだろうか。そうでもなきゃこうも色濃く残るまい。まぁそのおかげでこの世界について色々と分かった事がある。

 

この世界は前世にて多大なる人気を博した『鬼滅の刃』という作品であるということだ。鬼についての知識や鬼殺隊の事、鬼の始祖である鬼舞辻無惨の事も当然知ってる。

 

しかし実の所限定的な事しか覚えてないのだ。失ったのかもしれないが、知ってるのはさっき言ったのに加えて稀血だとか日輪刀だとかそういったものばかりでストーリーについてはほぼ分からん。

 

だから良く転生者がやっている本編で死んでしまうキャラを生存させるってのは出来ないだろう。何時どこで何が起こるなんて知らないのでやりようがない。

 

まぁ知ってても行動に移すかは別問題だけどね。何せ知識で知ってるだけでキャラに愛も何も無い身だ。どうでもいいと言うのが正直なところか。

 

ついでに言うと、この身はどうやら人間のそれでは無いらしい。

 

もう知ってるだろうが私は『悪魔』だ。鬼じゃない『悪魔』。そこの所間違えないで貰いたい。あれと一緒など御免こうむるぜ。

 

より細かく言うとこの悪魔の力は『チェンソーマン』と呼ばれる愉快痛快豪快の三拍子揃った作品に出てくる『刀の悪魔』の力であり、その力で体から刀を生やしたかっちょいい悪魔モードになる事が出来るのである。

 

名前は『サムライソードマン』。頭悪そうに聞こえるが私は好きだ。なんというか小学生がつけたみたいな単純でシンプルな名前だから。

 

この力で鬼をバッサバッサと倒していく!・・・なーんて言わない。あれは暇潰しだ。日常の中で刺激を求める時にやるだけの、言うなればゲーム感覚だ。契約のあれだって暇を持て余してたから広めただけで積極的に人を救おうなんて考えてないんだぜ?

 

それに私はどっちかと言えば観戦側でいたい。鬼と鬼殺隊が戦ってる所を見たい。

 

なぜなら私は人間が死力を尽くして化け物を倒す瞬間を見るのが堪らなく好きだからだ。それはもう、大好きだ。愛してる。人間賛歌と言うものがあるだろう。正しくそれを見るのが私にとって史上の喜びなのだ。

 

人間賛歌とは勇気の賛歌、人間の素晴らしさは勇気の素晴らしさ!某有名な漫画でのセリフには私は大いに賛同する。

 

人間という脆弱で非力な生き物が血を流し体が欠けようとも鬼を倒す!時にその命を散らしながらもその意思は後に受け継がれ確かに繋がってゆく!素晴らしい!

 

と、まぁそんな感じなので余り戦う側にはなりたくないんだよ。まぁ気に入った人間は生かしたりしたいけどねー、それも野暮だと考える自分もいる・・・自分で言っといて難儀なものだ。

 

「みたらし団子お待ちぃ!」

 

「お、待ってました!」

 

そう考えているとここ最近通いつめている団子屋で注文していたみたらし団子が出てくる。うーん、何とも美味そうだ。では早速・・・パクリ。

 

「ッッ!んんーー!!うんまァーい!」

 

うん!美味い!これは今まで食べてきた団子の中で5本指には入るほどの美味!やはり老舗はいいもの作ってるなぁー!

 

感激した私はついついがっついてしまい、あっという間にみたらし団子は無くなってしまった。しかし、私の心はとても満たされた。

 

美味いものを食べるとなんだろう、こう、心の底から幸せって感じるんだ。(語彙力)

 

これは私のお気に入り店帳に名を載せねば!でもその前に・・・

 

「大将!追加で10本くれぃ!」

 

「あいよ!」

 

美味いもんはたらふく食うに限るよなぁ!!契約でむしり取った銭を取り出しながらそう叫んだ。

 

その後、土産用と称して追加で20本買って帰った。満足満足。

 

 

 

 

「まぁ帰ったって言っても旅してる身だから家なんて無いけどね」

 

汚い金ならあるけどがはは!と笑いながらどっぷりと闇が深まった夜の中、鬼の足を軽く踏み潰す。短く喧しい悲鳴が耳に響いたのでうるせぇ!と怒りながら鬼を蹴っ飛ばした。

 

人外の強靭な脚力で蹴られた鬼は首が胴体からちぎれ飛びそうになりながら転がっていき、10メートルほど行ってようやく止まりよろよろと起き上がった。

 

「て、てめぇ何もんだ・・・鬼でも無いの癖にこんな力・・・有り得ねぇ・・・!」

 

少しづつ治っていく首を支えながらそう聞いてくる鬼。うーん連続して自己紹介する気もないし何より面倒臭いから答えなくていいや。にしても弱いなーこっちはまだ悪魔にもなってないんですけど?鬼の癖にその非力さって舐めてんの?

 

「ねー、君今まで何人喰った?」

 

「あ?さ、3人だ、それがどうかしたか」

 

3人、3人て。ショッボ、そりゃこんな弱ぇ筈だわ。せめて十人は喰ってからイキレやこのスットコドッコイ。

 

あー、うぜ。お気に入りの店がある村に行こうとしたから面倒臭いけど止めたのに。めちゃくちゃ俺強いんだぜアピールしてきたから内心ちょっとワクワクしてたのに、興醒めだ。

 

「よーし!決めた!君は朝までボコボコの刑だ!太陽で死ねるまで最大の苦痛を味わってもらうぞー!」

 

「はぁ?何言ってやがる・・・殺されるのはテメェの方だァー!」

 

私の意気揚々としたサイコ発言に腹を立てたのか爪を立てて飛びかかってくる雑魚鬼君。おいおい、そんな単調な動きしてるから雑魚鬼なんだよ分かってるキミィ。まぁいいさ、その方がボコしやすくて楽だし。

 

「ほーら世界を取った右腕ぇッ!」

 

飛びかかって来るタイミングに合わせて完璧な右ストレートォ!

 

「うぎっ!」

 

よし左眼窩粉砕骨折!続いて伸びた右腕を掴んで思い切り引っ張って関節ぶっ壊しぃ!

 

「あがぁッ!?」

 

次いでよろめいた所に膝を逆方向にドーンッ!倒れたら背骨ゴキーッ!まだまだ行くぜー!うどんの生地を踏むように力強く踏みつけ、再生が間に合わないくらいぶち折っていく!

 

「両目脇腹膝脊髄!粉砕骨折のオンパレードだぜ!お医者さんはいらっしゃいますか〜!?」

 

「が!?ごぇ!?もぉやめっ!?」

 

「あぁ〜?それが人に物を頼む態度かデコ助め!全身で土を舐めるくらいしてみろやぁ!」

 

そう言いながら鬼を地面に叩き付けて頭に刀を貫通させて身体を無理矢理固定してやる。はは!虫の標本みたいだな!

 

「さぁて次はどこを折ろうかな?それとも切ろうかな?なぁどこをどうして欲しい?私は優しいからリスナーからのどんな要望も聞いちゃうぜ?」

 

「も、もお殺して・・・」

 

「はぁ?なに今更確定事項を言ってんだよ。どう痛め付けられたいか聞いてんの、結果じゃなくて過程を聞いてんだよこっちは。」

 

「ぎゃあああッ!?」

 

全く質問の意図を察していない雑魚鬼君の身体を納刀していた2本の刀で千切りにするように細かく切っていく。鬼であっても相当な苦痛だったからか血の泡を吹いて痙攣を始める雑魚鬼君。まぁでも彼の意志とは関係無くゆっくりであっても受けた傷は元に戻ってくからこの拷問は終わらないんだけどね。

 

それに言っただろ?朝までボコボコの刑だってさ。

 

「んじゃ次は針串刺しならぬ刀串刺しの刑行ってみよっか!」

 

両手の刀を打ち合わせながら心底楽しそうに私は言った。

 

 

 

 

 

 

「はあぁ〜、飽きた」

 

数時間後、悪魔の力で生成した刀を至る所にぶっ刺した鬼といい汗をかいた私ちゃん。最早声も出さずにビクンビクンと跳ねるだけの肉塊と化した鬼を見ながら刀を血を払って腕に収める。

 

まだ夜明けまで少しあるけどまあこんだけやっときゃ朝日が出るまで動かねぇだろ。ほっときゃ死ぬし、もう行くか。

 

「南無阿弥陀仏っと、仏様に宜しくなぁ。ん?閻魔様か?まぁどっちでもいいか。」

 

適当に言いながら服から血を吸収して即座に元通りにする。流石に血塗れのまま歩くわけにはいかないからね。そこら辺配慮の出来る悪魔なのですよ私は。

 

「さてと汗かいた訳だし、一風呂浴びてくかな!」

 

丁度あの山の方に温泉の匂いがびんびんするし、秘境の湯を堪能しに行こうではないか!

 

この世界は文明が発展してないからまだまだ未踏の地や見つかってない源泉なんかも多いんだ。これを見つけて回るのが今世の趣味の一つなのよ。ついでに温泉卵も作っちゃうもんねー!

 

「よし、そうと決まれば早速・・・あぁ?」

 

うーん?なんだぁこの臭いは?温泉の匂いに紛れてゲロ以下の臭いがプンプンするぜぇ!!間違いねぇ!こんな匂いを出せるのは人を止めた畜生共だ!

 

汚ねぇ臭い嗅がせやがって!ヒャア我慢できねぇ!ぶった斬るぜぇ!!

 

なんて思ったが冷静に考えればそろそろ日の出。鬼は日陰の中で光に脅えながらビクビクしている時間帯だ。だと言うのにこの異臭は一体なんぞや?とりあえず臭いのする場所に行ってみるか。

 

つーわけで温泉探しは一旦中断し、鬼の臭いの出処を探りに行く。別に鬼を狩る義務もねーけど日が出てるのに匂いがする理由を知りたいのだ。つまるところ好奇心。ボクちゃん心は少年なんでちゅ。

 

くんくんと犬並みの嗅覚を頼りに進んでいると何やら開けた場所に出た。そこには整えられ、盛り上がった道に鉄のレールが敷かれていた。

 

そう、鉄道である。

 

「あぁ〜?なーんで鉄道から鬼の匂いがしやがるんだぁ?」

 

不思議に思いながらも一度くんくん。うーん、鉄の香り。なるほどなるほど、こりゃ鉄道の方じゃねぇな。()()だ。鬼がこの上を通ったっつー匂いだ。

 

「それにこの残り方・・・移動してんな。()()()()()沿()()()

 

手を額に当てて遠くを見るようにずっと先に続く線路を眺める。すると俺の目には匂いが視覚化して線となって映し出された。この線の先に不快な匂いをすかしっぺの如く残していった糞餓鬼がいるって訳だ。

 

にしてもこの匂いの()()。ただの鬼じゃーねぇなぁ。さっきまで嬲ってた雑魚よりも相当な濃さ、普通の鬼よりもかなりの数の人間を食らってる・・・上位の匂いだ。

 

確か・・・・・・そう、十二鬼月って奴だ。

 

まぁこの濃さならリストラの鬼・・・おっと失礼、下弦の鬼程度だな。

 

あー、そういや居た気がすんな。電車に乗ってた鬼。ほら、めちゃくちゃ大ヒットした映画でやってた。

 

なんかすかした格好のさ、えっと、名前はなんだっけ・・・え、えん、えん・・・もういいやトーマスで。

 

こりゃあそのトーマスの臭いって訳か。うーん、しかしこれを辿っていくのはちと骨が折れるな。面倒臭いし、ここで電車待ってた方が楽だ。んじゃ、早速寝っ転がって・・・・・・

 

 

 

ドガァァァァッッッン!!!!

 

 

 

 

 

「うわぁビックリしたぁッ!!??」

 

 

なんだなんだと跳ね起きると何やら線路の先で黒い煙が上がっている。

 

え?マジ?まさか事故ったの?鬼が乗った鉄道が?

 

何それウケる。そろそろ朝日が登るのに無様に事故った鬼とかめっちゃ見たい。よーし!待ってろよ!今私が行くからな!最高の死に顔を見せてくれ!

 

 

というわけでハチャメチャにウキウキしながら事故った鉄道まで走り始めるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺の名は、竈門炭治郎。

 

 

妹の禰豆子を人に戻す為に鬼殺隊に入り、鬼舞辻無惨を倒す為に日々鍛錬をする元炭売の家の長男だ。

 

鎹鴉から任務を受けた俺は雷の呼吸の使い手、善逸と猪の被り物をした伊之助と共に多くの人が行方不明となっている『無限列車』へと乗り込んだ。

 

そして列車の中で合流した現炎柱、『煉獄杏寿郎』さんと共にこれを調査する事となり、その矢先に鬼による血気術の襲撃を受けてしまう。

 

なんとか血気術を破り、列車に取り付いていた鬼、『下弦の壱』を力を合わせて討伐に成功したが最後の足掻きで凄まじい断末魔と共に列車中に張り巡らせていた肉塊を暴れさせた下弦の一によって俺と伊之助は列車の上から投げ出されてしまった。

 

凄い痛みが全身を覆う、少しでも気を抜いたら意識が飛んでしまいそうな程痛い。それでも下弦の壱を倒せた。乗客の人達を守れた。それだけで報われる。

 

その後、煉獄さんの助言で何とか傷を塞ぎ、痛みも和らぎ、これで全てが終わった。

 

 

 

──────そう、思っていたのに。

 

 

 

「うぐ・・・・・・!煉獄、さん・・・・・・!!」

 

 

 

突然現れた鬼、有無を言わさずに襲いかかってきたのは、十二鬼月の上位。異次元の強さを持ち、柱すらも殺してしまう実力を持つ存在。

 

 

『上弦の参』

 

 

そんな化け物が、なんでこんな所に。そんな疑問も許さぬ間に上弦の参と煉獄さんは次元違う死闘を始めてしまった。

 

目で追う事も適わない。振るわれた剣筋と上弦の参の軌跡しか映らない。加勢に入りたくてもただ足を引っ張るだけだと無理矢理にでも理解出来てしまう。ただただ、見ていることしか出来ない不甲斐なさ、情けなさに腹が立つ。ギリギリと手を握り締める事しか出来ないなんて。

 

それは、隣に立つ伊之助も分かっているようで何時もは猪突猛進に鬼に突っ込む彼ですら隙を見いだせずに立ち尽くしている。

 

「ちくしょう・・・!!何も、出来ねぇ・・・!!この俺が・・・!!」

 

同じだ、俺も、同じだ。自分で自分に腹が立つ。こんなにも弱い自分に・・・!動きたいのに手足に力が入らない、傷のせいもあるだろうけどヒノカミ神楽を使うとこうなってしまう。

 

こんなにも強いのか・・・こんなにも遠いのか・・・!?

 

 

あれだけ努力したのに、あれだけ修行したのに・・・!こんなにも・・・・・・!

 

 

 

 

何か一つ出来るようになっても高い高い壁が聳え立つ。どれだけの努力を重ねればあれだけの境地に立てるのだろう。

 

俺は・・・俺は・・・!!

 

 

 

「生身を削る思いで戦ったとしても全て無駄なんだよ杏寿郎。お前が俺に喰らわせた素晴らしい斬撃も既に完治してしまった。だが、お前はどうだ?潰れた左目、砕けた肋骨、傷ついた内蔵。もう取り返しがつかない。」

 

 

上弦の参は語る。いけしゃあしゃあと。

 

 

「鬼であれば瞬きする間に治る。そんなもの鬼ならばかすり傷だ。どう足掻いても人間では鬼に勝てない。」

 

 

淡々と、傷一つない体で静かにそう言ってのける奴に怒りが湧く。

 

巫山戯るな、ならばその体になるまでどれほどの人を喰った!どれほどの人を犠牲にした!!そんなもので手に入れた力なんて何の価値も無い!!

 

そんな俺の怒りも共に燃やす様に煉獄さんが叫んだ。

 

「それがどうしたッ!!!」

 

 

「傷つくからこそ!!たった一度しか無いからこそ!!人は懸命に生きるのだ!!命を燃やすのだ!!!お前には分かるまい上弦の参!!!」

 

 

「だからこそ人は強いのだ!!!」

 

 

「理解出来ないな」

 

 

 

決定的に理解し合えない人と鬼は再び、構える。

 

確実に相手の命を奪う為に。今出せる自分の最大限を叩きつける為、死力を尽くして。

 

 

「俺は!!俺の責務を全うする!!!!ここにいる者は誰も死なせないッ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

「ブラボォーーッッッ!!!!!」

 

 

 

「「「「ッッ!?!?!?」」」」

 

 

 

 

煉獄さんの言葉を賞賛するように上がったこの場の誰でもない第三者の声に、全員が振り向いた。

 

上弦の参の後ろ、線路(と言うらしい)に沿うように歩いてきた丈の長く黒い着物に帽子を被った男の人が拍手をしながら涙を流している。

 

な、なんだあの人・・・・・・。

 

あまりにもこの場の雰囲気に合わないその人は煉獄さんを見ながら更に拍手を強めた。

 

「素晴らしいッッ!!本当に素晴らしいよ!!そこの黄色い人!!正に人間賛歌!!誇り高き人の魂!!天晴れ!!!」

 

 

うおぉーーん!!と泣きながら煉獄さんを凄い褒めている。

 

いや、あの、物凄く分かるんだけど!すっごく共感出来るんだけど!!危ないから逃げて欲しい!!本当に!!!

 

 

「うむッ!!ありがとう!!しかしここは危険だ!!早く避難を!!」

 

 

「くぅ〜!!そうそう!!俺はこういうのが見たかったんだよ!!こういうThe 人間って人がさぁ〜!!」

 

 

き、聞いてない・・・。変な人だ・・・。しかもぼそぼそと何かを呟き始めた。

 

 

「あれ?というかそこにいるのは・・・というか彼は・・・あー、なるほど。このシーンね。」

 

「おい」

 

「マジかー、このシーン見れちゃったかー。こりゃ普段の人助けした甲斐があったってもんだ。」

 

「おい・・・」

 

「けどどうしよう。彼を生かしておくべきなのか・・・けど死んで欲しくない・・・ううむ・・・」

 

 

「おいッッ!!」

 

「うわうるさっ」

 

 

話しかけているのに尽く無視されていた上弦の参が声を張り上げるとようやく気がついたのか呟くのを止め、やつの方を向いた。()()()()()()()()()()()

 

「えーと、何?誰もお前に話しかけてないんだけど。やめてくんない?萎えるから。」

 

「貴様・・・!・・・まぁいい、だがよくも死闘に水を指してくたな」

 

「は?知るかよ、テメーの都合なんか。というか近寄らないで臭いから。いやマジで、放置された死体みたいな臭いするから。つーか何その模様?ファッション?ダサくない?センス無いな。目に文字あんのもキモいよね。やめた方がいいよ?ちょっとは周りの目も気にしなよ恥ずかしい。」

 

 

ちょっ!なんでそんなに煽るんだ!というかなんでそんなにつらつらと罵倒が出てくるんだ!そういうのはやめた方がいいと思う!

 

チラリと上弦の参の方を見ると顔を下げてプルプルと震えている。全身に血管を浮かび上がらせながら。

 

ま、まずい!!

 

 

「そうか・・・・・・」

 

 

 

 

 

「死ね」

 

 

 

 

 

 

 

「やめろォォォーーッ!!」

 

 

今の煉獄さんが反応出来ない程の速さでその場から一瞬で消え去り、男の人との距離を詰めた上弦の参は容易く命を奪える致命の一撃をふるい落とした。

 

 

 

次の瞬間、男の人がいた場所には花火の様に血が弾けた肉塊が・・・・・・

 

 

 

「うるせぇ」

 

 

 

・・・出来ず、逆に男の人が上弦の参を蹴り飛ばしていた。

 

ええぇっ!?

 

れ、煉獄さんでも反応出来なかったのに、なんて反射神経だ!?

 

「な、なんだと・・・!?俺の拳が見切られたというのか・・・!?こんな男に!?!?」

 

上弦の参も驚愕している。そこにだけは共感してやれる。

 

すると納得がいかないのか追撃を仕掛ける上弦の参。しかし、そんな奴を見ても気だるさを感じさせる体勢を崩さない男の人はゆっくりと髪をかきあげると・・・・・・

 

 

「あー・・・めんどくせっ」

 

 

 

 

 

「死ねよお前」

 

 

 

 

─────自分の()()()()()()()()

 

 

 

 

 

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

 

 

 

「は?」

 

 

 

()()に猗窩座が反応出来たのは経験故の偶然であった。視界に映った異常な光景に呆然としながらも動かした腕が、奇跡的に首が飛ぶのをギリギリの所で防いでいた。

 

一瞬で治るとはいえ、今の一瞬で首の九割を斬られていたという事実に猗窩座は動揺を隠せなかった。それも、自分が反応出来ない程の速さで。

 

 

「ありゃ、よく反応出来たねぇ」

 

 

飄々とした声に釣られて後ろを振り向く。そして、疑っていた自分の目は間違っていなかったと確信を得た。

 

 

 

そこに居たのは、()()()だった。

 

 

 

 

 

 

 

「死んでも良かったのに」

 

 

 

そう剥き出しの口から声を出す異形。全身を闇夜に溶けそうな黒の服に包み、そこから出した腕には巨大な()が生えている。しかも、その頭からも水平に刃が生えている。

 

コイツは知っている。

 

あのお方が言っていた、少し前から鬼狩り以外に鬼を狩っている異形。その姿は体から刃を生やし鬼に似ているが仲間ではなく、寧ろこちらを狩って人間を守っている、かと思えば時として人間にも牙を剥く異常者。

 

あのお方が言うに、『悪魔』と呼ばれる西洋の怪物であり、名を『さむらゐそうどまん』というらしい。異国の言葉らしいが珍妙な名だと感じたのを覚えている。

 

その奴が、目の前にいる。

 

人間に擬態して、油断させて殺しに来た。卑怯な手を使う奴だ。卑怯者は嫌いだ。反吐が出る。それにコイツは俺に好き勝手罵詈雑言を浴びせてきた。決して許してはおけない。

 

 

『破壊殺・乱式』

 

 

直ぐに体勢を立て直して拳を叩き込む。ただの人間であれば、即座に死亡し肉塊が散乱するほどの乱打。

 

だが奴は腕の刃を盾の様に使いそれを防ぎ、逆の腕を振るって来る。上弦の鬼にも匹敵する速度で振るわれたそれを半歩後退する事で避ける。

 

「む?」

 

が、避けた筈の刃が通った軌跡の先に切り傷が走る。直ぐに閉じるが、なるほど。どうやら刃の先から斬撃を多少()()()事が出来るらしい。自身が拳撃を飛ばせるように、奴もそれが出来るのだろう。

 

猗窩座はその事も注視しながら更に攻撃を叩き込む。

 

『破壊殺・脚式 流閃群光』

 

『破壊殺・乱式』

 

『破壊殺・砕式 万葉閃柳』

 

『破壊殺・空式』

 

 

まさに拳の嵐。数えるにも馬鹿らしくなる程の暴力。

 

コイツの技量は杏寿郎以下。ならば、これを凌ぐ術は無い。

 

だが

 

 

「痛いなぁ」

 

 

相手もまた、自身と同じ人の理を超えた存在。どれだけ叩き込めど致命傷にならない。

 

同時に、奴の斬撃も有効打にならない。いや、恐らくだが奴の刃を首に受けるのはマズイだろう。本能が奴の刃は鬼狩り共が持つ刀と同じ性質を持っていると感じている。絶対に首には喰らえない。

 

「いやー、速い速い。他の鬼とは訳が違うってか。」

 

「そのやかましい口を閉じろたわけが!!」

 

「ひーどーいー」

 

滅式で吹き飛ばせば死ぬか?と考える猗窩座だが、その間も手を休めない。ひたすらに拳を叩き込んでいく。

 

(まずは大きな隙を作る。そこに滅式を叩き込めば・・・・・・)

 

殺せるはず。そう考えた瞬間、猗窩座の体勢がガクリッと崩れた。

 

「なっ!?」

 

何が起こった!?と自身の足を見てみると、そこには日輪刀が突き刺さっていた。まさかと後ろを向くと、緑の羽織を着た花札のような耳飾りを付けた小僧が振り抜いた体勢でこちらを睨んでいた。

 

「小僧ッッ!貴様っ!?」

 

その一瞬、炭治郎へ意識が向いたその一瞬が、猗窩座の命運を分けた。

 

「ナイス耳飾り君」

 

サムライソードマンが今までと違い、力強く踏み込むと両腕を突き出し、猗窩座の両腕を斬り飛ばした。

 

即座に再生しようとするも、サムライソードマンの刃が傷口に押し付けられ再生を阻害する。引こうにも、足に刺さった刀のせいで上手く動けない。

 

ならば無事なもう片足で!

 

「オォラァッ!!!」

 

そう考えた瞬間、それを察知したように伊之助が刀を投げもう片方の足も封じる。

 

「ガァ・・・!!く、くそ!小癪な!!」

 

完全に四肢を潰された猗窩座。かつてない絶体絶命の窮地による焦りが判断を鈍らせる。

 

 

もしもここでサムライソードマンに気を取られなければ、もしここで後ろに倒れ腕の再生を優先させていれば。

 

 

首に迫る不可避の一撃にも対処が出来たであろう。

 

 

「炎の呼吸 玖の型・・・・・・!」

 

 

「ッッ!?しまッッ!!」

 

 

 

「『煉獄』ッッ!!!」

 

 

 

 

 

 

全身全霊の業火の一撃が猗窩座の首を捉える。それはどれほど頑丈であろうと、その上から焼き尽くすが如く威力で突き進み・・・・・・

 

 

かくして、上弦の参の首は討ち取られたのであった

 

 

 





こっから先は不定期です


・炭治郎君

原作主人公。ここの花江さんの演技は鳥肌モノ。


・煉獄さん

目力すげぇ。めちゃくちゃかっこよかった人。この作品では生存。

・伊之助君

ここ辺から仲間意識が強くなってきてるのを感じる。トーマス戦で大活躍。

・善逸

まだ未登場。トーマス戦で活躍したけど全カットされた。汚い悲鳴をあげる。


・魘夢

出番無し。次。


・猗窩座さん

不幸にも黒塗りの悪魔に遭遇してしまう。逃げようにも相手が似たようなスペックで、しかも周りに鬼殺隊がいて、しかも柱がいて、しかも日が登り始めてたのでマジでサムライソードに出会った時点で詰みだった。どんまい。

・主人公

煉獄さんのセリフを聞いて超感動した。悩んだけどいい気分の時に邪魔してきた猗窩座さんがムカついたので煉獄さん生存ルートに進んだ。泣きながら勃起してた。これが勃起だね?谷垣ニシパ!
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