鬼と鬼殺とサムライソード   作:文明監視官1966

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私は鬱くしき人々のうたが好きです


兄兄兄兄兄兄兄兄魔魔魔魔魔魔魔魔

 

妹の堕姫を目の前で失った妓夫太郎、死にかけた彼は妹の体を譲り受ける事で生きながらえてしまった。

 

最愛の者を犠牲にした悲哀すら感じさせない花のような柔らかな圧を放つ妓夫太郎にクロはこれまでで一番の笑みを見せる。

 

 

「いいねぇ、そういうの好きだzッ・・・!」

 

 

一閃

 

 

上弦の鬼だろうと一挙手一投足、初動を見逃さない筈の宇隨が反応すらも出来ずにクロの体は四肢が切断され臓物をぶちまけていた。

 

「なっ」

 

そこまできて漸く宇隨の意識が追いつき、突然現れた妓夫太郎に反射的に刀を振るう。とはいえ流石は柱、正確無比な斬撃が吸い込まれる様に首へと迫る。

 

しかしそれは妓夫太郎の手によって容易く防がれ、次の瞬間には死の紅が宇隨の目の前に広がっていた。

 

「『落禍紅災(らっかこうさい)』」

 

「はっ、ぐぅっ!?」

 

『音の呼吸 肆の型 響斬無間』

 

一つ一つが致命の毒を持つ必殺の斬撃。それらが無数に降り注ぐ光景に宇隨は久しく感じなかった自身の命に手がかかる感覚に全霊で抗う。鎖で繋がった二刀を手足のように高速で振るって斬撃を相殺し、合間に爆薬を放ち、斬撃を破壊する。

 

時間にして凡そ数秒、彼にとっては永遠に感じる死の時間を掻い潜り再び妓夫太郎へと斬り掛かった。

 

「やるなァ」

 

「ラアアアアアッ!!」

 

『音の呼吸 参の型 残響散歌』

 

百戦錬磨の技で攻め立てる宇隨。並の者では見る事も、はたまた斬られた事にすら気付かないだろう洗練された斬撃の数々をいなす妓夫太郎。まるで次元が違うその戦いを炭治郎は竦んだ足で見ることしか出来ない。

 

「動きの全てに細やかな技巧がある・・・賞賛に値するぜぇ」

 

「そりゃどうも、よッ!!」

 

「だが、俺には届かねぇ」

 

「な、がッはッ!?」

 

素直に褒め称えてくる妓夫太郎に、もう一段階ギアを上げて目にも止まらぬ連撃で応戦する。火花と爆破が入り交じり、まるで小規模の花火が咲くかの如く攻防が繰り広げたが、それもすぐに崩れ前兆無く放たれた『跋扈跳梁』によって崩され一瞬の隙に蹴りを叩き込まれて吹っ飛んでいく。

 

そして次に目を向けたのは炭治郎。この場でもっとも力を持たない弱者だったが、その目はまだ死んでおらずこちらを向いた妓夫太郎に果敢にも先制攻撃を仕掛けた。

 

「う、ああああああああ!!」

 

『ヒノカミ神楽 灼骨炎陽』

 

命に指がかかった状況下で炭治郎の技量は一つ上の段階に踏み込むほど増していた。燃え盛る炎のイメージがより洗練して浮かび上がる。だがしかし、それは現状文字通りの付け焼き刃でしかない。

 

「悪くねぇ、が、良くもねぇ。まだまだ弱え。」

 

「うっ・・・!?」

 

あっさりと。渾身の一撃は軽くいなされ、炭治郎は致命的な隙を晒す。だが恐らくは二、三度は殺されているだろう時間が過ぎても、彼に斬撃が襲いかかることは無かった。

 

「な、なんで・・・」

 

「弱え奴は死に方も選べねぇ。そしてお前は俺にとっちゃ殺す価値もねえ。それだけの話だ。」

 

「・・・ッ!!」

 

生殺与奪の権を握ってるにも関わらず、妓夫太郎は炭治郎に関心を向けていなかった。彼の言う通り、殺す価値も無いと本気で思われているのだ。圧倒的な実力不足、重く残酷な現実が炭治郎に伸し掛る。

 

「ン・・・お前、まさか・・・」

 

炭治郎から完全に意識が外れる瞬間、彼の鼻が何かを感じ取り再び彼に向き直る。そしてその一瞬に、妓夫太郎の背後から何者かが迫り襲いかかった。

 

 

「ムゥッーー!!!」

 

 

「あぁん?」

 

妓夫太郎の肩から脇腹にかけて、袈裟斬りをされた様にかかと落としで抉り取られる。それに留まらず、地面にまで罅を付けていた。とても人間業とは思えないその一撃を放ったのは、異形化が進んだ鬼娘、炭治郎の妹の禰豆子であった。

 

(こいつ、俺の体をぶち抜きやがった。いや、それよりこの鬼、コイツを守った?)

 

炭治郎の危機を感じ取った事で肉体が成長し、額の角も伸びて本格的な鬼に近づいた事で帯の結界を一部破壊し上弦である妓夫太郎の体を傷つける程のパワーを身に付けた禰豆子だったが、そんな彼女から受けた傷を容易く治癒した妓夫太郎は彼女の首を片手で締め上げる。

 

「ウゥッ・・・!?」

 

「あんだァ?なんで鬼がコイツを・・・」

 

「禰豆子ッ!!」

 

その光景を目にした炭治郎は硬直する肉体を無理矢理動かし、呼吸によって瞬間的に強化された身体能力で最速の攻撃を放つ。加えてクロの契約の力もあり本来よりも更に速く鋭い斬撃となり、禰豆子を掴む妓夫太郎の腕を断ち切らんと迫る。

 

「その手を離せぇぇぇぇ!!」

 

『ヒノカミ神楽 烈日紅鏡』

 

 

「そうか、こいつァお前の妹か」

 

だが、ただでさえ格上の彼には通用せずそれすらも片手で捌かれる。その事実に炭治郎は刹那の思考の中で絶望の縁に立たされた。届かない、自分の腕では目の前の鬼を倒す事など出来ない。禰豆子を守る事が出来ない。立ち塞がる壁。単純な技量不足、単純な実力不足。

 

・・・だからどうした

 

そんな彼を奮い立たせるのは、一重に『兄』としての責務。そして『愛』であった。技量が足りない?実力が足りない?だからどうした、それが禰豆子を守らない言い訳になるのか?否、なる訳が無い。

 

足りないのなら絞りだせ、届かないなら伸ばし続けろ。

 

『兄』として、『妹』を守れ。

 

 

 

痣が濃くなり刀が、僅かに()()光る

 

 

 

 

「その刀・・・!」

 

 

 

妓夫太郎を突如として強烈な悪寒が襲った。

 

 

 

炭治郎にでは無く、彼が握る日輪刀に。

 

 

 

 

それは彼の記憶では無い、それは彼の恐怖では無い。その肉体に宿る鬼の記憶。古い古い、けれど錆びつかぬ()()()()()

 

 

ほんの僅かに体が硬直し、意識が逸れる。その瞬間を、炭治郎は見逃さなかった。

 

 

「どけッ!!俺はお兄ちゃんだぞ!!」

 

『ヒノカミ神楽 円舞』

 

 

 

「ぐっ・・・!?」

 

 

 

反応が遅れたものの、首への直撃を防いだ妓夫太郎。しかし、炭治郎の狙いは最初から禰豆子を掴む彼の腕。力強い焔の斬撃は見事、妹を苦しめる腕を切り裂き、彼女を救い出す事に成功する。

 

斬撃の後直ぐに禰豆子を抱えて妓夫太郎の傍から離脱した炭治郎は、すぐさま彼女の容態を調べた。

 

「禰豆子!怪我は無いか!?」

 

「ウ、ム・・・!」

 

彼の声に苦しげに反応を返す禰豆子。どうやら格上の鬼と相対したのが相当なストレスになったようでかなり消耗している。強制成長の暴走すら出来ないほどの疲労で今にも眠そうだ。

 

「ごめんな、それとありがとう!後はお兄ちゃんに任せて休んでくれ!」

 

「ム、ム・・・・・・」

 

炭治郎の言葉に素直に従った禰豆子は目を閉じ眠りにつく。その姿もみるみる縮んでいき、元の子供サイズに戻ってしまった。そんな彼女を守る為に再び妓夫太郎に刀を向ける炭治郎だったが、彼の瞳を見て息を呑んだ。

 

「やっぱりお前も長男だったか・・・」

 

妓夫太郎の青い瞳は、余りにも優しかった。とてもでは無いが、鬼が人に向けるものでは無いと断言できるほどに。

 

それは一重に、同じ兄として、長男としての共感。そして自分とは違い文字通り命懸けで窮地を救った炭治郎(自分のif)への敬意と尊敬の眼差しだった。

 

 

「天晴れだぜェ、よくぞ妹を守ったな。同じ兄として、敬意を表するぜ。」

 

 

ニヤリと慈愛と哀愁の入り交じった笑みでそう炭治郎に伝えると音も無く不意打ちをしてきた宇隨の斬撃を防いだ。

 

「クソッ!今の防ぐか普通!?」

 

カウンターを恐れた宇隨はすぐさま後方に下がる。だが妓夫太郎からの反撃は無い。どころか、その視線は宇隨を捉えておらず、その後ろの方へと向けられていた。

 

何を見ているのか、自分など視界にすら入っていないのかと激昂しそうになったが、背後から聞こえてきた足音とヘッタクソな歌声に全て察した。

 

「まさか・・・!」

 

 

「しっあわっせは〜あ〜るいてこ〜ない〜だ〜からおどして来させるよ〜」

 

 

最ッ低な替え歌を歌いながら何かをズルズルと引き摺って現れたのは我らがクズ野郎、クロである。生々しい音をたてて引き摺られている物をよく見ると宇隨はドン引いた。

 

なんとそれは健康的なピンク色をしている彼の腸であった。復活の際、残っていた自分のミンチから無事な一部分をちぎってきたのだ。

 

ぐちゃぐちゃにされたにも関わらず相変わらずの不死性で五体満足状態で復活したクロはなんつーもん持ってんだという目で見てくる宇隨の前に着くと彼の肩に手を置き、呟く。

 

「悪ぃが邪魔しないでくれよ、私の殺し合い(デート)なんだ」

 

そう言うと次ァ5段を買うといいと付け加えて彼の手に自分の睾丸を渡し、妓夫太郎へと歩みを進める。その意図を察した宇隨は睾丸を地面に落とし、入念に踏み潰してから炭治郎と万が一にも日光に当たらぬよう一応布で包んだ禰豆子を抱えて結界の穴から外に避難した。

 

そして、他に誰もいなくなった結界内で2人が向かい合う。

 

 

「さて、決着付けとこうや、ゴミ悪魔」

 

「ノリがいいじゃねぇか、それにその目」

 

クロは妓夫太郎の目に指を向けた。そこに侮蔑も蔑みもない。

 

 

「良い目だ、高潔な目だ。鬼では無い、()()()()()

 

 

「そりゃどうもよ」

 

そう言って引き摺っていた腸を首に巻き、マフラーのようにして悪魔形態に変身するクロ。チェンソーマンを彷彿とさせるような腸マフラーを靡かせながら、ゆっくりと腕を上げる。

 

 

「強く尊い意志を見せたお前に敬意を表し、見せてやる。」

 

 

 

 

 

 

 

 

「私の本気を。」

 

 

 

 

ドプンッ

 

 

今までのようなニヤケ面では無く、珍しく無表情で語るクロの前に1本の刀が影を喰い破るように顕れる。見た目は何の変哲もない真っ黒な刀だが、それから放たれる瘴気は尋常では無くまるで醜悪な怪物を凝縮させたような雰囲気を醸し出していた。

 

「なんだ、それは・・・」

 

妓夫太郎が疑問に目を細めると共にかつてクロの胴体だった肉塊がブルブルと動き始め、勢い良く爆散する。なんと、そこから無数の刀が飛び出し周囲に散らばり始めたのだ。

 

「あぁ!?」と突然の事に身構える妓夫太郎だったが、彼に対する攻撃は無く、刀はグルグルと統率の取れた動きで2人の周りを廻るとリングを作るように地面に突き刺さった。これにて、今この場は果たし合いの場となったのだ。

 

そして、真っ黒な刀が独りでに動き素早い動きで回転したかと思うと、その切っ先をクロの眉間、正確には脳に向ける。彼はその事に動揺もせずに、両腕を広げて迎え入れる。

 

 

「『いざ尋常に』」

 

 

「『勝負』」

 

 

言い終えると同時に刀はクロの眉間をすぐさま貫き、その後腹部まで深く斬り裂いた。

 

ズダンと肉を抉り内蔵を断ち骨を斬る音を響かせ、噴水のように舞い散る鮮血が周囲を染める・・・事はなく、その血は一点に集まるとまるで日の丸のような不気味な球となり彼らの頭上に浮かび上がった。

 

そして、溢れ出る内蔵と共に()がズルンと滑り落ちると中から新たなクロが現れる。

 

 

 

 

 

「それが、お前の本気って訳か・・・・・・」

 

 

 

頭部からは軍帽の鍔のように生える刀はそのままに側頭部などに刺々しい装飾が増え、後頭部からは髪の毛のように無数の刀が生え散らかし、左目からは紅い光が灯っている。

 

 

首の腸マフラーはそのままに、胴体にはコートの上から鎧のような装甲が付き、より堅牢な姿となった。

 

 

更に特徴的なのが、()()()()()()()()()、左腕に生えていた刀は血を被って赤黒くより洗練されたように細くなっていた。

 

 

異形なのに、異形よりも人間らしさを増やしたその姿はまるで武者、侍・・・いや、人斬りの様である。クロ・・・いや、この姿の場合サムライソードマン、それよりも『刀の悪魔』そのものと呼ぶのが正しいかもしれない。

 

 

 

「対して変わってねぇな?」

 

 

「どうかな?大事なのは中身って安西先生も言ってたぜ」

 

「ハ、なら俺も見せてやるよ。本気って奴をな。」

 

そう言った妓夫太郎は自身の心臓を鎌で貫き、ありったけの毒を流し込む。すると彼の体が目に見えるほどに激しく脈動し、凄まじい熱気を放ち始めた。

 

「へぇ、毒によるドーピングと同時にリミッターを外したな?限界を超えたって訳だ。けどいいのか?お前この後死ぬぞ?」

 

「さっき、兄としての責務を果たした奴を見ちまったからな。俺も負けてられねぇのよ。」

 

一部言葉は分からなかったが意味は察した妓夫太郎が笑いながらそう言った。自分も、妹の死に報いる為に。きっと梅には怒られるだろうけど、甘んじて受け入れよう。兄として妹の仇を取れないのならば、生きながらえたって仕方が無いのだから。

 

だから許せ、梅。大丈夫、絶対勝つから。

 

暗い結界内というのも相まって向かい合う2人は月光の下で切り合う侍のように映る。

 

 

「なんだっけ、お前の名前・・・・・・」

 

「・・・妓夫太郎、お前は?」

 

「クロ、またの名をサムライソードマン」

 

 

 

 

異形と異形

 

 

 

鬼と悪魔

 

 

 

ただし、先程までと違うのは立ち会う2人が互いに敬意を払っている事。

 

 

妓夫太郎はクロの姿勢と強さに、クロは妓夫太郎の兄としての尊厳と信念に。そんな気持ちを胸に、殺意と敵意を全面に押し出して得物を構える。

 

 

 

訪れる静寂。両者ともに合図を待つようにピクリとも動かない。

 

 

ただひたすらに睨み合い、その時を待つ。

 

 

そして、彼らの頭上にある血の太陽から一雫の血涙が垂れ・・・・・・

 

 

 

「全力でお兄ちゃんを遂行する」

 

 

「愛してるぜ、妓夫太郎」

 

 

 

死闘が、始まった

 

 

 

 




このままフェードアウトでもいい気がしてきた

一応設定

真サムライソードマン

なんかごつくなった。右腕消えた。怖い。刀を持った者への恐怖を前面に出してる。ファミリーバーガーを見つけると一目散に入店するらしい。能力とかは次回色々使うとか無いとか。

モデルは過狩り狩り主人公とウルトラマンメビウスのメカザムとFGOの岡田以蔵のハイブリッド。
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